竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻1 歌番号11から15まで

2024年07月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻1

歌番号 11

詞書 うくひすをよみ侍りける

詠人 大伴家持

原文 宇知幾良之 由幾者布利川々 志可寸可尓 和可以部乃曽乃尓 宇久飛寸曽奈久

和歌 うちきらし ゆきはふりつつ しかすかに わかいへのそのに うくひすそなく

読下 うちきらし雪はふりつつしかすかにわか家のそのに鴬そなく

解釈 空一面を掻き曇らし雪が降り続きますが、その一方で、我が家の庭では春を告げる鶯が鳴いています。

注意 万葉集「うち霧らし雪は降りつつしかすがに吾宅の苑にうくひす鳴くも」の異伝。

 

歌番号 12

詞書 題しらす

詠人 柿本人麿

原文 武女乃者奈 曽礼止毛美衣寸 飛左可多乃 安万幾累由幾乃 奈部天布礼々者

和歌 うめのはな それともみえす ひさかたの あまきるゆきの なへてふれれは

読下 梅の花それとも見えす久方のあまきるこのなへてふれれは

解釈 梅の花は白雪とも見分けがつかず、遥か彼方まで空一面を掻き曇らせて、雪があたり一面に降っているので。

注意 古今和歌集「梅の花 それとも見えず 久方の あまぎる雪の なべてふれれば」の再録です。ただし、古今和歌集では左注で柿本人麿の作の伝承を紹介するだけです。

 

歌番号 13 拾遺抄記載

詞書 延喜御時、宣旨にてたてまつれる歌の中に

詠人 つらゆき

原文 武免可部尓 布利加々利天曽 之良由幾乃 者奈乃多与利尓 遠良累部良奈留

和歌 うめかえに ふりかかりてそ しらゆきの はなのたよりに をらるへらなる

読下 むめかえにふりかかりてそ白雪の花のたよりにをらるへらなる

解釈 梅の枝に雪が降りかかっているので、梅の花か白雪か区別がつかないので、枝に積もれる白雪を花と思って、梅の花枝が折り取られるようです。

 

歌番号 14 拾遺抄記載

詞書 同し御時御屏風に

詠人 みつね

原文 布累由幾尓 己呂毛満可比奴 武女乃者奈 加尓己曽尓多留 毛乃奈可利个礼

和歌 ふるゆきに いろはまかひぬ うめのはな かにこそにたる ものなかりけれ

読下 ふる雪に色はまかひぬ梅の花かにこそにたる物なかりけれ

解釈 降る雪に梅の花の色が紛れてしまう、ただ、梅の花の香りばかりは、それに似たものはありません。

 

歌番号 15 拾遺抄記載

詞書 冷泉院御屏風のゑに、梅の花ある家にまらうときたる所

詠人 平兼盛

原文 和可也止乃 武女乃多知衣也 美衣川良无 於毛日乃本可尓 幾美可幾万世累

和歌 わかやとの うめのたちえや みえつらむ おもひのほかに きみかきませる

読下 わかやとの梅のたちえや見えつらん思ひの外に君かきませる

解釈 我が家の梅の高く伸びた枝先の花が見えたのだろうか、思いがけずに、貴方がいらっしゃった。

 

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