フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

真意

2017-03-31 22:01:19 | Weblog
まもなく新入社員が社に登場します。先輩達は積極的に話しかけて新人を知ろうとします。その際、直ぐに「今どきの若者は」と結論を出さないで下さい。何故ならば、目の前にいる若者は顔形、言葉の中に全体像12分1しか表していないのです。
目の前の若者の立ち居振舞い、言葉の裏にはそれよりも十数倍する思いや努力、経験が隠されています。だからその人の12分1に向かって話をしてもその人の気持ちを動かすことは出来ないのです。人と接するということはその人の背中の裏にある12分1に向かって話をしなければ話しかけても自分の真意は伝わらないのです。一度や二度の接触で人のすべてがわかる筈はありませんね。毎日、毎日の付き合いの中で理解を深めていくことが必要です。
考えてみれば、同僚だって理解していないかも知れないのですよね。新聞に掲載される新入社員のキャッチコピーもほんの数ヶ月ではわかるわけがありませんよね。

余技

2017-03-30 23:54:59 | Weblog
最近、歌手にインタビューしていて思うのは、歌手は歌うだけでなく、余技を身に付けるように頑張っていることです。コンサートでメリハリをつける為の方法でしょうか。和服姿の演歌歌手の大半は歌う際に振りをつけますが、綺麗な所作をする為に、日本舞踊を習う人が多いですね。また、自分の歌の作詞、作曲を手掛ける歌手もこのところ増えています。皮肉な見方をすると歌手印税よりも作詞、作曲印税の方が圧倒的に多いですからね(笑)。
純粋にステージに華を添える意味で弾き語りを目指す歌手もいます。五木ひろしさんは、演奏出来る楽器の数はもの凄いですからね。楽器の中で、三味線を勉強したいという歌手は多いですね。三味線の弾き語りで人気のある歌手もいます。長山洋子さんもその一人です。
三味線のルーツとして、門付け遊芸人の「高橋竹山」が話題になります。高橋竹山の三味線は激しい一方、優しくもあり、哀しくもあると評価されています。固く閉まった戸を開かせる為に必死になって弾いたからでしょう。この必死さを見習うべきでしょう。

口利き

2017-03-29 23:50:29 | Weblog
たまに東京に出掛けるといつも感心するのは、駅などで待つ間の行列がきちんとされていることです。私は都市化のレベルが高いと言う評価は、行列に並ぶ姿勢によってされると思うのです。行列が弛いところほど、都市としての整備が遅れている地方だと言えますね。
行列で思うことがあります。最近の国会は森友学園問題一色ですが、その問題の討論の中で「口利き」という言葉が登場します。いわば政治家の口利き問題ですね。一般的に言うならば、この口利きは行列の割り込みのようなものです。政治家にコネのある有力者が甘い汁を吸い、真面目に列に並ぶ国民は行列から遠ざけられます。日本が常に目指している透明で公正な社会にはこうした口利きという行為は許されるものではありません。但し、国民がわからないことを順序だてて説明することは大切な公務員の仕事なんです。順序だてることの中に、私欲が絡んだり、順序を間違えることがあってはならない。この一点を守ることです。

縁起かつぎ

2017-03-28 23:10:34 | Weblog
いよいよ31日からプロ野球が始まりますね。プロ野球選手は開幕日には赤飯に尾頭付きを食べて球場に向かうのでしょうか。外国人も縁起をかつぐようですが、日本人ぐらい生活習慣の中にまで縁起をかつぐ民族は少ないようです。
さて赤飯ですが、現在はもち米に小豆とその煮汁をまぜて赤い色を出しますが、その昔は赤米と呼ばれる赤い米を作ったので色が赤かったそうです。まあ、この赤米は我が国の稲作をはじめたころに栽培した米ですから、先祖をまつる時によく使いました。それが赤飯にかわっていき、特別な日に赤飯を炊いて祝いました。また、尾頭付きは「めで鯛」という語呂合わせや鮮やかな赤い色の祝福の色でお祝い料理のチャンピオンになりました。そして切ったり壊れたりしたものは縁起が悪く、頭から尾まで完全で欠けていない、すべてそろっている尾頭付きが最高だとなりその習慣となったのです。
しかし、どのチームの選手も赤飯と尾頭付きを食べるとしたら、あとはサイズで決めるのでしょうか(笑)。

年寄りの冷や水

2017-03-27 23:40:21 | Weblog
最近は何かをすると「年寄りの冷や水」かと揶揄されることが多くなっていませんか?まだ私はそこまではいっていませんが、それでも「もう、年だから」と言われることはあります。何故「年寄りの冷や水」と言われるのでしょうか。
江戸時代の川柳に「冷や水を飲んで息子に叱られる」とありますが、この時代は『冷や水やぁ、冷や水やぁ』と掛け声とともにどんぶり一杯、一文で売り歩く仕事があったのです。この水は隅田川の水でした。桶の水のまわりに杉の葉を立て小さな氷片を浮かばせてありました。しかし、隅田川の水はそれでも清潔ではなかったのです。だからおなかをこわすことが多かったところから、年がいもなくそんな水を買ってと叱られたのです。
こうしてこの言葉が歩きだしましたが、実際には元気なお年寄りが多くなりましたから「年寄りの冷や水」という言葉も死語になりつつあるのでしょうか。おそらくなるでしょう。それほど最近の「老人パワー」は凄いですからね。

受け身

2017-03-26 23:11:58 | Weblog
中学時代の体操の時間に少しだけ柔道着を着て受け身の稽古をしたことがあります。もちろん柔道で投げられた時に怪我をしない為の準備ですね。人生でも身体が柔らかい若い頃、落ちる、失敗する、転ぶ稽古をしていることが何より大切です。
ある人は言いました。「失敗が人間を駄目にするのではなく、失敗にこだわる心が人間を駄目にする」
昔から挫折を体験した人ほど強い人はいないと言われています。挫折を跳躍台にしてもっと飛躍することが出来るからです。私などは一つの失敗やつまずきにガタガタしながら生きてきましたので、どんな時でも凛とした姿勢を保つことが出来る人には本当にに敬意を表します。世の中には全く失敗もなくエリートコースを走っている人がいます。すべてがそうではないでしょうが、そんな人は往々にして上から目線の話し方しか出来なくなることがあります。将来、この人の欠点になりかねません。プラス思考には挫折も良い薬になりますね。

昨日も今日も

2017-03-25 23:58:59 | Weblog
1963年に上映されたイタリア映画ソフィアローレンが主役の「昨日、今日、明日」がありました。映画の中身というより、このタイトルに私はひかれます。何故ならどんなことでも続けることが大切だと実感しているからです。新聞に掲載されていた奈良の僧侶の講話に「昨日も今日も明日も同じように過ごせることがどれだけ幸せなことか」と話されているのがありました。持続性が特に大切だと説いているのです。
続けることは難しいです、と考えがちですが、毎日毎日飽きずに続けていることは数多くあります。まず第1にご飯を食べます。第2に毎日お風呂に入ります。さらに毎食後、歯磨きも欠かしませんよね。つまり習慣にしてしまっているのです。こうした習慣プラス少しの努力で継続が可能になります。その継続行為が出来ることを幸せに思うことです。
但し何でもかんでもと目標設定を詰め込み過ぎないことが継続のコツです。継続が当たり前になったとしたら、いざというとき、緊張感も薄らぐのです。

寿命の延び

2017-03-24 23:19:06 | Weblog
戦後72年の経過で成人の余命は80代へと一挙に20年以上も延びました。というか人生において20年を新たに手に入れたことになります。しかし、この20年を生きるすべを手に入れたとは中々言い切れないのが現状です。なぜか定年後の口癖に「今さら」とか「この年になって」が多くなっていませんか。これらの言葉を封印して、チャレンジの場にするように心がけることが必要です。そうでなければ気持ちが痩せ干そっていってしまいます。
先日も気象予報士の資格試験で60才以上の人が数多くチャレンジしました。この姿勢こそが今の高齢化時代に求められるのです。私が良く使うネタに年寄りには「教養」と「教育」が必要です、と話します。教養とは、今日、用があること、教育は今日、行くところがあることです。つまり世間とかかわりがあることを実感出来ることが大切だということです。分かりにくいとすれば、自宅以外の会社に代わる空間を見付けることです。趣味のサークルなんか良いですね。
さあ、長生きしましょう。

残業

2017-03-23 23:59:51 | Weblog
働き方改革が話題の中で残業についての問題点がクローズアップされています。そういえばサラリーマン川柳に「残業は するなこれだけ やっておけ」「ノー残業 居なくなるのは 上司だけ」と苦い秀作が出ています。残業は確かに難しい問題です。私が現役の頃は、アナウンサーという好きな仕事だったせいか、残業という言葉は頭の中に全然ありませんでした。もちろん早くアナウンサーとして認められたいというプレッシャーはあったのですが、どんなに遅くなっても残業という感覚はなく、むしろ長い時間仕事に携わっていられることの喜びが大きかったです。
もちろん、今の過重な残業を肯定しているわけではありませんよ。好きな仕事につけるのはこんなに素晴らしいことだと伝えたいだけです。繁忙期には長時間の残業が認められたようですが、嫌々やる残業と喜びに満ちた残業ではストレスという点では雲泥の差でしょう。働き方改革の中に仕事を好きになる工夫をして見ることですね。

名前

2017-03-22 23:29:45 | Weblog
これから、各会社で新入社員がぎこちなく名刺の交換をする光景が見られることでしょう。取り引き関係の先輩の皆さんも単に名刺を交換だけでなく、名刺の中の名前について感想の言葉を述べて欲しいですね。自分も新人の名前が記憶として残りますし、新人も嬉しいものです。
さて珍しいユニークな名前は得な部分が多いですね。但し漢字の数が少ない場合は名前を記入する際にはバランスが難しいです。姓名で二文字の場合は特に難しいですね。名前にはこんなエピソードがあります。昔の映画の登場人物の名前は台本が手書きだったせいか画数の少ない名前が多かったということです。また、先ほどの二文字の名前の人が得をしたのは、学校のテストのときですね。試験のスタートが早く切れることです。逆に画数の多い名前の生徒はスタートが遅れるとぼやいていました。
それはともかくとして名前はたった一つのものを指す固有名詞です。誕生したばかりの子供に夢を託して命名したことを親は忘れてはなりませんね。