
一部ヨーロピアン・ジャズ・マニアの間では、ジャケットから「時計のライス」という愛称で親しまれる本作は、ドイツのピアニストDieter Reithが1966年に名門Sabaに吹き込んだ傑作ピアノ・トリオ。オリジナル盤は、この時期のヨーロピアン・ピアノ・トリオとしては同じくSabaからのElsie Bianchi Trioなんかと並んで、中古盤屋でもガンガンの高値で取引されている一枚です。このDieter Reithという人は後にフリージャズに転向する人だそうなのですが、言われていれば納得というかこの時点で既に若干フリー気味な演奏をしているのが面白い。基本的にはカチっとした正統派モード・ジャズなのに、どこかフリーを感じさせるソロが聞きどころでしょう。重厚なドラムスが印象的なA-1のタイトル曲や、人気のバカラック作B-1のWives And Loversを聴けば、そんな僕の気持ちも少しは分かるはず。全体的にCharly Antoliniが手数多めのドラムを披露しているので、それもまたフリーっぽさに拍車をかけているのかもしれません。モダン・ジャズとして普通に素晴らしい作品ですが、ブロークン・ビーツ以降の耳で聴くとまた新たな発見があって面白いです。ちなみに最近ユニヴァーサルから「ヨーロピアン・コレクション」と題されたシリーズでCD再発があったので、今なら外資系ショップに行けば簡単に手に入ると思います。
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