本年最初のレビューとなるのはフランスのピアノ・トリオによる67年盤。本当は仏Rivieraレーベルからリリースされた別ジャケ盤がオリジナルなのですが、どちらかと言うとこのジャケの英Major Minor盤の方が有名な気がします。つい先日、優良再発レーベルのCelesteから、本作収録曲の半分と当時の未発表曲を収録した編集盤がリリースされたので、アーティスト名だけは耳にしている方も多いのでは。正直なところドラマーのダニエル・ユメールの名前くらいしか聞き覚えのないグループですが、内容的にも非常に優れたピアノ・トリオでオススメです。力強いアフロ・キューバンのリズムと透明なピアノが印象的なB-3のOrange Boomがクラブ的には人気曲(Donald ByrdのGhanaと相性抜群!)ですが、クラブ・プレイ云々ということを抜きにすれば、その他の曲もとても良い曲ばかり。これぞ正にヨーロピアン・ジャズな、繊細かつ美しい演奏が全編に渡って楽しめます。特にシェエラザードのテーマをモチーフにした絶品ワルツ、A-1のSheherajazzの美しさと言ったらちょっと言葉になりません。同じくワルツ調で展開されるB-2のRue Du Chemin Vertや、アップ・テンポのボッサ・ジャズ風なA-2のHyperespaceもかなり良い雰囲気。全体的に透明でエレガントな曲調でありながら、フレーズの節々にどこか胸を締め付けられるような悲壮感を秘めている点がポイントですね。サバービア誌にも以前カフェ系として掲載されていましたが、個人的にはカフェと言うより高級なフレンチ・レストランで聴きたい一枚。この上品さにはコーヒーよりもワインの方が良く似合いそうです。ちなみにここで紹介した4曲のうち、Orange Boom以外の3曲はCeleste盤でも聴けたと思うので、興味のある方はまずはそちらでどうぞ。オススメ盤。
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本当に1曲目のSheherajazzは良い曲ですね。映画の一シーンを思わせるような名曲です。ミッシェル・ルグランの映画音楽を思い出させました。どれもご指摘のとおり美メロばかりで、彼らのほかのアルバムがないか探しています。よいものがあったら教えてください。
コメントどうもありがとうございます。
このメンバーで演奏してるアルバムは、残念ながら僕の知っている限りこれだけだと思いますね。
最近ベース以外の2人を入れ替えた新メンバーで2枚ほどCDをリリースしているようですが、聴いてないので良く分かりません。ジャケットの雰囲気から、おそらく澤野辺りのCDに近いコンテンポラリーな演奏なのではないかと推測していますが。