フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

口上

2010-03-31 23:57:27 | Weblog
関脇把瑠都の大関昇進伝達式が行われました。伝達式では口上が付き物です。かつて、若貴時代には四字熟語が一つの流行でした。不惜身命(貴乃花)堅忍不抜(若乃花)等が有名ですが、今回の把瑠都は「栄誉ある地位を汚さぬよう努力します」というシンプルなものでした。本人が意味が分からないものを使っても仕方ないとわかりやすい言葉を選んだものです。
口上の代表的なものは、舞台の上から俳優などが観客に対して述べる挨拶です。その他口頭で伝えることも口上といいますが、前口上、逃げ口上という言葉もあります。逃げ口上といえば、普天間基地移設問題に対する鳩山首相のインタビュー時の言葉が逃げ口上になっているようです。最初は「3月一杯で政府案を決定することをお約束します」から、次は「今月中でなければならないと別に法的に決まっているわけではない」更に昨日は「一日、二日、数日ずれることが何も大きな話ではない」と変わって来ました。進退窮まりかかった所で逃げをうっているようです。これは逃げ口上と言えるでしょう。
舞台からの口上では「東西、東西」と呼びかけ「隅から隅まで」と締めますが、こうした鳩山さんの軽い話が続くと、隅どころではなく目の前の有権者さえ逃げてしまいかねません。

記録

2010-03-30 21:59:32 | Weblog
野球が始まりました。このゲームには記録が付き物です。昨日のある新聞のコラムにイチロー選手のいまさらながらの凄い記録が書かれていました。オリックス時代の記録で1994年から2000年まで7年連続首位打者になりましたが、この中で94年から98年まで5年連続で全試合に出場していたことはもの凄いことなのです。
記録というのは各選手がそれぞれ身の丈にあった記録を目指してペナントレースに突入するのですが、開幕早々にその記録が途絶えて「ああ~」となるケースがあります。以前の例では、中日の井端選手が今年はノーエラーを目指しますと豊富を語っていたのですが、送球エラー(普通の一塁手ならば取れるのに)で早い時期にエラーを記録してがっかりしたことがあります。
今年の最初のがっかりは、捕手の谷繁選手です。開幕の広島三連戦の三戦目、バント処理を誤って、セカンドへ暴投し、昨シーズンノーエラーだった記録が途絶えてしまったのです。試合後、また頑張りますとコメントしていましたが、記録が途絶える悔しさは大変なものがあるでしょう。
私の経験でも、続けていたことが一日でも途絶えると後は腑抜けのようになることが数多くありました。気を取り直すことが大切です。おかげさまで、このエッセイは3年以上続いていますので、これだけは腑抜けにならないよう頑張ります。

高い所

2010-03-29 23:16:27 | Weblog
竣工時には自立式電波塔として世界一の高さになる東京スカイツリーが、今日はまず日本一の姿を披露しました。東京タワーの333㍍を抜いて338㍍の高さでお目見えしました。もちろん最終的には634㍍になります。再来年完成すれば日本人好みの新しいランドマークになることでしょう。
昔から『〇〇と煙は高い所へ登りたがる』とよく言われますが、〇〇でなくても高い所は皆さんお好きなようです。この言葉自体は人間はおだてると目立ちたい為に更に高い所へ登りたくなる気持ちを皮肉ったものでしょうが、高い所というのは出世を意図していますから無理はありませんね。かつて三高が婿取りの条件と言われたこともありましたから、高いのと幸福度が一致するのかも知れませんね。
ところで幸福度といえば、鳩山政権では国民の幸福度を探るアンケート調査をするそうですが、高収入、高学歴、そして背が高いという三高が幸福度の物差しになるのか、個人的に注目しています。しかし幸福度は経済的な安心があっての事でしょうから、この閉塞感ある社会状況ではベースになる経済的な環境を整えることのほうが先だと思うのですが。

電報

2010-03-28 23:22:33 | Weblog
桜の季節になると思い出すのは、大学合格電報の「サクラサク」です。昭和31年に早稲田大学で使われた電報でその後急速に全国の大学に広がりました。残念な不合格の場合は「サクラチル」でした。
大学によっては個性的な電文が考えられました。例えば、北海道大学の合格電報は「エルムハマネク」、三重大学では「イセエビタイリョウ」高知大学では「クジラガツレタ」でした。しかし合格電報の電文としては「サクラサク」が満開の季節と合格を重ね合わせて一番ピッタリ来ますね。
合格電報が始まった頃は電報そのものが緊急の通信手段でしたから随分多くの人が合格電報を手にしたことでしょう。最近は携帯電話やメールで合格通知を手に入れていますが、おそらく感動という点では電報には負けるのではないでしょうか。玄関が開いて「電報です」と届けられ、そこで「サクラサク」と書かれていた感動は一生ものです。
こうして入学した学生も次には「カネオクレ」という電報を打つことがままありました(笑)。親にとっては感動どころか、勘当ものの電文です。
そんな時代の電報もいまや冠婚葬祭用になりました。漢字が使えるようになって司会者は名前の読み方がかえって難しくなったことを付け加えておきましょう。

散歩、ウォーキング

2010-03-27 15:53:48 | Weblog
桜の開花の話題が全国から届いてきますね。花を愛でながら散策するにいい季節になりました。
ところで散歩とウォーキングが違うという記述に出会い、びっくりしています。まずウォーキングは健康の為の有酸素運動で歩数を稼ぐ事が目的になります。私は朝の散歩も同じだと思っていたのですが、散歩というのは全くの娯楽で精神的喜びが伴うものだと言うのです。ですから気分によってコースを変えたり、スピードを変えたりすればいいのです。散歩の時のお供には、こんなものを持って行こうと考えてもいいですし、新鮮さをより味わう為に視点を変えて物を見ようとするのも散歩の醍醐味になります。前向きばかりでなく横をむいたり後ろを振り返ったりしてみるとそれだけで新鮮さが増しますね。
そう考えると私ぐらいの歳になれば、ウォーキングより散歩に意識を変えたほうが良いようです。そうした意識を持つときっと自分だけの気持ちが落ち着く場所を見つけることが出来そうです。自分用のマップを作ることを趣味にすれば、暇を持て余すことなくライフワークになりそうです。「自分だけの名所図会」なんていいじゃないですか。
さあ、春です。万歩計を外すことから散歩に取り組みましょう。

順位予想

2010-03-26 23:56:45 | Weblog
いよいよプロ野球のセ・リーグが始まりました。嬉しいですね。我がドラゴンズが長いシーズンいつも優勝を争っていて欲しいです。
ペナントレースが始まる前の恒例の行事として、評論家の順位予想が行われました。順位予想はなかなかピッタリ当たらないのが通例ですね。720通りもあるのですから、当たるほうがおかしいのかもしれません。それでも昨年はすべて当てた評論家がいたそうですから凄いですね。
当たらない理由を探ってみると、各チームの実力にほとんど差がないこと、予想する評論家はすべて各チームのOBであり、多少古巣のチームに思い入れがありますから、分析が甘くなるのではないでしょうか。それにキャンプからオープン戦とすべてのチームをきちんと見ることが物理的にできません。さらに、故障者が出るか出ないかで拮抗していた戦力に大きな差が出てしまいます。故障者がエースだったら1位予想のチームが最下位にもなりかねません。それだけに結果と予想が全く違うことが起こりうるのです。
ともあれ暑い時期までは全てのチームに優勝のチャンスがあるような戦いを期待したいですね。本音はドラゴンズのぶっちぎりの優勝ですが(笑)。

続く雨

2010-03-25 14:35:50 | Weblog
朝の挨拶は「よく降りますね」の一日です。言葉の響きとしては「いやになっちゃうね」という気持ちが込められています。
この雨ほど毀誉褒貶の激しい自然現象はありませんね。からから天気で水不足になると待望の雨と表現し、雨が続くとうっとうしいと雨を嫌ってしまいます。しかし日本語の中には、風流な雨の表現は数多くあります。春だけでも、春雨、春霖、菜種梅雨、木の芽雨、花の雨、桜流し、催花雨、卯の花腐し、等があり最近知った表現に「万糸雨」がありました。これは無数の糸を垂らしたような細い雨の事で今日のような春の雨を表現しています。
さて雨の日ともなると過ごし方が難しいですね。休日ならば「晴耕雨読」を決め込んで好きな本を読めばいいのですが、出勤の場合はやはり恨みの雨となりがちです。誰かに聞いたのですが、雨の日こそ緑を見ることを心掛けるといいそうです。また、雨の日には散歩を止めるのではなく、むしろ喜んで出かける友人もいます。ゆっくり歩いていると、雨の日だからこそ普段出て来ない小動物を見かけることがあるそうで、その出会いを楽しむんだそうです。彼にとっては、恵みの雨を意味する「甘雨」なのです。
そういえば雨の日は出無精になってしまっているので、ここ数年、蝸牛を見ていませんねぇ。

目薬

2010-03-24 20:28:34 | Weblog
かつて、あるイベントで「薬の使用方法で一番違っているのが目薬ですよ」と聞いたことを思い出すデータが昨日出ていました。それは目薬は一滴さしてしばらく目頭を押さえながら目を閉じておくのが正しい使用方法で、何滴もさして目をパチパチさせるのは間違った使い方なんだそうです。しかし目薬を使用するほとんどの人は、この間違った使い方をしているとデータは証明しています。
ところで「二階から目薬」という言葉があります。その意味は思うようにいかずもどかしい様子の事です。この言葉が出来た頃の目薬は塗り薬でハマグリの殻などに入っていましたから、余計に難しいことでしたでしょう。
今、この「二階から目薬」状態に陥っているのが新政権が抱える「普天間問題」でしょう。昨日の鳩山首相と関係閣僚の協議で県内案が大きく浮上し、先の総選挙の公約との整合性が問題になってくるでしょう。首相は「針に縄を通すくらいの難しい作業でも通す」と力説していますが、二階どころか高層ビルの屋上から目薬で目薬自体も固まってしまって落ちて来ないかも知れません。
国民、特に沖縄県民は目薬はさした後、しばらくは目を閉じるのが正式でも、この状態では、目を見開いて注目しなければなりませんね。

初期対応

2010-03-23 15:42:52 | Weblog
20年程前に工藤静香さんの「黄砂に吹かれて」という曲がありました。しかしこの頃の黄砂騒ぎは決して歌の詞どころではありませんね。
黄砂は中国を中心とした東アジアの内陸部の砂漠からの砂塵が偏西風に乗って日本にやって来ます。国境を越えた環境問題にもなっています。砂漠化は干ばつによる水不足によるとされています。初期段階で防ぐことが近隣諸国に迷惑をかけずにすむのですが、その対応は出来ていないようです。
初期の対応と言えば日常の問題でも早く対応しておけば事が大きくならないのにそれが出来なかったばかりに問題がこじれることがあります。「雪だるま」です。最初は小さいのに転がしているうちに大きくなってしまいます。人間の感情は時間的経過によって悪化の方向に向かうことが多いのです。初期対応を長引かせて先送りばかりしているうちに支持率が下がってくるどこかの政党にも言えることです。
仕事の優先順位は嫌な仕事からと言ってもいいです。早い対応はきっと自分の評価があがりますし、問題を鎮静化させるのも早くなります。

名前

2010-03-22 18:16:28 | Weblog
暑さ寒さも彼岸まで、これから本格的な春です。新入社員はもう新しい会社で研修を受けていることでしょう。「先輩の覚えがめでたい」状況になるにはこの時期が大切です。
先日も書きましたが自己紹介は上手くいきましたか?名前というと、時々初めて見る苗字もあります。もうプロ野球のパ・リーグが開幕しましたが、野球の選手の名前で思い出すことがあります。まだ私が新人アナウンサーだったころ中日ドラゴンズに早稲田大学のスラッガー「谷沢」選手が入団しました。これまで「谷沢」はたにざわと読んでいたので随分違和感がありました。それが谷沢選手が活躍するにつれて当たり前に「やざわ」と読めるようになりました。歌手の「天地真理」さんも、デビューしたての頃は「てんちしんり」と読んだアナウンサーもいたくらいです。活躍度と名前の浸透度は比例します。
そこで巨人のドラフト1位「長野」選手の話です。オープン戦では開幕スタメンもありそうな活躍を見せていますが、名前は「ちょうの」と読むのですね。いまは「ヘェ、そうなんだ」というぐらいでしょうが、これが当たり前に「ちょうの」と読むほどのの活躍を見せたら、我がドラゴンズもちょっと心配です。「長野県」を「ちょうの県」と子供達が読みだしたら巨人の優勝かも知れません。そんなことないように祈っていますが。