庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

このブログの主題、『KM』をおさらいして見ると・・・・。

2009-10-31 | 暮らし・健康問題
2か月を振り返ってみると、日本において本格的な政権交代が起きて、今までの延長上の考え方や進め方が大きく変わる機運が巻き起こってきた。
「KY(変えるのはヤダ)」から『KM(変えることを目指せ)』に意識を変えていけば、世の中の今までの不合理な面や、惰性に陥っていた習慣が、見直される良いチャンスになってくる。
鳩山首相の演説での「行政の大掃除」にとどまらず、国民全員の意識改革が必要な時期である。

このブログをはじめて、漠然と考えていたことを思いつくままに書いてきたが、8月31日に
【健康的な暮らしの根源をまとめてみると、・・・・。】という表題で、区切りをつけたものがある。
その末尾の箇条書きにした項目を下記に繰り返しておきます。

このブログでいろいろと書いてきた半年分の内容を、次の様に集約しておきます。
・暮らしの健康的な豊かさの基本は雇用である。
・雇用の安定と向上は、産業の育成、特に「新産業」の創出に重点をおく。
・意欲のある賢い行政を持つために「地域主権」を実現する。
・地域主権は、国家並の将来目標を設定して、長期的な人材育成と産業創出に邁進する。
・地球環境問題は、あらゆる産業の基盤を転換する好機で、「再生可能エネルギー」を主軸にする。
・ひとの能力が活かされ、豊かな産業を作り出せる力が、国際社会の中での地位を安定させる。
言うのはたやすいかも知れない。
しかし、方向もはっきりしない運転は無謀である。

上記の内容は総論的であるので、まだまだ不十分な記述にとどまっているので、今後、考えつくままに、掘り下げていきたいと思っていますので、お付き合いをお願いします。

この2か月で書いてきたことを、おさらいしておきます。
・健康的な暮らしのもとは、地域社会の活力が盛んになり、雇用が安定することである。
・雇用の基本となるのは、時代に先んじた「新産業を興す」ことが必須である。
・日本が目指す「世界の環境問題でリーダーシップをとる国」となるための分野に力をいれる。
・日本の国土に適した再生可能エネルギー分野の技術開発を促進して「新産業」に育てる。
・再生可能エネルギー分野でも、「バイオマスエネルギー」の開拓に重点を移していく。
・このバイオマスエネルギーの開発・事業化を、地域社会の経済活性化に役立たせる。
・地域社会で消費するエネルギーは、再生可能エネルギーに転換して「地産地消」を実現する。
・自動車、航空機、船舶に利用するエネルギーは、化石燃料依存から転換していく。
・交通体系の将来計画を地域主権で立案して、国の補助金をあてにしない自立的な制度にする。
・地域に密着した行政の役割は「市・町・村」に移管して、責任のあるサービスを担う。
・日本の気候風土、地形に応じた特性を生かす「州政府(県の役割と国の権限を移して)」を創る。
・国は日本の全体、将来像を描いて、重点的に取り組むべき課題を戦略的に進める責任を負う。
・再生可能エネルギ-関連の革新において、世界の先頭を進む気概と実力を養い、人材を育てる。
・地球上に降り注ぐ太陽光エネルギーを最も効率よく蓄える、「藻類」のエネルギー化に力を注ぐ。

今度の「新政権」は、当面の混乱事態に翻弄されるであろうが、もっと将来を見据えたビジョンを描いて、技術開発と事業化に力を入れるべきである。官僚依存の「KY」から『KM』に転換せよ!

稲作だけを優遇するのは、国と地域の将来によいことか? 

2009-10-30 | バイオ燃料・バイオマス
日本は世界でも雨量が多い地域にあり、稲作に適した気候と土地柄であるが、平地が少ない。
昔から大変な苦労をして土地を開墾し、水田を作ってきた歴史がある。
しかし、現代はお米の自給率はほぼ100%可能であって、水田として開発してきた土地をわざわざ、税金を使って休耕田としている。
その休耕田の面積は日本全体では、埼玉県の面積に匹敵し、多額の税金が稲作農家の支援の形で使われている。

この休耕田を利用して、再度水田にしたうえで多収穫米を栽培し、食用としては適さないが、でんぷん質を収穫する目的に絞って生産することを検討しているグループがある。
これを農水省は補助金を出して事業化を推進して、日本の稲作農家を支援しようとしている。
しかし、良く考えてみると何でそんなことをやっているのか、疑問だらけになる。

食糧の自給率を上げることと、農家を支援することは必要としても、なぜ、稲作にこだわるのか?
前にも書いた様に、稲作によってできるお米をエタノール燃料にする計画があるが、その実情はとても実現できるレベルにはない。
製造する段階で消費するエネルギーが、製品となるエタノール燃料のエネルギーより余計にかかる。
お米エタノールは作るだけで、余計にエネルギーを消費するのであるから、何のメリットもない。
製造コストの検討によると、今の時点ではガソリン価格に換算すると数倍の値段になるという。

食糧の自給率向上ではなく、エネルギーの自給率向上や地産地消の狙いに切り替えれば、この遊休の耕作地をエネルギー製造用の作物の栽培地に転換して効率の良い生産をめざしていけば、地域の経済にとっても有効な事業になるであろう。
今の段階では、明確なことは言えないが、この10月24日~29日までに採りあげてきた「藻類」の栽培を採用するのが、もっとも効率的であると予測される。
太陽光のエネルギーを最良の効率で炭化水素(でんぷん・油性物・セルロース)に転換できる生物は、「藻類」の中の種類であり、研究中の候補が多数ある。

その地域の気候と水量の確保、水に含まれる養分によって、最適な「藻類」を選定することで、他の手段よりもはるかに効率よくエネルギーが製造できる。
栽培技術と収穫の方法の研究開発が必要であるが、既存の技術の組み合わせで十分に実現可能な範囲であり、将来的には原油から作る油性燃料よりも、藻類の油性燃料の方が安くできる可能性がある。
地域によっては、昔から伝統的に稲を栽培してきた「棚田」などにも、藻類栽培の養殖池を作る計画にして、山間地域の新産業として育成して、地域経済の活性化にも役立てることができる。

同時に、従来から言われている役目として、山間地における水源涵養機能や、増水時の緩和機能も果たせるので、ダムの役割も担うことができる。

洪水対策、治山治水といえば、ダムが必要だ!
これはコンクリート国家、土建国家の考え方である。
農家の育成・保護対策といえば、稲作の支援、お米の消費奨励!
これも今は本当にそう言えるのか?
一度、きちんと見直しをしてみてはどうか。

地域に新産業を育て、エネルギーの自給率を高めることを、国家戦略に組み込めないのか・・・・。

太陽光のエネルギーを最も効率よく固定化するのは「藻類」 

2009-10-29 | 海洋産業問題
バイオ燃料は日本ではまだ一般の人にはほとんど知られていないし、一部では食糧になる穀物を奪い、価格を引き上げて貧困国に被害を及ぼす「悪玉のエネルギー」と伝えられている。
これが一部分では正しいが(アメリカのトウモロコシエタノールの増産のように)、間違っている情報も多い。
このブログを読んできていただいた方には、状況を理解されたことと思います。

ところで、バイオマス(生物資源)というものは、すべて地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーから生産されるのは衆知のことです。
そのエネルギーを葉緑素で炭化水素(でんぷんや、セルロース、油脂成分)に変換して蓄えている。
この変換を効率的に行う植物も多く存在して、その中に「藻類」が良く知られている。
地上をみている限りでは、樹木類が一番繁殖していて、人類が森林を破壊しない限りは、地上は樹木の天下であり、人類は長い間、樹木のエネルギー利用の時代を過ごしてきた。

海の方はどうかというと、太陽光のエネルギーはせいぜい水面下10メートル程度にしか届かないので、浅瀬にしか「藻類」は生育できない。
しかし生育の条件が整うと、ものすごい効率で成長し繁殖を続ける種類があることが知られている。
記憶にある人もいるかと思いますが、「北京オリンピックのヨットレース会場」が、直前になって藻類の繁殖で船が航行できないくらいに埋まってしまった。
急遽、多くの人手をかけて、藻類の伐採除去を行ったというニュースが流れたことで知られている。

藻類は海水中の養分が適正な状態になって、太陽光が降り注げば、太陽エネルギーを捕獲して成長・繁殖する能力は、樹木よりも大幅に大きい。
それは、海中では自身の体重を支える必要がないために、セルロース成分を作る必要が少なくて、その分を葉緑素を大量に増やして、炭化水素の生産に回せるからである。
太陽光エネルギー量のどのくらいを炭化水素エネルギーとして固定する能力があるかを、樹木と比較した専門家のデータによれば、藻類には、樹木の100倍以上の能力を持つ種類がある。

海中の炭酸ガス濃度や成長に必要な養分の影響を受けるので、最良の状態にするには難しいが、少なくとも10倍以上の能力を発揮する藻類は、いたるところに存在する。
あとは地域の海水の養分を調査し、海水温の年間の変化などを勘案して、その地域に最適な「藻類」を選定することを実行すればよい。
収穫可能な藻類の生産量を見積もって、それに見合う規模の「藻類からの油脂生産工場」を建設して、
漁船用の燃料にするか、トラック用のバイオディーゼル燃料に加工すればよい。

農水省は、樹木の伐採から出る木質バイオマスの燃料化を検討して、セルロース系の原料からバイオエタノールを製造する研究に支援をしているが、それは大幅な経費を必要としている。
前にも〈10月27日〉書いた様に、お米からエタノールを作ることにも、税金を投入している。
それよりも、はるかに効率よく、生産コストも低くできる「藻類からのバイオ燃料」製造の研究・開発には、一切の支援をしていない。

バイオマスエネルギーの将来像を、きちんと検討していないから、無駄な税金を使うことになる。

バイオ燃料は地産地消で地域の経済に貢献する最適製品。

2009-10-28 | バイオ燃料・バイオマス
日本は食糧の輸入依存国で、自給率は40%程度であることが社会的な不安の原因になっている。
一時期は食糧の様な1次産業製品は、海外の安い人件費と安い土地を利用して生産した国から自由に選択して買えば良いという、自由市場至上主義が横行して、国内の農業を軽視していた。
しかし、ここ10年位の間の途上国、特に中国やインドなどの経済成長で、食糧の需要が急増しているので、海外に食糧の供給を大きく依存する体制は、不安定の原因となる恐れが強くなった。

そこで、大きな見直しの時期となって、できるだけ国内産の食糧品に切り替えて、安定した供給と安全な食品への志向が強くなっている。
さらに、産地が明確な食料品のブランド化の動きも加速して、日本全体が食料品は「地産地消」が好ましい形であるとの認識が広まってきた。
これは、製造した商品をできるだけ輸送距離を短くして、無駄なエネルギーと輸送費用を省く方が、地球環境にも良いとの意識が後押しをしている。

しかし、エネルギーの分野になると、一向にその認識は生まれていない。
それは、国内ではエネルギーを手に入れることなど、実現できないとの思い込みが、戦後60年以上にわたって続いてきたからである。
石炭が燃料の時代になってから、燃料は遠くから運ばれてくるもの、との常識は定着してしまい、石油は一番遠い中東諸国からの輸入が当たり前で、それに頼らざるを得ない現実である。

ところが、21世紀になってからは、エネルギーの分野に革命を起こす「再生可能エネルギー」の技術進化が急速に進んできた。
これは、現代の産業革命であり、同時にエネルギーの地産地消が可能な時代に突入したわけである。
特に「バイオマスエネルギー」は、生物資源は地球上の至る所で栽培・生産が可能であり、地域の特性と気候条件に合った栽培植物を選定すれば、ほとんどのエネルギーは自給できる「地産地消」型の製品に転換できる。

ブラジルでは、サトウキビからのエタノールで、国内の石油消費の半分以上を代替している。
アメリカでは、トウモロコシからのエタノールで、10%程度のガソリンの置き換えをしている。
日本に適した地産地消型のバイオ燃料は何か?
それは、前回に説明した様に、海上面を利用して栽培した「藻類」からの「バイオ油性燃料」である。

2008年に原油価格の急騰によって、漁船の燃料費用が一気に高騰してしまい、多くの漁業関係者が操業できないほどの経費増加となってしまったことは、記憶に新しい。
しかし、身近な海上面で藻類を栽培して収穫し、漁船用の油性燃料を製造できる設備をもっていれば、中東の原油価格の高騰の影響を受けなくて、安定した価格で入手できる。
製造工場が地元にあれば、製品の輸送は短距離で済むので、燃料費用は割安にできる。
もちろん漁船用だけでなく、トラック用の燃料にもできるので、輸送事業者の経営は安定できる。

このように地域の経済の活性化に貢献し、漁業事業者にメリットがあり、地元の輸送事業者の経営安定に役立つ「バイオ燃料」であるのに、何故、取り組みをしようとしないのか?
エネルギーは海外から買うものとの思い込みが、自給する意識への転換を邪魔していることによる。

バイオマスエネルギーの開発こそが、地域活性化になる。

2009-10-27 | バイオ燃料・バイオマス
再生可能エネルギーの開発が経済成長のもとになり、雇用を生み出すことは広く知られるようになってきた。
アメリカでは、この事業を「グリーン・ニューディール」となずけて、オバマ政権が重点的に展開することが報じられて、日本のマスコミもやっと、その意義がわかり出している。
太陽光発電などは、日本の方が技術開発面で先を進んでいたにも関わらず、産業界では異端視されて取り上げず、政治家も無知なレベルで将来性を理解している人はほとんどいなかった。

欧米諸国で盛んになってからやっと気が付くように、相変わらずの海外圧力だのみの姿勢が情けない。
そして、バイオマスエネルギーについても、日本における将来戦略も描かずに、ただ、アメリカやブラジルのバイオエタノール開発の後を追いかけようとしている。
ブラジルのサトウキビエタノールは、広大な土地と亜熱帯気候の組み合わせによって成功している砂糖キビ栽培の増産に支えられている。

またアメリカのトウモロコシエタノールは、生産余剰気味のトウモロコシをバイオ燃料の原料に振り向けることで価格を維持して、農家の収入を確保するのが目的で実施されている農業政策である。
トウモロコシから作るバイオ燃料は、大変に効率が悪くて、[CO2排出]削減には、ほとんど貢献しない上に、食糧価格の高騰の原因となっている。

日本の国土と気候条件を考えれば、どちらも参考事例にならないのは明らかである。
それなのに、日本の農水省は、お米から作るエタノールの実験事業に大金を投じて支援している。
その説明は、日本は稲作に適した気候で米の生産過剰の問題があって、休耕田が大量に生まれている。
ここで食用ではない多収穫米を栽培して、お米を原料としたバイオ燃料「米エタノール」を作って国内のガソリンに混ぜて利用すれば、土地の有効利用と石油消費の削減につながる、という理屈である。
しかし、実情としては、お米を作るのにエネルギーを消費し、さらに収穫したお米からエタノールまで加工する段階でもエネルギーを多量に使う。
これは「エネルギー収支」という尺度でチェックすると、100のエネルギー(バイオ燃料)を作るのに、100以上のエネルギー(化石燃料)を必要としているので、マイナスの効果しか生まれない。

バイオエネルギーでも、無価値な種類のものが、まぎれているので、チェックが必要である。
その点では、「藻類」を栽培して油性成分を抽出する方法は工程が単純化出来るので、「エネルギー収支」は大変有利である。
その上、藻類の栽培地で簡便な設備でも油性成分の製造はできるので、小規模工場で製造可能であり、
地域社会の中での雇用の場を生み出す効果がある。
漁業しか残っていない地域でも、藻類の栽培に適した内浦などの地理的条件さえあれば、事業化に必要な投資資金はそれほど多くは必要としない。

いま、日本は中央集権の弊害から一局集中的な産業構造になって、経済全体の足かせになっている。
地域社会に権限を移譲して、経済を活性化させるとしているが、過疎の地域での新産業が起きなければ、絵に描いたモチに終わってしまう。

「藻類」の栽培と「バイオ燃料」の製造工場を分散して設置することで、地域活性化が実現できる。

再生可能エネルギーの自給率向上が経済成長の要。  

2009-10-26 | バイオ燃料・バイオマス
エネルギーの自給率が向上することが、将来の生活の安心感をもたらす基本である。
化石燃料主体の構造から、「再生可能エネルギー」へ積極的に転換することで、自給率を50%程度に向上させられることは、技術的にはすでに見えている。
さらに、その比率を向上させるためには、日本においては海上面を利用することで、「藻類」の栽培が可能であり、それを原料とするバイオ燃料が多量に生産出来ることで、100%自給が可能になる。

そんな誇大妄想的な話は信じがたいと思う読者もいるであろう。
その人たちのために、説明をもう少し詳しくして行こう。
このブログで、5月28日に「太陽光発電は経済成長の大元、無限の可能性がある。」との表題で、地球上に降り注ぐ太陽光のエネルギーのほんの一部を電力に変換するだけで、地球上の人類が使っている電力の100%を賄えると説明した。
その電力を生み出すために必要な太陽光発電パネルを設置する面積は、ゴビ砂漠の半分を使うだけでも十分に足りてしまう。

しかし、太陽光発電は天候が晴れの時でしか発電できないし、夕方や夜間は発電しない。
その時間帯の電力を蓄電しておく設備は大変な費用がかかるから、燃料として保存して必要な分だけは、別途の発電設備を使って賄うことにせざるを得ない。
また電力以外に、燃料で運転するものに、輸送機器(トラックなどの自動車、航空機、船舶)が大量に存在するのでエネルギー源となる燃料化が必要である。

そこで登場するのが「バイオマス起源の燃料」であり、本命となるのは海面利用の「藻類」である。
藻類はまだ研究途上であるので、どの程度の効率で太陽光エネルギーを炭水化物や油成分に生成できるかのデータが少ない。
今の時点で言えるのは、太陽光エネルギーの5%以上を燃料エネルギーとして生成できる見込みがあるので、太陽光発電の半分程度の効率とみなして良い。
日本における電力を100%賄うためには、太陽光発電パネルの設置面積は、国土(37.8万km2)の3.2%であり、日本の平地面積の10%程度の土地に設置すれば足りる計算である。

バイオ燃料のもとになる「藻類」を栽培する面積はどの程度の広さが必要であろうか?
これからの調査と研究が必要であるが、栽培に適した地域は荒波のすくない内浦などを選定して、栽培設備の具体的な構想も合わせて開発していく上で、利用可能な地域・海面が特定されてくる。
日本は台風の襲来が必ずあるので、その備えをどうするかが課題になるであろう。
外洋は難しいにしても、瀬戸内海や大きな湾内の開拓も利用対象になる。
検討課題はいろいろと出てくるが、利用面積を生み出すことは十分に可能である。

今まで海上面は、漁業と船舶の航路としての機能しか見ていないので、将来は、利用の区分を地域漁業とエネルギーの栽培地、船舶交通の為の航路とに分けて管理する体制も必要になってくる。
そのような将来の配慮がいる時代に早く達して欲しいものである。
そして、海面利用の再生可能エネルギー産業が、地域社会と経済の活性化をもたらすのは、確実である。

エネルギー自給率100%の目標こそが、日本の経済成長を促し、安心を生み出す大元になる。

将来の暮らしの安心はバイオマスエネルギーの自給率向上で。

2009-10-25 | バイオ燃料・バイオマス
日本のエネルギーに自給率が10%をはるかに下回っていて、大半を不安定な価格の化石燃料に頼っていることは経済全体への悪影響だけでなく、国民の不安を増加させている大きな要因となっている。
これからの「新産業である再生可能エネルギー」の分野に、積極的に集中投資をしていけば、エネルギーの自給率を50%以上に引き上げることは可能である。
その中でもバイオマスエネルギーの分野が、まだまだ技術的にも事業性の面においても取り組みが不足していて、その成果を予測するには、未知数の分野が多いことが、懸念を生んでいる。

専門家の研究者や事業家で取り組んでいる人は、まだわずかであるし、政府関係者には「バイオマスエネルギー」の将来性を、本気で検討している人はほとんどいない。
国家戦略室(将来は、国家戦略局)ができれば、そのような長期的な国家の安全と国民の安心を実現するための基本となる戦略を立てて、「新産業」の核となる技術・事業を育成することになるであろうが、今までの自民党政権があまりにもだらしがなかったから、取り戻すのは大変である。

それでも、エネルギー自給率を50%以上に引きあげる方策・手段は見えている。
後は実行に移すプロセスと制度ができることを目指せば良いのであるから、困難な課題ではない。
むしろ、それにとどまらずに、将来的には100%のエネルギー自給を達成し、その技術を世界中に広めることで日本の貢献を打ち出さなければ、本当の価値を生み出したことにならない。

その最優力な技術手段として、「藻類」を海面で栽培・養殖して、輸送機器(自動車、航空機・船舶)の燃料として利用することを、日本の基本的な国策に取り込む必要性を書いてきた。
読者の中には、「藻類」のような下等生物を利用する「ローテクノロジー」ではなくて、もっと高度の知識を利用、開発して「ハイテクノロジー」を駆使した方が、将来性があるのではないかと、思う人もいるであろう。

しかし、人々の要求はハイテクもローテクも関係ないのである。
生活を豊かにして安心できる毎日の暮らしと、将来の不安を取り除いてくれることを望んでいる。
そして、生活の基本になる雇用の安定と必要な収入を保証してくれることが最大の要求である。
もちろん、再生可能エネルギーの開発には、「ハイテクノロジー」を駆使する分野もあるが、
「バイオマスエネルギー」の分野は、むしろハイテクは一部で良いし、ほとんどの部分は人々の直接の労働による地道な仕事の組み合わせで実現できるシステムである。

「藻類」の海面栽培と収穫の技術や、収穫した藻類から効率的に燃料のもとになる油性成分を抽出するには、適切な技術開発が必要であろう。
これらの技術は既存の装置の中で、十分に実績のある確実な方法を取り入れるのがよい。
ハイテク技術は、往々にして特殊な環境が必要であったり、高度のメンテナンスが必要であったりして、生産コストが高価格なってしまう懸念がある。

政府関係の支援機関は、高度の技術がないと支援に値しないと思い込む弊害があり、いたずらに難しい実現性の薄い技術に入れ込む傾向があって、失敗例が多く税金の無駄使いになっている。
成功する技術の基本はシンプルで、悪環境にも耐える頑健な働き馬の素質が一番適している。

バイオマスエネルギーの将来の本命は「藻」である。 

2009-10-24 | バイオ燃料・バイオマス
日本のエネルギー政策において自給率を上げることが可能な手段は、再生可能エネルギーである。
現在は化石エネルギーに比べてコストは割高であるが、将来は間違いなく化石燃料の価格は高騰し、再生可能エネルギーの生産コストが下回る時代が到来する。
その時期がいつ頃になるか?
その時に優位に立てる国はどこか?
これからの課題は、そこに立てる国の一つに、日本が加わることである。

太陽光発電や風力発電、地熱エネルギー利用、波力・潮力エネルギー利用などの工業的な手段においては、日本の蓄積してきた技術力でもって、世界の主要国に加わることは可能であろう。
しかし、バイオマスエネルギーにおいては、日本の国土は限られていて、森林資源の有効利用ができるとして、それ以外の栽培型植物からの「バイオ燃料」製造には、不利な条件になっている。
森林地以外の平坦地は、ほとんどを食糧、穀物関連の生産地に充てなければ自立は不安定である。

そこに「将来のエネルギー源」として、「藻」類がこれからは研究・開発の本命に上がってくるであろう。
それには、いろいろの特徴があるので、順番に説明しよう。
「藻」類には、植物の中では「油成分」の含まれる比率が高い種類があり、太古の時代にはそれらの藻類が大量に繁殖していた。
その藻類は、他の植物や動物の進化によって、生存領域を狭められてしまい、今では特殊な地域でしか生き残っていない。
しかし、これらの藻類の残骸が、今の原油のもとを作っていたことが推定されている。

藻類は水中・海中で繁殖するために、体内に自分を支えるセルロース成分はほとんど必要としない。
進化した植物である樹木は、エネルギーを生産する「葉」を大量につけて、その重さを支えるために、セルロース成分を生成して枝や幹や根っこを作っている。
このセルロース成分もエネルギーにはなるが、燃料化するのには手間がかかるので、現在、いろいろな手法で研究されているが、実用化には相当の時間がかかる。

一方、「藻類」は、成長が速くて油成分を大量に含んでいる種類がいろいろと見つかっている。
これらを効率よく成長させて収穫できる方法を見つけ出せば、水面の利用によって太陽光のエネルギーを油分の多い「バイオ燃料」に加工することは容易である。
この油分は自動車用の燃料にもなるが、航空機用、船舶用としても利用できるので、その需要量は莫大なものである。
一定の価格を下回れば、買い手は無限に近いほどいるので、生産過剰による価格低下の心配もない。
現在、その時代を見越して「藻類」の栽培と「バイオ燃料」生産の事業化に向けて研究を開始している企業が世界中にいて、日本でも大手の企業が取り組みを開始している。

「藻類」が日本にとっての大きな利点は、日本を取り巻く海面の有効利用が可能になることである。
波の比較的穏やかな内浦は至る所に存在していて、今は漁港と養殖漁業にのみ利用されている。
ここに、効率的な藻類の養殖場を設置していけば、価値の高いエネルギーが大量に生産出来て漁村の有望な事業となっていく。

これからの日本における「新産業」となって、経済を支えることになる。

将来のエネルギー供給の確保が経済活性化の基本。

2009-10-23 | バイオ燃料・バイオマス
日本の豊かな生活を支えて将来も安定的に持続できるには、エネルギーの確保が基本である。
それなのに、エネルギーの自給率を将来的に上げていく戦略は全く検討されていないのが実情である。
原子力発電(燃料は海外からの輸入)は、放射性廃棄物の問題が残っていて、将来性がないので除外して検討すると、自給出来ている割合は、10%をはるかに下回る。

食糧の自給率が40%に満たないレベルであることを問題視して、国策として45%まで引き上げることが、マスコミでも話題にあがった。
しかしながら、食糧と同じくらいに大事なエネルギーであるのに、輸入依存体質の問題についての議論は、まったくないと言える。
その上、ほとんどのエネルギー源は、生産の需給がひっ迫する石油や天然ガスなどの化石燃料に依存し、特に石油は生産量がピークを越したことが指摘されている。
石油の価格高騰は避けられない状況にあり、天然ガスも石炭も価格が上がることは必然である。
このブログに書いてきた様に、再生可能エネルギーの技術開発と普及促進には、最大の力を注がなければ、化石燃料の需給のひっ迫と価格の高騰で、日本の経済活動は大きな影響を受けてしまう。

では再生可能エネルギーの開発によって、日本のエネルギー自給率を上げることは出来るのであろうか?
これは大変重要な課題であり、難しい内容が含まれているので簡単に説明はできないが、あえて要約すると、次の様な説明になる。
2050年において、電力に変換して使われるエネルギーの比率は、再生可能エネルギーを積極的に開拓することで、67%まで上げることが可能である。
輸送機器(自動車、航空機など)と熱利用の分野では、再生可能エネルギーの比率は30%程度に引き上げることが想定可能である。
これらの想定に沿えば、日本の再生可能エネルギーの比率は、60%程度まで増加させることが可能であり、これはエネルギーの自給率を50%以上のレベルに、大幅に改善して経済の安定に寄与する。

この想定される再生可能エネルギーの中で、バイオマスエネルギーの比率は14~17%程度を占めることになるが、ほとんどは国内の廃棄物(産廃、林地残材)を有効に利用することで達成できる。
そしてバイオマス(生物資源)の利用で、さらに向上させる手段は、これから続々と開発される可能性があるが、日本政府と企業は、ほとんど何も手を打っていない。
ここ数回のブログで書いた様に、外国の企業や先進国では、積極的にバイオマスエネルギーの可能性を求めて研究開発を支援し、原料となる栽培作物の適地を探っている。
これらの土地の利用権の争奪戦が、遠からず国際的な問題に発展するであろうが、日本はすでに大幅に立ち遅れているので、海外からのバイオマスエネルギーの調達は限定的であろう。

それでは、日本の国内で手に入れられるバイオマスエネルギーは、わずかな量にとどまってしまうではないか?
この疑問は当然であり、日本の国内の土地利用で森林地域(70%程度)は、持続的な木質バイオマスの利用が可能としても、限定される。

しかし、日本には、広大な海が周り中に存在している。
この沿岸地域の利用、開拓が日本の将来のエネルギー自給を可能にできる。以下次回に・・・・!

経済界は気候変動対策は、経済成長を阻害するというが・・。 

2009-10-22 | バイオ燃料・バイオマス
日本の経済界を代表してきた「経団連」は、旧産業で成功した企業の経営者の意見に占められて、世界の潮流である「「温室効果ガスの排出削減」=「代替エネルギーの開発促進」=「経済成長」
という本流を見ることができなかった。

日本政府は古い体質の経済界の意見に引きずられて、[CO2排出]の削減目標を、1990年比で2020年に8%に設定するのが妥当だとして、国際社会に提案して、嘲笑と失望の声にさらされたしまった。
政権交代した民主党の政権は、これを25%削減という、高い目標を設定して国連総会で提案し、歓迎と期待の声援を受けることとなった。
世界は[CO2排出]の大幅な削減という目標のもとに、「日本のリーダーシップと途上国への貢献」を期待しているのである。

後ろ向きであった経団連はさておいて、日本の経済界でも意識の転換が進みつつある。
マスコミでは、次の様に報じている。

『鳩山由紀夫首相が打ちだした温暖化ガス排出を1990年比で25%削減する目標を巡り、経済界で前向きな意見も一部にでてきた。
経済同友会の桜井正光代表幹事は15日、小沢鋭仁環境相と都内で会談し「積極的に協力する」という方針を伝えた。
 桜井代表幹事は25%減の数値目標について「基本的に評価したい」と語り、
「これからは新エネや省エネが商品になる。経済界も世界の潮流と分かっている」と述べた。
政府の「中期目標達成検討チーム」の求めがあれば協力する姿勢を示し、削減の具体策、新興国向けの技術・資金支援、国民への受益と負担の開示が欠かせないとした。
 日本商工会議所の岡村正会頭も同日の大阪市内の記者会見で、数値目標に関して「日本の企業がチャンスに切りかえ、新しい産業をつくりだす方向で考えないといけない」と発言。
「厳しい数字だが温暖化は絶対に防がないといけない問題」と強調し、「産業界の技術、政府支援、国民や企業の心構えの具体的な議論が始まる」と指摘した。』

以上のように風の流れが変わって、気候変動対策による技術革新と「新産業の育成」が、停滞している日本の産業界にチャンスをともたらすことになる、という前向きの経営者が現れている。

その中の具体策には、「バイオ燃料」の課題は、まだ浮上してきていない。
これはマスコミも含めて、日本の気候変動対策の関係者、専門家も、バイオ燃料の実態と技術的可能性や、事業化に向けての課題を、十分に検討していないことによる。
政府、官庁関係の部門もほとんど情報をもっていないし、政府与党の関係者も、具体策はまだ何も把握していないので、エネルギー戦略や、温暖化対策の「中期目標達成検討チーム」も、しばらくは、省エネルギー機器の普及促進や、既存の技術である「太陽光発電」や「風力発電」などの再生可能エネルギーの普及支援の政策に偏るであろう。

それは良いとしても、ここ数回で書いた様に「バイオ燃料」の開発促進の展開は、重要な「世界の新産業」の分野であり、日本が立ち遅れている。
これを放置していては、日本の国益に大きな損失をもたらすことになる。
一刻も早く、まず「バイオマスエネルギー」の将来性を認識すべきである。

途上国におけるバイオ燃料作物の進展状況はどうか。

2009-10-21 | バイオ燃料・バイオマス
発展途上国の課題は、国際市場において安定した高価格で輸出できる商品の生産を、いかにして国内の産業として育成し定着させるかである。
その課題に対して、バイオ燃料用の作物は、無限の可能性を持つ商品作物であり、荒廃した土地の有効利用を促すうえで最有力の候補になり得る。

前回に書いたように、食用になる作物をバイオ燃料に加工することは、世界の食糧需給を逼迫させる恐れが大きいので、先進国でも非食用の作物からのバイオ燃料製造に関心を移している。
「ヤトロファ(南洋あぶらぎり)」は、荒廃した土地でも栽培が可能とのことで、亜熱帯地域の各国で、事業化が積極的に検討されている。
日本のベンチャー企業も、取り組んでいるところがあり、すでに石油から作るケロシン(灯油)に匹敵するコストで量産できる目途を付けたという。
しかしながら、まだまだ、日本全体としては無関心に近い状況である。

「ヤトロファ」は亜熱帯以上の気温条件で、なおかつ水が豊富にある土地でないと、継続的な栽培ができない。
1リットルのバイオ燃料を作るのに2万リットルの水が要るといわれている。
そのように、どこでも栽培可能であるとは言えないし、他の気候条件でも荒廃した土地の利用に適するようなバイオ燃料用の作物が研究、開発されている。
たとえば、ケニアに自生している植物で、風除けや日よけのために植えられている「クロトン」という木の野性の実1キロからは0.35リットルの油が取れることがわかった。
この油は「バイオディーゼル燃料」に精製されて、地元のバスやトラックの燃料として利用している。風除け用にしかならなかった木からバイオ燃料ができて、地域経済にとって大きな助けになる。

このような地域にあった植物の産物を、バイオ燃料用に栽培できる技術を開発して、地元の燃料の代替をしたうえで、輸出用の製品に加工して外貨を得るようにすれば、途上国の経済活性化に大いに貢献できる。
日本に近い途上国でも栽培が可能であれば、日本の石油輸入の分を削減して、バイオ燃料を日本で利用できるようにすることが、国際貢献になるし、[CO2排出]削減にもつながる。

日本の石油企業は、今でも中東などからの石油輸入に依存した体制のままで、バイオ燃料などの代替燃料の開拓には、ほとんど関心をもたない。
欧米の石油企業はすでに、このようなバイオ燃料の開拓に向けて着々と手を打ち始めている。
うかうかしていると、世界の土地でバイオ燃料用の作物を栽培できる適地を、このような先を見ている企業に抑えられてしまうであろう。

日本政府の対応は全く遅れているが、その理由はどうもエネルギー戦略を持っていないことにある。
自民党政権の時代には、化石燃料にどっぷりと依存し、代替のエネルギーになる再生可能エネルギーの開拓促進に対して、まったく消極的であった。
エネルギー問題は経済産業省の所管であるが、バイオ燃料となると農林水産省の管轄になる。
そして途上国との関係での開拓となると、外務省が担当官庁であるなど、縦割りの弊害ばかりである。

ここは早急に「国家戦略室」の取り組み課題として、体制を作る必要があるが、いつ気がつくか・・!

バイオ燃料は途上国に対する産業支援になる。 

2009-10-20 | バイオ燃料・バイオマス
自動車や航空機、船舶に使用している石油資源は、一部の産油国に埋蔵が限られている。
その輸出によって稼ぐお金で、いわゆるオイルマネーとして、世界中に広まることで、バブルを生み出す要因にもなっている。
気候変動の原因にもなり、石油価格の変動は世界の経済に大きく影響して、需給のバランスが取れなくなれば、すぐに経済の破綻を引き起こす。
21世紀は、石油の消費を削減することが世界共通の課題であり、日本にとっても急務である。

その代替燃料にバイオ燃料の課題が浮き上がって久しいが、一般にはほとんど実情が伝えられていないし、誤解も多いので、ここで一度おさらいをしておこう。
バイオ燃料というと、すぐに自動車のガソリンの代替になる「エタノール(エチルアルコール)」が連想されるが、これは、一部の話にすぎない。
エタノールはガソリンエンジンを使った乗用車か小型のトラック用に限定される。
それは、今はサトウキビを栽培して作るのが一番経済的で優れている。
ブラジルではこのサトウキビ栽培を砂糖の増産とあわせて、国策として実施して30年以上も継続して、今では、ブラジル国内の自動車用燃料の半数以上を「サトウキビエタノール」で賄っている。

アメリカはサトウキビから作るのではなく、自国内で大量に栽培されるトウモロコシからエタノールを作っている。
トウモロコシの成分のでんぷん質をいったん糖化させて、それからエタノールに発酵させるので、製造段階で消費するエネルギー量が多くなる欠点がある。
あるデータでは、100のエネルギーをもつ「トウモロコシエタノール」の製造には、80のエネルギーを消費するといわれる。
大変、効率の悪い作り方であるが、アメリカ政府は石油の輸入量を減らすのが国策上の急務であったので、そんなことは無視してトウモロコシエタノールの増産政策をとっている。

その影響もあって、2008年にはトウモロコシの国際取引価格が急上昇をしてしまった。
トウモロコシの作付を増やすために大豆の栽培地を減らしてしまい、大豆も大幅に価格が変動した。
このような問題が発生したので、「バイオ燃料」は穀物の価格を急上昇させるので、使うべきではないと、穀物の輸入に頼る途上国からは大きな反発がでている。
今は、食糧作物からバイオ燃料を作るのは避けるべきとして、いろいろな代替策が研究されている。

一方、エタノール以外のバイオ燃料をみると、航空機用の燃料を代替する研究がおこなわれている。
航空燃料は石油の中の灯油成分「ケロシン」だが、これに近い成分のバイオ燃料を開発している。
この原料には、パーム油(油ヤシ)から作ることもできるし、最近では、「ヤトロファ(南洋あぶらぎり)」から作ることが関発されて、事業が検討されている。
これは、食糧になる作物が栽培出来ないような痩せた土地でも育つので、荒廃した土地の利用に適しているとされている。

農業開発に失敗したような土地でも栽培ができるので、貧困にあえぐ途上国での新産業として育成することにより、雇用創出と燃料製造、輸出によって外貨を得る有益な手段になり得る。
このようなバイオ燃料を開発し、利用を拡大することは、貧困の途上国に支援策として役立つ。

交通体系の見直しと同時に、脱化石エネルギー化が必須。

2009-10-19 | バイオ燃料・バイオマス
道路を含めた交通体系の見直しは地域主権で進めるべきとして書いてきたが、まだまだ、その動きは限られた範囲にとどまっている。
地域が活性化することが日本の経済活動を盛んにして、元気を回復する基本だと気ずくべきである。
それは委縮した活動を盛んにするので、必然的に人やモノの移動は盛んになって、自動車の利用も増えるし、航空機の利用者も増えていく結果になる。

これは、気候変動対策を必要としている世界の流れに背き、温室効果ガスの排出を増加してしまうのではないかと、危惧を持つ人も多いであろう。
確かに、今までと同じ機能の自動車や飛行機を使うならば、結果は間違いなく[CO2排出]の増加を伴い、日本が世界に宣言した2020年までに25%削減の達成ができなくなる。
このことが経済の活性化と矛盾することが、気候変動問題の根本的な解決の難しさを表している。

経団連をはじめとした旧産業の代表者は、だから、排出削減の目標を高くすることは経済活動の足を引っ張り、日本の国力を弱めることになると主張してきた。
1990年比で6%削減を公約した京都議定書の条約を、不公平な制約だとして非難し、積極的な対策には後ろ向きであった。
そして、削減に対しては自主行動計画という努力目標のみに固執し、企業にとってメリットのある「省エネルギー対策」については実行し、再生可能エネルギーの導入促進には反対してきた。
その結果は、省エネルギーは進んだが、経済活動は縮小傾向になってしまった。

エネルギーを節約することは、良いことだと言えるが、経済活動全体としては縮小の方向に働く。
単に省エネだけでは、間違いなく経済成長は低下するのだが、省エネルギ-のために新たに設備を入れ替えることにすれば、その投資金額の分が経済成長に貢献する。
自動車でいえば、省エネルギーのため、自動車に乗らないことにすれば一番良いのだが、それでは不景気になるのを助長する。
それよりも、燃費に良い自動車に新たに買い替えることで、省エネルギーを実行すれば、これは経済にとっては良い傾向になる。
だから、今回の景気対策で省エネルギー車に買い替えることを奨励する補助金と減税制度を導入したのは、確かに経済に対して効果はある。

ハイブリッド車や電気自動車などの、省エネルギー型の製品がこれから活発に売り出されるであろう。
あとは消費者がそれを選択することを奨励、誘導する政策を実施して促進を図る必要がある。

しかし、飛行機や船舶などは電気飛行機に出来るわけではないので、どうするのか?
ひとつは徹底した軽量化などを図って省エネルギー化を実現した飛行機に置き換えることであるが、なかなか、高価な飛行機ではすぐには入れ替えることはできない。

そこで、できるだけ早く実行すべき課題は、航空燃料にバイオ燃料の利用を義務付けることである。
出来れば2020年までにすべての航空機の燃料には、25%以上のバイオ燃料を混合して使うことにする。
そうすれば、同じ運行距離数の航空機の[CO2排出]は、25%以下に削減されることになる。
経済を活性化して同時に気候変動対策を実施するには、バイオ燃料導入を促進する方策が適切である。

では、それだけのバイオ燃料はどのようにして手に入れるのか?
次回から書いて行こう。

道路も空港も鉄道も一体何を目標に造るのか。 

2009-10-18 | 交通問題・自動車
公共投資の見直しが本格化してきて、高速道路の延長拡充や、不採算地方空港、ハブ空港化の議論が華々しく展開されている。
道路や空港を単純に整備していけば地域社会は発展し、総体的に日本の経済は成長して、人々に豊かな生活をもたらす、という筋書きは20世紀の過去のものとなっている。
道路をいくら整備しても、いわゆるストロー効果によって、繁栄は限られた地域に限定されてしまう。
空港があれば地域の人が利用するはず、という単純な発想がお粗末であることが明確になった。

これは、元々の発想が交通体系をバラバラに考えて、全国の都市の間をとにかく、高速道路で結ぶことが目的になってしまったような、狭い視野の専門家集団の過ちである。
地方空港はもっとひどく、一県にひとつ以上の空港が欲しいという、子供並の発想でとにかく造ることが優先して、その利用者のことなど、まったくと言ってよいほど考えないできた。
そのツケは、財政の大幅な赤字と次世代に対する借金である。

今の政権はこのような現状に対して、「コンクリートからひとへ」のスローガンで、大幅に公共工事を削減して、福祉的事業に予算を大きく転換しようとしている。
しかし、それでもかなり膨大な道路関係予算や、空港のハブ化など、コンクリート関係の事業は存在して、まだまだ、インフラの投資は必要な個所も多い。
では、どのような個所にインフラ投資を集中し、どこは削減するかの方向性は漠然としている。

首都圏と地方社会のニーズは、大きく異なる筈である。
それを単一の中央官庁が構想して予算の配分を決めるシステムは、能力の範囲を超えていると言える。
早急に地域社会に権限と責任を委譲して、自立的に将来の展望を構想して、責任を持たせて決断を迫る必要がある。
そうしないと、依然として従来と同じ発想のままで、ただ、道路の延長と各県にある不採算空港のお手当てをバラバラに継続する事業に、お金をつぎこみ続けることになる。

日本の国土が、アメリカ型の自動車と飛行機による交通体系というのは、適合していないことが解ってきている。
自動車や飛行機は、アメリカの様に国土が広大で、都市が分散している条件では、必要でやむを得ない選択であろう。
その悪影響で、都市の中心部は人が集まらなくなり、スラム化して荒れ放題に陥る。
日本もアメリカの後をまねしたような街作りをした都市は、中央の商店街がシャッター通りになってしまうことなど、街として不健全な形に陥っているところが増えている。

ここは、よく考えて地域社会の将来の構想をたてて、自動車によって無計画に広がってしまった街作りを、転換することに力を注がねばならない。
同時に、県単位での発想による無駄、将来計画の曖昧さを徹底的に掘り下げて、21世紀にわたって、どのような地域社会、経済、産業を育成していくのかを構想した上で、交通体系とエネルギー需給を考えるべきである。

その基本がなくては、コンクリート依存社会からの転換はできないで終わる懸念がおおきい。

地域主権の方向は正しいが具体的な方策を立てるべき。 

2009-10-17 | 経済問題
政権交代後1か月で、今までの行政の無駄を探り出そうと言う動きが活発化してきている。
補正予算では3兆円弱のお金を、保守政権の時代とは違う物差しで無駄と認定し、もっと、違う狙いの政策に振り向けようとして奮闘してきた。
この成果が出るのは、そのお金をもっと有効な政策に使ってみて、初めてわかるようになる。
今後は、本予算の見直しと、今まで手をつけてこれなかった特別会計の闇に踏み込んでもらい、成果を上げて欲しいものである。

その一方で、地域の活動の方は、活性化が進んでいるのであろうか。
相変らず、中央のお金による公共事業や、高速道路、空港、新幹線のインフラに期待する、お上だのみの景気対策を要望しているだけに見える。
今のままでは地域に主権を移そうとしても、あまりに弱体の政策立案能力では、ほとんどの政策を中央の行政官僚と政党の政策に頼る、おねだり地域自治体のままに終わりそうである。
地域が主体的に構想、企画して、その財源を中央が補助することが必要であるが、発想のもとを地域から起こさなければ、何も始まらないと覚悟を決めるべきである。

明治維新の廃藩置県以来の中央集権体制であったから、すぐに意識を転換するのは難しいのは解る。
しかし、できることからでも始めていくことが、地域の行政内部、地域の政治家の能力を鍛える意味で、重要である。
民主党は地域主権を公約として掲げて政権をとったのだから、その方向へ一歩でも始める必要がある。
その一歩は、交通体系政策の立案と実施を地域主権として権限と責任を移管する。
県単位では小さすぎるので、州単位の地域を想定して県の共同政策集団をつくることから始めていくべきである。

その上で、地域の特性を生かした産業を活性化する計画を立案していき(もちろん、地域主体で発想すべきであるが)、その実施における財源を中央は一括して支援する。
具体化は地域に任せて、一括した交付金を地域に移譲する制度にすべきであろう。
政策立案と実施の人材が不足するならば、中央官庁や民間から有能な人をスカウトすればよい。

たとえば、北海道では再生可能エネルギーを利用するには、大変有利な環境にある。
風力発電には適した地域が多くあり、民間の事業者が風力発電の立地計画を数多く申請している。
しかし、北海道だけでは、その電力を有効に使うことが難しいので、北海道電力は今以上の電力の買い取り(送電線網につなげて使う)を拒否している。
これは地域の価値ある資源をむざむざと捨てているようなものである。
同じように北海道は林業が盛んであるが、その伐採時における残材は利用の用途が少なくて、大半が捨てられている。
これを、集荷してバイオマス発電所を建設して利用すれば、価値のある電力として利用ができる。
しかし、これも北海道電力には過剰の電力となるので、ただ同然の価格でしか買い取ってもらえない。

同じような環境にある、北欧の国のスエーデンやデンマークは、バイオマス発電と風力発電の電力を国の国策として有効に利用している。
同じ経済規模の北海道が出来ないわけはない。
それは地域が主権を持って国策(道策?)を構想していないからである。

北海道を再生可能エネルギー立国(立道?)の特区として始めたらよいのに。