今年最後のレビューとなるのは、昨日も別の盤を紹介したトロンボニストによるブルーノート3枚目のリーダー作。同レーベルに3枚ある彼のリーダー作の内の最終作ですね。Jazz Next Standard誌上においてもリコメンドされていたので、若い世代の人たちでもわりと良く知っている盤なのではないでしょうか。良くも悪くも地味な印象の強いThe Openerからメンバーを一新して、本作での彼はかなり切れのあるハードバップを演奏しています。特に強烈なアフロキューバンのリズムでドライブするA-1のLittle Messengerは間違いなくフロアーの花形的存在。ダスコ・ゴイコヴィッチのBalcan Blue辺りと相性良さそうなキラー・チューンです。アート・ファーマーとの2管フロントやドラムのルイス・ヘイズの存在も去ることながら、ここではソロ一番手を務めるピアノのソニー・クラークが存在感抜群。以前紹介したことのあるハンク・モブレーによる名曲Roll Callや、ドナルド・バードのGhanaらと並んで、ブルーノート音源の中でもジャズ・ダンサー度が極めて高い最強の1曲です。ラテンの影響が色濃いミディアム・テンポのマイナー・ブルース、A-2のQuantraleもフロアー向きではないものの素晴らしい出来です。考えてみれば僕の好きなユーロ・ジャズのルーツは、やはりこの辺りにあったりするんですよね。デンマークのJazz Quintet 60なんかも確実に影響を受けているわけで…。そう言った意味では幾らユーロ・ジャズ派の僕とは言え、この辺りの盤は押さえておいても良いかなと思います。しかしまぁ、この当時のブルーノートのジャケって、どれもこれも何でこんなに格好いいんですかね。とても50年前のデザインとは思えません。このジャケのためだけでも、お金を払ってしまいそうです。
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