とだ九条の会blog

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9・11と米軍再編、そして改憲問題(その1)

2006年06月27日 | 国際・政治
改憲の策動をさして、よく「歴史に逆行している」と言うことがあります。今の日本国憲法を大日本帝国憲法のように国民に責務ばかりを押しつける内容の自民党「新憲法草案」に変えるなら、それは確かに内容的には「逆行している」と指摘することができます。しかし、日本国憲法が確定したその時から、実は今の自民党の先輩たち支配層は、一刻も早く「改憲」することを狙って「歴史に順行して」策動を拡大し続けてきたのです。
アメリカも初めはポツダム宣言の完全実施を推進すべく連合国代表として軍国主義日本に民主主義を植え付ける一定の役割を果たしましたが、中国や朝鮮半島をめぐる新たな事態の中で、日本を反共の防波堤にすべく安保条約を結び、警察予備隊の編成替えからはじまって自衛隊の増強、日米軍事同盟の一層の強化を日本に迫ってきたわけです。

こうした戦後の歴史の中で大きな節目となった事件の一つに1991年のソ連崩壊があります。ソ連崩壊により、いわゆる米ソの冷戦が終り、アメリカ一国主義が強められます。そして、そうした中で2001年「9・11同時多発テロ」が起こります。この日を境にまた新たな米国の世界戦略が始まったと言ってもいいでしょう。


今回は、何回かに渡って、この「9・11同時多発テロ」と、いま問題の米軍再編の関係、そして改憲問題との関係について考えてみたいと思います。

「9・11同時多発テロ」はあまりに衝撃が強く、テレビに映し出される映像に恐怖感を覚えたものです。ブッシュ大統領に第二次世界大戦で日本軍が奇襲したパールハーバーを想起させたかどうかは定かではありませんが、ブッシュが「テロとの戦争」と言ったほど、それは米国にとってもショックだったに違いありません。
しかし、その衝撃の強さに比べて、未だに誰が本当の犯人か、何が理由で何を目的としてやったのか、またその「テロ」勢力と思われる一味をかくまったり、かばったりした国は同罪とみなすなどいう乱暴でヒステリックな言動は一体何だったのか、冷静に考えてみるとよく分かりません。
もちろん「テロ」を擁護するつもりもありませんし、「テロ」は決して許されるものではありませんが、その「テロ」を掃討するという名目で罪もない子どもや女性などイラクの一般市民を殺戮する米国の「正義」がわかりません。

「九条の会」呼びかけ人のひとり、加藤周一さんは2002年4月に山口県で行われた講演会「『9月11日』のかなた」で次のようなことを指摘しています。


<なぜ反米テロが起こったのか>
「同時多発テロ」は「同時多発」が問題ではなく、本質は「反米テロ」だということです。
実際に攻撃を受けたのは、①ニューヨークの世界貿易センタービル、②米国防総省ペンタゴン、そしてテロリストの立場から言えば失敗した③大統領官邸ホワイトハウス。
つまり、これらは米国の①経済力、②軍事力、③政治力の象徴への攻撃だったというわけです。

なぜ「反米テロ」が起こったのか、その理由の第一に、経済的な理由として、加藤氏は9・11以前の過去10年間の大事なこととして3つあげています。
①第1点は、米国が為替交換レートを一定化したブレトン・ウッズという協定を取りやめて、変動為替にしたこと。ドルには2つの側面があり、一つは国際通貨としての側面、もう一つは米国の国内通貨としての側面ですが、米国はドルが国内通貨なのでこれを上げたり下げたり米国の有利なように操作することができる。米国以外の国、特に第三地域の国から見れば、大変不利な条件を押し付けられてきたわけです。
②第2点は、米国の指図で国際的な金融機関・世界銀行をつくったこと。それをカードに使って、経済問題に関しては銀行側の、あるいはその背後にいる米国の意思を米国以外の国々に非常に強く押し付けることができるわけです。
③第3点はGATT。関税を上げたり下げたり自由にできるという協定です。GATTを支持したのはだいたいが先進国、抵抗したのは低開発国でした。関税を自由にすれば、弱い国、発展途上国の産業はつぶれるでしょう。また農業でも同じです。米国の安い麦などがそれら発展途上国に入ってくれば、その国の農業はつぶれます。関税の自由化と、輸入の関税を低くする、それを要求しているのがいま流行っているグローバライゼーション(世界化・地球化)と呼ばれるもので、世界中を先進国が支配しようという陰謀です。(つづく)

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