竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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拾遺和歌集 巻2 歌番号129から133まで

2024年08月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 129 拾遺抄記載

詞書 女四のみこの家の屏風に

詠人 みつね

原文 由久須恵者 万多止遠个礼止 奈川也万乃 己乃志多加計曽 多知宇可利个留

和歌 ゆくすゑは またとほけれと なつやまの このしたかけそ たちうかりける

読下 ゆくすゑはまたとほけれと夏山のこのしたかけそたちうかりける

解釈 これからの道行は遠いけれど、(夏の強い日差しの中、)夏山の木々の下の木陰は立ち去るのが辛いものがあります。(それと同じように、貴女の庇護の下に居たいものです。)

 

歌番号 130

詞書 延喜の御時の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 奈川也万乃 可个遠志計美也 堂万本己乃 美知由幾比止毛 多知止万留良无

和歌 なつやまの かけをしけみや たまほこの みちゆくひとも たちとまるらむ

読下 夏山の影をしけみやたまほこの道行く人も立ちとまるらん

解釈 夏山の木々の木陰の下は草葉が茂っているので、寄り道が許されない公務を示す立派な矛を持った道を行く人も、きっと、熱い日差しに立ち留まるでしょう。

 

歌番号 131 拾遺抄記載

詞書 河原院のいつみのもとにすすみ侍りて

詠人 恵慶法師

原文 万川可个乃 為者以乃美川遠 武寸日安个天 奈川奈幾止之止 於毛飛个留可奈

和歌 まつかけの いはゐのみつを むすひあけて なつなきとしと おもひけるかな

読下 松影のいはゐの水をむすひあけて夏なきとしと思ひけるかな

解釈 松の木陰の岩井の清水を手で掬い上げて、その涼しさに、今年は夏が無いのかと思ってしまいました。

 

歌番号 132

詞書 家にさきて侍りけるなてしこを、人のかりつかはしける

詠人 伊勢

原文 以徒己尓毛 佐幾者寸良女止 和可也止乃 也万止奈天之己 多礼尓美世末之

和歌 いつこにも さきはすらめと わかやとの やまとなてしこ たれにみせまし

読下 いつこにもさきはすらめとわかやとの山となてしこたれに見せまし

解釈 何処にでも咲くと貴方は思うでしょうが、私の屋敷に咲いたこの大和撫子の花を、さて、誰に見せましょうか。(ねぇ、貴方。)

 

歌番号 133 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 曽己幾与美 奈可留々可者乃 左也可尓毛 波良不留己止遠 加美者幾可奈无

和歌 そこきよみ なかるるかはの さやかにも はらふることを かみはきかなむ

読下 そこきよみなかるる河のさやかにもはらふることを神はきかなん

解釈 流れの底までが清らかで、流れて行く河の風情がさやかです、その言葉の響きではありませんが、私がこのようにさやかにお祓いをすることを神は聞き届けるでしょう。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号124から128まで

2024年08月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 124 拾遺抄記載

詞書 春宮にさふらひけるゑに、くらはし山に郭公とひわたりたる所

詠人 藤原実方朝臣

原文 佐川幾也美 久良波之也万乃 本止々幾須 於保川可奈久毛 奈幾和多留可奈

和歌 さつきやみ くらはしやまの ほとときす おほつかなくも なきわたるかな

読下 さ月やみくらはし山の郭公おほつかなくもなきわたるかな

解釈 五月の闇の倉橋山のホトトギスは、その闇暗しの言葉の響きではありませんが、はっきりしない様子で鳴き渡っています。

 

歌番号 125 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 本止々幾須 奈久也左川幾乃 美之可与毛 飛止利之奴礼者 安可之可祢川毛

和歌 ほとときす なくやさつきの みしかよも ひとりしぬれは あかしかねつも

読下 郭公なくやさ月のみしかよもひとりしぬれはあかしかねつも

解釈 ホトトギスが啼く皐月の短い夜も、独り寝をすると、物思いでなかなか明かし辛いものがあります。

注意 和歌の約束では、ホトトギスはカッコウのことで、カッコーカッコーと啼く声を片恋片恋と聴きます。ここでは恋人を思って寝付けないとの歌意になります。拾遺抄では、この歌柿本人まろが集にいれり、とある。

 

歌番号 126 拾遺抄記載

詞書 西宮左大臣の家の屏風に

詠人 源したかふ

原文 保止々幾須 万川尓川个天也 止毛之寸留 比止毛也万部尓 与遠安可寸良无

和歌 ほとときす まつにつけてや ともしする ひともやまへに よをあかすらむ

読下 ほとときす松につけてやともしする人も山へによをあかすらん

解釈 ホトトギスの啼くを待つ、その言葉の響きではないが、松明に火を付けて明りを灯す人も、山辺で夜を明かすようです。

 

歌番号 127 拾遺抄記載

詞書 延喜の御時、月次の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 左川幾也万 己乃志多也美尓 止毛寸飛者 之可乃多知止乃 志留部奈利个利

和歌 さつきやま このしたやみに ともすひは しかのたちとの しるへなりけり

読下 さ月山このしたやみにともす火はしかのたちとのしるへなりけり

解釈 五月の山の木の下の、その草葉が生い茂った暗闇に、灯す火の明りは鹿が立っている場所を示す目印でした。

 

歌番号 128 拾遺抄記載

詞書 九条右大臣家の賀の屏風に

詠人 平兼盛

原文 安也之久毛 志可乃多知止乃 美衛奴可奈 遠久良乃也万尓 和礼也幾奴良无

和歌 あやしくも しかのたちとの みえぬかな をくらのやまに われやきぬらむ

読下 あやしくもしかのたちとの見えぬかなをくらの山に我やきぬらん

解釈 どうした訳か、鹿が立っている姿を眺めることが出来ません、小暗いと言う名を持つ小倉山に私はやって来たのでしょうか。

 

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