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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Greensleeves / Das Klaus Weiss Trio

2008-07-12 | Hard Bop & Modal
少し久しぶりに紹介する澤野工房関連盤。現在も活躍するドイツ出身のドラマー、クラウス・ヴァイス(個人的にはウェイスの方が読み方が正しい気もしますが…)による66年のリーダー作品です。これ以前にもクラウス・ドルディンガーのコンボなどに参加していたようですが、リーダー作としてはこれがデビュー作にあたるよう。おそらく欧州産のピアノ・トリオが好きな人にはわりと古くから人気のある作品だと思います。最も全体的に非常に雰囲気の良い一枚なので、人気が出るのは当然なのかもしれませんが…。全10曲中の半数以上がいわゆるトラッド曲で占められているものの、いずれもヴァイスによる巧みなアレンジが施されており、全ての曲が見事なまでにジャズ化されています。ジャケットの絵柄そのままに、全編で陰鬱ながらも耽美的な演奏が展開されており、これぞ正に日本人の好み真っ只中というところでしょうか。ピアノを務めるロブ・フランケンという人の名前は聴いたことありませんでしたが、ライナーを読む限りどうやらキーボーディストとして活躍していた人とのことで、本作のように生ピアノに専念している録音は貴重とのこと。ただ、だからと言って演奏技術が低いかと言うとそんなことは全くなく、むしろ他にアコースティック作品がないのが信じられないくらいピアノ捌きが上手いです。中でも特に素晴らしいのはM-6のDona Dona。あまりジャズで演奏することのない曲だとは思いますが、タイトにまとめたそのアレンジは非常に完成度が高く、このままジャズのスタンダードだと言っても通用するくらいの名演に仕上がっています。心地良く打っているヴァイスのドラミングも小気味良く、フランシー・ボランのトリオ作品が好きな人なども恐らくハマるはず。急ピッチかつスリリングながらメロディアスなピアノ・タッチは、どこかベント・アクセンを思わせる雰囲気もあるような…。弓弾きベースの重厚な雰囲気で始まるM-1のタイトル曲も、イントロが終われば基本的に同系統の演奏。こちらもきっと皆好きでしょう。どちらの曲も元々の曲自体が素晴らしいので、ある意味では反則技と言えなくもないような気がしますが、ここまで格好良くアレンジされたら文句の付け様がありません。オリジナルの独Phillips盤は多少高価ですが、澤野工房からリリースされたCDなら中古でもわりとすぐに見つかると思うので、ご興味があればどうぞ。おじさん方はもう知っていると思うので、どちらかと言うと若いリスナーの方に聴いて貰いたい盤です。

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