竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻19 歌番号1314から1318まで

2024年06月03日 | 後撰和歌集 現代語訳

歌番号一三一四

原文 止遠幾久尓々満可利个留飛止尓多比乃久徒可者之

个留加々美乃波己乃宇良尓加幾川个天川可者之遣留

読下 遠き国にまかりける人に、旅の具つかはし

ける、鏡の箱の裏に書きつけてつかはしける

 

原文 於本久本乃能里与之

読下 おほくほののりよし(大窪則善)

 

原文 見遠和久留己止乃加多左尓万寸可々美可个者可利遠曽幾美尓曽部徒留

和歌 みをわくる ことのかたさに ますかかみ かけはかりをそ きみにそへつる

読下 身を分くる事の難さにます鏡影ばかりをぞ君に添へつる

解釈 我が身を二つに分けることが難しいので、このはっきり映す鏡に、私の面影だけでも貴方に添えて贈ります。

 

歌番号一三一五

原文 己乃多比乃以天多知奈无毛乃宇久於本由留止以比个礼八

読下 このたびの出で立ちなん物憂くおぼゆる、と言ひければ

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 者徒可利乃和礼毛曽良奈留本止奈礼者幾美毛々乃宇幾多比尓也安留良无

和歌 はつかりの われもそらなる ほとなれは きみもものうき たひにやあるらむ

読下 初雁の我も空なるほどなれば君も物憂き旅にやあるらん

解釈 空を飛ぶ初雁が空に居る、その言葉ではありませんが私の気持ちは空に居るように心細いです、きっと、貴方も遠くへの旅立ちは気が重い旅なのでしょうね。

 

歌番号一三一六

原文 安比之利天者部利个留於无奈乃飛止乃久尓々満可利个留尓

徒可者之个留

読下 あひ知りて侍りける女の、人の国にまかりけるに

つかはしける

 

原文 幾美多々乃安曾无

読下 公忠朝臣(三統公忠)

 

原文 以止世女天己比之幾太日乃可良己呂毛本止奈久加部寸飛止毛安良奈无

和歌 いとせめて こひしきたひの からころも ほとなくかへす ひともあらなむ

読下 いとせめて恋しきたびの唐衣ほどなくかへす人もあらなん

解釈 あの歌ではありませんが、まったくに貴女が恋しく思われるこの度の旅立ち、私が恋しいと思う時、都で唐衣に着慣れた妻の姿を見せるために夜に衣を返して着る、その言葉の響きではありませんが、貴女を都に返す人が居て欲しいものです。

注意 古今和歌集「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣を返してぞ着る」と「唐衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ」を引用する。

 

歌番号一三一七

原文 加部之

読下 返し

 

原文 於无奈

読下 女

 

原文 可良己呂毛堂川日遠与曽尓幾久飛止者加部寸者可利乃本止毛己比之遠

和歌 からころも たつひをよそに きくひとは かへすはかりの ほともこひしを

読下 唐衣裁つ日をよそに聞く人はかへすばかりのほども恋ひじを

解釈 唐衣を裁つ、その言葉の響きではありませんが、出立する日を他人事のように噂に聞いている人は、きっと、恋焦がれて夢にでも見たいと夜に衣を裏返すほどにも、都下りをする私を取り返すほどにも、私のことを恋焦がれていないでしょうに。(じゃ、今からでも、私を貴方の許に引き取るの。)

注意 古今和歌集「唐衣たつ日は聞かじ朝露のおきてしゆけば消ぬべきものを」を引用する。

 

歌番号一三一八

原文 也由比者可利己之乃久尓部満可利个留飛止尓

佐遣太宇比个留川以天尓

読下 三月ばかり、越国へまかりける人に、

酒たうびけるついでに

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 己比之久者己止徒天毛世无加部留左乃加利可祢者万川和可也止尓奈計

和歌 こひしくは ことつてもせむ かへるさの かりかねはまつ わかやとになけ

読下 恋しくは事づてもせん帰るさの雁が音はまづ我が宿に鳴け

解釈 貴方が恋しくなったら北に帰る雁に言伝をしましょう、その北に帰る雁は、まず、これから北に帰りますと私の屋敷で鳴け。

 

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