先日のシャープス&フラッツに続き、またまた邦人ジャズを紹介。和製アート・ブレイキーこと白木秀雄が自身の62年作です。例の激レア盤「プレイズ・ボッサ・ノバ」と同様、キングからリリースされた「白木秀雄プレイズ~」シリーズの内の一枚ですが、録音自体はこちらの方が3ヶ月ほど先。全編においてホレス・シルヴァーの楽曲が取り上げられた、正に文字通り和製ジャズ・メッセンジャーズな仕上がりを見せる一枚となっています。おそらく題材が題材なだけに、数ある白木作品の中でも一際ファンキー度が高い作品なのではないでしょうか。どこか不穏な6/8拍子で幕を開けるA-1のSenor Bluesから、抑制されながらも非常にファンキーさ漂う楽曲で良い感じ。また、A-3のDoing The ThingとB-1のBlowing The Blues Awayでは、いつも通りの高速ハードバップを展開していて、こちらも文句なしに格好良い出来となっています。バルブ・トロンボーンでゲスト参加している福原彰がまた素晴らしく、さながら日本のディノ・ピアーナとでも言うべき熱気溢れるプレイを披露している点もポイント。やっぱりトロンボーンが入ると演奏に厚みが加わりますね。ただ、個人的に惹かれるのは、それらの派手な曲ではなくB-2のPreacher。おどけたメロディーでモダンにスウィングするテーマ部と、男気に満ちたプレイを披露する各ソロのギャップが妙に耳に心地良くて、ついつい何度もリピートしてしまいたくなります。何より、各演奏者がジャズを楽しんでる様子が聴き手にダイレクトに伝わってくるところが素敵。こういう雰囲気を持った演奏、ありそうで実はなかなかないです。若干曲調は違いますが、A-2のSister Sadyも同等の感覚を持った曲で好きですね。いつもモーダルな演奏ばかり聴いていると、こういうストレートでファンキーなハードバップが逆に新鮮。気分を変えたい時なんかに聴いても良いかもしれませんね。ちなみにジャケット写真は、数年前にキングから出た白木のベスト盤にも流用されています。うろ覚えではありますが、確かそこにも本作からの曲が2、3収録されていたはず。
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