とだ九条の会blog

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核は「防衛目的」、廃絶は「究極目標」……?

2023年05月29日 | 国際・政治
■「G7広島ビジョン」――「核廃絶に焦点を当てた歴史的文書」と自画自賛

5月19日~21日、被爆地・広島で開催された「主要7ヵ国首脳会議(G7広島サミット)」で発表された「G7広島ビジョン」は、「核軍縮に関する初めてのG7独立文書」「核兵器のない世界に向けた国際的な気運を高めることができた」と岸田首相は自画自賛しました。

その後の国会でも自民党議員などから岸田首相を持ち上げる声が聞こえました。マスコミも無批判に報道し(5月25日付け当ブログ)、国民の受け止めも岸田内閣の支持率が上がったように(4月:支持する38%、支持しない45%→5月:支持する46%、支持しない42%)、好感触で受け止める面がありました。


■広島を最悪の形で政治利用

しかし、この間も当ブログ(5月23日付け24日付け当ブログ)で紹介したように、サーロ―節子さんはじめ被爆者や反核・平和団体からは「失望した」と厳しい声が上がりました。広島選挙区選出の岸田首相に期待があったのでしょうが、見事に打ち砕かれました。逆に、唯一の戦争被爆国・日本の被爆地・広島が利用され、「核抑止力」を全面的に正当化され、被爆者や世界の多くの核兵器廃絶を願う人々の想いとは反対に、核廃絶を「究極目標」として遠ざけたのです。それは、G7の形ばかりの原爆資料館視察や被爆者との対話が無かったことからも垣間見られましたし、「広島ビジョン」に核兵器の非人道性や、史上初めて核兵器を違法とした核兵器禁止条約に一言も触れていないことからも明らかです。

岸田首相の罪は、被爆地・広島の原爆碑前で、「核抑止力」を全面的に正当化し、核兵器禁止条約を無視し、被爆者の願いに反して、核廃絶を「究極目標」として先送りの宣言をしたということで、広島を最悪のカタチで政治利用したことです。「G7広島サミット」は、歴史に残る汚点として記憶されるでしょう。


■「広島ビジョン」、「P5声明」とうり二つ

驚いたことは、5月28日付け「しんぶん赤旗」第一面で指摘しているように、「広島ビジョン」の文言が、昨年1月3日に米英仏中ロの核保有5ヵ国(P5)が突如発表した「核戦争阻止と軍拡競争回避に関する主脳共同声明(P5声明)」と、うり二つの表現で「核抑止」を正当化していることです。

「広島ビジョン」では、ロシアによる「いかなる核兵器の使用も許されない」と非難する一方、G7メンバーの核兵器について、「それ(核兵器)が存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている」と述べていますが、●「P5声明」では「それが存在し続ける限り、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、戦争を阻止するものであるべきである」としていて、うり二つなのです。「P5声明」は当然ながら、核兵器を違法化した核兵器禁止条約について一言も触れていません。

つまり、「広島ビジョン」は、核独占態勢の恒久化を理想とする「P5」の認識を一歩も出ていないのです。


■G7の核軍縮義務(NPT第6項)に触れず

「広島ビジョン」では、ロシアなどの核兵器の使用や威嚇は許されないのは当然ですが、その一方で、G7メンバーの核を 「防衛目的」と正当化したことで、核兵器を巡る分断と亀裂をより一層深める結果となりました。

とりわけ深刻なのが、核保有国に核軍縮を義務付けているNPT(核不拡散条約)第6項(※1)を巡る認識です。

2000年のNPT再検討会議で、同条約にもとづき核保有国に対しては「保有核兵器の完全廃棄を達成するという明確な約束」を求めました。

これに対し「広島ビジョン」は、ロシアや中国に対しては「第6条を含むNPTの下での義務に沿い、関連する各国間および二国間のフォーラムにおいて実質的に関与することを求める」としていますが、G7メンバーの核軍縮義務については言及していません。

この点で「悪いのはロシアや北朝鮮、中国だとして、(同じ核)保有国である自分たちのことは書いていない」と批判したのはサーロ―節子さんでした。


■サミット招待国の方がまとも

このような「核抑止」の呪縛にとらわれているG7諸国と対照的だったのが、G7広島サミットの招待国・ブラジルのルラ大統領。「核兵器は安全保障の源ではなく、われわれ人類を否定し、地球上の命の継続を脅かしている。核兵器が存在する限り、それが使用される可能性はつねにある」と表明し、核兵器禁止条約を批准する意向を示しました。

また東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として出席したインドネシアのジョコ大統領も「すべての核兵器が破壊されない限り、核の脅威はなくならない」としてG7に「核兵器の破壊」を求めました。


(※1)NPT第6条とは、各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。


【出典参考】2023年5月28日付け「しんぶん赤旗」



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