フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

引き際

2008-09-18 22:57:47 | Weblog
河野洋平衆議院議長が次期衆議院選に立候補せず、今期限りで政界を引退するニュースが昨日流れました。河野議長は自民党で唯一総裁でありながら首相になれなかった人としても有名です。
さて日本には古くからの伝統として引き際の美学があります。この引き際というたった一度の判断によって評価が大きく左右されます。
ただ特にスポーツマンには余力を残して惜しまれて引退する選手と、過去の栄光を振り払ってボロボロになるまで頑張る選手と二通りあります。どちらかというと前者の引き際が美しいとされてきました。かつての横綱栃錦、巨人の長島、そして最近では日本ハムの新庄、サッカーの中田英寿などがあげられます。今年になっても桑田、野茂両投手の引退が発表されました。
しかし最近のスポーツ界では、特に女子選手で五輪に出場した谷選手など様々な競技で現役を続ける選手が増えてきました。クルム伊達選手の復活、後輩の杉山愛選手も33歳、中日の山本昌投手など、ボロボロとは程遠いイメージで活躍を続けています。このあたりは意識の変化としてとらえていいのかもしれません。
しかし昔からの引き際の美学においては、地位に恋々とする事がいかに美学にあわないかがしっかりと受け継がれています。特に政治家の皆さんには持って欲しい美学です。
そして絶対の真理は、引き際は本人が決める事です。