ノルウェーのコンポーザー兼ピアニスト、パー・ハスビー率いるセプテットによる76年録音のアルバム。Plateselskapetという全く聞いたことのないマイナー・レーベルからのリリースな上、録音も70年代中盤のノルウェー盤と言うことで、これまで完全に視界に入っていなかったものの、いざ聴いてみるとこれがなかなかの力作で驚かされました。どうもノルウェーと言うと、ヤン・ガルバレクを始めとしたECM系フリー・ジャズの印象が強いですが、こんな正当派のモダンを演奏していた人もいたんですね。アレンジの節々に新主流派の影響を感じさせながら、同じ北欧のスウェーデン辺りに近い透明感を持った素敵な一枚に仕上がっています。エレガントな管のアンサンブルで聴かせるB-1のタイトル曲や、ステファン・アベリーンにも通じるバラードのB-2、The Masquerade Is Overなど、この手の北欧モーダル好きならきっと気に入るはず。良い意味で陰があり芯の細い演奏なので、いわゆるヨーロピアン・ジャズのイメージにもぴったりなのではないかと思います。少なくとも僕はこの質感が大好き。もともと非米国産ジャズに惹かれたきっかけがこの辺りの繊細な雰囲気だったので、そういった意味で本作はツボど真ん中と言った感じですね。そして何より素晴らしいのがA-5のFantasy In D。シダー・ウォルトン作による名曲のカバーですね。Ugetsu(ジャズ・メッセンジャーズが演奏していました)と言う別名でも知られるナンバーですが、ここではその曲を非常に北欧的な解釈でバピッシュに好演。ともすれば分厚くなりがちな4管編成ですが、一切の無駄を排したアレンジでタイトにプレイしています。イーロ・コイヴィストイネンのSo Niceにも通じる、込み上げ系ユーロ・バップの最高峰。真にキラーな曲とは、おそらくこういうものを指すのでしょう。クラブ・ジャズ好きの人にも十二分にアピール出来ること請け合いです。なお、数年前に別ジャケでCD化されたそうです。さっき探してみたらi tunesにもありました。オリジナルは結構なレア盤に部類される一枚だと思うので、興味のある方は是非まずはそちらでチェックしてみてください。自信を持ってオススメします。
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