UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

超初級貧困問題講座 その二です

2017-11-02 01:59:38 | 日記

今日は一昨日の日記に書きました超初級貧困問題講座のつづきです。すこし退屈かもしれませんが、お読みいただければ幸いです。

内容は、この日曜日(10月22日)に湖都の市内で行われたNPO法人「自立生活支援センター・もやい」による《貧困問題を「学ぶ・伝える」レクチャーセミナー》でGGIが聞きました内容とこのセミナーで用意されていた資料に基づいたものです。GGIが知っていることも少し付け加えておきました

《正規雇用と非正規雇用の賃金格差》

前回、非正規労働者がどんどん増えていることを記しましたが、次に、正規雇用の人々と非正規雇用の人々の所得格差のデータを示します。

今日の写真は雇用形態別賃金カーブを示したものです(月給ベース:2013年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づいて作成されたもの)。拡大してご覧になってください。

御覧になればお分かりになるように、正社員と正社員以外の方々の賃金格差は大きなものであることは歴然としています。正社員の場合は、給料(月給)は若年層の約20万円にはじまって年代が高くなるにつれ上昇し、50代前後で38万円以上に達していますが、非正規の人々の場合は賃金カーブに大きな上昇は認められません。年代をとわず、ほとんどの場合、月給は約19万円~21万円の範囲に留まっています。つまり、いわゆるハケンで働いていたのでは何年たってもほとんど給料は上がらず、貧困ラインを多少を上回る程度の収入に留まり、貯金する余裕もないギリギリの生活を強いられることになります。

若年層において非正規労働は増えている状況は、いまは大きな問題として表面化しなくても、これらの人々が65歳以上になる30~40年後に、生活保護費の急増など社会保障費の爆発的な増大という大きなインパクトを日本の社会にもたらす可能性があります

《非正規の問題は、個人の問題か社会の問題か・・・あるいは自己責任論》

若年のハケンの人々がこのまま低賃金を強いられたまま年をとると・・・たとえば40代になっても派遣社員でいる場合、いつまでもハケンでいて正社員になれないのは「個人の問題」とされがちです。あるいは「自己責任」であるとされたりしがちですが、果たしてそうでしょうか、

先に示したグラフから分かりますように、大きな賃金格差のなかで今や2000万人もの人々が非正規で働いている、あるいは働かざるを得ない状況は、あきらかに日本の社会における構造的な問題です。この意味から、いつまでのハケンで働いているのは「個人の問題」や「事故責任」ではなく「社会の問題」として捉える必要であると考えられます。

最近、しばらく1倍を切っていた有効求人倍率が回復し、1倍をかなり上回り約1.5に達しているなどと報じられていますが、多少なりとも1倍を上回っているのは非正規雇用の場合であり、正社員の求人倍率はようやく1倍少々に達したに過ぎません。ますますハケンの時代に突き進んでいくことになります。

《子供の貧困の問題》

・大学の授業料

家庭が貧困である場合、その子どもが大学に進学しようとしたときに、授業料という壁にぶつかります。

授業料は、国立大学の場合、昭和50年(1975年)には約3万6000円でしたが、その後上昇を続け、平成15年(2003年)には約52万円に達しています。一方、私立大学の場合は、同じ期間に約18万3003円から約82万円にまで達しています。ちなみにGGIが某国立大学に在学していた1970年代前半のころは年間9000円でありました・・・

貧しい家庭にとってはこの授業料が大きな負担になることは明らかであり、このため貧しい家庭の子どもの大学への進学率は普通の家庭あるいは豊かな家庭の子ども進学率よりも明らかに低いものとなっています。

・所得再分配が行われても下がらない日本の子どもの貧困率

多くの国で、貧困層の人々などの生活を助けるために「所得再分配」という方法が採られています。「所得再分配」というのは、社会の中で所得(収入)を公平に分配するために、租税制度や社会保障制度、公共事業などを通じて、高所得者から低所得者へと所得を移転させることを意味しています。

この制度のおかげで、普通であれば、当初の所得だけの場合における子どもの貧困率は、社会保障制度などにより所得再分配が行われて可処分所得が増えた後には下ることになります。

ところがOECDに加盟している18の国における子どもの貧困率を比較すると(2008年、厚生労働省作成のデータに基づく)、日本以外の国では所得再分配が行われた後には明らかに貧困率は下がっているのですが、日本だけは所得再分配後に逆に約1%増えているのです(所得再分配前は12.4%であったが、再分配後には13.7%)。この事実は、日本では子供への支援は著しく不足していることを意味しています。このことの原因はGGIにわかりかねるのですが、日本においては所得再分配という制度が機能していないか制度に大きな欠陥が存在していることは確かであるものと思われます。

ちなみに、このデータにおいて、所得再分配前に一番子ども貧困率が高く、30.7%であったチェコの場合、所得再分配後には貧困率は10.3%にまで低下しています。

・子供の貧困に関する国の法律

2013年に、「子どもの貧困対策基本法」という法律が成立しています。おそらく子ども貧困問題についての初めての法律と思われます。ところが、法律が作られたこと自体は評価されるべきことなのですが、以下に示すように様々な大切な事項が見送られています。

貧困削減の数値目標⇒見送り
給食費、修学旅行費等無料⇒見送り
都道府県への計画策定義務⇒見送り
給付型奨学金⇒見送り

法律ができたものの、これでは法律の実効性はあまり期待できません・・・

今日はここまでです。まだ続きを書くかもしれません

なもあみだぶ、なもあみだぶ、なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!