庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

環境規制を民間業界の自主規制に任せる経産省の慣例は。

2015-08-31 | 環境問題

経済産業省は、「温室効果ガスの削減」について、京都議定書の時代から、環境規制を法制化して企業に義務付けるのではなく、自主規制を採用した。

これは、民間企業側が業界の話し合いで、国の方針に沿って目標を達成する活動を実施するにあたって、経営の自由度を確保したい為の方策である。

だが、電力業界と言っても、大企業から最近算入した小規模のベンチャー企業を入れると、2014年には3283社も新設された。

電力業界の自主規制という枠組みは、2000年頃には大手電力会社ばかりであったのが、[FIT]制度ができて、新規参入企業は、2011年の50倍にもなる。

 

電力業界は、昔は護送船団方式で、一番対策が遅れている企業を救うために、できる限り規制は緩くするのが常識であった。

しかし、2015年の電力業界は、その様な自主規制が合意できるような、馴れ合いの合意がとれる様な状態には、まったくならない。

2016年からは、電力の小売り事業も、基本的に名自由化されるので、各企業は競争相手になるので、手の内を見せる様な経営談合はもはやあり得ない。

経産省が、業界に「自主的な枠組みに対する具体化」を要求したと言うが、競争相手になる他企業に、具体策を提出する様な、気の優しい経営者がいるのか。

 

これから新設する火力発電所は、現在の実力の[CO2排出係数]を、下回るレベルでなければ、新設の火力発電は、認可しないとすべきだ。

つまり、何も[CO2排出]の削減策を計画していない設備は、この規制をクリアーしていないから、当然、新設工事は不許可になる。

高効率の石炭火力発電は、従来の旧式な石炭火力発電よりも、[CO2排出]の削減に貢献する、などの詭弁は通用しないのは当然だ。

例えば、排出される[CO2ガス]を分離して、近隣に「藻類の培養地」を新設して、水中に[CO2ガス]を溶かしこんで、藻の培養の原料にする。

これで、半分以上の[CO2]を空中に放出しない様にすれば良い。

 

この様に、無責任に[CO2ガス]を大気の放出するのを規制すれば、新規の技術に挑戦しないわけにないかなくなる。

それをやる資金も意気込もない「新規電力事業者」は、石炭火力発電の計画を取りやめるしかない。

どうしても、火力発電事業に新規参入したいのならば、「天然ガス火力発電」の新設計画を具体化すれば良い。発電コストは、十分に経営が成り立つ。(続)


電力業界と経済産業省の無責任な先送り体質を弾劾せよ。

2015-08-30 | 環境問題

日本は2000年頃までは、世界の中でも「環境先進国」と言われて、「気候変動対策」でも積極的に取り組み、京都議定書の交渉に取り組んだ。

それまでの[CO2排出]のレベルは、世界の中でも、もっとも削減が進んでいて、他の諸国の模範とされていた。

ところが、京都議定書が発効したにもかかわらず、日本の産業界は、「自主的削減目標」を大幅に緩くしてしまい、経済産業省も何もしようとしなかった。

ただ、原子力発電の増設だけで、[CO2排出]が減少することに依存した。

 

しかし、今や「原発依存は国民からの支持を失っている」状態で、化石燃料に依存する割合が最大になっている。

特に、これからの時代に向かって「石炭火力発電所」を新設する路線は、日本を【環境後進国】に追いやる、容認しがたい方向である。

環境省は、電力業界の石炭火力発電所の環境影響評価(アセス)手続きで、「是認できない」との意見書を経済産業大臣に提出している。

電源開発による山口県の計画。中部電力による愛知県での計画。さらに、九州電力の「千葉県袖ケ浦火力発電所」新設計画に対する厳しい意見書である。

 

経済産業省は、曖昧な態度のママに、見過ごすつもりで、「業界の自主的取組」をすれば良いとしていた。

しかし、電力業界は、具体的な仕組みもなく、目標値も示さない「カラ手形の様な自主的取組」をするとしただけである。

年末の「国連気候変動枠組み締約国会議(COP21)」までに、早急に具体的な[CO2排出]の削減目標値を上げて、その対策を義務付ける必要がある。

しかし、京都議定書の時にも、原発依存でそれ以外の具体策は皆無であった。

 

石炭火力発電所はいったん新設したら、稼働開始から40年間は、火力発電になかでも最大の[CO2排出]を出し続ける。

経済産業省は、20年もたてば[CO2排出]を分離して、地下貯留か他の産業で利用する方策ができる、と淡い期待をもっている。

これは原発を稼働させておきながら、[放射性廃棄物の地下処分]は、そのうちに実現できる筈だから、新設を進めてしまえば、そのうち何とかなる・・!。

このやり方の魂胆は、難しいことは次世代の後始末に仕事に残し、自分たちだけが甘い汁を吸って、いい思いをしたいだけなのである。

40年前のやり方が、通用するとでも思っているのか、許しがたい魂胆だ。(続)


自分たちの都合で先のことは説明しないホウカムリ体質。

2015-08-29 | 環境問題

高度経済成長時代には、日本の産業を早急に「欧米の先進技術を導入」して、日本流に改善しながら、民間企業との連携で成功事例を積み上げてきた。

「欧米産業に追い付け追い越せ」が合言葉で、中央官庁の優等生である「経済産業省」(旧通産省)の幹部たちが、日本の産業を育成してきた。

現在の経済産業省は、完全に日本全体を停滞させるために動いている様である。

原子力産業の破綻は、安全性よりも既得権業界の利権優先が原因である。

 

今回の時代錯誤的な「石炭火力発電の大増設」は、倫理観を失い、合理的な思考能力を捨て去った、【既得権業界擁護】にすぎない大愚策である。

石炭火力発電を強力に進める理由としては、化石燃料輸入に依存する体質のまま、もっとも安定して輸入できるからである。

価格的には、石油は乱高下し、天然ガスの輸入量増加には、調達先を増やす必要があっても、競争相手が多いから懸念が多い。

だから、石炭に依存するのが一番安心だと言う。

その上に、石炭火力発電は、[12.3円/kWh]の発電コストで、2030年時点の予測は[12.9円/kWh]で、将来も安価な電源である、としている。

 

しかし、この発電コストには、[CO2排出]の削減対策が全く含まれていない。

経産省によれば、この削減対策は欧米先進国の技術を後追いして、将来には「モノマネ」で対策処理を追加して行く目論見になっている。

では、その追加コストはどうか、というと、全く国民には説明されない。

電力会社も密かに調査・研究を進めているが、その追加コストが膨大に上がるので、一切、電力消費者側には秘密にしたままである。

 

これは、原子力発電を大幅に増設して行く段階で、「安全対策コスト」を、低く治めて、本来の発電コストよりも、「安価な電源」であるとアピールしていた。

2011年に大事故で見直しされ、本来の発電コストは、[10.1円/kWh]以上となって、【安価電源神話】も崩壊した。

この大誤算を進めた「ゴマカシの体質」が、【石炭火力発電の大増設】でも、また復活している。

今の時点では、発電コストが一番安いから、として経済成長に不可欠の電源だと言いながら、将来に大幅に値上がりしても、自分たちは、ホウカムリできる。

原発の大事故でゴマカシの体質が露呈して、【原子力族】の悪名が国民衆知となったが、今度は【石炭族】の登場である。もういい加減にせよ!・・!!(続)


今や20世紀の遺物的な発想の巣窟となった経済産業省。

2015-08-28 | 環境問題

経済産業省の産業育成に関する能力は、高度経済成長時代には、日本株式会社の頭脳と言われるほど、海外からも戦略的な遂行能力を評価されていた。

それが、1980年代バブル経済に浮かれたころから、【傲慢体質に堕落】した上に、将来の日本のあり方を描きながら政策を立案する能力を喪失した。

1990年代のバブル崩壊以後は、目玉となる産業育成は、短期的なサイクルで勢い失って方針転換ばかりする、迷走ぶりであった。

2000年代には、旧時代産業にしがみついて、保護する政策だけであった。

 

典型的なのが、電力業界の保護であり、原発の拡大路線の推進であった。

原発が国民の支持を完全に失っているのに、しがみつく「原子力族」を守る姿勢で、その生き残りの根拠を、「地球温暖化政策に貢献」との厚かましさである。

その一方では、石炭火力発電を国内も海外へも積極展開する【時代錯誤の基本方針】を掲げて進めようとしている。

その言い分は、石炭火力発電の旧式設備を最新の高効率システムに転換すれば、環境対策になる、という厚顔ぶりである。

 

肝心の環境省からは、石炭火力の増設は日本が国際的に約束している「温室効果ガスの削減目標」を守れなくなる元凶になるので、再考すべきだ!・・と。

以前に国際条約となった、「京都議定書の削減目標」は、1990年比で6%削減とされたが、経済産業省の管理責任の産業界では、削減ができなかった。

森林吸収源としての機能で、林野庁での政府予算をあて、各地の植林地の森林機能を回復させる活動で、3%以上を達成した。

残りの削減分は、民間の省エネルギ―活動で削減し、達成不足分は、電力会社が海外での削減分「排出削減クレジット」の購入で埋め合わせた。

 

結局、経済産業省が進めるべき「再生可能エネルギー」産業の育成を加速させて、石油の消費量を削減することは、まったく出来なかったのである。

林野庁の予算は、国民の税金であり、電力会社の「排出削減クレジット」の購入費用は、電気料金に転嫁して、国民からのおカネを充てるだけである。

これほど、国民に対する責務を果たしていない経済産業省の幹部は、今度は、こともあろうに【温室効果ガスの排出増加】を引き起こす、石炭火力発電の電源構成比率を26%に高い割合にするつもりでいる。

石炭火力発電で排出される[CO2濃度]を、大幅に引き下げない限り、国際的な約束は、果たせないで世界中から批判を浴びることは確実である。(続)


21世紀初めに判断能力が落第の経産省幹部をまだ・・。

2015-08-27 | 快適エネルギー社会問題

2000年初頭の「経済官庁」の幹部官僚たちは、2015年に経済の行き詰まり原因となっている、新産業育成の芽を潰した「責任者」であった。

名目上の責任者は政治家であるが、政治家の能力では「新技術の進化の予測」は、できる筈もなく、中央官庁の頭脳集団が、基本政策の立案をするのだ。

その政策が完全な予測の誤りを産みだし、それに輪をかけて【原発の安全神話をデッチ上げてきた】エネルギー敗戦の責任は大きい。

 

ところが、「経済産業省」では、誰も責任をとらない上に、2030年に向けての電源構成の作成では、またまた、将来予測の面で大きな誤りを演じている。

安倍政権は、この様な無能の集団の言うことを、まだ頼りにしてエネルギー戦略をたてて、その上にのせた「成長戦略」でも経産省頼み、である。

何度もおおきな過ちを犯したうえに、責任を負わないで、依然としての無能力のままで、2030年の目標を作成している。

その誤りと無責任体質を黙認したままに、「経済成長を抑制する旧時代産業擁護」を、政策の主軸のすえたまま、マネーゲームの成果に翻弄されている。

 

アベノミクスの掛け声で、「第三の矢」と打ち出している【経済成長戦略】は、世の中に成果が見え始めている兆候もない。

これは、新産業の育成には、取り掛かりから成果が出るまでには、早くて5年はかかる上に、経済的な政策支援が不可欠である。

ところが、経済産業省が打ってきた政策は、継続性のない一過性ばかりである。

2002年には、太陽光発電の育成は終わったとして、補助金制度を打ち切って失速させて、その後に、海外の大幅な太陽光発電関連産業に抜かれてしまった。

大慌てで、対策を打ち出そうとしたが、その時期は逸していた。

 

他の目玉となる様な新産業への継続的な育成策は、全く見えない。

経済産業省では、新産業を育成する能力が、トックの昔に欠落してしまったので、何を育成するべきかの判断能力を磨くことができなくなっている。

曲がりなりにも、超金融緩和の影響で、金持ち層だけが潤う分野でのおカネの循環が良くなったのはたしかだ。

これは、経済政策の成果ではなく、単に円安誘導によって、外国からの購買力の増加が数字面に影響しただけである。

それも、安倍政権の願望だけで、消費者の購買力の向上はなく、恩恵は一部に限定されて、ついに、経済成長率は大幅なマイナスになってしまった。(続)


経済成長の芽を潰して原発の拡大に走る経済産業省。

2015-08-26 | 快適エネルギー社会問題

日本の経済成長に不可欠の新産業は、次世代エネルギーとなる『太陽光発電』や『風力発電』の新技術開発によって育成される。

今の段階になっては自明のことが、2000年頃の「経済産業省の幹部官僚」は、全く理解していなかった。

2000年代初頭までは、日本の太陽光発電産業が世界の先頭を切って、技術革新を実現していたのである。

しかし、2003年頃からは、新産業として育成する「国家的な戦略」を立てないままに、補助金制度を打ち切ってしまった。

 

何故、世界一になれる新技術、しかも、エネルギー産業の中核に育成が可能な分野を、切り捨ててしまったのか。

それは、将来にエネルギーの根幹を、当時では原子力発電が最も安価である、との「安価神話」が、まかり通っていたのである。

2004年頃に出された発電コストの公表値では、[4.6円/kWh]とされていた。

当時の太陽光発電の発電コストは、[60円/kWh]以上もしていた。

だから、将来は原発エネルギーに依存するのが、日本経済の安定と発展には、もっとも適切として、再生可能電力は支援しない国策にしてしまった。

 

この基本国策によって、「太陽光発電関連産業」は、成長軌道から外れて研究開発も力を抜いてしまったのである。

ところが、2014年時点での原発発電コストは、[10.1円/kWh]以上となり、太陽光発電の[24円/kWh]との差は、大幅に縮小している。

しかも、技術進歩はさらに進展して、2030年には火力発電コストと同等のレベルの[12.7円/kWh]にまで、発電コストが安くなる予測である、

この様な技術進化の予測を無視して、経済産業省は、未だに【原発がベース電源になる】と想定して、電源構成比率を20~22%モノ大きな数値を掲げる。

 

これだけ、原発に比率が高いと、太陽光発電などの出力が変わる電源は、比率を下げておく必要がうまれてしまう。

その結果が、2030年での再生可能電力の電源構成比率が22~24%と、世界水準から見て圧倒的に低い普及比率に、留めてしまう目標としてしまった。

【原発を可能な限り残して、再生可能電力を抑える】国策では、経済成長の牽引力となる産業を育成する意思がないのだ。

これが経済を主管する中央官庁のレベルであることが、大きな弱みである。(続)


再生可能エネルギーの技術と備蓄システムが平和に貢献。 

2015-08-25 | 快適エネルギー社会問題

再生可能エネルギーは「特別の地下資源が無くても、太陽光を受ける土地と、風が吹く空間を所有」していれば、どこでも、無現のエネルギーを受けられる。

日本の様に国土が小さくて人口が多い国でも、『風が大量に吹いている海洋』を利用すれば、全人口の需要を満たせるだけのエネルギーが得られる。

しかも、今の技術水準で、「電力から輸送機器用の燃料を作る」ことも可能で、石油の輸入は一切、必要がなくなる。

電力が豊富に手にはいれば、冷暖房のエネルギーも、まったく心配ない。

 

このブログに何度も書いている様に、これから必要になる技術は、この再生可能電力の発電の変動分を、『需要に沿えるように貯蔵する』技術である。

貯蔵技術が進化すれば、輸送して需要の大きい地域へのエネルギー供給を可能で、地球のどこでも、必要なエネルギーを受け取ることが実現できる。

国や地域によって、貧富の差はなくならないだろうが、エネルギーが手に入らない為に、生活が成り立たないことは全くなくなる。

再生可能エネルギーの安定的供給と「需要のある地域、時間帯に供給ができる備蓄、輸送システム」が、日本の技術と工業力で、実現することが可能である。

 

この成果を広めれば、現在の世界的な不安定要因のエネルギー争奪戦がなくなり、安定した社会となり、経済の安定的な成長の基盤が出来上がる。

世界の大きな紛争、戦争の原因となる、「エネルギー利権」は、これによって、

紛争の原因から取り除くことにつながる。

安倍政権が掲げる「積極的な平和貢献」は、この再生可能エネルギーの備蓄技術の徹底的な開発が、一番目にこなければならない。

自衛隊が、紛争地域に派遣されて、武力衝突に巻き込まれた戦争に加担する懸念は、避けなければならない。

 

今の国会で、議論が迷走している「安全保障議論」は、日本が貢献する分野では全くなく、集団的自衛権の行使など、論外の課題として中止すべきだ。

日本は優れた技術開発力と、経済大国2位の実力をいかして、再生可能エネルギー分野で、徹底的に技術革新での貢献をすべきなのだ。

少なくとも1990年代では、日本の国旗に象徴される『日ノ丸の具体化』策で、世界の先頭を進んでいた。

説明するまでもなく、「太陽光発電の分野」では、技術開発で先導し、設置量も生産量も世界一位であった。

しかし、経産省がこれを潰したのである。(続)


誤解だらけの将来エネルギー構成が政策を迷走させる。

2015-08-24 | 快適エネルギー社会問題

「水素エネルギー社会」の到来と、マスメディアが書きたてるので、空中にある水素を捕獲して「エネルギー利用できる社会」とカン違いする。

水素は安定分子の水を分解して作りだすもので、その元になるエネルギーが必要なる「エネルギーからの生産物」=「二次エネルギー」と認識すべきだ。

この元のエネルギー源を原子力エネルギーに依存するつもりが、経済産業省の原子力ムラの残党たちである。

その【隠された意図】があるために、政府が推進する具体的な研究開発の課題が、支離滅裂となってしまうのだ。

 

世界的、長期的なエネルギー戦略としては、脱化石燃料が必須の課題である。

この代替エネルギーとして、「原子力エネルギー」が本命とされてきた。

しかし、20年間の技術進歩によって、『再生可能エネルギー』の中で、特に「風力発電」と「太陽光発電」の発電コストが、画期的に安価になってきた。

特に風力発電は、風況のよい(一年中を通じて風速が高い)地域に建設すれば、「石炭火力発電」よりも、安価に出来る実績が出てきた。

また、「太陽光発電の技術革新競争」の成果が、今後の10年程度で、化石燃料発電よりも安価に出来る見通しが出てきたのである。

 

建設費が膨大で、テロや天災の影響の懸念がおおきい「原子力発電」を新設するよりも、経済性の面でも、優劣が明らかになってきている。

このブログで、何度も書いてきている様に、日本の様な災害のリスクが大きい国では、【原子力発電依存】を選択すべきではないし、国民の総意でもある。

天災の懸念が少ない国でも、【今後も活発化するテロ活動】のリスクを回避するためには、「風力・太陽光エネルギー」への依存度を高めていくべきなのだ。

最大の弱点は、発電量の変動が「天候に左右される」ことで、これさえ対策できれば、今後100年以上の間では主力電源にできる。

 

しかし、安倍内閣は、先の2020年の電源構成目標では、「原子力20~22%、再生可能電力22~24%」と、原子力を相変わらずに重視する。

再生可能電力の目標を30%以上にすることは可能なのだが、送電線容量と「電力備蓄設備」(揚水発電&バッテリー)が限られるので、抑制してしまった。

九州地区の様に、「太陽光発電適地」が多い地域であるにも拘わらず、事業者の新規投資を抑えこんでしまったのだ。

これが、経済成長を目指す【経済重視の内閣】の方針とは、情けない始末だ。(続)


国の根幹につながる研究には出し惜しみし花火には大金。

2015-08-23 | 快適エネルギー社会問題

「水素エネルギー社会」という言葉は、安倍政権が華々しく打ち上げて、マスメディアにたびたび登場するから、一般国民も関心が高くなっている。

しかし、残念ながら技術開発の方向は「完全に間違った手段」を選んでしまい、それに踊らされた民間企業や、地方自治体が無駄な投資をし始めている。

水素を超高圧で圧縮して貯蔵したり、使うことだけが、独り歩きを始めてしまっているのだ。

各地に燃料電池自動車用の【水素ステーション】の建設を計画して、貴重な税金を投入する動きも、広まってしまっている。

 

燃料電池自動車の普及などは、国家として急ぐ必要もないのに、「成長戦略の目玉」であるかの様な扱いを受けて、大金を投じて補助しているありさまだ。

むしろ、これから本格的に必要になる『エネルギーキャリア』の研究開発こそが、国の支援で加速しなければならない課題なのである。

「エネルギーキャリア」は聞きなれない言葉で、水素の貯蔵や輸送には便利になる「別の化学物質」のことを指す。

例えば、水素原子を6個捕獲する「メチルシクロヘキサン」があり、よく知られている「アンモニア」もある。

 

この化学物質は貯蔵に特別の設備も不要で、常温、大気圧での保存が可能だ。

危険性が最も少なく、エネルギーを採りだす必要に応じて、水素を分離して、消費するのに、扱いやすい。

エネルギーキャリアを構成する物質は、リサイクルできるので循環させる。

この様な技術はエネルギーの損失が少なく、経済性も将来は大きく進化する。

政府としての現状は、ホンの一部の研究開発に、補助金を支給している状況で、これではいつになったら本格的な実用化になるのか、心もとない状態だ。

 

政府は、燃料電池自動車の様な【花火のように華々しい研究対象】には、大判振る舞いの補助金を出すが、『経済の根幹の革新につながる技術』には冷たい。

洋上風力発電の普及拡大に不可欠の、「洋上風況マップ」の作成には、わずか2.5億円しか、政府からの助成金は出ない。

必要性が明確になってから2年も遅れているのに、この出し惜しみでは、今後の成果に結び付く可能性は疑問だ。

再生可能電力の普及促進策では、【需要が少ない時間帯の発電量が送電線に流せない問題】は、昨年の秋に発覚したが、その本格対策は手つかずだ。(続)


再生可能エネルギー依存社会の実現に不可欠の貯蔵技術。

2015-08-22 | 快適エネルギー社会問題

長い将来のことを考えて、エネルギー戦略を進めることが、日本の安全保障と豊かな生活を継続できる基本である。

今の様な「原子力エネルギーに大量依存」する社会は、日本には不適格であることは実証され、復活はないであろう。

その代替としての再生可能エネルギーは、海上の風力エネルギーの利用が実用化出来れば、日本はエネルギー大国になる潜在力を持つことになる。

もはや化石燃料に依存する必要がなくなり、枯渇の懸念がある石油依存から離脱が可能になる。

 

さらに、現在からしばらくは天然ガスと旧時代のエネルギーの石炭依存が続くであろうが、長期的には日本で産出しないエネルギーから卒業する必要がある。

貿易収支の負担からは、完全に開放されるうえに、治安や紛争の懸念が大きい中東地区などからの、エネルギー遮断のリスクは皆無になる。

ここに到達するには、再生可能エネルギーの製造コストが、大幅に低下することが必須であるが、太陽光発電や、風力発電の発電コストが、化石燃料発電のコストを下回る時期の目途は、すでに先が見える状況になっている。

 

最大の弱点としては、一定した出力を保証する能力はないので、これの補完には、「電力の一時貯蔵」が必須の課題である。

その有力な候補が「水素エネルギーへの転換」であり、「水素の貯蔵、及び輸送技術」の開発が急務となっている。

水素の貯蔵をする目的で、高圧で圧縮したり、低温にして液化する技術があげられることが多い。

この貯蔵法には、「せっかく作りだしたエネルギーを貯蔵するために無駄にする」との批判が多い。

 

燃料電池自動車の場合は、700気圧の超高圧にするために、消費するエネルギーは大量に必要になり、輸送する超高圧タンク車には、危険性が付きまとう。

政府や「マスメディア」が、燃料電池自動車に水素を使う欠点を無視して、【究極の環境先進車】と言うのは、完全に誤解している。

水素エネルギーはできるだけ、「貯蔵や輸送に余計なエネルギーを使わない方法」を開発すべきなのだ。

現在は、主力に考えられている技術は、貯蔵し易い物質「エネルギーキャリア」に変えて貯蔵し、消費する時には水素を取り出す方策が研究されている。(続)


脱化石燃料経済への転換の本命は水素エネルギーの貯蔵だ。

2015-08-21 | 快適エネルギー社会問題

再生可能エネルギーの分野が、将来の膨大な新産業となって、日本の経済を支える根幹となることは、もはや誰も否定しない。

しかし、その技術開発や普及促進の具体策となると議論百出の段階で、日本としての国策は迷走ばかりを繰り返していたので、世界から大きく遅れている。

その責任の大半は、歴代自民党政権の政治判断の誤りにあるが、今さら責任を追及しても益がないので、今後の方向をしっかりと議論すべきだ。

日本は国土が狭いから、「再生可能エネルギー」の供給力は、限度があるので期待できない、と言うのが従来の一般的な人の誤解であった。

 

このブログで何度も説明している様に、日本は、世界第6位の排他的経済水域を保有している、『海洋大国』である。

利用価値は多方面に渡るが、再生可能エネルギー分野では、四方を風況に恵まれた沿岸部を持っているので、この『風力エネルギー利用』が急務である。

1990年代から世界では、風力発電の将来性が着目されて、技術開発が急速に進展したが、日本では陸上風力はかりの議論で、設置可能量は限られている。

これでは、大手の企業も日本市場を対象にした大型投資はできない。

 

国が海洋面での風力発電に着目して推進し始めたのは、原発事故後の2011年であったし、「洋上風況マップ」の作成に取り組んだのは、2015年からだ。

とにかく、【政治判断が遅れて今や風力後進国の地位】に甘んじるが、本来の日本の技術力は、やる気になりさえすれば、世界のトップクラスになれる。

『風力発電の浮体式洋上発電所の建設』には、膨大な周辺技術の開発課題があり、政府が本腰を入れて開発支援をする必要がある。

また本体とは別に、風力発電の弱点である『蓄電技術を革新』する必要がある。

 

今までなら、一次的な畜電には、「揚水発電所」の建設が実施されてきた。

もちろん、この方式で拡充することも出来るが、適地が限られる。

そこで、最新の2次電池技術が着目されるが、蓄電量が小規模に限られる上に、設置コストが高いことと、耐久性に難点があり、技術革新が待たれるところだ。

代わって着目されているのが、「電力を二次エネルギーとしての水素に転換」して、貯蔵や輸送ができる技術開発である。

『水素エネルギー社会』とマスメディアが報じるのは、「燃料電池自動車」に関することばかりだが、本命は、再生可能電力の『蓄エネルギー技術』である。

この技術進化が、日本の将来の経済成長の要になるのだ。(続)


対応策が後手になる安倍政権の脱化石燃料の自立策。

2015-08-20 | 快適エネルギー社会問題

超金融緩和政策の大きな誤りは、円安誘導によって、輸出向け製品の海外競争力が強くなるので、輸出金額が大幅に増えるとカン違いしていることだ。

輸出製品を生産している企業は、円安になればドル建てでの輸出品の価格をそのままでも、円換算にすれば、大幅に輸出金額はふえる。

しかし、実際の貿易統計によれば、輸出金額は増えても【輸出の数量での実績】は、減少している。

つまり、輸入原材料や化石燃料の価格上昇の影響で、製造コストが上がってしまうので輸出価格が上がってしまい、輸出量は減少の実績になるのだ。

 

円安によってコストアップの影響が大きいのは、化石燃料に依存した事業で、電力価格は大きく上昇し、法人向けの電力料金は3割近く上昇している。

今後も円安の流れが続く様であるから、できる限り、国産の自立エネルギーへの転換策を促進する必要がある。

その中でも、日本は四方を海洋に囲まれているので、『洋上の風力発電』の潜在的な賦存量は膨大になる。

本来ならば、他国に先駆けて「洋上風力発電の技術開発」に力を入れるべきであったが、実際には2011年の原発大事故の後から着手した程度だ。

 

世界での海洋国家の動きでは、イギリスが2000年代の初頭から、洋上風力発電の技術開発を進めていた。

2010年以降は、浅瀬の多い海岸沿いに、「着床式洋上風力発電の大規模ウインドファーム」を計画し、着々と設置規模を拡大している。

日本では、遠浅の海岸は少ないので、設置には、『浮体式洋上風力発電』が、主力の技術になる。

投資額が大規模になるので、事前の計画段階では、「洋上の風況調査」が必須になるは、当然であった。

 

ところが安倍政権が、事業計画立案の基本となる「洋上風況調査マップ」の作成に取り組んだのは、2015年度の政府予算が初めてである。

安倍政権の発足直後の2013年度の予算で、取り掛かっていれば、2015年度には、「洋上風力発電適地」の選定で、ウインドファーム計画に着手できていた。

しかし、2年も遅れているので、風況マップの完成は2016年度末になる。

ウインドファームの建設計画に着手がして、投資計画がスタートできるのは、2017年度以降になってしまう。これでは遅すぎる成長戦略の典型である。(続)


緩やかに成長する日本経済の要の政策は自給できるエネルギー。

2015-08-19 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権が、お金の流通量を増やせば、企業が借り入れを増やして設備投資を実施すると、想定したアベノミクスは、完全にマトハズレに終わっている。

この発想は、【高度経済成長時代の幻想】に囚われたままの、「供給力重視」の経済しか頭にないからである。

経済成長が未熟な段階では、技術進化によって廉価に供給できる製品が、旺盛な需要によって次々に市場で買い求められて、生産が追い付かない。

その活況を未だに夢見る【企業、行政、政治家の、旧時代発想の残骸】である。

 

いまは、特別の新技術、新商品分野の革新が起きた場合には、この供給力重視の政策と経済活性化が適用できる。

しかし、それも短い期間で、需要を満たす生産力の強化が図られるので、経済の活性化には一次的で限度がある。

大きな投資を決断するには、長期に渡って需要の拡大があると、市場調査によって確信が得られた場合にだけ、大企業の投資が実施される。

それは、多くの場合には、日本市場ではなく海外の大人口の国の市場である。

 

大規模の製造事業の投資では、人件費が安く、エネルギー費用、不動産費用、物流費用などが、経営的に有利な国や地域に投資先が選別される。

日本に大規模の新規投資が計画される可能性は、ほとんどなくなっているのだ。

製造業の新規投資は限られるが、エネルギー産業への投資は活発化する。

それも、化石燃料依存から離脱する分野に、大きな投資機会が生まれる時代だ。

特にエネルギーの輸入は「100%近くの輸入依存」であるから、この分を、国内供給の自立化に向けるのは、日本の将来の国策として最重要である。

あらゆる手段と、政策的費用を投入してでも、国内への新規投資が必須である。

 

電力の再生可能エネルギーへの依存比率の拡大は、この20年間は、確実に高まる潮流である、

このための投資機会は、各地への経済活性化の起爆剤になって行くだろう。

再生可能エネルギー電力の大きな弱点は、出力を一定に出来ない「風力発電や太陽光発電」の特性にある。

これを電力市場の需要変動に適合させるには、『畜電技術や、水素などの二次エネルギーに転換して貯蔵する技術』の進化が待たれている。

この方面に積極的に先行投資をするコトで、日本経済は緩やかに成長軌道にのり、「アベノミクス」では不可能な地域へのおカネの還流が実現するのだ。(続)


超金融緩和政策は大企業を守り勤労者の格差拡大が宿命だ。

2015-08-18 | 経済問題

安倍政権の経済政策の最大の誤りは、「超金融緩和政策」が、「所得格差の拡大」と「富裕層の資産は海外に逃避」する効果を、想定していなかったことだ。

資本主義諸国では、成熟した経済成長段階では、「資本収益率[r]>[g]経済成長率」の原理どうりに、得られた利益は、海外に流れる。

つまり、大多数の国民の(物価上昇による)負担によって得られた名目上のおカネが(資本収益率のよい)海外に投資される。

この海外投資のリターンは、大企業と富裕層の資産を拡大させる効果になる。

 

国民の各層に均等におカネがいきわたる仕組みができていれば、金融緩和政策は有効に機能したかも知れない。

しかし、この20年間では、貿易自由化の流れと金融の自由化が大幅に進んで、

資本収益率の高い国が、各地に林立しているから、自国のおカネは海外に向く。

大きな視点で見れば、海外の経済発展に貢献するかもしれないが、その最大の受益者は、大資本家であり超富裕層に偏ってしまう。

各国の政府は、この偏ってしまうおカネを、富裕層から『勤労者の国民各層に安定した収入増加になる流れ』を創りだすのが、最大の責務なのである。

 

しかし、多くの先進資本主義国では、大資本家の優遇を競う政策ばかりで、自国への投資を優遇する税制度を競って、誘致を図る。

その段階はまだよいとしても、得られた利益に懸ける税金を、優遇する政策を競う様になり、【法人税減税】の引き下げ競争になる。

その減税分の不足は、消費税の増税や、社会福祉の保険金の増額などで賄い、国民の収入の中から多くのお金を、大企業優遇のおカネに回している。

政府は、この様に大企業を優遇して置かないと、海外の税金が安い国に移転してしまうから、必要な政策であると、国民に説明してごまかしてしまう。

 

つまり、大企業がいなくなると、「一番重要な雇用の安定」が失われる危険性が増大して、雇用不安の状況に陥り、政権は支持を失ってしまうのからだ。

グローバル化の進んだ20年間で、この流れは定着して、「資本収益率[r]>[g]経済成長率」の原理は、さらに、揺るがない事実となっている。

この「雇用の安定」を守ることばかりを優先すると、旧産業の保護政策が当然の流れになり、世界の技術進歩から遅れて行く。

バブル崩壊後の20年間に、グローバル化に晒されて「雇用の安定」を最優先にしてきたので、「新産業の育成」策は、おざなりでゴマカシてきた。(続)


実質経済成長率を減速させるアベノミクスの矛盾が露呈。

2015-08-17 | 経済問題

安倍政権の経済政策の矛盾が、国民の消費指向を減退させたために、4月~6月期の「経済成長率」[GDP]を、マイナス1.6%に落ち込ませた。

円安誘導の結果の影響が、消費者物価の上昇の本格化の段階になり、しかも、給料の上昇は物価上昇率以下では、消費が落ち込むのは当然の流れだ。

日本経済の主要な需要の中身は、国民の消費購買力に依存しているのが約6割であり、消費者物価が上昇すれば、消費者の節約指向は高まる。

輸出に依存する割合は16%程度であって、輸出競争力によって、強化される割合は、絶対的に少なくなっているのである。

 

アベノミクスの従来の狙いは、金融市場に大量のお金を供給すれば、「企業が借入れをし易い環境」ができる、ということだった。

もともと超低金利の金融市場では、おカネの流通を増やしても、企業の借入が増えるインセンティブにはならない。

その代わりに、低金利の円が増えれば、「円安誘導」になることは自明であった。

この円安誘導で、円の価値は一気に3割程度も下がり、その分の輸出の価格競争力は強化されるが、3割も輸出量が増えるわけではない。

 

輸出企業は、円表示の利益が大幅に改善されるメリットで、株価は一気に3割どころか、5割以上も値上がりをしている。

実際の企業利益の増加分は、国内への投資には回らずに、海外市場開拓や、金融資産への投資に流れるだけで、国内へのお金の還流はわずかだ。

以前ならば、「トリクルダウン効果」で、国民の懐へのお金の還流は、数年で巡ってくるが、グローバル化した経済では、国内への還流は望めない。

「景気は緩やかに回復していく」と政権首脳は強弁するが、給料の増加が実質的に増税分と物価上昇率よりも低い現実では、強がりの言い訳にすぎない。

 

そもそも、超金融緩和の狙いには、「物価上昇目標」を設定して、2%程度の物価上昇率を実現すれば、消費者は貯蓄指向から、堅実な消費指向に転換して行く、と目論んでいたのである。

この「インフレターゲット政策」は、完全な誤りであって、消費者も企業も、そんな風潮を望みもしないし、その流れに沿って消費性向を変えることもない。

一番の優先事項は、「雇用の安定」であり、雇用環境の好転による「賃金上昇の定常的な流れ」が、この先の将来に期待出来る状況を創ることである。

物価上昇率以上に、賃金の押上ができる「強力な政治力」が必須の状況だ。(続)