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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

1268 飯田の貫通やぐら

2021-04-08 | g 火の見櫓観察記


1268 飯田市鼎下茶屋 4脚(貫通)44(面取り)型 撮影日2021.04.08



 飯田市内で遭遇した貫通やぐら。「下茶屋区軽便ポンプ置場」という看板を掲げてあるが、現在はゴミ置き場として使われているようだ。小屋の左側面を見ると、屋根を貫いた脚が外壁から突き出ている。





正面のメッシュカーテンの端から中をのぞいて見た。脚が屋根を突き破っている。外壁を突き破っているのは向かって左側の脚で、右側の脚(写真)は外壁を貫通していない。火の見櫓の脚をかわすために垂木は等間隔には配置されていない。貫通部の野地板が傷んでいるから雨漏りしているものと思われる。雨漏りして当然だろう。それにしても何でわざわざこんなことをしたのだろう・・・。


 

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「現代建築の冒険」

2021-04-08 | g 読書日記


『現代建築の冒険』越後島研一(中公新書2003年) 

 自室の書棚の新書を整理した。建築関係の本を並べた書棚にあった新書を出版社別に並べた新書の書棚に移す作業をしていて、この本を手にし、再読した。2003年発行の本だが、おそらく読んだのもこの頃だと思われる。となると、17、8年ぶりの再読ということになる。「「形」で考える―日本1930~2000」という副題が付けられている通り、内容はタイポロジー(形態分類学)で捉えた現代建築の変遷。

・屋根付き解放型
・横はさみ型
・伸上る屋根型
・縦はさみ型
・屋根付き包み込み型

著者は日本建築は西洋館が数多く生み出された明治時代と昭和初期(1930年代)の二つの曲がり角を経て今日に至ったと指摘する。本書で著者は二つ目の曲がり角以降の流れの要所を捉え、日本建築の変遷を論じている。変遷は上のリストのような建築形態の型(プロトタイプ)の変化として明快に示されている。それぞれの型について示された代表例の複数の写真を見ながら論考を読むと、なるほど!と納得できる。なかなかおもしろい内容だ。

現在この本が入手できるのかどうが分からないが、建築デザインに関心のある方には一読をおすすめしたい。


 

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清張作品の魅力

2021-04-04 | g 読書日記

 松本清張の『砂の器』について、**映画の「砂の器」はストーリーがすっきりしているが原作はごちゃごちゃしていると評されてもいる。**と昨日(3日)の記事に書いた(過去ログ)。

このことが載っている本が分かった。『脚本家・橋本 忍の世界』村井淳志(集英社新書)に**とにかく話がゴチャゴチャで、殺人方法はSFじみていて嘘臭いし、人物描写が類型的で押しつけがましい。ところが橋本 忍の脚本は、そうした原作の問題点をすべて殺ぎ落とし、原作のよい点だけを、極限まで拡大したのだ。**(167頁)とある。原作に手厳しいが、これには橋本 忍の脚本がいかに優れているかを強調したいという意図もあるだろう。確かに僕も原作より映画の方が好きだが。

松本清張は『砂の器』にいくつものトリックというかアイディアを惜しげも無くつぎ込んでいる。カメダ(羽後亀田、亀嵩)、ズーズー弁**「出雲のこんなところに、東北と同じズーズー弁が使われていようとは思われませんでした。」**(166、7頁)、終戦間際の大阪空襲による戸籍焼失とその復活方法(*1)・・・。これらが事実に基づいているところが松本清張のすごいところだし、作品の魅力でもある。上掲本で殺人方法はSFじみていて嘘臭いとされた超音波による殺人も可能なのだろう。清張はきちんと調べて裏を取っているはずだ。小説では今西刑事が都内の大学を訪ね、教授に取材しているが、同じようなことをしたのかもしれない。

これでしばらく清張作品から離れることにする。


*1 『日本の無国籍者』井戸まさえ(岩波新書)にも戦争や災害による戸籍の大量滅失はいつ誰にでも起こりうることが書かれている。

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「砂の器」松本清張

2021-04-04 | g 読書日記

360

 松本清張の『砂の器』を光文社のカッパ・ノベルス版で読むのは中学生の時以来。何年ぶりだろう、いや何十年ぶりだろう・・・。2段組、細かい活字の500頁。この本の奥付を見ると昭和36年7月5日初版発行、8月1日26版発行となっている。たった1カ月でこれだけ版を重ねているのはすごいとしか言いようがない。当時僕が読んだ本はこのカバーデザインと同じだったかもしれない。記憶も記録もないが。

『ゼロの焦点』の雑誌「宝石」への連載終了が1960年の1月、『砂の器』の読売新聞夕刊への連載開始が1960年の5月(*1)。『砂の器』は『ゼロの焦点』と同じテーマで、その応用編ともいえる。ストーリーが複雑になりボリュームもかなり増している。

この小説では今西という警視庁の捜査課の中年刑事が蒲田警察署の吉村という若い刑事と事件の謎を解いていく。映画では今西刑事を丹波哲郎が、吉村刑事を森田健作が演じていたから、読んでいてもふたりがイメージに浮かぶ。ちなみに重要人物の和賀英良という音楽家(小説と映画では設定が違う)を映画では加藤 剛が演じ、彼のフィアンセの田所佐知子を山口果林が演じていた。

松本清張の小説には列車を使った旅がよく出てくる。『点と線』の「東京駅の4分間」は有名だが、『ゼロの焦点』にもこの『砂の器』にも列車の旅が出てくる。時は昭和30年代、まだ新幹線が無い時代だから、旅も時間がかかり(*2)夜行列車もよく登場する。

『ゼロの焦点』では結婚直後、列車で金沢に向かった夫が行方不明になってしまうことから奧さんが事件の謎を解き始め、『砂の器』は蒲田駅の操車場で死体が発見されるところから事件の謎解きが始まる。

清張は書斎で地図や時刻表を眺めて空想の旅に出かけることがよくあったのかもしれない。

『砂の器』については読了後にまた書きたい。


**亀嵩の駅が見えて、道は線路に接着した。半鐘を吊った火の見櫓が見えた。**(187頁) 『砂の器』にも火の見櫓が出てくる。


*1『松本清張の残像』藤井康栄(文春文庫)巻末の年譜
*2 上野金沢間が夜行で10時間という時代

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桜花爛漫

2021-04-03 | g サクラと火の見




(再 154)松本市波田 3脚〇〇型 撮影日2021.04.03

 桜の季節になると何基か気になる火の見櫓がある。下赤松集落センターの敷地に立つこの火の見櫓もその内の1基。2本のソメイヨシノの古木の大きく張った枝々に花が咲く。方向によっては火の見櫓が桜をまとっているように見える。季節限定の風景。



(再)東筑摩郡朝日村 3無33型 撮影日2021.04.03

 古刹の参道脇のシダレザクラ越しに火の見櫓を望む。今年は桜の開花が早い。



(再)松本市波田 国道158号 4脚(倉庫貫通)〇〇型 (過去ログ

背が高い火の見櫓で、遠くからでもよく見える。この季節、櫓の下半分を桜が覆い隠す。


 

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手元に置いておきたい本

2021-04-03 | g 読書日記

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 手元に置いておきたい本があるものだ。私の場合、松本清張の『砂の器』がその1冊。映画化もテレビドラマ化もされたこの推理小説は清張作品を読まない人にもよく知られていると思う。清張作品を収めた文庫本は昨年の5月に処分してしまった。その後、光文社のカッパ・ノベルス版の『砂の器』を知人から譲ってもらうことができ、いま手元に2冊ある。

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清張作品で一番好きな『ゼロの焦点』も手元に残しておこうと思い、先日新たに買い求めて読んだ。結婚間もない主人公の女性が失踪してしまった夫の行方を捜すうちに、不幸な再会が招いた連続殺人事件の真相、いや深層が次第に明らかになっていく(過去ログ)。

**自分の暗い過去を知っている人間に、突如再会したことで、不安と恐怖に駆られた。**(438頁)

久しぶりに再読してストーリーがシンプル過ぎて少し物足りないという感想を抱いた。次は『砂の器』を読んでみるか。映画の「砂の器」はストーリーがすっきりしているが原作はごちゃごちゃしていると評されてもいる。今読めばちょうどいいかもしれない。


 

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