末光道正のブログ  八尾から日本の政治を変えよう

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中国鉄道労働者1千人が、年金積立金や賃金未払いでハルビン駅を包囲

2016-02-04 07:05:18 | 世界の闘い





■中国鉄道労働者1千人が、年金積立金や賃金未払いでハルビン駅を包囲
前進 速報版 2016年2月 3日 16:25

 中国・黒竜江省のハルビン市で、1月25~27日、さらに2月2日と、1000人を超える鉄道労働者がハルビン駅を包囲して抗議闘争を闘っている。警察権力が大動員されたが、労働者たちは権力と対峙して一歩も引かず、連続闘争を継続している。
 彼らは、ハルビン鉄道局傘下にある数十の企業グループの労働者で、年金積立金を企業が8年間で使い切って支払っていない問題や、未払い賃金などの支払いを要求して抗議行動に連日立っている。 労働者は、この企業グループは、14万人近くの労働者について企業が支払う年金積立金が「途中でなくなり、どこへ行ったのかわからない」としており、さらに8年間でこの年金積立金の支払いが打ち切られたことに強く抗議している。

 この結果、年金基金の納入額が低いので、退職後に労働者が受け取る年金は月に1500元(約30000円)と低くなってしまっている。彼らは、企業が「私的流用を行い、貪欲にひたり、保険会社への金を払わなかった」と弾劾しているが、これに対してハルビン鉄道局は、「そのような事実は無い」として、「グループ傘下の各企業は独立経営であり、正式な企業であるので、自分たち親会社は借金の責任の一切を負わない」として、責任の存在を否定して いる。
 ここには、下請け企業、「外注企業」が「独立企業」として鉄道会社から一切の責任を負わされ、その破産をすべて下請け労働者を犠牲にしようとしている。ここには日本のJRと同じような構造がある。この中で、鉄道下請け企業の労働者たちが、親会社の中国鉄道総会社への抗議行動に命がけで決起しているのである。
 さらに鉄道労働者は、すさまじい賃下げの攻撃を受けている。労働者は「今年の鉄道労働者の賃金は、月約500元(10000円)~1500元まで不均一に下がっており、その下げ幅は、なお拡大する趨勢だ」と言っている。すさまじい賃下げ攻撃が、中国の鉄道労働者に襲いかかっているのである。今回のハルビンの闘いの背景には、この激しい賃下げ問題もある。
 中国鉄道総会社は、この賃下げの原因を、鉄道貨物運輸業務の衰退にあると認めている。
 中国の鉄道貨物輸送量は、長期にわたって不振であり、それが中国鉄道総会社の総収入の減少に直結している。2015年度の前3四半期までの中国鉄道総会社の運輸収入の合計は、4447・7億元で、前年同期に比して0・29%の減少であり、その中で貨物の収入は1741・12億元で、前年度同期と比して9・09%の下落、額にして174億元の減少である。
 また中国鉄道総会社の2015年度前3四半期の総収入は6577・74億元で、純利潤は94・35億元の赤字、前年の同時期比で額にして34・42億元のマイナス、率にして174・11%の大幅下落になっている。さらに同時期の負債総額 は3・94兆元で、前年同期の3・53兆元から4100億元もの増加。増加率は11・6%で、負債率は66・0%にも至っているのである。
 2008年のリーマンショックに対して、中国政府は4兆元の大規模投資を行い、自国経済と世界経済を延命させた。この4兆元のインフラ投資の柱は鉄道建設であり、中国における高速鉄道建設は、2013年に民営化をも契機にしてすさまじいスピードで進み、同時に今や「一帯一路」政策のもとで日帝などとの争闘戦を闘いながら、海外へも高速鉄道輸出を進めている。
 この中国スターリン主義の鉄道経営が、実は今、総破産に入っているのである。経営としては成り立たなくなり、特に一方で進めている高速道路建設と急激なモータリゼーションの波の中で 、貨物が危機的な破産に突入しているのである。日本のJRが歩んできた破産の道と同じような姿がここにある。
 中国バブルが本格的に崩壊し、鉄道建設も劇的な経営破たんに突入したのだ。ここには「過剰資本・過剰生産力」の問題が根底にある。
 しかし中国政府は、バブルが崩壊する今、ますます鉄道建設に延命を求めている。同時に経営が破産すればするほど労働者に対して外注化や非正規化、リストラ攻撃を強め、一方で国外への高速鉄道輸出を争闘戦的に進めることで、この経営危機を乗り切ろうとしているのである。
 そうした労働者への新自由主義的な攻撃に対して、ハルビンでの1000人を超える鉄道労働者の決起が闘われているのだ。そしてこのハルビンでの闘争を頂点にして、 この状況に対する各地で鉄道労働者の闘いが闘われている。
 2015年12月9日には、約40人の鉄道労働者が北京市の中国鉄道総会社の門前で、「同一労働同報酬」を訴える闘いに立っている。2015年11月の初め、北京鉄道局承徳電車区の労働者30人は、北京の鉄道局の門の前に集まり、一年間余の集団的な賃下げに抗議した。さらにその後、北京の高速鉄道区や石家庄高速鉄道所でも40人余りの労働者が北京鉄道局の門前に来て、企業の大規模で大幅な賃下げへの不満を表明している。まさに中国でも、鉄道労働者の新たな決起の時代が到来している。
 中国の鉄道労働者の闘いは、まったく新しい段階に入ろうとしている。動労総連合建設の運動と一体で中国の鉄道労働者との連帯を勝ち取り、ともに勝利していこう!(K)