透明タペストリー

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「白鳥の歌なんか聞えない」

2011-06-12 | A 読書日記

 
白:昭和46年2月発行
■ 庄司薫は若い人には馴染みのない作家だと思う。昭和44年(もう随分昔のことだけれど)、『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞を受賞している。作品はその後、薫くん(主人公の名前)シリーズ4部作としてまとまる。

その第3作『白鳥の歌なんか聞えない』はNHKでドラマ化された。このドラマで仁科明子がヒロインの由美(薫くんのガールフレンド)役でデビューしている。このときの経緯を彼女は『いのち煌めいて』小学館に次のように書いている。

**高校三年の夏。この夏、私は、ある雑誌のグラビアに、父といっしょに出た。それが、ちょうど庄司薫さん原作の『白鳥の歌なんか聞えない』をドラマ化しようと、出演者を探していたNHKのプロデューサーの目にとまり、姉のマネージャーに出演を打診してきたのだ。話が決まったのは、もう二学期の終わりころだった。(16頁)**

調べてみるとこのドラマが放送されたのは昭和47(1972)年3月のことだった。ストーリーは忘れたが彼女がすごくかわいかったことだけは今でも覚えている。そう、当時高校生だった彼女はぼくの好みにぴったりだったのだ。

ぼくはドラマ化されたのは『赤頭巾ちゃん気をつけて』だったとずっと思っていて、昨日(11日)カフェ・バロでそのことを話したのだが、違っていた。なぜこの小説のことを話題にしたかは書かないでおく。

**女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか。さまよえる現代の若者を爽やかに描く新しい文学の登場!**「赤頭巾ちゃん気をつけて」の帯。

**早春の陽ざしに音もなく忍びよる死の影。生命あることの寂しさ空しさを見すえて互いに求めつつさすらう若い魂を、光と影の交錯の中に美しく描く永遠の青春像**「白鳥の歌なんか聞えない」の帯。

ぼくの青春時代とシンクロしている小説で、書棚から取り出してながめているととても懐かしい想いがする。一冊だけ再読するなら、やはり『白鳥の歌なんか聞えない』かな・・・。


  
薫くんシリーズ    
赤:昭和44年8月発行      黒:昭和44年11月発行     青:昭和52年7月発行   


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2 コメント

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Unknown (U1)
2023-08-15 09:39:57
かわちゃん 様
コメントありがとうございます。
懐かしい記事へのコメントですね。
ボクはバクでしたっけ。
私も薫くんシリーズ大好きでした。
庄司薫はこのシリーズの後、あまり作品を出さなかったと記憶していますが。
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Unknown (かわちゃん)
2023-08-15 08:24:55
庄司薫さんが大好きだった私は、2020年に「ボクの飼い主をめざして」を自費出版しました。
ちなみに
第1部 赤ずきんにちゃんと気をつけて
第2部 特急白鳥の歌なんかもう聞こえない
第3部 僕の大好きだった青髭
第4部 さよなら怪傑紫頭巾
というもので、 相当の かおるくんシリーズ ファンでした。
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