庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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日本の電力エネルギー戦略に石炭火力発電の最新技術を。

2013-05-29 | 国創り政治問題
日本の長期エネルギー戦略の策定において、石炭火力発電の役割をどう位置づけるか、社会的な議論がほとんどない。
原発依存から脱することは国民的な合意であるが、代替できる電力としては、当面は火力発電にたよらざるを得ない。
『天然ガス発電の増強を最優先で進める』ことは誰も異存はないが、2012年の時点ではすでに42%の電力が「天然ガス火力発電」である。
さらに増強するにしても、50%程度までが適切な普及範囲であろう。
足りない分は、当分の間は石炭火力発電に依存するのが、現実的な方策である。

前回に説明した様に、日本の石炭火力発電の技術水準は世界一のレベルである。
エネルギー利用効率で世界一、排気ガスのクリーン度で世界一、石炭の輸入先の分散化も可能で、不安定な中東地域に依存するリスクもない。
石炭火力発電コストは、天然ガス発電の10.9円/kWh.と同等以下で、現在は9.5~10.8円/kWh.で安定的に安いレベルである。
しかし最大の弱点は、【発電電力量当たりのCO2排出量】が、0.943kg-CO2/kWhと天然ガス火力発電の0.599kg-CO2/kWhの1.6倍も多いことだ。
この為に、地球温暖化対策の必要性が言われる状況では、不利な選択になる。

ここで、石炭火力発電を推進しようとするグループは、またも「地球温暖化論」は科学的には誤りで、地球は寒冷化に向かうから【CO2排出量】が多いことは何の問題もない、と主張し始めている。
この論争は、今は目立たない状況だが、世界の潮流は「先進国は率先して【CO2排出量】の削減に努める責任がある」、とされている。
この潮流に逆らってでも、石炭火力発電の増設は、日本の世論も賛成しかねる状況になっている。

そこで、もっとも適切な選択路線は、「石炭火力発電を増設して、当面の不安な電力供給力を安定化させる」方針を採る必要がある。
そして、2020年頃までには、石炭火力発電の【CO2排出量】を、天然ガス火力発電と同等レベル以下に抑制する技術開発を実現するのである。
これならば、国際的にも【CO2排出量】の削減義務を果たす路線を維持するコトが出来る。
少なくとも石油火力発電を代替で、世界のエネルギー需給緩和にも貢献できる。

手をこまねいている時間の余裕はなく、すぐにでも着手すべき代替路線である。

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