庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

マスメディアの報道姿勢が日本の進路に大きく影響する。

2013-05-08 | 国創り政治問題
このブログで「グローバル化された世界市場が発展する段階」においては、多国籍企業は出身国の利益や国民の幸福などは無関係に、拡大と生き残りをかけて競争して行く。と書いてきた。
全く同様の趣旨で、本日の朝日新聞(5月8日朝刊17面オピニオン)に、内田樹(たつる)教授が、「壊れゆく日本という国」と題して、この構図を明確に指摘して、問題の根源を解説している。
日本の大企業は「グローバル企業化」した結果、企業として最も合理的な行動に移り、生産拠点は一番有利な国に設置して営利を追求する宿命にある。

この世界の潮流では資本主義制度のもとで、株式会社の形態で生産をするならば、当然の選択であって、合理的な経営と評価できる。
これらの企業を、出身国の政府だからといって、国民を犠牲にしてまで支援するのが誤りの本質である。
グローバル化した企業は無国籍であり、超国家的な組織に転換しているので、日本で発祥したから「日本の企業」と思う方が間違っている。
ましてや、「日本の企業だから日本国民のことを一番大事にしてくれる」などの信心に近い思い込みは害あって益なしである。

これを助長しているのは、日本のマスメディアの旧態依然たる報道姿勢である。
企業の貢献度を、「売上高でランキング」をするのは、まだ許される状況だ。
少なくとも「売上高に見合った消費税の納入」を国と地方自治体に還元しているから、行政に対する見返りはある。
しかし、【株価の高さや株価当たりの利益率】を、企業の成績評価として使うのは、国民の目を誤らせる元凶である。
資本家や銀行、証券業者にとっては重要だろうが、働く人からすれば、見当はずれの評価をしてしまう。

もっとも重視すべきは、その企業の「労働分配率」が適正水準以上であるか、福利厚生費の割合がどうかで評価すべきであろう。
現代の社会では、企業に求められる役割は、出来るだけ『多くの人に雇用の機会を提供』し、『高い給与で社員を雇用』し、『働く環境、福利厚生に経費配分』をしているかで、会社の価値は評価されるべきである。

「マスメディアの企業に対する報道姿勢」の転換で、安い賃金で、劣悪な職場環境に置き、過密労働で利益ばかりを追求する企業は、低い評価を下される。