フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

アナウンサー

2008-12-31 19:09:52 | Weblog
2008年も今日が最後です。この日記、今年も休みなく書き終える事が出来た事にちょっぴり満足しています。
「継続は力なり」という言葉が浮かんできますが、この言葉の前に「念願は人格を決定す」とあるそうです。「念願は人格を決定す 継続は力なり」(住岡夜晃=宗教家) それは真の強さは
正しい念願を貫くにあるという詩の中に書きこまれました。これを知って念願だったアナウンサーになって40年の日々を思い起こしています。
「生きる事は一筋がよし寒椿」(五所平之助) まさに一筋のアナウンサー生活、これも幸せでした。もちろん明日以降もアナウンサー生活を続けていきますがね(笑)。
高校時代、授業の休講案内を放送室から放送した際のあの歓声がアナウンサーへと背中を押してくれたわけですが、その初心は自分の喋りがほんの少しでも誰かに影響を与える事が出来る喜びです。そして届ける言葉の中に人としての優しさのエキスを少しでも溶け込ませていたい、これでした。40年を振り返って、この優しさはアナウンサーの言葉として私に今も含まれているだろうか?
静かに暮れゆく2008年、そして訪れる2009年。このカウントダウン番組を三重テレビで放送出来る幸せをかみしめながら、初心の優しさを忘れない様にと、書きながら誓っているのです。

生半可2

2008-12-30 23:38:11 | Weblog
昨日の日記の続きです。生半可にならない様にという決意を述べたわけですが、ふと今年の前半に外国から帰ってきた友人と話していた際の言葉を思い出しました。
彼はニューヨークに暮らしていましたが、そのニューヨークから日本を眺めてみると、日本の魅力に一番気がついていないのは日本人だというのです。素晴らしい文化を誇る国でありながら、その文化をコミュニケーションする力が足りないというのです。確かに知ったかぶりは出来ても相手に伝える力は殆どないに等しいかもしれません。まず基本になる心構えから変えていかなくてはならないですね。
世の中には知らない事は沢山あります。むしろ知っていることの方が少ないでしょうね。だから知らないのは恥ではないのです。そして知らない事は知りたいと思える様になればしめたものです。
かつて「貴方は自分の国に生まれた事を誇りに思いますか」というアンケートでアジアの国の中で(タイが1位)日本は最低であり、何と日本人の1/3強の人々が日本人である事を誇りに思っていないという結果が出ていました。これでは日本文化と向き合う姿勢も生まれてきません。ここにも日本人が日本の魅力に気付いていない現実があります。
確かに高度成長時代の日本の存在感は世界において失われつつありますが、生半可な気持を捨てて真正面から物事に向き合っていく覚悟を呼びおこしていけば日本人として胸を張って世界を見据える事が出来るのではないでしょうか。

生半可(なまはんか)

2008-12-29 22:16:44 | Weblog
小学校以来の窓拭きを経験しました。明日の朝の腕の様子が心配です。
何年かの垢やほこりがついた窓ガラスは頑固な汚れがついています。これをきれいにしなければと頑張ったのですが、洗剤などを利用してもなかなか落ちません。そこでひらめいたのが新聞紙を濡らして拭くといいという事です。新聞紙のインクは油が含まれていて、その成分が油分を分解してツヤを出すという知識があったのです。
そこで早速実行。しかしうまくいかないんですね。そこでチラッと浮かんだのが今の新聞紙のインクはその効能がないインクに変わったのかと、インターネットで検索しました。そこには殆どの人が効果があると書かれています。ただ濡れた新聞紙で拭いた後、乾いた新聞紙でもう一度拭くといいんだそうです。これが出来ていないんですね。
こうした私の中途半端な知識を生半可といいます。半可というのはよく知らないのに通人ぶる人やそのさまをあらわす半可通が略され、未熟の意味がある「生」が加えられて生半可という言葉が生まれました。生半可なウンチクはすぐ底が割れてしまいます。私にとってはこれも来年の課題になりそうです。
しかし課題があるうちは元気に過ごす事が出来るだろうと、中途半端にきれいになった窓ガラスを見ながら思ったものでした。

乾燥

2008-12-28 22:47:52 | Weblog
このところの新聞には、年末の買い物客ニュースが数多く登場しています。東京のアメ横での買い物風景は巣ごもり正月を意識しての買い物が多いと報道されています。
巣ごもり、巣ごもりとの表現はよく考えてみると昔の寝正月の別の表現ですよね。ただ寝る程疲れていないので巣ごもりになったのでしょう。
さて、その買い物客の中には若いお母さん、つまり乳児のお母さんも多いでしょうが、「紙オムツ」も巣ごもりに必需品です。ところで紙オムツになると「おばあちゃんの知恵」が生きてきません。「赤ちゃんが咳をしたら家の中にオムツを干せ」というのがあります。部屋の乾燥を防ぐにはこれが一番手っ取り早く簡単な方法です。しかし紙オムツではこうはいきません。
「おばあちゃんの知恵」にはこんなのもあります。「クギを踏み抜いたら金ヅチでたたけ」これはクギをたたくのではなく足の裏をたたく事で、傷口が小さくすみ、そのままふさがっていき、化膿するのを防ぐのです。しかし世間には殆どクギがころがっていないのです。こうして知恵は遠ざかっていきます。
そうそう、乾燥の冬、おばあちゃんの知恵でもうひとつ濡れタオルを干すのも1つの方法です。「え!脱水器にかけてしまったのですか?」そうなれば観葉植物は自然の加湿器といわれますから、これがいいですね。
「え!加湿器をアメ横で買ってきたですって?」それなら唇が乾燥したらどうしますか。唇をなめたら逆効果になります。やはりリップクリームですね。
それでは今日の格言「なめたらいかんぜよ!」

神様

2008-12-27 22:22:06 | Weblog
年の瀬の大掃除の大事な所に神棚があります。神社に古札を納めたり、神棚をきれいに拭き掃除をしたりします。
神様というと、私の人生の中にも沢山の神様を見聞きしてきました。思いつくまま書き出してみると(敬称略)、大好きな野球のジャンルでは打撃の神様・川上哲治、フォークボールの神様・杉下茂、代打の神様・八木裕、稲尾和久などは神様だけでなく仏様もついていました。
その他、プロレスの神様・カールゴッチ、柔道の神様・三船久蔵十段、競馬の神様・大川慶次郎、まんがの神様・手塚治虫、喜劇の神様では映画の斎藤寅次郎監督、ギターの神様・エリック・クラプトン、アイディアの神様・阪急グループの創始者 小林一三、60年代から70年代メンズファッションの神様・ファッションデザイナー 石津謙介
まだまだあります。実業界では経営の神様といわれた松下幸之助、販売の神様・トヨタ自動車の神谷正太郎、特に松下幸之助はどんな人をも否定せず、その人の才能を最大限に生かしてきました。
その他それぞれのジャンルに神様はいらっしゃいましょうが、最後に取り上げたいのが憲政の神様、尾崎行雄です。議会政治の父とも呼ばれ、63年間に25回当選の記録を作っています。この記録そのものよりも「おのおの主張はあるけれど、それはごく穏やかに述べて、お互いに譲る」という精神をあげる事ができます。
それぞれの立場に固執しないで言論を尽すという尾崎行雄のあり方を、是非今の議員さんに学んで欲しいものです。
今の国会に、政治家に、神様がいないのが何より残念です。

緊張

2008-12-26 23:23:30 | Weblog
もうそろそろだろうなと思います。何がって?それは紅白出場者のリハーサルに入る時です。何十回と出場を重ねている人はそれ程でもないでしょうが、初出場者は恐らく緊張している事でしょう。
一日一日が過ぎるごとに緊張が高まっていきますが、本人だけでなくマネージャーなども同じ様に緊張するのでしょう。受験シーズンの受験生も同じでしょうが、時には験を担ぐ事も考えはじめるかもしれません。
「腹が減っては戦は出来ない」とばかり、ライバルに勝つ為にトンカツというマネージャー。これはとんでもない事だそうです。「腹が張っても戦は出来ない」というので、本番数日前は食事の配慮をきちんとしなければなりません。
我々もそうですが、大事な番組を引き受けると絶対に風邪をひいてはいけないと緊張の度が強すぎて風邪をひいてしまう事もあります。意識過剰がストレスをためる事にもなってしまいます。とにかく本番直前は胃の停滞時間が長い油を控えめにする事が一番大切ですから、このあたりを注意する事ですね。
とはいってもこんな緊張ならさせてよという歌手も沢山います。私など司会兼歌手を夢見てきたのですが(笑)。宝くじ当選の夢とどちらが早いかなどと考えてしまいます。
えっ、寿命の計算をしといた方がいいですって!
そうですよねぇ、確かに。

プレゼント

2008-12-25 21:32:50 | Weblog
今朝方は各家庭で子供達の喜びの声があがった事でしょうね。お父さんサンタがプレゼントをそっと枕元に置く光景が目に浮かびます。私もそんな経験がありましたね。
1年に1度のスペシャルなクリスマス。最近はプレゼントを待ち受ける子供達は靴下を用意するのでしょうか(笑)。靴下の中におさまる様な小さな物ではと、子供の方では用意もしないでしょうね。クリスマスプレゼントと靴下、これは窓から投げ入れた金貨が洗濯物として干してあった靴下に偶然入ってしまった事からはじまった様です。
ところで日本のクリスマスプレゼントを扱うおもちゃ屋さんは、その包装紙から工夫をこらします。そして几帳面にその包装紙も大事なプレゼントとして扱うのが日本の子供達、いや親なのです。例えばプレゼントを貰えば、アメリカ人は包装紙を破って中身を取り出します。この辺が生活習慣の違いです。型を重視する社会に生きる日本人にとっては包装紙を含めて全部が中身なのですね。
そういえば日本人は贈答品を持って相手に手渡す時に「つまらないものですが・・・」と言葉を添えます。しかし外国では謙遜は相手に通じません。
こうした文化の違いを覚えておかないと、グローバルな付き合いは出来ないかもしれませんね。
プレゼントのやりとりで、子供達にそんな話もプレゼントして下さいね。

2008-12-24 23:37:46 | Weblog
巣ごもり消費のせいでしょうか。スーパーやコンビニの売り上げが伸びているニュースがありました。暖かい家庭で過ごす為の生活用品を求めて、確かに買い物客の姿は相変わらず多い様です。もうすでに鏡もちを購入する人もありました。
大小2つの丸いもちに飾りをつける鏡もちは、古来正月に五穀豊穣を祈って神前に供えたのが起源とされています。
ところで日本語の中には五という数字でくくる言葉が数多く登場します。五体満足、五感、五穀、五重塔などまだまだ沢山ありますが、何故五なのでしょうか。
ある説は、五は十の半分で、十や百や千ほど大きくはないけれど、その大きさの度合いを言う時に、その半分位はあるだろうと考えたのが古代人。また五という漢数字の場合は二の間に宇宙があるという密教の教え(天と地の間に水、火、風がある)、更に陰陽の五行思想から五を大切にする考え方が生まれたなどと言われています。
この鏡もちを飾りはじめるのは、12月28日が最良とされていますが、もちろん八が末広がりで縁起がいいとされているからです。その他八という数字も八咫烏(やたからす)に代表されるように、「古事記」「日本書紀」「万葉集」において聖教とされる程、重要な数字であり、何でもキリスト教においては「復活」の意味があるそうです。
五と八、ともに数字に於いて素晴らしい数字なのですが、何と何と私は八月五日生まれですから、ものすごい縁起のいい人なんです。
皆さんも私を大切にした方がいいですよ。特に家族を構成する人達はね(笑)。

巣ごもり

2008-12-23 19:29:58 | Weblog
祝日の今日、出掛けるでもなく巣ごもりの様に家の中での楽しみで過ごしている人も多かったでしょう。そういえば国内の景気後退で自宅にいる時間が増える事により「巣ごもり消費」が目立っているそうです。
海外旅行の予約は全く低調、従ってブルーレイレコーダーやデパ地下の食品、更には電子レンジ、エアコンの生活必需品への出費は増えているのです。とにかく今は不況の嵐が通り過ぎるのをじっと身を縮めて待っている巣ごもり状態なのです。
かつて6、7年前にも「巣ごもる20代」が注目された事がありました。当時、維持費がかかるので車を持たず、酒も飲まない、お金は将来の為に貯蓄にまわす、こうした身の縮め方だったのです。今回の急激な身の縮め方は当時より厳しいものがあるかもしれません。
今年の世相を表す漢字に「変」が選ばれ、その理由の1つに世界的な広がりでの経済危機に至りつつある経済の「変動」もあげられました。この「変」は「奇妙」「不思議」という意味もありますが、こうした「巣ごもり消費」も「不思議」の1つでしょう。
こうした「変」な気分で今年を締めくくるわけですが、身の縮め方が大きい程、反動で蛙が柳に飛びつけるのと同じ様に、来年景気のV字回復が期待出来ればいいのですがね。

人間力

2008-12-22 23:41:25 | Weblog
私はささやかながら毎日新聞の切り抜きをしています。このところ特に目立つ言葉の1つは「人間力」です。私が学生時代には殆どこの言葉に出会わなかったと思いますが、この人間力とは何を意味するのでしょうか。
平成17年の中央教育審議会の答申に、人間力を豊かに育てるとあります。この際の人間力とは確かな学力、豊かな心、すこやかな身体を意味していました。それに加えてコミュニケーション力や実践力を加える教育家もいます。又、気づき、マナーを加えたり、運を呼び寄せ他人に助けられていく能力をあげる人もいます。
2、3日前の新聞の切り抜きには「人にやる気を起こさせて明るくさせるのは人間力である」とありました。この意味では社会的能力も加えていい事になります。
人間力という言葉が使われなかった時代にはどう表現されていたのでしょうか。「人間的魅力」これも1つの候補ですね。「実行力のある人」これも言えるかもしれません。
ただ私自身がぴったりくる言葉は「思いやり」ですね。人間力の豊かな人を言い換えるならば相手が欲している事をさりげなく用意できる力を持った人ではないでしょうか。
私はこのさりげなく・・・・・という所を強調したいのですが、いかがでしょうか。