透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

講談社文庫のデザイン

2007-06-09 | A 読書日記



 講談社文庫の刊行スタートは1971年の7月だが、当時は今とは違って地味ではあるが格調のあるカバーデザインだった(写真左)。

左の本に挟んであったしおりに、日本文学が緑色、海外文学が橙色、日本(人文・社会・自然)は黄色、海外(同)は空色と色分けの説明文が付いていた。

それがいつの間にか右のようなカラフルなデザインに変わった。書店で目立つデザインを指向した結果だと思うが、私は昔のデザインも好きだ。時の経過に流されないベーシックなデザイン。落ち着いてじっくり読んでみようという気持ちになる。書棚に並べても渋くていい。

ところでカバーに用いられている繰り返しのパターンは何の葉だったろう。知識とか知恵に関係する何かの葉のデザインという微かな記憶しかない。講談社文庫のシンボルマークのこの「葉」、今の文庫にも載っている。

講談社文庫も他の出版社の文庫と同様にカバーの背の色を作家別に決めている。既に書いたかもしれない、新潮社にこの色をどのように決めているのか問い合わせたことがある。ちょうど安部公房の文庫の色が水色からシルバーに変わり出したときだった。

作家に希望を訊き、書店で両隣りに並ぶことになる別の作家とかぶらないように(同色にならないように)決めているとのことだった。安部公房の場合は版権継承者の希望でシルバーに変えていると聞いた。

『風の歌を聴け』は人気作家 村上春樹のデビュー作。この作家の背表紙の色は黄色。書店の書棚で彼の隣りに並ぶのは村上龍の作品だが、彼の文庫の背表紙も黄色だ。講談社では「かぶる」ということに配慮していないらしい。

村上龍の黄色は何冊か読んだが、村上春樹の黄色はほとんど未読。この夏、「村上春樹の黄色」を少し読んでみようと思う。 


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