かなり久しぶりに購入した国産良質ポップス。元シンバルス、土岐麻子さんが昨年暮れにリリースした2ndアルバムです。その透明感溢れるヴォーカルが好きで、実はシンバルス後期から彼女の隠れファンだったのですが、その独特の声質と歌い方はもちろん今作でも健在。柔らかく女性的な彼女の歌声と、この手のフュージョン・サウンドの相性はやはり想像通り抜群ですね。「土岐流シティ・ポップ」を合言葉に、非常に完成度の高い一枚に仕上げられています。何年か前に一部で話題になった「流線形」に近い質感と言えば、おそらく分かる方には分かってもらえるでしょう。アルバム冒頭を飾るM-1の「モンスターを飼い馴らせ」から雰囲気満天。甘く切なく、それでいて少しだけノスタルジックなアーバン・サウンドに引き込まれていくこと間違い無しです。バックの演奏は完全に70年代後半のそれそのものなのに、ヴォーカルだけが今風と言うのがポイントなのかな。そのことによって、都市型ポップスとしての洗練度が一層上がっている気がします。和モノはそれほど真剣に掘っていないので詳しくは知らないのですが、少なくとも僕が知っている当時もののレコードに、ここまで洗練された雰囲気を持ったアルバムはありません。そんなアーベインな雰囲気が作中最も顕著に現れているのが、先行シングルもカットされたM-3の「ファンタジア」。きらめくエレピの音色と柔らかいホーン・セクションが最高に気持ちいいライト・メロウなバラードです。夜のドライブを終えた帰り道、ふとラジオからこんな曲が流れてきたら、おそらく誰しも自然と胸が熱くなるはず。タクシー・ドライバーに扮したPVも、個人的にここ最近見た映像作品としてはベストな出来でした。正にどこを取っても僕のツボど真ん中な一曲。最近はジャズやブラジルものばかり聴いていますが、こういう雰囲気の曲はやっぱりいつまで経っても大好きです。ちなみに他の曲では、どこかユーミンを思わせるアッパー・ミドルなM-8の「サーファー・ガール」辺りもかなりお気に入り。「いつもジャズばかりじゃなく、たまにはポップスでも…」と思ったら是非聴いてみてください。AOR系フリーソウルの雰囲気が好きな人も多分大好きだと思います。文句なしのオススメ盤。
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