フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

初物

2015-09-30 23:33:55 | Weblog
川柳に「女房を質に置いても初鰹」があります。確かに日本人は初物には目がありませんね。私も先日、知人から頂いた「栗」や「まつたけ」を嬉しく今年の初物として食べました。何故嬉しくかと言うと、美味しいことが一番ですが、昔から『初物を食べると寿命が75日延びる』と言われているからです。もちろん俗信ですが、どうしてこの言葉が生まれたのでしょう。こんな風に聞いています。
江戸時代罪人に情けをかけた奉行が「最後に何か食べたいものがあれば申してみろ」と声を掛けると罪人は少しでも刑の執行を遅らせようと季節外れのものの名前を出して75日間長生きしたことからだそうです。真実のほどはわかりませんがでも納得出来る説です。どちらにしても旬の食べ物は栄養価が満点です。ですから、初物は身体に良いに繋がるのでしょう。ただ私は初物を食べる時には東を向いてハッハと笑うのですが、この風習は何処から来ているのでしょうか。子供の頃に教えて貰ったのですがね。

秋風

2015-09-29 22:52:49 | Weblog
 「風は地球の呼吸である」という言葉があります。今日の東海地方は少し呼吸が激しいというか秋風が強く部屋を吹き抜けました。風には注目度が高くなっています。風が無ければ物は腐ります。人間も腐ることになります。風力発電が注目の第一で自然の利用の先駆けとしなければなりません。一方で台風などの人間から見れば常軌を逸するスケールの自然もあります。時に台風が地球を襲うのも人間の驕りに対する警告でしょうか。ここ数年、人口の都市への集中化、地域開発を進めてきた自然からの警告とも言えるのです。
天気と地名の関係で言えば「日」が入った地名が一番で「風」が入る地名は二番目に多いそうです。風吹峠や風祭という地名を聞いたことがありませんか。それだけ身近な存在の風です。順風満帆とお馴染みの言葉、順風なれば本当に心地よいのが風です。私達の頬を撫でていく風の優しさ。悲鳴をあげるような勢いで木々や住宅にぶつかっていく台風。このギャップは同じ風かと思うほどあります。優しい風ばかり求めるのも人間のエゴでしょうか。

スーパームーン

2015-09-28 22:53:48 | Weblog
仕事が終わり、今日は仲秋の名月の翌日スーパームーンということで空を見上げると雲の間を通り抜けるスーパームーンで完全な形を見ることは出来ませんでした。
昔、昔、紫式部は滋賀の石山寺にこもって新しい物語の作成に取りかかりました。十五夜の日に琵琶湖に映える満月を見て思いついたのが「源氏物語」だそうです。もしもその日が私が見たような雲の中から微かに見える満月だとしたら世界の中でも注目される源氏物語は生まれなかったかもしれません。しばしば、名作と呼ばれる作品はこうした幸運がもたらすのかもしれません。
月が美しく見えるのはこの時期は大気中の水蒸気が減少して空気の透明度上がるからだそうです。スーパーというのは様々な偶然が重なって形作られるからスーパーと言うのかもしれません。
この日、地上ではスーパースターの福山雅治さんの結婚が報じられました。この日の発表になったのは、また偶然なのでしょうか。こちらのスーパーは満月ならぬ満面の笑みでしょう。

ススキ

2015-09-27 21:24:53 | Weblog
仕事にでる途中の電車のなかで二人ほどススキを持った女性を見かけました。「ああそうか、今日は仲秋の名月だ」と改めて夜の空模様が気になります。
ところで月見とススキ、どんな関係があるのでしょうか。昔からこの秋の行事はお供えものがつきます。「お月様」というくらい月は信仰の対象と捉えられていました。十五夜、十三夜、十日夜の三日の月見は収穫に感謝するお祭りなので、収穫物をお月様に供えるのです。それではススキは、となりますが、実はススキは稲穂の代わりなんです。残念ながらこの時期はまだ稲穂が実る前なので、ススキを稲穂に見立てたわけです。また、ススキの切り口が鋭いので魔除けになるとされ、軒先に吊るす地方もあるようです。日本の社会のこうした情緒がおもてなしの精神はじめ、和の精神を作り上げてきたのでしょう。
さてこのススキ、私などはちょっと寂しいイメージが強いのです。何故ならば「俺は河原の枯れススキ~♪」という歌の印象が強いからですよ(笑)。

美徳

2015-09-26 23:25:26 | Weblog
昨年、世界に誇れる日本人の美徳の第一位に「規則やマナーを守り秩序を重んじるところ」が選ばれています。その日本人が群衆で宗教のメッカを訪ねたらどうなるでしょう。
サウジアラビアのイスラム教のメッカへの大巡礼に参加していた群衆が混乱の中で押しつぶされ、大勢の人が圧死しました。江戸時代、「西の伊勢参り、東の奥参り」として伊勢神宮と山形・出羽三山への参拝が盛んに行われました。しかしメッカのようなことは全く起きていません。何でもメッカではいわゆる目的に向かって横入りをしたのが原因と言われています。秩序を守る日本人ならば私は起きなかったと思うのですが。
こうしたマナーが日本で根付いたのは日本の縦社会から生まれたのでしょう。しかし今では、日本の社会は、社会的な地位や力関係に縛られなくても秩序が保たれるようになっているからです。この美徳だけは、後世にバトンを渡していかなければなりません。少子高齢化社会になって行くなかで、最も必要な日本人の資質です。

攻める

2015-09-25 21:58:43 | Weblog
年齢別で競うマスターズ陸上の記録会で105才の宮崎秀吉さんが100メートルを42秒22で走り105才の部で世界記録と認定されました。インタビューに応えて、これで引退するつもりだったが、目標としていた記録に届かなかったのでまだまだ走ることにしたと話しています。我々ならばとうにこの舞台に立つことも諦めているでしょうに、すごい前向きの姿勢です。
映画「赤い玉」の主演を務めている奥田瑛二さんは、上映初日の舞台挨拶で「団塊世代の諸氏、まだまだ隠居するには早すぎます。攻め込もうではありませんか」と訴えていました。確かに我々の年に到達すると年を意識しすぎの発言が多くなり、攻める気持ちからでる発言が影を潜めます。まるで夢を語る資格が無くなったかのようにです。「気の持ちよう」の気が薄れているわけですね。老人だとて夢を語らなくてはなりません。「病気と薬と医者」の話を封印して、この後何にチャレンジするかを考えてみましょう。気持ちが若返るのが実感出来るでしょう。

現役

2015-09-24 23:13:53 | Weblog
今年の球界は引退する選手が多く、世代交代の年と言えるかもしれません。俗語に「人が去れば茶は冷める」があります。職務を離れれば忘れられるという意味です。サラリーマンの定年後を表しているのでしょうか。
これに私は異論を唱えたいと思います。まず、野球選手には引退後には指導者の道がありますし、評論家としての活動もあります。またサラリーマンは現役時代にどういう過ごし方をしたかで定年後が決まりのです。現役時代に肩書き生活だけに腐心する時代を過ごしていると落とし穴にはまります。自分が肩書き生活をしていると相手も同じ思いをしていることが多く、肩書きが取れてしまうと冷たいお茶を呑むことになってしまうのです。ですから、人と人との付き合いを大事に過ごしていれば絶対に肩書きが取れても人間としての付き合いは終わらないのです。また、現役時代に自分の生涯かけて向き合える趣味などを見つけておけば、また新しい環境で温かいお茶を飲めるからです。冷たいお茶を飲まずに過ごしたいですね。

ハーフハーフ

2015-09-23 20:53:58 | Weblog
去年の流行語の一つに浅田真央さんの「ハーフハーフ」がありました。今日の秋分の日に思いだしました。つまり今日は春分の日と並んで昼と夜の長さが同じになる日ですね。明日以降、昼の長さが少しづつ短くなって行きます。
このハーフハーフは私は含蓄のある言葉だと思います。というのは、人間、時には誰にも好かれている、つまり100%敵対する人はいないと思っています。ですから、一人でも自分に反対者がいると悩んでしまいがちです。ところが「ハーフハーフ」を覚えておくと心が休まるのです。自分を好きな人と嫌いな人が半分半分だと思っていれば気が楽になり、思い悩むことが少なく済みます。また面白半分という言葉があります。あまり肯定的に使われる言葉ではありせんが、仕事でも面白さ半分で取り組むと長続きします。半分、ハーフは大切な言葉だとと思って下さい。
絆という言葉が最近はさかんに使われますが、この漢字も糸へんに半と書いて使われます。ハーフって大事でしょ。

快挙

2015-09-22 21:06:15 | Weblog
ラグビーワールドカップ、日本チームの対南アフリカ戦の勝利が世界のラグビーファンの中で史上最高のゲームだったと評価されています。ワールドカップでの日本2勝目が大変な快挙だったのです。引き分けを狙わずあくまで勝ちにこだわった戦い振りが、日本だけでなく世界中で感動を呼んだのです。まさにスポーツ界の快挙でした。今後のゲームが注目されます。ドラゴンズファンの私の中での快挙はやはり巨人の十連覇を阻んだ昭和49年の優勝ですが、もう一つ快挙があります。メキシコオリンピックでサッカーの銅メダルです。釜本、杉山の二大エースが活躍しました。サッカーでのメダルなんて信じられますか。ましてJリーグのない時代です。あのオリンピックでサッカーのJリーグ化が早まったと言って良いでしょう。
さて今回のラグビーの勝ちで4年後の日本で開催されるワールドカップが盛り上がることは間違いありませんね。私の出身校がラグビーが強い学校だったのでこうした現象にほくそえんでいるのです。

親父とお袋

2015-09-21 23:23:59 | Weblog
タイトルのような呼び方をすると二人がより身近に感じます。お彼岸ということで今日は永代供養をお願いしているお寺にお参りに行ってきました。本当に久しぶりなので、ひょっとして親不孝を怒っていたかもしれません。お詫びをしながら長い間の疑問を考えていました。私も親父が亡くなった年を超えたので、将来私も彼岸へ行った時に親父やお袋が私を見付けることが出来るかという疑問です。姿や形がずいぶん変わりましたからね。しかし、疑問が解けました。それはずっと空から自分を見ていてくれているから、今の自分をちゃんと承知していてくれるんだと。こう考えれば良いのです。親たちは子供や孫の成長が何より楽しみですから目を離すことはありませんね。ですから、時折、親たちに語り掛ける時は空を見上げて顔をしっかり見せておくことが必要です。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」親父の口癖でした。これからも忘れずに生きていきたいですね。それが親父やお袋への一番の供養でしょう。