透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

つまりこういう建築

2023-12-13 | D 新聞を読んで


 12日付 信濃毎日新聞の文化面「火曜アート 美術人をたずねて」に安曇野市在住の彫刻家、濱田卓二さんが紹介されていた。記事には長野県朝日村の朝日美術館で10月から11月下旬にかけて開催された濱田さんの個展「土たちの詩話」が取り上げられ、上掲した角柱が並び立つ陶彫の写真が掲載されていた。朝日村の土を用いた作品だ。濱田さんの作品について書かれた解説文に**抽象的ながらも有機的な造形**という件(くだり)があった。

未来の建築のアナロジーとして

ところで、拙ブログの前稿では『日本の建築』隈 研吾(岩波新書2023年)を取り上げ、次の件を引いた。**円柱形という純粋な幾何学的形態だけを組み合わせた抽象的な形はモダンであったが、欅の質感が暖かく感じられて、モダンデザイン特有の冷たさ、硬さはなかった。**(3頁)

幾何学的で抽象的な形態を鉄とガラスに代表される無機的な素材で成立させているモダニズム建築。隈さんは形態はそのままで素材を有機的な木に替えると冷たさも硬さも感じない建築が出現するということをブルーノ・タウトの木の円柱を引き合いに出して示した。タウトの小さな木の円柱を建築に見立てたのだ。

隈さんの『日本の建築』を読んでいたからだろうか、新聞に掲載されていた濱田さんの土の角柱(写真)が未来のモダニズム建築の姿に見えた。この作品を建築のアナロジーとして捉えたのだ。

モダニズム建築はその姿かたちの特徴からホワイト・キューブ(白い金属パネルとガラスの箱)と呼ばれるけれど、そう遠くない未来に隈さんが紹介したタウトの木の円柱や濱田さんの作品のような建築が出現するかもしれない。人はそれを何と呼ぶだろう・・・。

ここで誤解されないように注釈。濱田さんの作品を建築に見立てたのだが、これを高層ビルが立ち並ぶ様(さま)に見たわけではなく、ひとつの建築として見たのだ。東京ではガラスの超高層ビルが今尚建ち続けている。一体いつまで経済最優先建築の建設を続けるつもりなんだろう・・・。

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