庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

自民党も民主党も表面のスローガンだけで中身は不勉強。

2013-03-31 | 快適エネルギー社会問題
民主党の政権交代の目標には、「再生可能エネルギーの大幅な普及促進」の政策が盛り込まれていた。
2020年には、日本の1次エネルギーの分野の10%を「再生可能エネルギー」で供給し、自給率を高める数値目標もかかげていた。
しかし、具体的な導入政策は実現には程遠くて、唯一の成果は「菅内閣の退陣条件で成立した『再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度』の発足」で、現在の「太陽光発電の設置ブーム」につながり、経済の活性化に貢献している。

政権交代した自民党では、再生可能エネルギーの推進は謳っているが、中身は何もできていなくて、官僚が作る政策案を待っているだけである。
特に熱エネルギー分野の普及推進政策は、皆無の状態で中身は空っぽだ。
政治家の言い訳としては、新技術の開発には時間がかかり、成果が出るにはどうしても4年以上はかかる、と言う。
つまり、政権の任期中には成果は出なくても良いノダ。と言っている様だ。
安倍首相は「政治は結果が重要だ!」と言っているのに、無責任極まりない。

このブログで説明した様に、「バイオマスエネルギー分野」においては、すでに利用可能な技術開発は、実現している。
電力でいえば、「石炭混焼火力発電」は設備改造もなく、すぐにでも実施できる。
バイオマスだけを燃料とする「バイオマス専焼発電」は、数年で建設できる。
更に小型の、『地産地消型の小規模バイオマス発電コジェネ』も、実用化技術が出来上がっている。
小型の設備であるから、日本中のどこにでも1年以内で建設が可能だ。
電力ではなく、熱エネルギー利用ならば、「小型の高効率バイオマスボイラー」は5年以上も前に国内生産されている。

燃料となる木質バイオマスは、日本中の山林に利用されないママに放置され、10年もすれば腐って、土と[CO2]に戻ってしまう。
経済が活性化しないのは、技術開発が遅れているのではなく、政治家の頭が時代の進展に遅れていて、普及促進の政策を打ち出せないからである。
本来ならば、中央官庁が「時代に沿った適切な政策」を立案して、政治家に進言すれば具体化に進む仕組みになっている筈だ。

ところが今や、中央官庁は自省の権益確保が最優先の関心事で、縦割り行政の狭間にある『バイオマスエネルギーによる経済の活性化』は眼中にない。

日本のエネルギー政策の転換は未だに迷走状態のままだ。

2013-03-30 | バイオ燃料・バイオマス
1年前のブログで、「木質バイオマスは石油の輸入削減に効果的に貢献する。」と題して、熱利用の石油燃料をバイオマス燃料に切り替えることを提唱した。
要点は、「日本で輸入している石油の年間3億㌔リットル」を、10%分を熱利用を「木質チップ」「木質薪燃料」におきかえる目標を立てる。
3千万㌔リットルの石油は、7500万トンの木質材を燃料用に回すコトで供給できるのだ。
1トンの木質燃料の価格を平均で2万円/トン、とすれば、1500億円の木質燃料需要が生まれるコトになる。

歴代の政権は、エネルギー自給率が4%程度であるのに、なんら対策を講じないで、ただ、電力分野において「原子力発電への依存率を50%に高める」様な、【もっとも愚かな戦略目標】を決めてしまった。
その影響もあって、熱利用分野には政策目標が無いに等しくなり、純国産エネルギーの木質燃料を積極的に利用する技術開発の支援もせず、事業化の革新・普及の政策を怠ってしまった。
1年間と振り返ってみても、2012年7月の[FIT]の電力優遇政策によって、ようやく「バイオマス発電」への、投資計画が動き始めたが、熱利用の促進は、皆無の状況のままである。

熱利用の石油を木質バイオマス燃料に転換することは、ムズカシイ技術開発が必要なことは一切ない。
1年前の時点で、技術も事業採算性も成立しているが、農水省や経済産業省の中央官僚の頭には、高度技術や大規模技術ばかりが【自分たちの役割】だと思い込み、小規模な技術は「中央の(権威ある)官庁」の仕事ではないとしている。
政治家はエネルギー分野のことなど不勉強で、林業関係の状況を知って、木質バイオマス燃料を理解する様な、エネルギー政治家は、ひとケタしかいない。

安倍首相は、エネルギー政策に対する見識もないために、日本のエネルギー輸入依存率が膨大な金額になることが頭になかった様だ。
まず石油や石炭、天然ガスへの依存度を減らす政策を打ち出してから、円安誘導への金融政策を促進すべきであった。

それを、何も考えずに「物価2%上昇目標」を打ち出したために、15%以上も円安に振れて化石燃料の輸入金額が瞬く間に増えて、貿易赤字を拡大させた。
エネルギー分野では国益を膨大に失い、デフレ脱却ができると錯覚している。

電力会社の経営陣はまともな判断のできない無責任集団だ。

2013-03-30 | 核エネルギー・原子力問題
独占的な地位による既得権の上に胡坐をかいて、【殿様商売】を続けてきた電力会社の経営陣は、社会情勢の変化を感じ取る能力が全く欠けている。
福島原発大事故の影響を受けて、日本の国民の7割が「原発に依存しない社会」を望んでいることを、認めようとしない。
50基もある原発(福島第一の4基は破壊による廃炉)の先行きをどうするかの経営方針も「安倍政権の日和見主義」によって、宙ぶらりんのまま、何も決定出来ないでいる。

少なくとも、政府の方針が原発を15%程度は維持すると覆っても、40年以上経過した原発は、稼働することは絶対にない。
その程度の自明のことすら、経営陣は「判断を先送り」して、いたずらに維持管理の費用を無駄使いしている。
中でも、新規に建設する原発を、着工済みであるからとの理由で、建設工事を続行すると経営判断をしてしまった。
さらに、未着工や新設・増設の計画がある原発が11基もあるとして、これも、計画続行のママ、何も決めることをしないで惰性の経営をしている。

その中で、「東北電力は福島県内に新規に計画している原発」の計画を中止すると、やっと判断をして福島県知事に伝えた。
福島県は、県内の既存の原発をすべて【廃炉にすべき】と政府と電力会社に要求を突き付けていた。
原発の新規建設の計画の中止は、正常な頭の持ち主ならば、当然の決断である。
また、「活断層の可能性がある」と原子力規制委員会から指摘された原発も、早々に【廃炉の決定】をして、無駄な紛争費用をこれ以上は増やさないのが、まともな経営者の判断である。

この様に「新設・増設の計画は中止決定」し、「40年以上経過の原発の廃炉決定」はすぐにでも決断する。
更に、原子力規制委員会が敷地内の「活断層の存在」を指摘した原発は、再稼働をしない。
それを、調査の継続や異議申し立てをして、いたずらに「廃炉の決断を引き延ばす」様な経営判断をする様では、経営者の資格はない。

残りの40基程度の原発も、すべてを再稼働の対象とする様な「国民の意思を無視」する経営者は、次期の株主総会で交代をさせるべきである。

第三の矢の成長戦略の柱は電力産業の大改革である。

2013-03-28 | 快適エネルギー社会問題
日本の経済停滞の大きな要因には、電力産業の旧体質があらゆる方面に悪影響を及ぼしている。
その最大の元凶は、太平洋戦争後の国内の混乱期を乗り越えるために、「発電・送電・売電の一体化事業」を、各地域の一社の独占体制にして、インフラ整備の促進を図ってきた「社会主義的体制」にある。
社会主義による官僚的な管理・運営は、50年も経つと確実に腐敗と硬直化を引き起こし、社会情勢の変化に対応できなくなる。
日本の地域独占の電力会社支配は、1990年代には硬直化を引き起こしていた。

欧米でも、この電力事業の硬直化に対する対策が必要になり、各国では『送電網の事業を切り離して公正な利用環境』を作りだす方向に転じた。
この送電事業分離により、発電事業者の技術革新や、経営革新の競争が引き起こされて、電力事業の近代化が進展している。
特に「再生可能エネルギー事業」の分野に、新進気鋭の企業の参入が活発になって、未熟であった技術レベルの革新が実行されて、実績を産みだしてきた。
日本は、1990年代の初頭は欧米と同レベルであったのが、瞬く間に引き離されて、今は【再生可能エネルギーの後進国】に転落している。

民主党政権には批判も多く、失敗や力不足が目立ったが、「再生可能エネルギー電力」の普及促進には、昨年7月1日の[FIT](固定価格買取り)の発足によって、成果を産みだしている。
ところが政権交代した自民党政権は、その後の政策について「アベノミクスの第三の矢」と、スローガンを言うだけで、電力事業の革新には、全く後ろ向きの姿勢に終始してきた。
これに対する世論の批判の声も高まり、安倍政権としてこれ以上の骨抜きは許容されないと、「電力事業の独占体制を転換」する政策に踏み出した様である。

政府は「発送電分離を2018~2020年」を目途に、実施する方針を固めて、来週にも閣議決定に持ち込む、と報道された。
政府が6月にまとめる『成長戦略の柱』に電力事業の活性化策が据えられる。
しかし、民主党野田内閣も、末期に『脱原発路線』を閣議決定に持ち込もうとして、電力族議員や電力産業界の抵抗の前に、引き戻されてしまった。
今回も同じ様に猛烈な抵抗に遭遇しているが、ここで前に進めない様では、野田内閣の徹を踏むことになる。

今度こそ、安倍政権の本気度が試される場面だ。

限られた資金を有効に活かせるのは太陽光よりバイオマス。

2013-03-27 | バイオ燃料・バイオマス
地産地消型の「再生可能エネルギー事業」を、地域の自立的な活動をベースにして実現するコトが、これからの重要な課題である。
「再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度」が発足した段階で、太陽光発電の設置ラッシュが始まっている。
技術的には判り易くて、設置場所さえ確保すれば、あとは完成品と仕入れて取り付け工事を依頼するだけで済む。
だが、太陽光発電は設置する時だけの工事期間中は地元に貢献するが、稼働し始めた後は地域には何もメリットはない。

その一方で、「バイオマス発電コジェネ設備」は設置工事中だけでなく、稼働後には運転と燃料の供給事業で、地元経済に波及効果が出て継続する。
現段階では、設備関連の投資額の回収に期間がかかるので、買取り価格は[32円/kWh]に設定されて、20年間に渡って優遇される。
通常の電力買取り価格は[10円/kWh]程度で、この差額は電力消費者が電気料金に上乗せして負担する。
都会の電力消費者が、地域の仕事を20年間に渡って支援をする仕組みなのだ。
地域が活性化することで、都会の経済にも波及することを期待しての制度だ。

この制度が発足してから、各地でも「バイオマス発電設備」を導入しようという動きが始まっている。
しかし、地域の動きはまだ緩慢で、地元の自立的な意識はまだ盛り上がらない。
「マスメディア」の論調も、「メガソーラーブーム」を採りあげるばかりで、「バイオマスエネルギー」に対しての理解と支援は、未熟な段階に留まっている。
例えば、太陽光発電設備は、1000KWの設備としても、稼働率(太陽光の日照時間に影響される)は12%程度で、電力供給力への貢献度は低い。
「バイオマス発電」は燃料さえ途切れない様に供給すれば、稼働率は80~90%の実績も可能で、200KWの発電設備は1MWの太陽光発電よりも働きモノだ。

その上に、バイオマス発電設備を設置すれば、近隣の山林から未利用の間伐材を収集する事業は活発になる。
それは、林業の活性化に結び付き、手入れ不足の人工林の適切な管理が進む。
林業が再生することで「森林の健全化が進み」、「水源地涵養効果」が生まれ、土壌流出を防いで「国土保全に貢献する」ことは、国民に知られる様になった。

ところが、経済産業省は電力供給の役割しか、「バイオマス」を認めていない。

政府や中央官僚に頼らないで地域が自力で創りだす。

2013-03-26 | バイオ燃料・バイオマス
地域社会に出来る仕事を作りだし、雇用が生まれてお金が循環する様になる。
1990年代のバブル崩壊以後に、地方経済の疲弊が蔓延しているが、政府と官庁は公共事業の一時しのぎのおカネを回すだけに終始して来た。
その様な継続性のないことばかりをやってきたので、国も地方自治体も借金ばかりが残ることになってしまった。
今回の安倍内閣の経済活性化策は、円安による【株価上昇のバブル】頼みと、国土強靭化と称する【公共事業のバラマキ】に重点をおいている。

第3の矢として、【成長戦略を打ち出す】と宣言しているが、民主党政権時に出来ている路線を、自民党の都合が良い方に修正を加えるだけに留まるであろう。
その中身の具体性は乏しく、中央官庁の縦割り権限の中での「補助金政策」の競い合いになる。
成長産業と言っても、各省庁の省益に沿う方向の事業が優先されるのが確実で、将来の権益増加や、天下り団体への影響力が期待できない様な事業は、確実に選択から外れる。
官僚がやりたがらない事業は、与党政治家もあえて取り上げようとはしない。

事業規模が小さくて、官庁の省益に沿わない『バイオマスエネルギー新事業』は、今までも「支援対象の事業からは外される」ばかりで、地域に雇用を作ることはなかった。
今回の「アベノミクス」でも、過去のやり方しか出来ない自民党政権と官僚には、期待できないと見るのが妥当である。
では、せっかくの地域の資源を誰が有効利用できる様にするのか。
それは、地元の起業家と地域住民の意思次第で、『地産地消』の事業を、もっとも優先しようという「地域自治」の意気込みによる。

大企業を頼りにしても、採算性や将来の発展を経営戦略としているので、「地域経済への貢献」は、後回しになる。
たとえ成功したとしても、すぐに他の地域、他の事業、他国への事業に経営戦略の重点がうつるために、地元に定着する可能性は少ない。

それよりも中堅企業で新進気鋭の経営を目指す「地元に縁のある起業家」の協力を引き出し、地元の事業者自らが、自立する意気込みで始まる『地域発の新事業』として進めるのだ。
小規模の事業でも、このやり方が『地域社会に貢献』することは確実である。

地域経済を活性化する政策は中央官僚の仕事にはならない。

2013-03-25 | バイオ燃料・バイオマス
地域社会を元気付ける事業が、いま最も優先されるべきである。
安倍政権の円安誘導の金融政策は、中央のおカネが集中している大企業や投資家にとっては景気浮揚の効果が生まれている。
だが、経済の国際化で、従来の経済活性化の「トリクルダウン効果」(中央が潤えば次第に地方にもおカネが回る)は、もはや絵空事同然となっている。
これからの経済は、確実に地域社会におカネが浸透する様にして、初めて地方の活性化になり、これらの総合された効果が積み上がる成果として、デフレ経済から離脱をし始めるのだ。

「再生可能エネルギー普及政策」においても、大規模型の太陽光発電設備は、投資額は大きいが、その大部分のおカネは、太陽光パネルのメーカーと関連の電力機器部品メーカーに流れるだけである。
しかも、太陽光パネルは、中国製の安売り攻勢によって、輸入品の割合が激増して、中国企業を潤すことになってしまう。
太陽光発電は、いったん、設置が終われば地元の雇用は一切なくなる。
発電した電力の売上は、設備投資の償却費用に充てられるので、地元には一切、おカネが流れて行かないのである。

その点で、「バイオマス発電事業」を起こすことによって、確実に地元の仕事が発生する。
石炭火力発電所に【バイオマス燃料】を収集・加工して輸送すれば、その仕事分の雇用が生まれて、地域社会におカネが循環する。
新規のバイオマス発電所を設立するならば、建設時の雇用をもとより、完成後も稼働の為に、仕事は継続して必要になる。
必要な燃料は地域周辺から大量に収集する必要があるので、近隣地域の雇用が大きく増加して継続する。

「バイオマス発電コジェネ設備」の新設に取り組めば、建設時、運転稼働時、燃料収集事業の効果で、雇用が創出される上に、熱利用を併用することで、今までの化石燃料(石油、天然ガス等)消費を削減できる。
この燃料費は今まで、地域外におカネが流出していたのだが、「バイオマス燃料」を地元で調達する様になるので、確実にお金が地域で循環し始める。

地域経済の活性化に効果があることは歴然としているのだが、中央官庁の縦割りの狭間にある事業なので、中央の官僚は仕事を作らない様にしてきた。

自民党政権の大企業よりの政治姿勢を転換する必要がある。

2013-03-24 | バイオ燃料・バイオマス
日本の山林に利用されずに廃棄されている「木質バイオマス」を、火力発電の燃料に利用する技術は、すでに実用化されている。
既存の石炭火力発電所に「木質バイオマス」を輸送して持ち込めば、石炭の粉粒に混合して燃焼させて、発電に利用する方法は既に、電力会社で「石炭混焼発電」として実行している。
ただし、この燃料は、外国産の輸入に頼っているコトが、課題として残る。
国産の「木質バイオマス」を100%利用する設備は、5000~1万KW規模のバイオマス発電所が各地に設置されて、利用が始まりだした。

どちらの設備でも、国産の木質バイオマスを収集・加工し、運送する事業が新規に起こされる。
この燃料生産事業が各地に大量に起業すれば、地域の新規雇用が生まれ、経済活性化に貢献できる。
海外からの輸入燃料を削減する効果があり、エネルギー自給率の向上になる。
同時に国内経済活性化と貿易収支の改善にも効果が生まれる。
良いことずくめであるのに、政府の支援はさみしい限りの状況である。

自民党政権は、電力会社の利益につながらないことは、できるだけ避ける様な体質となっている。
その感覚が邪魔して、「バイオマス発電」などは、「ゴミの様な邪魔な事業」だと思いこんでいるのだ。
その典型的な事例をあげてみると、『小型のバイオマス発電・コジェネ設備』の研究・開発には目も向けない状態だ。
燃料の主な供給元は、山林に放棄されている「間伐材の未利用部分」であるが、この搬出・輸送には経費がかかる。
だから、ゴミとして「廃棄処分扱い」で開発支援もしないできたのである。

バイオマス発電の設備を小型化すれば、山林に近い場所の設置できる。
その上、発生する熱を利用して、近隣の熱利用設備のおきかえも可能になる。
小型のバイオマス発電設備だけでは、燃料の利用効率は20%程度のレベルだが、熱利用をすれば総合効率は50~80%程度まで、高められる。

大企業や経済産業省、農水省は、地域社会にとって、もっとも適した設備の開発には関心を向けなかった。
小規模の発電設備などは、エネルギー利用面はゴミ同然の扱いであった。(続)

やっと政府の動きが地域経済の活性化に効果を産み始める。

2013-03-23 | バイオ燃料・バイオマス
日本で捨てられている「木質材の利用先」としては、エネルギー利用するのが、一番優れている。
樹木は貴重だから、燃料とするのは最後にして、住宅材や木製の商品を開発して、まず有効利用してから、用済み後に廃棄された「廃木材を「エネルギー利用するならば、一番合理的である。

しかし、この様な理想論を述べているだけでは、日本の林地は「間伐等の手入れ不足不良林」が増え続けてきた。
更に、間伐を促進する名目で間伐作業に補助金が交付されたが、集材に経費がかかるので、切り捨て間伐は横行して「林地に未利用残材」が大量にでた。

農水省(林野庁)のやることは、なんとも中途半端な政策に終始して、日本の山林にある木質資源を、ミスミス放棄して来た時代が長年の間続いてしまった。
やっと、2012年7月から『再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度』が発足して、バイオマス燃料による発電にも、追い風が吹き始めている。

林地に放棄されている「未利用木材を燃料にしたバイオマス発電」には、優遇買取り価格が[32円/kWh](税前)が設定されて、現段階での「発電コストに8%の利益を載せた価格」でスタートしている。

従来の買い取り価格は、[10円/kWh]程度でしか、電力会社は買取ろうとしなかった。
この優遇価格で買取る制度は、民主党の菅内閣の時に成立して、やっと「再生可能エネルギー」の本格普及時代が始まったのである。
この制度の発足によって、やっと、林地を抱えた地域での【バイオマス発電事業】がスタートしている。
一例をあげれば、青森県津軽地方に「バイオマス専焼発電所」の計画がはじまっている。

発電規模は、6250KW、24時間340日/年。のフル稼働時には、一般家庭14000世帯分の電力を送りだす。
フル稼働状態で16億円/年の電力売上収入が見込まれ、設備投資は30億円、年間で3億円の償却費と見込んでも、13億円以上は地元に入る。
これによる近隣からのバイオマス収集事業は、「地元業者の会員」を募り、継続的な木質バイオマスの供給体制をつくる。

この雇用創出効果は、確実に地元経済の活性化に貢献するのである。(続)

政府がやる気になればバイオマス発電促進は可能である。

2013-03-22 | バイオ燃料・バイオマス
日本では「バイオマスエネルギー事業」の普及が立ち遅れている。
石炭火力発電の燃料に、「バイオマス燃料」を混合することで、エネルギー源の自給率向上を図ることができる。
木質バイオマスを顆粒状にして石炭粉に混合して「発電燃料」とする技術は、2007年頃には確立して、5%程度なら設備の改造が必要なく、すぐにでも実施できる。
関西電力は、木質ペレットを石炭に混ぜて燃やす「石炭混焼発電」をすでに開始して、問題なく運転を継続している。

ところが、この「木質ペレット」は、日本産ではなく、「カナダ産の木質ペレット」なのである。
カナダでは、太平洋岸に大規模な製材工場が立地し、製材時に発生する大量のオガクズや端材を「大量生産できる木質ペレット」に加工する。
これをカナダ国内では使いきれないので、太平洋を渡って日本に運び、海沿いに立地している「石炭火力発電所」に直接、陸揚げする。
こうすれば、電力会社にとっては低価格で木質燃料を手に入れ、しかも「温室効果ガス[CO2]排出削減」に貢献できる。

それでは、日本産の「木質ペレット」は、どうして電力会社は使わないのであろうか。
まず第一に、日本の「木質ペレット製造企業」が小規模過ぎて、電力会社が要求する量を【安定供給出来る保証が出来ない】のが原因である。
製材工場が各地に分散して小規模であるために木質ペレットの大規模生産が出来ない。
小規模製造の「木質ペレット」は製造コストが高くなり、電力会社は海外産の木質ペレットの方が安いので、日本産を使いたがらない。

日本政府が、電力会社にたいして、石炭火力発電の燃料に、木質バイオマス、それも「国内産の木質ペレット」を、一定割合以上を混ぜることを義務付けることで、これらの問題を乗り越えることができる。
しかし、日本の電力会社の特権意識を助長して来た経済産業省は、そんな義務付けをすることなど、全く意識にはない。
もともとの政府内に、「温室効果ガス[CO2]排出削減」の義務意識などは、皆無なのだから、電力会社のやりたい放題にするしかないのである。

日本でのバイオマス利用発電は始まったばかりで難題だ。

2013-03-21 | バイオ燃料・バイオマス
日本での自前のエネルギー資源として「再生可能エネルギー」は、1990年代から導入促進が提案されてきた。
しかし、電力会社や経済産業省は、「大量の電力供給力には不向き」と判断して、20年近くに渡って、導入促進には本気ではなかった。
ところが、ヨーロッパ諸国をはじめとした先進国では、再生可能エネルギー電力の比率が、予想以上に拡大してマスマス勢いを増している。
この事態に、日本国民の総意は、『「再生可能エネルギー・電力」の導入を可能な限り早めるべきだ』、となって来た。

日本で一番遅れているのは『バイオマスエネルギー事業分野』である。
そのなかで、石炭火力発電所で、「バイオマス資源」を燃料として、石炭と混合してボイラーで燃焼させる「石炭混焼発電」が2007年頃から始まっている。
しかし、電力会社は「バイオマス燃料の調達」には不熱心で、地域での林地残材などが大量に捨てられているのを利用しようとしない。
いや、火力発電所まで、指定する価格以内で持ち込めば、買取るとは言っているが、その価格は法外に低いままで、民間事業者が採算悪化で止めてしまう。
【バイオマス燃料は供給されない】事態で、混焼発電は頓挫している。

それでは、利用されないバイオマス資源をミスミス放置しているだけに留まるので、地域でこれを利用しようとして、「バイオマス専焼発電所」を計画した。
すでに、日本の各地で発電事業は始まっているが、この弱みは「バイオマス燃料は熱量が少ない」ので、石炭火力発電よりも熱利用効率がひくいコトだ。
石炭火力発電は、最新の技術であれば、45%程度の利用効率で運転できる。
一方、「バイオマス専焼発電」は、20~25%程度の利用効率になってしまう。
その上、燃料を周辺から調達するうちに、ドンドン、輸送距離が遠くまで広げるコトになり、バイオ燃料の仕入れ価格が上がってしまう。

そこで、2012年7月から「再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度」の発足に合わせて、[33.6円/kWh]で電力会社が買い上げるコトになった。
これでやっと、バイオマス発電所は採算性が成り立つ様にできる。
しかし、通常の買い取り価格は[10円/kWh]程度であるから、この差額は電力消費者の負担で賄うコトになっている。

発電コストを下げるには、バイオマス発電の熱利用効率を向上させるか、石炭火力発電の石炭に混ぜる方法で利用促進するか、を選択する必要がある。(続)

日本の将来は付加価値を産みだし、エネルギーは自給化。

2013-03-20 | 快適エネルギー社会問題
日本の将来を従来型の【モノ作りを重点とした加工貿易立国】では、成り立たないことは明らかである。
モノ作りでも、『日本特有の高付加価値』を実現した事業を育成しない限り、成り立っていかない。
しかも、高付加価値の商品を実現するには、10年以上30年くらいは継続的に取り組む「熱意と持続力」が不可欠なのである。
しかも、「高付加価値事業」は、マーケットサイズは小さい規模であり、大企業が取り組むには不適当な事業分野なのである。

それでは、日本の雇用を十分に生み出すコトが出来ないのではないか。
この疑問点があっても克服しないと「日本の将来はない」と言わざるを得ない。

だが、その難題に入る以前にやるべきコトが目前にあるので、まずは「エネルギー問題」の克服を理解しておこう。
日本のエネルギー自給率は、わずか4%であり、先進国の中でも特に低いレベルに留まっている。
しかも、「原子力」を国産としても自給率は18%程度であり、大多数の国民が依存度を限りなく下げて行きたいと要望している。

生活と生産の基本を支えるエネルギー自給率を、速やかに50%以上に高めるコトが、日本の将来を明るくする第一歩である。
その方向はこのブログで何度も書いてきた様に、「再生可能エネルギー」の開発普及を国民の総力を挙げて取組むことである。
中東依存度の高い原油輸入を減らすコトが第一優先であり、代替の天然ガスに切り替える中継ぎ路線を経て、「洋上風力発電」「太陽光発電」「地熱発電」「潮力発電」など、現在着手している研究開発のスピードアップを最大限に図る必要がある。

これらの事業が実現して拡大すれば、化石燃料の輸入は減らせる上に、国内には新たな雇用機会が次々に生み出される。
原発はすべて【廃炉の段階に移行】することになるが、かなりの長期に渡って多くの雇用を必要としている。

そして、これから発展が予測される分野に、『国産のバイオマス(生物資源)を利用』したエネルギー事業が育成されるだろう。
バイオマス事業分野は多岐にわたるので、順次、説明を加えて行きます。(続)

経済構造が転換したのに気が付かないリーダーや専門家。

2013-03-19 | 経済問題
自由貿易の拡大路線は、日本の国創りや経済活性化には役に立たない。
関税ゼロ化に向けた国際的な潮流に飲み込まれれば、デフレ経済はより一層、深刻な状況になる。
総需要不足の時代には、月並みな商品は飽和状態で、更に生産性を上げたり、経費削減を図るだけでは、物価値下がりと同時に可処分所得が減る。
これでは、デフレ経済の悪循環に陥るだけである。
価格競争力に依存は、「先進国では成り立たない」時代に入っているのだ。

人口が大きい国が経済発展の段階に入ると、膨大な新規需要が発生して、普及品の販売量が飛躍的に拡大する。
当初は輸入品で賄うにしても、すぐに自国の消費分は「生産設備の移転」をして価格の低下を図る様に、販売企業に要求する様になる
数量が多くなれば現地生産に移したほうが、販売企業も利益が大きくなると判断して、生産設備の移転を図り、大量生産、大量販売に転換する。
製品の品質が一定レベルを超えれば、今度は元の生産国に逆輸出する様になる。
先進国の輸出向け生産はストップし、国内販売分も海外生産品に切り替える。

この様な生産・販売の構造が、あらゆる分野で引き起こされて、日本のお家芸の『大衆普及衣料品』『家電製品』の分野で、新興国への移転が大幅に進んだ。
更に、高度の耐久消費財である『自動車生産』も、今や「輸出先国での生産」及び、「製造原価を下げられる国への移転」が進行しつつある。
日本国内での生産は、先進的な技術を盛り込んだ「日本特有の仕様」の高度の製品だけに絞られてくる。
裾野の広い自動車産業の海外生産移転は、部品工業の将来も大きく影響する。
世界中の大衆向け商品の生産は、マーケットが拡大している新興国での生産に移るしか、存続する道はないのだ。

それでは、日本国内での生産、産業はどうして存続して行く事が出来るのか。
「高付加価値商品」に力を注いで、価格競争力には依存しない分野での、存在価値を実現しなければならない。

新興国での需要に依存する商品は、もはや日本国内では存続できないと覚悟して、経済構造の変化に適応していくしかない。
それに対応出来ない経営者は、すぐに交代して「高付加価値商品」の開発に手腕を発揮する新経営陣を育成することに尽きる。

価格競争力に左右されるモノ作りは先進国からは転出する。

2013-03-18 | 経済問題
大量生産を武器にしてきた【経済発展の循環】は、先進国においては完全に行き詰っている。
画一的な商品を作り続ける技術は、生産技術を新興国に移転すれば、もっと安価に出来るので、一定の時間がたてば「自国内の生産拠点」は不要になって、雇用が失われる運命にある。
経団連に加盟している様な企業は、すべて、この様な経済構造の中で、利益を上げてきた事業ばかりである。
国内の設備償却が済んで、更新する時期までには、生産を海外に移転するのが運命なのだ。

日本の高度成長期の経済を引っ張ってきた「自動車産業」や「家電産業」は、2000年代には新興国の生産に移転が加速してきた。
家電の液晶テレビ事業の様に、新興国の企業製品に価格面で不利な状況になって、国内生産を停止する事態に追いこまれた。
一時は地方経済の救い主として歓迎されて、「自動車工場」や「液晶テレビ工場」などの生産を、地方の誘致策に沿って実施されて「雇用創出」に貢献した。
しかし、よそからの移転による経済活性化は、また時期が立つと「もっと条件の良い地域に移転」するのは必然である。

安倍内閣は、大規模な「経済活性化策」として、10兆円以上の予算を投入するとして、これで60万人の「雇用創出効果」があると、勢いを強調している。
しかし、半分程度は、地域のインフラ整備の補修に使われて、建設関連事業が一時的に膨らむだけである。
地域経済活性化も、公共事業投資が終わればしぼむのは歴史が証明している。
あとの半分は、今までの構造による経済統計に基づき、産業連関分析による予測データの推計で、経済構造が大きく転換している現状では、無意味に近い。

「TPP」交渉に参加し、輸出企業が活気づくと言うが、関税ゼロ化の恩恵を受けるのはホンの一部である。
まともな企業経営者ならば、価格競争で勝負する事業は、市場の大きい海外の適地に生産を移転する計画を実行する。
経済産業省は、この様な事実に気付いている筈だが、安倍内閣から「経済効果の数字を出せ!」と要求されたから出しているにすぎない。

「アベノミクス」の成長戦略は、絵ソラゴトの、数合わせに過ぎないのである。

経済停滞の主因は飽和したモノ作りに囚われる男の石頭。

2013-03-17 | 経済問題
日本の「長期に渡るデフレ経済からの脱却」は、安倍内閣の登場まで、手をこまねいていたわけではない。
国民のほとんどが、モノ不足の段階を通りすぎて、より質の高いレベルの商品を求める「高付加価値」を願望しているのに、対応できないからである。
その一方で、日常的に消費する「食料」「衣料」「日用雑貨」などは、消耗品扱いで「商品レベルはほどほどで良いから安くして欲しい」とのニーズに沿うように、価格競争が激化した。
そのために省人化、低賃金化が、猛烈な勢いで進んできたのだ。

デフレ経済を長引かせたのは、1990年代からの「価格破壊」を持て囃してきた「似非経済評論家」や「空気に流されるマスメディア」にも大きな責任がある。
同時に、低価格化こそが事業戦略の主力として、大量生産の低価格商品ばかりを重視してきた大企業の責任も大きい。
低価格にするには、低賃金の新興国に生産拠点を移したり、国内の給与水準の低い地域に工場を移転して、とにかく人件費を下げることばかりを優先した。
結局、どの地域でも【働く人の収入は減る】事態に陥いり、可処分所得が減り、総需要が減少するデフレ経済に陥った。

原因が判っているのだから、やるべきことは「人件費を上げる」コトであり、『人件費が高いレベルでのモノ作り』を目指す必要がある。
ところが、従来の産業分野や製品から、離れることを嫌がる「旧時代の石頭経営陣」は、付加価値を上げる挑戦を避けてきた。
やるべきコトから逃げて、政府に企業減税や優遇策を迫り、さもなければ「生産を海外に移転するぞ!」と、開きなおる。
日銀がいくら低金利政策を続けても、旧時代経営陣の石頭で考え付くのは、海外市場の開拓やコストダウン目的の、海外生産しか考えつかないのだ。

遂に、「高付加価値の農業製品」を犠牲にしてでも、国内生産品の価格競争を有利にするための「原則関税ゼロ」の自由貿易を進めるべきだと、主張し始めて、ついに「アメリカ覇権のTPP」の枠組みに入ることを、政府に強要した。
これで輸入品の価格ダウンになり、デフレ経済を長引かせることにつながる。

円安誘導で輸入価格を上げたり、今度は、関税ゼロに向けて輸入価格を下げようとしたり、物価目標政策は支離滅裂の状態に近づいていく。
安倍政権は、当座の懸案をしのぐことだけで、将来戦略などは皆無であろう。(続)