透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

この本を読むなら今

2020-12-05 | A 読書日記



 今日(5日)朝カフェ読書で読み始めたのは『はやぶさ2 最強ミッションの真実』津田雄一(NHK出版新書2020年第1刷発行)。5日の午後にはやぶさ2から投下されたカプセルは6日の早朝オーストラリア大陸のウーメラ砂漠に緩降下する予定だから、この本を読むなら今だ。著者の津田さんは2015年4月、史上最年少でプロジェクトマネージャーに就任している(*1)。

読みやすく、読み物としてもとてもおもしろい。綴られている開発の苦闘から打ち上げに至るプロセスは実に感動的だ。それにしてもすごい技術。

**11月11日(*2)、打上前最終確認会が種子島で開催された。JAXAの幹部やシニアの技術者が、完成したはやぶさ2を確認しながら、その製造工程に問題がなかったか、打ち上げに向けてロケットに搭載してよいかを審査する会議だ。
朝、宿の前で幹部に出くわした。ずっと親身に開発を見守り、時には厳しいアドバイスをくれた方だ。私の顔に不安の色を見てとってか「津田君、ここまで来たら大丈夫だよ。自信をもって送り出しなさい」といつになく優しく声をかけてくれた。**(102頁)
この件(くだり)を読んで涙ぐんでしまった。『小惑星探査機はやぶさ』川口淳一郎(中公新書2010年発行)を読んだ時も涙ぐんだが(はやぶさ・過去ログ)、新書を読んで涙ぐむとは・・・。

はやぶさ2は52.4億キロメートルもの距離(地球から太陽までの距離は約1億5000万キロメートルだからその35倍!)を航行して地球近くまで帰還してくる。そしてカプセルを切り離して再び宇宙へ・・・。

追記:6日の早朝、ラジオのニュースでカプセルが発見されたことを知った。スタッフの皆さん、おめでとうございます。
6日の朝刊(信濃毎日新聞)でもこのニュースを紙面を大きく割いて報じている。記事に、小惑星りゅうぐう(*3)の着陸地点は「たまてばこ」と名付けられたとあるが、この名前はカプセルに付けて欲しかった。


*1 『小惑星探査機はやぶさ』中公新書の著者川口淳一郎さんは「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーだった。
*2 私の注:2014年11月11日 はやぶさ2の打ち上げは同年12月3日
*3 信濃毎日新聞の記事の表記はひらがなでりゅうぐう、読んでいる本などではリュウグウ。