フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

2013-11-30 19:59:30 | Weblog
この歳になってちょっと考える言葉があります。それは自分のことを言うのに「僕」か「私」かである。歴史的に見れば断然「僕」が後発です。「僕」という一人称は幕末の動乱期に志士たちが使い始め世に広まったといわれています。このコーナーやラジオの中で自分を表現するときは圧倒的に「私」ですが、普段の親しい人達との会話では「僕」も結構使います。
かつて、高倉健さんや渡哲也さんはスクリーンの中で「自分」と表現していて格好いいなあと真似したこともありましたが、それこそ自分のものになりませんでした。今、なんとなくのすみわけでは年上の方と普段話すときは「僕」、改まった時には「私」が多いようです。更に緊張する場面では、同じ「私」でも「わたくし」と表現します。日本語の多様性なんでしょう。
この「私」ですが、表現はともかく、最近の世の中の有り様は、「私」しか目に入らないという動きが多すぎませんか。言い換えれば自分さえよければ、というものです。寂しいものですが、決して自分が歳をとったからではないと思うのですが…。

ヒット商品

2013-11-29 21:42:57 | Weblog
時代を語るということだろう。2013年といえば、アベノミクス、あまちゃん、半沢直樹、おもてなし、今でしょ、等々でしょう。流行語大賞、ヒット商品番付、それに変わりびなまで、こうしたブームが取り上げられています。
さて、そのアベノミクスの安倍総理は今回の特定秘密保護法案に対する国民の反応をどう受けとるのでしょう。今のところの高支持率で強気になっているかもしれませんが、支持率はまさに水ものです。国民からの逆風が強くなれば、すぐに急降下するのは今までに何度もありました。つまり倍返しになりかねません。おもてなしの心で丁寧に国民に説明し、納得のいく審議をすることです。賛成も反対もごちゃ混ぜにしたミックス、アベノミックスにならないように、そして国民がじぇじぇじぇと反応しないようにして下さい。
富士山も注目された年でしたが、富士山も遠くから見ている分にはいいが、近くで見るとゴミばかりと揶揄されたこともあります。総理も中身は?なんていわれないようにお願いしたいです。

忘却とは…

2013-11-28 22:57:16 | Weblog
昔の有名な映画「君の名は」の決まり文句に『忘却とは忘れ去ることである』がありました。寂しいことに今や『忘却とは覚えていないことである』になってしまっています。「最近は忘れるよりも覚えない」とか「立ち上がり 目的忘れ また座る」などの川柳がぴったりの毎日です(笑)。映画カサブランカの有名なセリフに「ゆうべはどこにいたの?」「そんな昔のことはおぼえていない」。クールなハンフリーボガードがこんな風に美女の追求をかわすのですが、こんな粋なやり取りとは程遠いゆうべの食事さえも思い出せない昨今です。
来年の干支は「午(うま)」ですが、馬は忘れないそうです。人間の気持ちが一番わかる動物で、オリンピックの種目を見ても動物が出場出来るのは馬術が一種目あるだけです。まあ、それだけ馬は人間と一体になることが出来る動物なんでしょうね。その馬は自分に悪さをした人間は忘れずにきちんと区別出来るそうですよ。犬はいじめられた人間ではなく、他の関係ない人に噛みつくことがあるそうですがね。
我々人間も馬のように、世話になった人はどんなに忘れっぽくなっても忘れないようにしたいですね。

車内で

2013-11-27 19:15:36 | Weblog
今朝も地下鉄のなかで堂々と化粧にいそしむ女性に出会いました。化粧はあくまでも私的なことで公共の場で行うことではないと目で訴えかけても、全く通じませんでした。何故、自宅でしないんでしょうか。素っぴんも化粧した顔もどちらでも世間に出していいなら何も化粧しなくてもいいのにと思ってしまいます。同じ電車に乗り合わせた位の人は空気みたいな存在で、これから出かける会社の人達にさえ美しくみて貰えれば良いのでしょう。
何故、電車の中で?の解答らしきデータがありました。ポーラ文化研究所の朝のメーク時間調査によると、メーク時間はここ数年でかなり伸びているそうです。特に化粧の好きな女性は30分、長い人は1時間以上、ひとつの趣味になっているそうです。90年代に入ってからアイメイクにこだわるようになり化粧時間が増えたそうで、その結果、家の中ではおさまりきれなくなったわけですね。また、化粧する側も車内でマナーを守って何かいいことあるの?と開きなおっているところもありそうです。まあ、精々楽屋裏を見せて歩くことですね。

様変わり

2013-11-26 23:57:34 | Weblog
長いこと生きていると様変わりした風景に数多く出会います。子どもの頃、過ごした景色はほとんどありませんし、日常の生活の仕方もすべて様変わりしました。そのなかで特筆するのは、やはり携帯電話の世界とカラオケ文化でしょう。携帯電話がない時代にだって連絡にそれほど困ったことはなかった筈なのに、今や携帯電話が手元にないと落ち着かない位ですね。もう一つのカラオケはカラオケという言葉は世界語ともなり、世界中で楽しまれています。地球上すべての人が今や歌手なのかもしれません。
そのカラオケも世界大会があるんですね。このほどフィンランドで「カラオケ世界大会2013」が開催されました。その大会で日本人が初めて優勝したそうです。さだまさしさんの「たいせつなひと」を歌っての優勝です。すでに10年前から行われているそうです。世界でカラオケが楽しむなんて様変わりです。
ところで来年のプロ野球も様変わりしそうですね。FA移籍でかつてのチームの顔だった選手が他チームに移籍するわけですから。巨人の井端、中日の小笠原、様変わりですね。

目線

2013-11-25 17:30:37 | Weblog
最近は「目線」という言葉がよく使われます。『あの人は上から目線だから』という言葉です。「目は口ほどに物を言う」というように、目一つで相手にいろんな思いを伝えますね。だからこそ目線にも注意が必要です。
日本人は一般的に眼をしっかり見られると圧迫感を感じる人が多いようです。時代小説を読んでいると、強豪同士の立ち回りのシーンでは、にらみ合いのなかで先に眼をそらしたほうが分が悪くなるようです。決闘の場でなくても相手と話し中に少しでも目をそらしてしまうと「上の空」で話を聞いているようにみえてしまいます。
ところで「井端選手」が巨人に入団するようですね。その報道がなされた時に、ドラゴンズのある投手の中にはあまり投げたくないなあ、との談話も聞かれました。これなども投手と打者として目線を合わせるのに戸惑いを感じるからではないでしょうか。親しい者同士の対決には、やはり微妙な目線のやり取りがなされるでしょう。勝負師としての気概がその場を支配するでしょう。

同窓会

2013-11-24 21:44:06 | Weblog
今日はこの地方で生活を営んでいる人達の大学同窓会でした。生放送と生放送の間に少し顔を出してきました。ここでサラリーマン川柳の「久しぶり~ 名が出ないまま じゃあまたね」こんな光景があちこちで見られます。そして話題といえば、病気と医者と薬の話が圧倒的、時には「またご不幸、一万去ってまた一万」というような不幸話もついて来ます。あっ!これはあくまでも我々と同世代のグループの話です。
一方では若者達が多いに未来を語っているグループも当然あります。突然知り合いから若者を紹介されます。先輩後輩の間柄になるのですが、若さをもろに出して話をする様は羨ましいですね。自分にもこんな時期があったんだと思うと元気がもらえたような気がします。
ところで初対面の印象は最初の10秒で決まると言います。ましてや現代は「見た目印象」を重視する「見た目主義社会」ですから、そのあたりは意識しておいたほうが先輩達に受け入れられやすいでしょう。私個人も、こんな仕事をしているのに人見知りするタイプでしたから、後になって印象の悪さを指摘されたことがありましたよ(反省!)。

変わり続ける

2013-11-23 21:07:57 | Weblog
今日11月23には「外食の日」だそうです。最近は中食という言葉も生まれ、デパートの地下の惣菜戦争は激しさを増しています。外食産業が日本の食生活に与えた影響は限りなく大きいですね。ファミリーレストランの混み具合は半端ではありません。もちろん新興のチェーン店だけではありません。老舗の味を誇る伝統店も大混雑です。
前にも書きましたが、評判の伝統的な味は本当に変わらないのか。実は「変わらない為には、変わり続ける」のです。東京のある老舗のオーナーは『変わらない味と言われるためには、常に味を向上させなければならない。ベースになる味は変えず、お客様の舌に美味しいと感じる一歩上の味を出し続けることが(美味しい)と言われる秘訣である』と話しています。
これを人間に例えれば若い頃のエネルギーを持ち続けるためには、毎日自身の活性化に勤めなければなりません。体力に代わる知識や技術、それに精神力でカバーするのです。つまり変化することを恐れてはいけないのです。前へ進むということは変化することです。

人を動かす

2013-11-22 22:59:06 | Weblog
今年のドラゴンズの契約更改は早かったですね。もうすべての選手の契約が終了したようです。もちろんこれからFA選手に対してとか、新外国人選手とかトレードがあるかもしれませんがね。
選手との契約更改の相手となったのが落合GMです。前年の総年俸から8億円以上削ったそうですから、相当な辣腕を振るったようですね。契約更改を終えた選手の記者会見のニュースでは、大抵の選手が落合GMにこう言われたと話し出します。例えば大島選手には200本安打と首位打者を狙えと切り出し、その後に減俸の話になります。カーネギーの「人を動かす」では相手にそれを快く受け入れて貰う為には「まずほめる」があります。落合GMは更改の席上、まず首位打者を狙えとか、500セーブをあげろとか目標設定をして、君はそれが出来る実力を持っているんだと相手に悟らせる手法です。カーネギーは「わずかなことでも惜しみなく心からほめる」ことが必要と言っています。期待をかけることによって人はそれを裏切らないように努力します。
さあ、落合GMは能力に自信を持たせるようにしたわけです。来シーズンの結果は?

アクセント

2013-11-21 22:00:09 | Weblog
我々アナウンサーの大切な項目に日本語のアクセントがあります。最近話題になった熊本県のキャラクターの「くまもん」のアクセントが、地元とその他の地域では違うということが話題になりました。専門用語で言えば「くまもん」の(く)にアクセントがある頭高か「くまもん」に特別アクセントが着くところがない平板かに分かれるわけです。地元の人は平板でその他は頭高のようです。
さて今日のニュースでアナウンサーが読む「廃炉」という言葉のアクセントがアナウンサーによってバラバラでした。アクセントがわからない時に調べるのがアクセントのバイブル「アクセント辞典」です。しかしその辞典を開いてみても「廃炉」という言葉は載っていないのです。つまりあの事故がなければ言葉そのものが存在しなかったかもしれません。ところが今や「廃炉」という言葉がニュースにならない日が無いくらい頻繁に登場してきます。手元の辞典はかなり古いので今の辞典には載っているかもしれませんが、こうした生活に不安を与える新しい言葉は増えて欲しくないですね。