前作In Your Hawaiian Wayと同じく1989年にリリースされた彼らの2ndアルバム。本作も1st同様オリジナルリリースがテープで後にKahale MusicからCDで再発というパターンになっています。ジャケット写真を見ても分かる通りメンバーが一人増えており、どうやらWillie Solomon IIIなる人物が参加しているようですが、それ以上のクレジットがないため、このウィリーが何のパートをやっているかは不明。おまけに次作ではまた離脱しているので、どのような経緯で参加したのかも良く分かりません。ただ三人体制になったとは言え、本作も基本的には1stと同様の音作り。相変わらず適度なホームメイド感覚でカラパナ・フォロワー的サウンドをやっています。サウンドメイクが同年代の他国楽曲に比べチープなのは、この手のマイナー系コンテンポラリー・ハワイアン全体に言えることですが、このグループの場合はそれを完全に逆手にとっているのが特徴。80年代後半~90年頃と言うと、いわゆる打ち込みサウンドが一般に浸透してきた時期で、クリスタルな時代の雰囲気と共にポピュラー音楽全体が変に過剰装飾していましたが、彼らはそうした時代背景に流されず、あくまでマイペースにアコースティックなグッドミュージックを追求しているので、逆に今聴いても古臭さを感じないエヴァーグリーンな空気感を作り出すことに成功しています。収録曲個別で見ていくと、本作ではM-8のCoffee In My Teaがアタマ一つ飛び抜けた完成度。ルパート本人の甘いヴォーカルも手伝い、マッキー・フェアリー在籍時のカラパナそっくりなこみ上げ系アイランドメロウに仕上がっていて、そうした雰囲気が好きな人はまずハマるはずです。国内ポニーキャニオンから出ていた90年代カラパナ作品が過剰装飾に走ってしまったのとは対照的に、70年代のカラパナサウンドをよりナチュラルな方向に正統進化させた名曲。その他の曲では、メロウなサックスがリードするM-2のLove's Lightもコンテンポラリー系で良い感じです。個人的な経験から言うと、彼らのアルバムの中ではもっとも見かけない作品ですが、気になる人には是非聴いてもらいたい一枚。午後のカフェで流すコンテンポラリー・ハワイアン作品としてもぴったりな一枚だと思います。
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