庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

エネルギー政策の転換によって新産業育成の効果を最大に。

2013-05-31 | バイオ燃料・バイオマス
日本のエネルギー戦略の転換において、『脱原発依存』を最優先して、代替電源には、「天然ガス」と「石炭火力発電」を早急に導入すべきだ、として説明した。
環境問題を重視する団体からは、「石炭火力発電」の新規導入を疑問として、反対する活動も始まっているが、【発電電力量当たりのCO2排出量】を規制すれば、懸念は解決される。
原発再稼働を優先するよりは、「CO2排出量を削減する仕組み」を組み込んだ火力発電を促進する方が、将来にとって効果が生まれる。

『CO2排出量を削減する仕組み』は、従来の研究では分離した「CO2排出ガス」を地中や海底の地下に貯留する方法で、閉じ込める考え方で進めてきた。
これでは、生産的な対処法ではなく、社会的にも認められるやり方ではない。
閉じ込めずに「発生したCO2排出ガス」を積極的に利用するには、「藻類の栽培池」を設置してCO2排出ガスを送り込んで栽培の促進を方策が研究されている。
「藻類はCO2ガスと水から炭水化物を製造する」、地球固有の生物である。
必要なエネルギーは、太陽光線だけなので、無限に増殖が可能である。
増殖した分を採集して、残りの藻類はまた細胞分裂によって、増殖を繰り返す。

この藻類の栽培池を、石炭火力発電所の近隣に大量に造営して、火力発電で発生するCO2排出ガスを栽培池に送り込む。
適切なCO2濃度に調整し、藻類の栽培に最適な水温に調整をしておくだけで、
無限に「藻類の栽培と採集」が継続できる。
この採集された藻類からは、炭水化物と油脂が大量に抽出される。
油脂類は「バイオマス燃料」の製品にされて、自動車等に燃料として利用される。
残さ物には、豊富な栄養源が残り、牛や鶏用の飼料に添加することで、良質の家畜飼料として利用出来る。

この様に石炭火力発電の【発電電力量当たりのCO2排出量】を規制する制度を義務付けることによって、関連してくる新規の技術や産業を活発にする効果を引き起こすのだ。
この制度を創るよりも、今ある【原発の再稼働】を図った方が「CO2排出ガス」の削減が進むではないか、と言うのが原発維持勢力の言い分である。
これが、2000年代の初頭に原子力族が勢いをつけた大きな理由で、その傲慢ぶりが安全性軽視の風潮をつくりだして、大事故を招いてしまったのだ。

次世代にとって、どちらが賢明な選択であるかは、もはや自明のことであろう。

新技術への挑戦が経済活性化と次世代への貢献が大。

2013-05-30 | 快適エネルギー社会問題
日本の将来世代への経済活動ベースとなる【エネルギー戦略の転換】は、次世代に対する影響を左右する重要な課題である。
それに取り組む姿勢が新技術への必要性を生み出して、新規の研究投資を引き起こし、経済活動の活性化効果に波及していく。
それを既存技術の継続を重点にして、新技術挑戦の失敗のリスクを最小にしていては、研究投資も少なくなり、経済の活性化の効果も小さくなってしまう。

石油火力発電の老朽設備を、従来技術の【石炭火力発電】の新規設備に置き換えることは、電力コストを下げる効果は見込まれる、それなりの経済効果は期待できるだろう。
しかし技術革新の面では従来の延長で済むので、研究投資やイノベーションの芽を生み出すには至らない。
ここで、将来に残すエネルギー設備としては、『CO2排出量を大幅に削減できる技術』への挑戦を、引き起こすキッカケにすべきなのだ。

今すぐに実用化されている技術は見当たらないにしても、次世代にとって必要な目標を決めて、期限を区切った実現することに決断すべきなのである。
それには、【発電電力量当たりのCO2排出量】を、法規制で達成目標年限を定めた義務付けを決めていくのだ。
そうすれば、現在はスローペースで研究されている「CO2排出ガスの分離技術」や、「CO2排出ガス貯蔵技術」の革新が進む可能性がある。
また、石炭火力発電にバイオマス燃料を混ぜて燃焼させる『石炭混焼火力発電』は、現状で30%までできる技術も実現しているので、法制化によって大幅に技術革新のスピードが上がる筈である。

これらの、技術革新の研究投資は、関連産業への波及効果も期待できる。
「CO2排出ガス貯蔵技術」の延長には、藻類の増殖に「CO2排出ガス」を大量に利用する研究も進んでいる。
この『藻類の人工的な栽培技術』の実現には5~10年も必要であろうが、研究の飛躍的な発展は、日本の国産エネルギー開発に大きな成果を産むだろう。

それを、現行の旧技術の【原子力発電の再稼働】に重点を移す様なエネルギー戦略を復活させては、技術イノベーションの苗木は育たずに、じり貧のエネルギー転換に収束してしまう。

経済の再生と次世代への貢献を考えたら、どちらが良いかはハッキリしている。

日本の電力エネルギー戦略に石炭火力発電の最新技術を。

2013-05-29 | 国創り政治問題
日本の長期エネルギー戦略の策定において、石炭火力発電の役割をどう位置づけるか、社会的な議論がほとんどない。
原発依存から脱することは国民的な合意であるが、代替できる電力としては、当面は火力発電にたよらざるを得ない。
『天然ガス発電の増強を最優先で進める』ことは誰も異存はないが、2012年の時点ではすでに42%の電力が「天然ガス火力発電」である。
さらに増強するにしても、50%程度までが適切な普及範囲であろう。
足りない分は、当分の間は石炭火力発電に依存するのが、現実的な方策である。

前回に説明した様に、日本の石炭火力発電の技術水準は世界一のレベルである。
エネルギー利用効率で世界一、排気ガスのクリーン度で世界一、石炭の輸入先の分散化も可能で、不安定な中東地域に依存するリスクもない。
石炭火力発電コストは、天然ガス発電の10.9円/kWh.と同等以下で、現在は9.5~10.8円/kWh.で安定的に安いレベルである。
しかし最大の弱点は、【発電電力量当たりのCO2排出量】が、0.943kg-CO2/kWhと天然ガス火力発電の0.599kg-CO2/kWhの1.6倍も多いことだ。
この為に、地球温暖化対策の必要性が言われる状況では、不利な選択になる。

ここで、石炭火力発電を推進しようとするグループは、またも「地球温暖化論」は科学的には誤りで、地球は寒冷化に向かうから【CO2排出量】が多いことは何の問題もない、と主張し始めている。
この論争は、今は目立たない状況だが、世界の潮流は「先進国は率先して【CO2排出量】の削減に努める責任がある」、とされている。
この潮流に逆らってでも、石炭火力発電の増設は、日本の世論も賛成しかねる状況になっている。

そこで、もっとも適切な選択路線は、「石炭火力発電を増設して、当面の不安な電力供給力を安定化させる」方針を採る必要がある。
そして、2020年頃までには、石炭火力発電の【CO2排出量】を、天然ガス火力発電と同等レベル以下に抑制する技術開発を実現するのである。
これならば、国際的にも【CO2排出量】の削減義務を果たす路線を維持するコトが出来る。
少なくとも石油火力発電を代替で、世界のエネルギー需給緩和にも貢献できる。

手をこまねいている時間の余裕はなく、すぐにでも着手すべき代替路線である。

長期エネルギー戦略の転換における石炭火力発電の位置付。

2013-05-28 | 国創り政治問題
食料の自給率を高めると同時に、国内農業の刷新を「高付加価値農産物」の新産業育成に方針を決めるのが、国創り再生の第一歩である。
そして、長期エネルギー政策で、【完全に失敗した原発依存路線】を大幅に転換して、その上で、エネルギー自給率を高める必要性がクローズアップしている。
原発維持推進論者の主張は、エネルギー自給率の不安を訴えて、だから、燃料の備蓄が容易な「原子力発電依存」が良い、との神話を作りだしてきたのだ。
だが、日本の様な地震多発の過密国土では、【原発依存は全く不適切】となった。
その認識の上で、エネルギー自給の目標と戦略を創り直す段階である。

天然ガス発電の優位さが、経済性の面で見直されて、アメリカにも日本向けの輸出の動きが活発化している。
しかし、天然ガスへの依存度を上げすぎるのも、世界の需給と市況の変化に弱くなるので得策ではない。

そこで、石炭火力発電の優位な面が見直されて、マスメディアの前面にも登場してきている。
石炭の可採掘年数は120年で、石油の40年よりも逼迫するリスクは全く少ない。
燃料価格面でも、石油や天然ガスよりも、圧倒的に安価で利用出来る。

日本の石炭火力発電の最新技術は、世界では最高のレベルにある。
横浜市の磯子火力発電所は、2002年と2009年に最進の石炭火力発電所を稼働し、エネルギー利用効率は43%を実現している。
世界での石炭火力発電のレベルは、ドイツ38%、アメリカ36%、中国34%、インド32%であり、日本は技術水準の高さを誇っている。
日本の様な人口密度が過密な地域でも、排出ガスの硫黄酸化物濃度のレベルは、アメリカの5%、中国の4%と圧倒的に低いレベルで、クリーン度は世界一だ。

原発停止により「火力発電の消費燃料の増加」が、電力料金の値上げの要因とされているが、石炭火力発電の発電コストは、9.5~10.5円/kWh.と安価で、石油火力発電の36~38.9円/kWh.に比較して、圧倒的な安さである。
原発停止後に火力発電の予備機を稼働させて、電力供給を賄っているが、その19%が石油火力発電が占めているのが、電気料金の値上げの原因である。
石油は世界中で逼迫しているので、今後も価格が下がることは全く望めない。

できる限り、早くに石炭火力発電に切り替えるコトが日本の利益になる
しかし、将来においてはお荷物となりかねない弱点もある。(以下、次回)

日本の食糧自給率を50%以上に引き上げる目標を立てる。

2013-05-27 | 国創り政治問題
日本政府の従来の方針は、自由貿易を制限なく進めて、海外の安い商品を買い漁ることを良しとしてきた。
しかし、新興国の台頭によって、日本国内での大量生産品の製造拠点は、これらの国の市場拡大に伴って、その国に移転するのが適切な経営判断となる。
これを、日本政府が引き留めようとしても、時間を稼ぐのがせいぜいで、民間企業の選択によって海外への生産移転は確実に進んで行く。
輸出による貿易黒字は、大量生産品については減って行くのが宿命である。

その一方で、海外産の安い食料品や家畜の穀物類は、貿易赤字の要因である。
これが「円安誘導」などの影響を受けて、国費の流出にならない様にして行くのが、日本の将来の国創りにとって必要な政策になる。
国内での遊休耕作地を無駄に放置している様では、雇用面でも農業政策面でも、全く無策とした言いようがない。
今は、遊休地の一部に「太陽光発電設備」などを、「再生可能電力の優遇買取り制度」によって利用されているが、これにも限度がある。
やはり国産の農産物を開発して、国内消費に回すと同時に、「高付加価値の農産物」の生産を促進して、海外の富裕層への供給元に育成するのが良い。

国はこの様な目標を設定して、実際の遊休地に利用策については、地元自治体の自発的な開発に任せるべきである。
地域社会の熱意と創意工夫がベースになるコトが、新産業を育成する上では必須であり、従来の様な「上からの押し付け政策」では、失敗に終わるだろう。
米農家の維持だけに使う様な【個別所得補償制度】などの愚策は早急に縮小して行き、新産業に育成する分野に国の税金を投入するのだ。
アベノミクスの成長戦略には、農林業の刷新が謳われているが、この推進を従来の【中央官僚統制型】で進めていては、間違いなく行き詰る。

また、既得権にしがみついている「農協組織」をアテにしては、従来型の発想の範囲に留まり、利権の強化につながるだけである。
進め方は、市町村レベルにできる限り移管し、そこでは荷が重い重要な課題は、県レベルの責任で自立的に立案して進める。
それでもさらに重要で戦略的に進めたい課題は、県の連合組織として『州政府レベルでの農業戦略』にグレードアップする。

農水省の機能不全を「州政府の組織」に分割して、競わせる環境にするのだ。

豊かさの中身がおかしくなる超金融緩和の弊害を直視せよ。

2013-05-26 | 経済問題
経済の活性化に多くの人の関心が向いているが、本当の豊かさとは何かも判らないままに、とにかくお金が大量に回れば豊かな感じがしている、と考える愚かな専門家が多すぎる。
1980年代の終わりころに、不動産バブルが起きた時にも、本当の価値も不明なのに、やたらに不動産さえ手に入れれば、豊かな感じがするとなって、おカネを借りまくってでも不動産購入に走りまわる時代になった。
それに加えて、金融業界がバブル景気を煽る様に、貸付をやたらと増やして不動産の価値の真偽も怪しげな貸し出しをして、火に油を注いでしまった。

今度は、超金融緩和による「株式バブル」が起こり始めている。
低迷していた株価が、外国の投機資金による高騰としても、企業の含み資産が好転して活動を活発にする機運が盛り上がるコトは、悪いことではない。
問題は、出来た資金をどこに投じて、本当の価値を生み出すかにかかっている。
従来の様に、少しでも安くできる生産地を求めて、海外進出にばかり資金を投じていては、日本の雇用も増えずに若手の能力を引き出す機会もない。
次世代には存分に活躍する機会を与えて、初めて高い能力も開発されるのだ。

そうは言っても、どこに将来の価値を生み出す産業はあるのか、難問である。
この課題に応えるには、十分な熟慮の時間と試行錯誤が必要であるが、アベノミクスの様な浮ついた景気気分で進めていては、誤りだらけになるだろう。
まずは、足元の懸念である「次世代への負の遺産」を取り除いていく事から始めるべきであろう。
その第一は、エネルギー自給率の向上と、【日本に不向きな原子力発電依存】から離脱することである。
その手段としては、原子力産業の転換に役立つ【廃炉産業を育成】することだ。

超金融緩和などの一時的な景気づけの政策は、行き詰った時の落ち込みの弊害は予想もつかない。
しかし、日本には福島原発の4基は、最大の難問の【溶解した原子慮燃料の処理】という30年以上もかかる確実な仕事がある。
他の50基は、廃炉の順序と進行期間には議論があるにしても、1基毎に10年以上も「安全確実に最終処理に持ち込む」大きな任務が確実にある。

これを30年以内にすべて『次世代にツケを残さない』様にできる産業を育成して、日本ならではの『世界最先端の技術開発』のチャンスにすることが出来る。

東海地区での大規模地震と津波の被害をどう考えるのか。

2013-05-25 | 核エネルギー・原子力問題
中部電力は、民主党政権時代に「静岡県浜岡原発」の停止要請を受けて、当時の原発への国民不安に対応して、稼働を停止した。
しかし、自民党政権に交代してからは、保有している浜岡原発を再稼働させる計画で、津波に対する防潮堤にカサ上げ工事を進めている。
さらに、安倍首相の「原子力規制庁の安全審査に合格したら再稼働を要請する」との口約束をもとに、新基準に適合させる追加の設備投資をしようとしている。

なぜ、浜岡原発の停止要請が出されたかは、すでに、忘れてしまったかのような対応ぶりである。
最大の理由は、南海トラフで起きる可能性が高い「大地震の発生の確率が高い」ことであり、30年以内に60~70%の確率であると発表された。
原発設備の事故対応において大地震に対しては、不測の被害が出ることは、福島原発大事故で証明されてしまった。
今までに分かった範囲での知見で、最大の安全対策をするのは当然であるにしても、人知の及ぶ範囲は限られて、想定外は今後も起きうるのだ。

浜岡原発は、日本の大動脈である東海地区に被害を及ぼす可能性が最大の原発であり、建設当初から疑問が出されていた。
しかし、「原発の安全神話と安価神話」を後ろ盾にして、強引に「中部電力の原発保有」の実績をつくり、日本中のどこにでも原発立地をさせる機運をつくることに成功したのである。
しかし、中部電力は原発を稼働する必要性は低く、浜岡原発の稼働が停止した状態でも、中部電力は【電力供給不足】を起こす恐れはない。
停止状態が続いても、中部電力は電力料金値上げの必要性はもっとも少ない。
浜岡原発に立地する静岡県、30km圏内の自治体は原発の再稼働に反対である。

これほど、再稼働の必要性が少ない「浜岡原発」を、大金を投じて再稼働に持ち込もうとする意図は、原発の資産価値が2470億円、積み立て不足額1428億円を、稼働する電力費でカバーしたいのである。
この経費を稼ぎだす為には、あと30年以上も「危険性が高いママの原発を稼働」すると、地元県民はもとより日本の国の活動に大被害を及ぼす【福島原発事故をはるかに超える】リスクをとることになる。

地元県民の意向を無視してでも「再稼働を認める」という安倍首相の「原子力産業へのリップサービス」は、アベノミクス以上の疑問だらけである。

目の前にある新産業の芽を育てられないお粗末な政権

2013-05-24 | 経済問題
アベノミクスの第一の矢と第二の矢の効果は限定的で、短期の活性化にしかならないことが、はっきりと表れた。
そして、どちらも弊害の方が大きいことも懸念されて、今後の対応を誤れば経済の一層の悪化も起こりうる。
「第三の矢とされる成長戦略」は、一本だけでは細すぎて日本を守る強い手段になるには、10本以上を放つ必要があるだろう。
それには、エネルギー分野の長期的な成長戦略が不可欠である。

このエネルギー分野の革新策には、「原発の代替電源」(天然ガスなど最新鋭設備への投資と技術革新)の最優先投資が必要になる。
さらに、21世紀のエネルギー源となる『再生可能エネルギー電源』への積極的な技術開発と普及促進投資である。
エネルギー自給率の低い日本では、「省エネルギー技術投資」も、国益上は最優先されるべき政策である。
日本政府も成長戦略としたが、現状では中身が小出しで効果不足を否めない。

どの分野も、日本での技術開発促進は可能であるが、その前提になるマーケットサイズ(市場規模)が、小さすぎて、企業が研究開発投資を実行するには、メリットが少ないので、企業は二の足を踏む。
その原因の大きな障害が、原子力産業保護の様な「旧時代産業、旧勢力」の権益を守る動きが強すぎることがある。
新規に参入する企業にとって、参入障壁(規制や調整に多大な費用と時間を獲られる)が大きい上に、市場規模の拡大が遅くなり、新規投資の回収が難しい【成長産業を育てにくい土壌】が出来てしまっている。

この様な硬直化体質を打破するには、まず「旧産業の代表的な原子力産業」を、大幅に解体し、原発廃炉産業の様な「世界で最先端の分野」に挑戦を始める「絶好の時期が到来」していると考えるべきである。
それにもかかわらず、旧時代のママの原発インフラに固執し、日本での新規建設が無理ならば海外への輸出だ!と短絡的な発想しかできない。
おまけに、老朽化した原発の修理や安全基準適合工事により、原発維持路線を行えば、『原発代替電源の新産業』が育つチャンスを逸することになる。

目の前にあるチャンスすら、捉えるコトが出来ない安倍政権には、「成長戦略」を口にする資格はない。
お題目を唱えるだけのお粗末な第三の矢の射手なのだ。

安倍内閣は国民に脱原発の道筋を提示する責任がある。

2013-05-23 | 経済問題
自民党の政権公約で原発を維持するとは言わず、「10年以内には、長期のエネルギー戦略を示す」、と曖昧な方針を掲げて政権交代を果たした。
その時期は民主党野田政権が「2030年代に原発再稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」としていたのと、対照的に消極的な取り組みである。
国民の7割以上が原発ゼロを支持していたのに、自民党は「民主党政権の自滅」によって誕生したにすぎない。
政権交代を果たした後の責任政党として、半年も経っているのだから、エネルギー政策の方向を国民に示すべき時期を過ぎている。

電力事業を「時代錯誤の地域独占」から、『発電・送電の分離制度』に転換して、発電事業の自由化を進める、としたのは評価できる。
ただし、民主党政権も掲げていたことを、やっと実行に移したにすぎない。
原発の40年廃炉の原則は、なし崩し的に先送りばかりして、「もんじゅ」の停止の確定的な事態にも逃げてばかりいて、国民の不安には配慮もなく、ムダ使いの垂れ流しである。
電力会社の自己保身的な「体面上の安全対策への経費」は、電気料金で国民の負担を増やすと知りながら、無策に終始している。

今度の参議員選挙の公約においても、この無策ぶりには、「選挙公約を曖昧にしておく」方針で、逃げ姿勢のままにやり過ごす様だ。
アベノミクスの第一の矢と第二の矢は、早くももろさが露呈して、日本経済の立て直しには、一時しのぎでしかないことは明確になっている。
本当の経済活性化策は、「成長戦略の策定とした第三の矢」であるが、この矢を仕立てるのには、時間が必要であることは自明である。
しかし、野党時代の3年半は、長老たちの無策時代に終始し、政権公約の中身をしっかりと充実することをしてこなかった。

政権交代後に、やっと取り組みだしても官僚依存体質は抜けきらずに、民主党政権時代に官僚主導で作った「変わり映えのしない中央官庁主導型」の政策を、見かけを変えただけで、お仕着せの政策ばかりである。
日本経済を停滞に押し込んだ「中央集権体制」を、大転換による地域活性化政策は、未だに具体性がない状況だ。

まずは、エネルギー政策の大転換で、中央集権体制から地域の自立的判断を重視する体制への移行を、原発維持に固執せずに転換政策から始める必要がある。

曖昧な原発路線の安倍内閣の無能により国民は無駄な負担。

2013-05-22 | 経済問題
民主党政権の時代に、原発の再稼働を容認するにしても、40年を経過した原発は延長を認めずに、廃炉にするルールを決めたことがある。
もともとは、原発の寿命期間は40年で想定しているので、建設費や設備の償却は40年以内に終了している。
廃炉費用も40年以内に「所定の費用は積み立て済み」であるから、電力会社の損失負担は一切ないことになる。
40年以上も稼働しようとするのは、電力会社の儲け主義であり、本来の原発稼働の趣旨からは、逸脱している使い方なのである。

安倍内閣が無能であるにしても、この40年ルールすら守ろうとしないのは、国民の意思を完全に無視している姿勢だ。
活断層の存在がグレーゾーンの疑惑の原発や、福島県内の原発、浜岡原発、などを合わせると、2015年までには15基は【廃炉に決定】する必要がある。
原子力規制委員会で決める「新安全基準に適合させる改造」をする必要がない。
だが、今のままでは、電力会社は【無駄と判っていながら、安全基準を満たすだけに必要な改造】に着手して、その費用は電力消費者負担にツケを回すのだ。

残りの稼働可能な期間が7年以下の原発は、政府の主導で、すべて廃炉にして行く事が、電力消費者の負担が最小になる筈である。
政府が何もしないで、電力会社に任せたままでいると、稼働可能な期間が3~7年しかない原発も、再稼働に向けて改造を始めてしまう。
設備の償却費用と廃炉積立費用の上に、安全規制適合の為の費用は上乗せされて、電力料金の査定に根拠に加えられる。
否応なく電気料金は値上げをすると、産業界はグズグズ言いだし、それならば、工場は海外に移転せざるを得ない、と政府を脅して税金での補てん要求する。

今の電力制度のままでは、産業用の電気料金を決めるのは電力会社の一方的な通告で済んでしまう。
2018年~2020年には、『発電・送電の分離』制度に移行する計画であり、そうすれば発電事業者の参入の自由化が進むので、電力会社が一方的に電力料金を決めて値上げするわけにはいかなくなる。
それでも、新規の発電事業者の参入が一気に進むわけではないから、価格競争はそれほど進まない状況が2030年頃まで続くだろう。

その間は、国民は電力会社のムダ使いを、電気料金で払い続けることになる。

電力の将来を考えて原発は順次に減らして行くのがベスト。

2013-05-21 | 経済問題
現在、残っている原発50基のうち、将来はどれだけ動かせる様になるかは、国民の意向に左右される。
原発の再稼働が必要となり、国民が承認する段階になったとしても、最大でも半分の25基以下になり、本当に必要な再稼働原発は、5基程度に抑えるコトが出来る筈である。
その様な予測が誰にでもわかるのに、安倍内閣は残りの50基すべてを再稼働対象にしているから、国民は不信感を深めてしまうのだ。

本当に必要性がある原発の再稼働は、各電力会社地区で、1基を対象にしておけば、良いのである。
例えば北海道では泊原発3号機を一基、東北は女川3号機、関西は大飯4号機、中国は島根2号機、四国は伊方3号機、九州は玄海4号機、などの稼働年数が少なくて、資産価値がまだ比較的大きい原発を再稼働の対象に限定する。
東電の福島県内にある原発は【すべて廃炉に決定】するべきである。
また、東海地区での地震・津波の恐れと、事故時における致命的な被害が予測される中部電力の浜岡原発は、【政治的判断で廃炉に決定】すべきであろう。

この様に再稼働対象として検討する原発の選定をして行けば、安全対策を徹底して実行する上で、人的資源も資金的にも効果的な対応が可能になる。
40年を超えた原発や、活断層の疑問のある、「安全性がグレーゾーン」の原発まで、再稼働を検討するなどは、愚の骨頂であろう。
これを電力会社に任せていたら、経営者は自分の責任にならない様に、原発の存続を図るための「徹底抗戦」の姿勢を採る。
これは時間と人的資源の無駄使いであり、資金的にもマイナス面しか生まない。
このマイナスを食い止める責任は政権与党と安倍内閣にあるのだ。

安倍首相は、この問題に真剣に取り組む気がなく、逃げ回るか、原子力規制委員会の安全審査に委ねると責任を回避している。
日本原子力発電の経営陣は、規制委員会の『敦賀原発は活断層』の判断に抵抗して、外国人等の診断を論拠にして、【廃炉決定に徹底的に反発】している。
この紛争の費用は、電力料金の経費に上乗せされて、日本国民全体の負担増につながってくるのだ。
それに対して責任感なく見過ごしている政権与党は、無能とシカ言い様がない。

まずは、再稼働対象の原発を絞り込み、それ以外は廃炉に決定するべきなのだ。

電力事業の安定供給を維持するのが原発再稼働の目的だ。

2013-05-20 | 経済問題
原発の再稼働を急ぐ理由は、電力会社の倒産を防ぐため、ないしは、赤字転落によって、電力会社の社員の士気が落ちるのを防ぐ為である。
これをハッキリと説明すれば、「どの程度の発電量を原発の再稼働で賄う必要があるのか」、各地域で具体的な議論が進められる様になる。
それを国民に説明しないで、原子力規制委員会の新基準を満たした原発は、すべて再稼働する、との姿勢を採る安倍内閣は、原発の積極推進と受け取られる。
国民の大多数の7割以上が、「脱原発、減原発を期待」している世論に逆行して、
国民生活に無用の不安を増加させているのだ。

まず、「活断層の可能性が指摘されている原発」の再稼働は、グレーの状態でアイマイにするのではなく、潔く【廃炉に決定】する。
電力会社は抵抗するであろうが、国民の意思を尊重し、不安を除去するためには、政府が責任を持って廃炉に誘導するべきである。
電力会社の判断に任せていては、いつまでもグズグズと、異議を申したてて裁判に持ち込んでも抵抗するであろう。
それは、抵抗もせずに廃炉にしたら「電力会社に損失を与えた経営者」として、「株主代表訴訟」に持ち込まれて、損害賠償を経営者に課せられるからである。

次に「稼働後30年以上も経過した原発」は、設備償却も進んで資産価値は残り少なく、この原発に追加の安全対策を投資しても、おカネの掛け損になる。
これも潔く【廃炉に決定】すれば、資産価値がゼロになる分と廃炉費用の積み立て不足分を明確にできる。
この損失分は、電力会社の特別経費増として、電気料金の算出根拠に認めることで、電力会社は損失にしないで済むから、経営者責任にはならない。
ただし、その分の電力料金に値上げは、その地域の電力利用者の負担で賄うことになるので、地域自治体の同意が必要とされるだろう。

さらに、福島県にある原発や、静岡県の浜岡原発の様に、地元の自治体が廃炉決定を強く要望している原発は、残存価値があっても、潔く【廃炉に決定】するのが、世の中の常識であろう。
その場合に、資産価値がゼロになる損失と廃炉費用の積み立て不足分は、電力会社の損失にしないで、電気料金の特別経費分として認めることにする。

つまり、原発を国策として利用して、その利益を受けてきた地域の電力消費者が負担するのだ。
『受益者が負担するのが原則』であるから、スジが通る理由だ。

原発をどうしても維持したい理由はいったいなんなのか。

2013-05-19 | 経済問題
日本の原発は3・11までは、全54基が稼働していたことになっている。
2012年の夏場前には、電力が不足すると大騒ぎになり、遂に関西電力の大飯原発の2基が、安全性の保証もないのに、再稼働を容認して不足状態を回避した。
それまでは、原発が全部止まると、日本中が停電になるぞ、と電力会社は脅しともいえる警告を発していた。
夏場を越すと、大飯原発2基の再稼働がなくても、電力は足りた状態であった。

それでも、原発の再稼働抜きには、日本経済は成り立たない。と言い張る陣営は、今度は別の理由を言いだしてきた。
原発を動かさないと、燃料費の増加による、電力代の値上げによって、日本の製造業は競争力がなくなり、海外に移転せざるを得なくなる。
だから「安全審査はソコソコにして早く再稼働すべきだ」と、安全よりも日本経済が大事だというのである。
それでも、金融の超緩和による円安誘導によって、化石燃料代が上がった状況には、何の説明もないまま、ダンマリを決め込んでいる。
電力代の値上がりによる経済への悪影響を言うなら、円安誘導によるデメリットを、国民、産業界に説明するのが当然であろう。

それよりも、原発を再稼働しないままで【廃炉にせざるを得なくなった段階】では、原発を建設した時の投資を回収できていない金額は、電力会社の損失になることを、はっきりと電力消費者に説明すべきである。
また、最終的には【廃炉処理する費用】を原発の稼働期間で、順次積立によって、廃炉費用の発生する時点では、不足がない様にしているが、稼働期間が40年に達しないで廃炉になると、不足する費用は電力会社の損失になる。
この費用を今すぐに、原発をゼロにした場合は、4.4兆円に達する。
この損失によって、東京電力、東北電力、北海道電力は債務超過に陥る。

この損失を世の中に明らかにして、電力会社の倒産を防ぐのが、原発再稼働を急ぐ理由だと、自民党政権は明確に説明する責任がある。
電力会社を守る方法はいくらでもあるが、原発の安全審査をソコソコにして、とにかく電力会社の破綻を防ぐのが、日本経済にとって優先すると言うのだ。

このことをハッキリと言わないで、「電力が不足するから」とか、「電気料金があがるから」などと、国民に不安を引き起こす様な説明ばかりをしてきた。
本当の理由を国民に説明すれば、もっと、まともな議論が進むはずなのに・・・。

電力業界を守ることを大事にして国民を三重苦に晒す。

2013-05-18 | 核エネルギー・原子力問題
先行きが全く行き詰まっている「核燃料サイクル」をまだ転換せずに、「もんじゅ」の維持に年間200億円以上も税金を投入し続ける理由はなんであろうか。
また、福井県敦賀市にある「安全性が劣るとされた敦賀原発1・2号機」を、電力会社から維持費をつぎ込み続けて維持するメリットは何があるのか。

国民に向けて、その理由を説明する責任が安倍内閣にあるのに、参議院選挙が終わるまでは一切触れない様にして、関心を他の論議に向ける。
今すぐに必要でもない、「憲法改正発議の96条改訂」を持ち出すのも、その作戦の一部であろう。

マスメディアや有識者、評論家は、「憲法改定」となると、国家の一大事だと一斉に関心を向けて、議論が活発になるが、本来の「憲法改正の中身の議論」は、言いだしている自民党内部でさえも、何にも議論がされていないで、合意があるのかさえ疑問だらけの段階である。
この様な議論は、自民党、公明党の与党同士で、本当に次の参議院選の争点とする必要があるのか、議論を進めておくべきであろう。

その一方で、国の将来を支えるエネルギー政策の転換については、10年後までかかると「先送り姿勢に終始して」、国民に説明出来る戦略は最後にしている。

その意図は、電力業界につながる、【旧体制の利権企業集団】と【官僚機構の癒着構造】を維持したいのである。
「もんじゅ」を廃炉にして、核燃料サイクルの行き詰まりを認めてしまうと、現状の原発50基を維持して行く理由は全くなくなる。
民主党の掲げた2030年代の後半までに原発ゼロにする【脱原発路線】に、のらざるを得なくなる。
それ以前に、【使用済み核燃料と廃炉による高レベル放射性廃棄物の最終処分】の問題が浮上して、原発を運転するコト自体が出来なくなる。

役に立たないと判っている「もんじゅ」の維持も、安全に不安の多い「敦賀原発1・2号機」の維持も、現状の矛盾を露呈させないで、電力業界、原子力業界の利権を可能な限り維持する戦術なっている。
現状を何も変えないコトが、安倍内閣にとって最良の選択であり、その間に【国民の負担が増え続ける】のは、些細なことであるとしている。

1%の電力・原子力族の為に現状維持を重視し、99%の国民を【不安と疑念と経済損失の3重苦に晒す】のが、自民党安倍政権の基本姿勢なのである。

原発存続の方が安全性確保よりも重要とする安倍内閣。

2013-05-17 | 核エネルギー・原子力問題
原子力政策の転換に消極的な安倍政権は、高速増殖炉の実験炉「もんじゅ」が、安全性をナイガシロにしてきた不祥事に対して、なんらの見解も示さずに、無責任な傍観を決め込んでいる。
これでは、「サマにならないから、トカゲのしっぽ切りの、「日本原子力研究開発機構」のトップが自発的に引責辞任をする形式的な幕引きを図るつもりだ。
責任者の辞任は当然だが、更迭ではなくて自己申告辞任では、自民党政権の「安全に取り組む姿勢が疑われる事態」であり、「もんじゅ自体の先行き」には、何の意志の表明も出来ないでいる。

同じ福井県にある「敦賀原発2号機」には、「活断層の存在が確定」されるので、
原発は廃炉にしなければならない。
さらに、同じ敷地内の「敦賀原発1号機」は40年以上も経過した老朽機である。
3・11以前の「安全神話が健在」の時期に40年以上の運転延長が認められた特例の設備で、本来は廃炉にするのが妥当な設備である。
この原発の所有は、電力業界が資本金の9割を出資した「日本原子力発電」で、
この2基を廃炉にすると、今後の収入源は途絶するので、会社整理をしなければならなくなる。

日本原電の原発(敦賀2基、東海村1基)の3基を廃炉に決定した場合は、資産価値がゼロとなり、廃炉費用としての積立金の不足を上乗せした金額2500億円が損失額となる。
資本金や純資産を合わせて1600億円でも不足で、完全に債務超過、破産である。
資本金1200億円の9割を出資した電力会社は、この分をすべて負担するが、今でも契約上で日本原電に維持費用を払い続けている。
何の価値も電力も生み出さない設備を持っているだけで損失が膨らむのに、この分は電力料金に転嫁して、電力会社は何の痛みもないからである。

損失の増加しかあり得ない状態になっても、安倍内閣は「安全対策に万全を期す」ことで、再稼働が出来るとの幻想をふりまいて、廃炉の決定を曖昧にしたまま、電気料金や税金の上乗せで、先送りをする姿勢をとったママでいる。
先送りをしても2500億円の損失が減ることはまったくない。

先送りする度に、毎年、無駄な維持費が浪費されるのが明確であるのに、自民党も安倍内閣も、夏の参議院選挙に不利な情報を、アイマイにしておきたい一心である。
この事実を明確に指摘できない野党各党も、同罪に等しい愚かさだ。