フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

何でも見てやろう

2008-09-16 22:18:20 | Weblog
日本の出国率が若い層で落ちています。20代から30代前半に特に落ち込みが大きいそうです。この層では「海外旅行に当面行くつもりはない」と44%の人が答えています。その理由としては石油価格の高騰により、運賃とは別に燃油サーチャージという別料金が徴収されるなど「海外旅行に回せるお金がない」や「他の事にお金を使いたい」となっています。
しかし小田実さんが1961年に著した「何でも見てやろう」というヨーロッパやアジアなどを巡った旅行記の精神がすたれてきているのかもしれません。何でも見て、聞いて、食べて、経験して、がむしゃらに好奇心を満たそうという当時の海外情報に飢えていた時代とは違っているのかもしれません。旅行のスタイルも「何でも見てやろう」から「ここだけ見てやろう」に変わってきています。
私達のまわりには海外をはじめ、ありとあらゆる情報が取りまいています。それだけに知らない場所、見た事もない場所はもうなくなっているのかもしれませんが、ただ、体験という点は日本では味わう事が出来ません。それぞれの国の町並みに立って、行き交う人を眺めてボーとしている自分を想像してみて下さい。何と自由で何とゆったりとした時の流れでしょうか。
「人生は旅人」この言葉をかみしめてみましょう。
時はいつの間にか行楽の秋ですね。