経済再生を最優先する安倍政権では、物価上昇率2%目標を達成することが、優先的な課題であった。
ところが超金融緩和を実施したおかげで、円安誘導で利益を増やした企業が、賃金引き上げや設備の新規投資をしないで、貯め込むだけだ。
労働分配率を増やすことが、景気回復の要であるのに、自民党政権は、スポンサーである経済界の要望を最優先で実行してしまった。
ヨーロッパの企業の法人税率はもっと低いから、国際競争力を維持するには、法人税率を30%以下に引き下げるべきだ、との主張である。
これを引き下げれば、企業が設備投資や賃金引上げに目を向けるだろう、との甘い想定である。
ところが、企業側の論理では、世界経済の先行きが不透明だから、自社の存続を優先するため、内部留保を厚くして備えるばかりである。
結局、金融市場に注ぎ込んだお金は、内部留保を厚くするだけで、賃金引上げにまわらず、消費は一向に上向かないで、デフレに落ち込む。
せっかくの機会を、何の効果もない内部留保を厚くする法人税減税は、
近来の中での最悪の愚策である。