(童話)万華響の日々

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「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 国立西洋美術館を観た印象

2018-05-03 20:03:53 | 展覧会

国立西洋美術館で開催中の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」(2/24-5/27)を観に行った、ディエゴ・ヴェラスケス(1599-1660)の作品7点と他61点の展示、プラド美術館はスペイン王室、特にフェリペ4世の美術コレクションが主体で1819年の開設という、

ベラスケスの展覧作品は、「ファン・マルチネス・モンタニェースの肖像」1635年、「メニッポス」1638年、「マルス」1638年、「狩猟服姿のフェリペ4世」1632-1634年、「バリェ-カスの少年」1635年、「王太子バルタサール・カルロスの騎馬像」1635年、「東方三博士の礼拝」1619年である、

以上の展覧作品全体に言えるのは写実の正確さと独特のアングルである、更に「マルス」の肉体描写の精緻さはすごい、「バリェ-カスの少年」の知恵遅れのような少年に光を当てた題材選びの不思議さ、そして余りにも有名な「王太子バルタサール・カルロスの騎馬像」の細部までこだわりながら太子と騎馬の生き生きとした実在感など感嘆させられる、

クロード・ロランの「聖サラビアの埋葬のある風景」1639年は明るい空と暗い建物を背景とした埋葬風景、絵画として特別なテーマであり死を扱っている、フランシスコ・デ・スルバラン「磔刑のキリストと画家」1650年は画家自身を絵の中に描きこみ十字架のキリストを見上げる、死の向こうに何かを見ようとしている気がする、ベーテル・パウル・ルーベンス「聖アンナのいる聖家族」1630年はさすがのルーベンスと思わせる、幸福感に満ちた素晴らしい絵、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」1650年は小鳥は目立たず犬の方が目立つ、どっちにしても小さい生き物と暮らす家族の幸福感が伝わってくる、ティツィアーノ・ヴェチェリオ「音楽にくつろぐヴィーナス」1550年は後のルノワールに通ずるような豊満なる若き女性の肉体美、遠方には森と空の風景で室内にはオルガンを弾く男子の演奏家が後ろを振り返ってビーナスに見とれる、誘惑的な意味深長な絵である、

ファン・バン・デル・アメン「矮人の肖像」1626年はベラスケス「バリェ-カスの少年」の横に展示されている、類似のテーマであり背の低い人を描いた、人間観察において普段はモデルとして扱わない障害を負った人々に焦点を当てた、それは晒しものではなく日陰で地味に生活している人に光を当て目を反らすなということであろう、

デニス・ファン・アルスロート「鸚鵡の祝祭:職業組合の行列」1630-50年は大作、行列の中に並ぶ人々がじつに細かく描かれている、珍しい絵画、

宗教画としてファン・バウテスタ・マイーノ「精霊降臨」1615-20年、ジュゼッペ・デ・リベーラ「聖ペテロの解放」1639年、マッシモ・スタンツィオーネ「洗礼者聖ヨハネの斬首」1635年などは生々しく聖者の信仰の法悦や受難の姿を描いている

まさにスペイン絵画の光が闇の中に浮き上がって見える作品群である、見応え十分だ