Honolulu City Lightsのヒットで知られるビーマー兄弟の兄、ケオラ・ビーマーによる1989年の作品。時代的にテープとCDのみしか製作されておらずLPは存在しないと思いますが、リリース元はお馴染みParadiseです。どちらかと言うとスラック・キー・ギターの名手として知られる人なので、あまりコンテンポラリーな雰囲気は期待できないかとこれまで作品の存在自体は知りながらも敬遠していたのですが、いざ聴いてみるとこれがなかなかの快作。当然、彼自身のアコギとヴォーカルを中心に据えた作品なのですが、ほとんどの曲で入るシンセというかキーボードが肝となり、想像以上にしっかりとコンテンポラリーな音作りになっています。全体的にアコースティックで柔らかな質感なので耳あたりも良く、休日に肩の力を抜いて聴くのには最適。70年代後半のメロウなマイナーSSWあたりが好きな人などでも楽しめるのではないでしょうか。なかでも個人的に気に入っているのがM-3のSweet Island Girl。どことなくボサノバっぽい雰囲気のあるミディアムで、以前ここでも紹介したKool Elevationあたりにも通じるロコAORの佳作に仕上がっています。同系統だとM-7のLahainaも良い雰囲気。また、バラード系ではM-4のHilo RainとM-6のThe Wings Of A Seabirdがなかなか。アルバム全編通じて言える話ですが、まるでロードムービーのサントラでも聴いているかのような、程良い感じのイナタさが抜群に心地よいです。ちなみに日本のamazonでは例によって不当に価格が高騰していますが、この手のローカルなコンテンポラリー・ハワイアンの中では比較的手に入りやすい部類。根気よく探していればそのうち安値で見つかると思うので、興味がある人は焦らず気長に出会いを待ちましょう。
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