フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

秋の音

2014-09-30 23:14:57 | Weblog
今日で9月も終わり。本格的な秋が訪れますね。とはいっても明日の服装はきっと迷うことでしょう。秋となり、我々を取り巻く音もずいぶん変化して来ています。風の響きはかすかに変わり、落ち葉も目の前を通り過ぎてゆきますが、何と言っても虫の鳴く声が深まって来ます。かつて詩人の三好達治が秋の情感についてこう書いています。「路上で聞く食器が触れあう音、子供の笑い声、ハーモニカのかすかな音色。それらが人の心をひそかに勇気づける」。恐らく秋が深まるに連れて空気が澄んで音の伝わりが鮮明になるのでしょう。
ところが、この頃はこうした音がほとんど歩いていても耳に届いて来ません。部屋の気密性が高まったのかもしれませんが、どうもそういった音を伴う生活スタイルが変化したのかもしれませんね。ハーモニカを楽しむ子供も減り、子供は一人で遊ぶので笑い声も出ません。人が歩くころの夕方の食事がもっと遅くなりました。先程の秋の音が埋没してしまいました。新しい秋の音、はて、何でしょう。

動物役者

2014-09-29 22:53:32 | Weblog
熊やシカなどの動物が里に降りてきて、畑を荒らしたり、人を傷つけたりしています。動物達の居住地にどんぐりなどのエサが不足しているので、エサを求めて降りてくるようです。こうした野生の動物には厳しい季節が近づいています。
一方ペットと呼ばれる動物たちは、癒しの存在として、ますます可愛がられています。ペットが身近になったせいか、動物が主人公のCMも数多く登場しています。共演している役者さん達の「子供と動物にはかなわない」という嘆きが聞こえてくるようです(笑)。
まあ、それにしてもペットを家族感覚で生活している人は、多いですね。先日も友人がぼやいていました。同窓会にあるご婦人がペットの愛犬を連れて出席。たまたまご主人不在で連れてきたそうですが、完全にこの同窓会が犬に食われてしまい、懐かしさも半減してしまったそうです。家族同様のペットであっても気を付けたいですよね。それにしても動物の自然の仕草は可愛いですからねぇ。

力士の髷

2014-09-28 23:08:10 | Weblog
満員御礼の垂れ幕が何度もかかる大相撲秋場所の今日が千秋楽でした。相変わらずの遠藤人気に加えて、新入幕の逸ノ城の活躍も満員御礼につながったのでしょう。この遠藤にしても逸ノ城にしても出世が早いので、オオイチョウが結えず、もの珍しさが加わりました。
オオイチョウにビンつけ油のにおいが力士を象徴しています。明治4年の断髪脱刀令を掻い潜って力士のマゲは残りました。この美風を残したのは西郷隆盛との説もあります。マゲは伝統美はもちろんですが、土俵に転落の際、頭を守る為にも必要だったのです。元々歌舞伎専属の調髪師さんが、後に床山という名も受け継ぎながら相撲部屋専属なりました。
マゲがファンにとって力士の象徴だとの意識は、こんなことでも実証されています。昭和7年に天竜という力士の一派が角界を飛び出して新たなグループで興業を始める「天竜事件」がありました。最初は人気がありましたが、すぐに飽きられてしまいました。その理由が力士の象徴のマゲを切っていたからだと言われています。来場所は二人のマゲはどうなっているでしょうね。

2014-09-27 23:45:11 | Weblog
日本人は時と場所に応じた色の使い分けが出来ず、イメージダウンに繋がることが多くあります。とくに個人の色を持たず、横並びのカラーしか取り入れていないのです。もう少し色彩な持つ楽しさを生活全般で味わってもいいですね。
だからと言って日本人は色彩に興味がないかといえば、そうではありません。例えば人が物を見て最初に認識するのは「色」なんです。花の場合でも、人にある花を見せた後に「どんな花でしたか?」と尋ねると「○○色の」とまず色を言い当てます。また、ドラマなどで刑事が捜査の途中で「どんな車が止まっていましたか?」と聞くと「白色の○○」なんて返事をします。これだけ色についての意識があるのですから、先程も言ったように自分色をしっかりと持ちたいですね。ただ、好きな色と似合う色とは別なことも多くありますから、ご注意を。
町はそろそろ秋色に染まっていきます。それにつれて部屋の中は暖色系にするなど色工夫を考えてみたい頃ですね。

あの頃は

2014-09-26 23:48:18 | Weblog
サラリーマン川柳に『窓際で 昔の手柄 聞かされる』を見つけました。年配の人の口癖には必ず「あの頃は」があります。あるテニスのコーチが選手に48時間、一度も「あの頃は」と言わなかったら、好きな店でディナーをおごってもいいとクギをさされたという話を何かで読みました。確かに、若い人達と話しているときには思わず言いたくなる言葉です「あの頃は」。
どうしても「あの頃は」と話しだすと手柄話になりがちですから敬遠されます。しかし今日は55年前、伊勢湾台風がこの地方を中心に襲った日、記憶のある世代はほとんど還暦近くか、還暦を越しました。それだけに、今日くらいは、あの頃というより、あの時はと孫や子に語りつがなくてはいけません。いわゆる歴史の教訓にまなんで、将来に備える一助にしなければ、多数の犠牲者が浮かばれません。あの時は、あの時はと、どんどん話して歴史を語りましょう。
人間はとかく災難を含めて忘れがちな動物です。あの時はと振り返り、災害から身を守る意識を植え付ける日です。

笑う

2014-09-25 22:01:30 | Weblog
先日びっくりしました。何かの話で「そりゃあ、お足がかかりますからねぇ」と言ったら、スタジオでインタビューしている女性歌手に「えっ?お足って何ですか?」と聞き返されました。同席していた女性アナウンサーもわからない様子です。そこで「お金のことだよ」というと、「ああ、あごあし付きって言いますよね」とわかったかの発言。「その足は交通費の事だよ」。つまりお足はお金の事とはしらなかったようです。語源は、お金はあたかも足が生えているかのように行ったり来たりするから、お金を足に例えたわけです。こうした言葉はよく落語に出てくる言葉ですが、若い人達はバラエティ番組の落語家さんはよく知っていても、落語を語る落語家さんは知らないのかもしれませんね。
江戸言葉もふんだんに出てくる落語は本当に勉強になります。ましてや笑って楽しむことが出来るので健康にもものすごく良いのです。極端に言えば病気になることは、「気」のバランスが壊れてしまうこと。それが笑うことで良くなりますから一石二鳥の落語ですよ。

お風呂

2014-09-24 23:31:23 | Weblog
お彼岸の中日も過ぎました。さすがにシャワーだけで入浴を済ます陽気ではなくなりました。私は元々、シャワーだけというのは好きではなかったので、こういった類いの季節感はありませんが、シャワーだけで済ますという人も多いと聞いています。
千葉市の気象情報会社が、先日「湯船派」か「シャワー派」かのアンケートをとったところ、もっとも多かったのが「一年中湯船」派が42%、次いで「夏だけシャワー」派が37%という結果でした。今年の猛暑が続いていた8月に実施したアンケートです。4択でした。その他は「一年中シャワー(16%)」「その他(5%)」です。
一年中湯船の風呂好きが一番多かった県は「静岡県(54%)」ですが、「北海道」「青森県」「岩手県」という夏でも涼しい筈の地域で何故か全国平均を下回っているそうです。理由がわかりませんが、涼しい地域は逆にそんなに汗をかかないので、さらっとシャワーで済ませてしまうのかもしれませんね。ちょっとぬるめの湯にゆっくり入る、こんな極楽はありませんのにね。

秋分の日

2014-09-23 22:19:24 | Weblog
今日は秋分の日。小学校で習った風に言えば、昼と夜の時間が同じですね。高校ぐらいで習ったのは、秋が好きな人は平安情緒派、春が好きな人は万葉叙情派です。
さて、その平安情緒派で言えば、秋は物悲しい季節とも言えます。では、平安人は何に秋を悲しく感じたのでしょうか。気象関係者の言によれば、それは気温と太陽と風のせいだと言うのです。例えば五月と十月の気温はほぼ同じです。しかし、五月はあくまでも明るいのですが、十月も空は高く、澄んでいます。ですから寂しさを助長するのは、昼から夕方までの気温の下降と日没の早さです。東京では日没は五月より十月のほうが一時間半も早いのです。まさに釣瓶落としです。そして風で言えば、紅葉を散らせるのが風ですね。紅葉は哀愁のある「過ぎ、移り、散る」にかかる枕詞でもあるそうです。こうしたところから秋の物悲しさが生まれるのかもしれませんね。
ただ、人生の秋を感じているのは都会人かもしれませんね。農耕生活をしている人、実りの秋を喜ぶのですから。

運転手

2014-09-22 22:07:12 | Weblog
「大きくなったら何になりたいの」これは子供達だけへの質問です。そんな質問を受けるとしたら、まだまだ瞳が希望に輝いているからでしょう。
さてその質問の回答で多いのは、恐らく幼稚園児ならば「電車の運転手さん」でしょうね。中々、現実にはその夢通りにはいかないでしょう。そんな子供達に運転手さんや車掌さんの気分を味わってもらう施設が大阪府の遊園地に作られました。「わくわく電車ランド」と名付けられていますが、確かに子供にとってはわくわくする施設ですね。
子供の将来の夢といえば、何を語ってくれるでしょう。スポーツの世界で飛び抜けた活躍をする選手が登場すると、同じ道を歩みたいという子供が増えます。最近はテニスでしょうか(笑)。ただ触発されてその道に進み始めることはよくあります。しかし、今はちょっとやってみて結果が出ないとすぐに諦めてしまうショートレンジの時代と言われるように粘りが少ないようです。ひたむきさが失われたと言えます。子供が夢を実現するひたむきさを取り戻したいものです。

芋煮会

2014-09-21 23:10:53 | Weblog
秋の風物詩の一つです。巨大鍋を使ってサトイモなどを煮込む「芋煮会」が山形市だけでなく各地で行われています。しかし日本一の芋煮会と言えば山形市の河川敷で行われるものでしょう。先日も3万食の芋煮が山形市で振る舞われたようです。
私も番組イベントととして、各地で芋煮会を何度も経験しました。参加した人達が一様に驚くのは鍋の大きさです。何百人が食する芋煮を作るわけですから、大きいのは当然ですが、鍋の中に食材を入れるシーンは圧倒される風景です。何よりも家族や友達同士が揃って頬張るところが良いですね。また、話が弾んでより美味しく感じられます。
最近はその芋煮会にちょっと縁がないのは残念です。書いている最中にも味がしみたサトイモを思い出しています。青空の広がる河川敷という背景も味を更に美味しくします。アウトドアで家族が一緒のイベントに参加することは単に味を楽しむだけでなく、子供達が他人とどんな風に接触するかを親が観測出来るチャンスなのです。そのチャンスを活かすのも芋煮会のメリットです。