フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

帰郷

2015-11-30 23:47:41 | Weblog
帰省ラッシュという言葉は今も生きています。今も昔も盆と正月は故郷を思い、帰りたくなる時期なのでしょう。毎年帰省ラッシュのニュースを見ながら、この中に自分がいないことをああよかったと思う半面、少し羨ましさも正直持つのです。というのも子供の頃から、毎年毎日が帰省中という生活で、故郷人の自分には全く関係のない事象なんです。
しかし故郷と遠く離れて生活している人々にとっては、故郷は心の桃源郷でしょう。もちろん、故郷を守る両親にとっても指折り数えて子供や孫の帰郷を待っているのです。20年近く前、JRの広告に「忙しいなら無理して帰らなくていいよ」がありましたが、恐らく本音ではなかったでしょう。親なら子供や孫に会いたいのは当たり前。この広告は会いたい気持ちの裏返しでしょう。帰る子供達もいつまでたっても親の温もりはかけがえのないものです。
ただ残念なのは最近の事件の報道に、親が子を、子が親に手をかけて事件になるケースが多くあります。親にあえる、子供にあえる、あの弾む心をいつまでも忘れないで欲しいものですね。

耳が痛い

2015-11-29 23:42:15 | Weblog
最近の若い芸能人の名前がサッパリわかりません。先日発表された紅白歌合戦の出場メンバーで名前と顔がくっつくのは半分もありません。これを口にすると周りからの冷たい視線を感じます。
そんな時に次の言葉に出会いました。「一つしか知らない者は一つも知らないということ」。このショックを受けた言葉の主は、明治期の「お雇い外国人」の一人、ウィリアム・グリフィスです。あることを深く知るためには似ているようで異なる他のことも知って、比べつつ考える必要があるという意味だそうです。私は演歌や歌謡曲のことはまあまあ知っていますが、いわゆる西洋の音楽については全くわからないのが事実です。ですからこの言葉に触れてからは、何とも落ち着かない毎日です。出来るだけ演歌、歌謡曲以外の音楽番組にもチャンネルを代えないようにしているのですが、音楽の持つ本来のα波を感じるどころか、ストレスがたまりそうな気さえするのです。
タイトルの耳が痛いというのはずっと我慢して聴いていると耳が痛くなるという意味です(笑)。

階段

2015-11-28 23:46:10 | Weblog
今日は階段話です。怪談の誤りではありませんよ。正真正銘の「階段」です。あるお医者さんが、名古屋の公共交通機関を利用する時は、バスより地下鉄の方が良いと言っていました。もちろん若者に対してではありません。何故かといえば、地下鉄に乗るには沢山の階段を利用しなければならないからです。どうしても年をとると運動不足になりがちです。階段を利用することは多少でも運動不足を解消してくれるからです。
その階段の登り降りの様子を見ていると面白いですよ。それは「階段を登るときは頭を下げて登り、階段を降りるときは体をそらして降りる」ということです。ここに人生の貴重な教訓が含まれていると思いませんか。そうです。人生を登る人というのは頭を低くして歩き、人生を下る人というのは頭を高くして歩きますからね。つまり魅力ある人は光り輝きながらも謙虚さを忘れていないということを気づかせてくれるのです。階段の登り降りの際に自分を確かめて下さい。階段話でした。

紅白歌合戦

2015-11-27 21:51:02 | Weblog
今年も決まりました。紅白歌合戦の出場メンバー。新鮮な新人も数多く登場するようですし、なんと言っても82才の黒柳徹子さんが総合司会として登場することが話題です。
それにしても紅白歌合戦の様変わりは相当なものですね。我々の若い頃はまさに時代を象徴するヒット曲のオンパレードでした。世代なんか関係なくヒットした曲ばかりです。ところが昨今の紅白歌合戦はそれぞれのジャンルの一部ではよく知られているかもしれませんが、全体では知らない人もいるといったラインナップなんです。主催局としては、この番組で広めようとしているのかもしれませんね。但し年忘れの紅白歌合戦としてはいかがでしょう。演歌ファンの私としては、歌謡曲系の枠をどんどん増やして欲しいのですが、むしろ減っているような気がします。残念です。こうなれば、一部、二部と分けて、歌謡曲とポップスを別々にやって欲しいものですね。
それはともかく、時代を表すヒット曲が沢山誕生することを祈りたいですね。

戦後

2015-11-26 23:50:08 | Weblog
昭和31年頃、よく使われたフレーズに「もはや戦後ではない」があります。これは当時の経済企画庁が31年7月17日に発表した「経済白書」がこの言葉を使って流行語にしたことから始まります。そしてこの年に一躍スターダムにのしあがったのが石原裕次郎です。よく見てみると白書の発表日と裕次郎の命日が一緒というのも戦後最大のスターが登場した年だけに因縁めいたものを感じます。
横道にそれましたが、その戦後という言葉が今年は非常に多く使われた年でもあります。そうです。「戦後70年」という節目が今年だからです。ところが今年は70年どころか、戦後400年なんだという向きもあります。徳川家康の江戸幕府が豊臣家を滅ぼした1614年の大坂冬の陣、1615年の大坂夏の陣から数えて400年だそうです。そこで彼の局の大河ドラマも真田幸村を取り上げるのでしょうが。面白いものでもっと凄まじい戦後を数える向きもあります。それは京都の人々の中には、応仁の乱から数えて戦後と表現する人もあるとか(笑)。
ともあれ新しい戦後はもうコリゴリですがね。

人は石垣

2015-11-25 23:19:30 | Weblog
芸能人のプロフィールを見ていると趣味の欄に「お城巡り」と書く人が結構いるようです。落語家の春風亭昇太さんもその一人です。確かに日本の城のたたずまいには魅力があります。特に素晴らしいと思うのは、築城当時にどういうデータがあったのか、築城場所はほとんど地盤が固いところになっているからです。
さて日本史上、有名な領主でありながら、城を持たなかった武将がいます。「人は城、人は石垣、人は堀」と言って舘しか持たなかった武田信玄です。三大名城と言うと、名古屋城、大阪城、熊本城ですが、何れも加藤清正が築城に関わっています。城を楽しみに出掛ける時に、是非見て欲しいのは石垣です。石垣には大きな石、小さな石、三角な石など様々な石を組み合わせてあるからこそ、何百年たっても微動だにしないのです。
この事実からは社会の仕組みも粒違いの子供を育てることの大切さがわかります。横並びの社会から違いがあることの貴重さを理解出来る社会への転換を考える時期ですね。

ラグビー人気

2015-11-24 23:33:12 | Weblog
ラグビーブームが突如訪れた年です。中でも五郎丸選手の人気はすさまじいものがあります。
ラグビーをちょっと語ってみましょう。ライナーで飛んでくるボールはスリーバウンド目にポーンと跳ねることや高くキックされたボールは回転を見れば左右前後どちらにバウンドするかはある程度想定出来ます。「ラッキーバウンド」は劇的なトライを生む一つの要素でしかありません。幸運は敵味方関係なくほぼ平等にあります。それをものに出来るかどうかは実力によるのです。幸運、不運をあまりに強調し過ぎることはむしろ不公平なんです。ラグビーボールの不規則バウンドを偶然に終わらせるか、必然にするかはプレーする選手によるものでしょう。
また今回のブームの到来によりラグビーのルールの浸透は格段に進むでしょう。ボールを後ろへ後ろへと繋ぎながら前へ進みトライを勝ち取るスピードのある流れるような攻撃は本当に美しいものです。ラグビーシーズンはこれから、じっくりとゲームを楽しみたいですね。

老人の日常

2015-11-23 22:46:15 | Weblog
名古屋の町の昼頃は他の都市に比べて年配の人達が多く都心部に出ているような気がします。これも公共のバスや地下鉄が無料で乗れる敬老パスのお陰かもしれません。高齢者にとってはやはり家の中に閉じこもるよりは外とのつながりを持っていた方が色々な面で安心ですよね。
ところが外との関わりが必要でありながら日本の伝統的な住まいの変化が外との交流を阻んでいます。かつては外に開かれた開放的な間取りでした。掃き出しの窓であったり、縁側を通して家の外とつながっていました。今の集合住宅のように鉄の扉で外と隔てられていません。高齢者には地域の人達との日常的な触れあいを多くして外からも生活の様子が窺える方が孤独感を防ぐ一助になるでしょう。
そういえば「年寄りの冷や水」という言葉がしだいに影を潜めつつあります。何故なら年齢に関わりなく新しいことに挑戦出来るのが超高齢社会です。ですから、無目的に出歩くのではなく生涯学習社会に溶け込んで何かを学ぶことが大切ですね。

思い出作り

2015-11-22 23:55:37 | Weblog
今日あたり、家族や友人と何処かへ出掛けて楽しみましたか?学校からの秋の遠足も一段落したでしょう。こうした過ごし方は単なる遊びではなく貴重な思い出作りなんですね。教育には思い出作りが大事だと思います。
ところが今は大人たちが「危険だ」「汚い」「かわいそう」といって子供が経験を積み思い出を作る場を奪っている状況があります。子供というものは他人と接することでルールや思いやりや痛みを覚えていくのです。大人がどこまで手を貸すかは難しいけれども子供が多くの思い出を作ることは必要です。そして沢山の思い出を持っている子供ほど本を読んだときよく反応します。つまり、本に書かれていることを我が身のごとく感じ取る力が強いのです。主人公に一体化したり、描かれた情景をありありと思い浮かべたり出来るのはやっぱりよく外の経験を沢山積んだ子供達です。
経験を横に置いてテレビなどの視覚一辺倒のイメージだけではなく、外での思い出作りに心がけた方が良いですよ。

2015-11-21 21:22:08 | Weblog
子供達が幼稚園で教えて貰う俳句には必ず「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」があります。子供達には柿が身近な存在ですよね。秋の代表的な果物、柿を昨日、知人からいただきました。
「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われますが昔の人は柿がからだに優しい食物ということを感じていたのかもしれません。特にお腹の調子を整える食物繊維が多く、不足しがちな栄養成分を補ってくれるのです。柿の葉寿司などはそんな先人の知恵から生まれたのでしょう。
かつては都会の軒先には干し柿を作るため柿が紐で結んでありましたが、最近は余り見かけなくなりましたね。干し柿にはブドウ糖のほかビタミンAのもととなるβカロテン、ポリフェノールの一種であるタンニンやカリウムなどのミネラルがバランスよく含まれている貴重なものです。
それよりも日本人にとって「柿」は食文化としてのみならず失くしてはならない故郷の原風景です。大切な日本の四季を飾る大切な財産です。