透明タペストリー

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「源氏物語」

2022-04-10 | G 源氏物語

 いつかは「源氏物語」を読みたい、前々からそう思っている。日本の文学史上最長のロングセラー「源氏物語」。



与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、田辺聖子・・・。何人もの著名な作家がこの大作の現代語訳に取り組んでいる。私が瀬戸内寂聴の現代語訳「源氏物語」全10巻(講談社文庫)を買い求めたのは2008年のことだった(過去ログ)。瀬戸内寂聴の「源氏物語」はその後読むことはなく、他の多くの本とともに松本市内の古書店に引き取ってもらった。



2011年に読んだ『私が源氏物語を書いたわけ』は平安朝文学が専門の著者・山本淳子さんが紫式部のひとり語りという形式をとって、「源氏物語」や「紫式部集」などからの引用をまじえて紫式部の日常、心の内面を詳細に綴った本。以下この本について書いた過去の記事の一部を改稿して再び載せる。

結婚してたった3年で夫の宣孝が亡くなってしまう。世はなんと理不尽で儚いものだろうか・・・、と紫式部は思う。やがて自分の人生を受け入れる気持ちになった紫式部は、そうだ、私は縛られた「身」であるだけではない。私の中には自由な「心」がある! と気が付く。**私は、身ではなく心で生きようと思った。それを現実からの逃避と言われても、一向に構わない。むしろ心こそ現実よりもずっと完璧な世界が作れるような気がした。(73頁)**

紫式部は「源氏物語」を心の支えに生きていこうと考えて書き始めたのだ。紫式部は「源氏物語」という世界で何にも縛られずに自由に生きた・・・。

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やはり「源氏物語」は読んでおきたいと思う。昨日(9日)時々行く書店で読みやすいと言われている角田光代の「源氏物語」全3巻(河出書房新社)を注文した。

それから『源氏物語 解剖図巻』佐藤晃子(エクスナレッジ2022年第3刷り)を買い求めた。数日前にこの本の広告が新聞に載っていて、読んでみようと思っていた。



**「源氏物語」全54帖を物語と源氏絵から徹底解剖。**とカバー折返しにある。それぞれの帖(巻)ごとに見開きで分かりやすく解説している。フォーマットが決まっていて、右のページには登場人物、代表的な源氏絵を基にしたイラストとその解説、その帖(巻)のあらすじと、読みどころの説明、注釈(*1)。左のページにはその帖で描かれたエピソードや、当時の風俗・歴史などの図1解、トピックスなどが掲載されている。「源氏香」も。イラストが多用されていて見るだけでもおもしろい。

「源氏物語」を隙間時間で読むわけにはいかない。毎日時間を決めて(夜がいいかな)、自室にこもって読んでいきたいと思うが、気力が衰えた今、実行できるかどうか・・・。


*1 例えば8帖「花宴(はなのえん)」では桜の宴について**平安時代、旧暦の2~3月になると宮中で「花の宴」という桜を愛でる宴が開かれた(今日の花見の起源)。花の宴は清涼殿(天皇の日常の住まい)で行われることが多かったが、物語では紫宸殿(内裏の正殿)が舞台に。紫宸殿の南庭(だんてい)には、桜(左近の桜)と橘(右近の橘)が植えられており、この桜を愛でるという設定になっている。**と解説されている。この本を隅々まできちんを読めば勉強になると思う。


 



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