UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

たまには市民が勝つ、たまには公務員さんたちの味方・・・

2017-11-26 01:53:38 | 日記

11月22日の京都新聞のデジタル版を見ておりましたら、以下のような見出しの記事に遭遇いたしました

【ばいじん排出、元職員への損害賠償請求断念,滋賀:高島市】

(記事は以下のサイトに掲載されています)

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyoto_np/region/kyoto_np-20171122000194

この見出しを目にして、GGI「よし!やったあ!勝った!」とひとり快哉を叫び、すぐに湖北の町、高島市で暮らす、この問題に市民として関わってきた知人にお祝いの電話をかけました。

GGIはこの知人に協力して、こんなことで現市長が元職員に公務上のことで損害賠償を求めるのは筋違い且つ非常識であるから、こんなアホなことはサッサと止めなさいと現市長に数年越しに要求していたのでありました。また、一方で元職員の方々に、請求されても払う必要なし、裁判になっても負けるはずがないとささやかながら激励したりしていたのです。

このニュース、ゴミ処理をめぐる公務上の不祥事で、市長が損害賠償請求を求めて元職員相手に提訴するのをやっと断念したということを報じたものです。たいしたことをしたわけではないのですが、自治体の長や行政が一度決めたことを完全に覆すのは容易ならざることでありますから、市長が自ら断念したのはまことに慶賀すべきことなのです。知人やGGIらだけの尽力はごくささやかなものに過ぎず、損害賠償を請求された元職員の方々の強い意志と議会関係者の理解があったうえではじめて得ることができた「勝利」あると言わねばなりません。

このできごとの背景を以下に簡単に記します

2003年に高島市(正確には合併前でありましたので「湖西広域連合」)は川崎重工製の「流床式ガス化溶融炉」と称されるゴミ処理プラントを導入して、自前でこのプラントの運用を開始しました。ところがこの溶融炉、実際に稼働させてみるとトラブル続き、なかなか十分な性能を発揮するに至らないため、担当職員は操業に苦労していました

その結果、2007年から13年度にかけて、何度も基準値以上のダイオキシンが含まれている焼却灰を神戸市沖の処分場に搬入してしまうという不祥事が起きてしまいました。2014年にこの不祥事が発覚、このため高島市は神戸の処分場を管理している団体から、環境調査費の名目で約2800万円を請求され、支払うはめになりました。

このため現市長は、現場(高島市環境センター)の当時の市職員21人に対して「国家賠償法」という法律に基づき市が神戸の団体に支払った費用の一部について損害賠償請求を行うとする決定を下し、これらの職員にたいして請求を行いました。しかし、元職員12人が請求を拒否したために市長は提訴する方針を固めていましたのですが、時効の関係などもあって、また議会の同意を得る見通しが立たないため、市長はこのほど元職員を相手に国家賠償法に基づき提訴することを断念しました。

市長が職員に対し請求を行うことの根拠にしたのは「国家賠償法」(国賠法)と言う法律です。この法律の条文は以下のようなものです。

条文【公務員の不法行為と賠償責任、求償権】

第1条

1 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

たったこれでだけの条文です

まずこの条文の第1項にご注目ください、公務員が仕事の上で故意または過失により他人に損害を与えた場合は、国(国家公務員の場合)または地方自治体(地方公務員の場合)がその公務員に代わって賠償の責任を負わなければならないという意味です。これは公務員が公務上の過失などのために他者に損害を与えた場合に公務員自身が賠償責任を負わなければならないようでは、公務員は委縮してしまった安心して仕事(公務)を遂行することができないことになるため、そのような悪影響を回避することを意図したものです。

ですから、普通であれば公務員は公務上の自らの過失に関して賠償を請求されることはありません。

ところが、第2項に但し書きが加えられています。故意または重大な過失があった場合には国や地方公共団体は当の公務員に対して「求償」する権利、つまり賠償を求める権利があるとされています。この権利は法的には「求償権」とされています。ただし権利があることが規定されているものの、この権利を必ず行使しなければならないと規定されているわけではありません

高島市長は、この不祥事に関して国賠法の第1項ではなく、但し書きである第2項を援用して現場の職員たちに損害賠償請求を行うとしたのです。

高島市在住の知人とGGIは、市長が職員(元職員を含む)に請求しようとしていることを知ったときに、すぐにそういうムチャな非常識な請求を行うことは国賠法第1項の趣旨に反するものであるからすぐに止めなさいという要望書を市長に対して出しました。市長は決して会おうといたしませんので市の幹部職員と何度も折衝を行うと共に、請求対象とされている元職員の方々の考えも聞きました。また情報公開請求を行っても十分に公開しないため異議申し立てを行ったりもしました

知人とGGIの考えは、以下のようなものでした。

・確かに法定の基準値を超えるダイオキシンを含んでいる焼却灰を搬出したことは違法であり、過失であるが、このような過失は国賠法の第1条第1項の対象とされるべき行為であり、但し書きの第2項でいうところの「求償」の対象とされるべきものではない。

・この程度の過失は、第2項でいうところの「重大な過失」に当たるかは多分に疑問であり、この程度の問題で第2項に基づき提訴され、有罪となった例は過去にとんど存在していない。たとえば、県内の公立中学校で柔道部の生徒が顧問の教師に投げ飛ばされたことが原因で死亡するに至った事件が数年前に起きているが、このような場合でも自治体は遺族に数千万円の賠償金を支払ったが、その自治体は当の教師に対しては国賠法第2条に基づく「求償」は行っていない。

・市が導入した川崎重工製の「ガス化溶融炉」は同社の第1号の製品であるという試作品に近いり欠陥製品であり、そのためトラブル続きであった。第1号製品であるため大幅に値引きしてもらったとのことであるが、これは安物買いの銭失いであり、欠陥所品をつかまされたと言ってもよい

・このためゴミ処理プラントを当初の計画通りに操業することができず、装置の不調に伴いダイオキシンが基準値以上含まれる焼却灰が生じることになったのである

・したがって、この基準値以上のダイオキシンが含まれている焼却灰が搬出されるという不祥事の真の原因はこのような欠陥製品を導入したことであるということができる。このため、このたび不祥事が引き起こされたことの責任はこの欠陥製品を導入することを決定した、当時の市長をはじめとした市の幹部職員にある。

・そうであるにもかかわらず、このたび市長による「求償」と言う名の損害賠償請求の対象とされた職員のほとんどは現場の職員であり、市の行為に関して管理、監督の責任を負う前市長や前々市長ならびに市の幹部職員は「求償」の対象とされていない。このような不公平な扱い断じては許されない。求償を行うのであれ、まずより大きな責任を負っている市長をはじめとした幹部職員を対象にすべきであった。

以上のような考えに基づいて、高島市長による「求償」の対象とされたものの賠償金の支払いを拒んでいる職員を相手に提訴することを断念するように繰り返し求めましたが、そのたびに「いま顧問弁護士と相談中である」として、いつまでも頑なに提訴を断念しなかったのです。

京都新聞の記事によれば「時効が迫っているから断念する」としていますが、いつが時効なのかは、はじめから分り切っていたことでありますから言い訳になりません。まことに往生際の悪い市長であります。

往生際は悪いにしても、とにかく断念せざるを得なかったことはまことに慶賀すべきことであり、裁判にかけるぞと脅かされていた元職員の方々はやっと決着がついたと、ほっとされていることでありませう

今日は関係のない方には退屈な話になってしまいました。でも、小さな自治体における行政上のゴタゴタ話でありましたが、このような行政に関するゴタゴタ話はみなさんの周囲に、あちこちに転がっているのです

なもあみだぶ、なもあみだぶ、なもあみだぶ

今日の写真は川崎重工製のガス化溶融炉を設置されている「高島市環境センター」の写真です。よろしければクリックしてご覧くださいませ

グッドナイト・グッドラック!