庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

重要な判断の元になる情報を意図的に歪曲する政権の罪。

2014-02-28 | 核エネルギー・原子力問題

日本の長期的なエネルギー政策を決めて行く『エネルギー基本計画』は、国民生活と経済活動を左右する重要な基盤となるものである。

その中身は国民の意思を問う上で、正確でかつ判断し易い情報を提示するのが、政権であり、真実を伝えるのがマスメディアの責任であろう。

ところが、原子力発電を「重要なベースロード電源」と規定した【エネルギー基本計画】(案)を発表するに先駆けて、原発が稼働しないと、「国民はおお損をする」との空気を作りだすかの様なデータが政権側から出されていた。

 

これは原発が停止していると、年間で3.3兆円の国費が流出している、との「国民を不安に陥れる様に作られたデータ」を、流し続けていたことである。

多くのマスメディアは、この「大本営発表まがい」の、世論操作を意図した情報を何の検証もしないで、ただ鵜呑みにして世の中に流して広めている。

この3.3兆円の国益の損失とのデマもどき情報を染み込ませて、「原発の再稼働に反対する陣営」は、国益を損なう「国族扱い」をしようとする。

1940年代から70年以上も経っているのに、「大本営発表」を広めるマスメディアの怠慢ぶりは、目に余るものがある。

 

この原発が停止している影響を算出した経済産業省の説明によれば、事故前の54基の原発稼働が一定の稼働率で発電していた電力を、火力発電で代替した場合の化石燃料費を計算して出している。

しかし、東京電力の福島第一発電所の4基は原発事故で廃炉となり、5号機6号機は、廃炉処理の検討に施設におきかえる目的で、すでに廃炉に決定した。

つまり、東電の責任で起きた原発事故による代替分まで、3.3兆円の中に組み込んで、海外への流出費用を算出してしまった。

民主党議員の国会質問で明らかになって、経済産業省もそれを認めている。

 

福島第一原発6基の廃炉による電力喪失を火力で置き換えた事実の分までを、原発が再稼働出来ない為の国費の損失として、一括して公表するのは、全く意図的な作為であるとしか思えない。

54基分の代替ではなく、48基分の代替とするのが通常の感覚である。

さらに、まともな議論の中では、既に18基分は、再稼働の対象にするのは、不適切であることを、昨日(2月7日)のブログで指摘した。

正当な算出対象の原発は30基であり、この30基の原発停止による化石燃料費の増加分をキチンと算出して国民に提示するのが、まともな姿勢である。


安倍政権のエネルギー基本計画は経済活性にブレーキだ。

2014-02-27 | 核エネルギー・原子力問題

「原発への依存を可能な限り下げてゆく」との基本姿勢は、政権与党である自民党と公明党の公約にもとづく、連立政権の基本である。

そして、対抗する野党は、「原発をゼロにする方向」では一致していて、その削減して行く時期の目標での違いがあるだけである。

これだけハッキリしている公約であるから、「安倍政権が打ち出したエネルギー基本計画」では、原発をどの様な基本手順で減らしていくか、計画に盛り込まれなければ、『基本計画』とは言えない。

それが、「重要なベースロード電源」と規定しただけで、計画は一切なしである。

 

この基本計画を、もしもこのママ、自民党の政治家、公明党の政治家が承認したとしたら、政権発足時に合意した連立方針を放棄して、総選挙で獲得した選挙民をも欺く、公約違反は明らかである。

例えば、40年を経過した原発は廃炉にする方針や、地元自治体の承認が得られる可能性がない原発(例えば、福島第二原発の4基)は、廃炉にして行く方向を決定するなど、削減する基本原則を打ち出す様に、『エネルギー基本計画』に盛り込むべきである。

そうすれば、代替電源の稼働すべき時期と規模が具体的に計画することが可能になって行く。

 

さらに、稼動開始から30年以上を経過した原発は、すでに、建設費の償却をほとんど済ませており、これに安全対策を追加で投資しても、10年以内には40年経過によって廃炉にするから、投資効率は良くない。

電力会社の経営判断に任せるのではなく、廃炉処理を促進する制度を作って、出来る限り旧式原発から、退役させる方が良い。

この様な制度を作れば、残り44基の原発のうち、14基は「廃炉に向けた路線」を「エネルギー基本計画」に盛り込んで、その代替電源への切り替え方針を打ち出すのが得策である。

 

基本的な問題として、使用済み核燃料の廃棄処分の方法と処分地の計画は、全く具体性がない状態で、検討と調査を継続することになっている。

これでは原発を、「重要なベースロード電源」とする基盤はできていない状態だ。

この放射性物質の最終処分の計画が実現可能になって初めて、「ベースロード電源」といえるのだが、具体性のない「希望的な願望電源」と言うべきである。

これらの課題を明確にしないままの計画は、経済活性化のブレーキとなるのだ。


原発依存度を下げて行く方策の第一の決断策を議論せよ。

2014-02-26 | 核エネルギー・原子力問題

日本の原子力エネルギー政策の基本には、使用済み核燃料を再処理して、【プルトニウムを取り出し】、「構想増殖炉の夢の原子炉」で海外資源に依存しない「エネルギーの自給化」が、長期目標があった。

しかし、長期に渡るトラブルの続出で、すでに実現の可能性は全くなくなり、超楽観的に見ても、2050年以降の実用化の可能性が1%あるかどうかだ。

これは、現段階で明確に転換を決断して、今までの「プルトニウム」を燃料とする技術から、安全な処理方策を研究する方向に転換すべきである。

イギリスでは既に「廃棄技術の研究施設」が開始している路線にならうのだ。

 

その上で、青森県六ケ所村の「再処理工場」の稼働計画を放棄して、今までの建設費用の約2兆2千億円を、損失として国が責任を負うことに決断をする。

これ以上に国の費用と、電力会社の負担金を増やすのは、この段階で停止する。

世界で「使用済み核燃料の再処理路線」を維持するフランスでは、再処理によるプルサーマル(プルトニウムとウランの混合燃料)稼働は、25基以上の原発で稼働を維持する場合にはメリットがある、としている。

しかし、日本では【プルサーマル稼働】自体が、地元の了解を得られる状況になく、さらに25基もの原発の再稼働は、将来とも不可能の課題である。

 

今の段階で、「再処理路線」を放棄することが、国民、電力利用者の負の遺産を最小に抑えることが、選択出来る賢い方策だ。

安倍政権の曖昧路線は、現状のまま、イキズマリを放置して国費を投入し続けることで、国民の負担を増やし続ける愚策であり、これを容認すべきではない。

青森県と立地自治体には、これ以上の不安と負担をかけず、代替策の地域振興策を早急に協議して「国をあげての再振興策」を、強力に推進するのだ。

それによって、しばらくの間は、「持ち込んだ使用済み核燃料の安全保管」に重点をおいて、核燃料保管事業による振興地域として、特区事業を推進する。

 

この様な「原発ゼロ政策」への転換の第一関門を、地元の自治体と協議に入ることが、政権担当の第一の義務である。

その上で、原発の再稼働の是非は、「立地自治体の最大の安全対策」を、本当に世界一のレベルを目標にして、信頼出来る体制が出来た時のみに、合意を経て行くべきである。

地元自治体の県や半径100km圏内の自治体の同意がない場合には、再稼働を電力会社はできない。

これが実行できない場合は再稼働を保留するのだ。(続)


原子力エネルギー政策の議論は表面のスローガンばかり。

2014-02-25 | 核エネルギー・原子力問題

安倍政権が公約で述べている原発政策は、現在に抱えている難問をすべて先送りするために、「原発への依存度を下げて行くが当面は維持する」と、極めて曖昧な内容に終始している。

その曖昧さを引きずって行くために、「エネルギー基本計画」では、原発は重要なベースロード電源」という表現で、とにかく現状維持をベースにして、再稼働出来る方向で進めて様子を見て行くことになる。

「マスメディア」の論調も、安倍政権の「エネルギー政策は原発重視の姿勢」と捉えているが、その先行きは矛盾だらけで、行きづまりは時間の問題だ。

 

その一方で、「原発はゼロ」を訴える陣営の論戦は、全く進歩がない様だ。

原発即ゼロ」から、「出来るだけ早急に依存度を減らして将来はゼロ」までの

幅広い主張が「中身の検討もしないまま」に百花繚乱の様相である。

2012年末まで政権を担当していた民主党は、「2030年代には原発ゼロ」を方針としていたが、野党になってから議論が煮詰まって集約された状況にない。

政権を失った段階で思考停止状態になり、政権与党の怠慢ぶりを放置して、見ているだけの活動しか出来ない様だ。

 

さらに多数に分裂した野党勢力は、エネルギー政策の中身は、「再生可能エネルギーの普及促進」では一致していても、原発への依存度をどの様な方策で下げて行くかの具体策は全く提示していない。

「とにかく、再稼働は反対だ!」とスローガンを打ち上げるだけで、その重要な課題についての追求は、政権与党の弱点を野放しにしたままである。

この状態を見かねて、かっての原発推進側の責任者であった「小泉元首相」が、「原発即ゼロ」こそ、国民が望んでいる方向だ、と明確に打ち出した。

しかし、その論戦の舞台を「東京都知事選挙」の場に持ち込んだのは、時期を急ぐあまりに適切さを欠いた様で、原発ゼロ陣営のバラバラぶりを露呈した。

 

原発依存路線の誤りは、国民全体が負うべき負の遺産である。

それを、適確に負の遺産を拡大しない様にして、方向転換を図る明確な方針を提示することが、国民も納得して痛みを伴う負担を受け入れるのである。

まず第一に着手すべきは、核燃料の再処理路線を明確に転換して、「使用済み核燃料の長期安定保管」の方針に転換すべきである。

そして成功の可能性が全くない「もんじゅ」の研究を停止して、放射性廃棄物の減量の研究設備に衣替えをさせ、今までの研究投資を活かすことである。(続)


エネルギー基本計画は原発再稼働のポーズで政権は持続。

2014-02-24 | 核エネルギー・原子力問題

原発の再稼働を前提とした「エネルギー基本計画」は、負の遺産をどうするかの方針も決められないまま、重要問題を先送りをする無責任なものである。

一番の問題は、放射性廃棄物(使用済み核燃料、廃炉による高レベル放射性廃棄物)の最終処分をどうするか、技術的にも処分地も決められないことだ。

これを痛切に責任を感じて、政権の方向転換を強く提言したのが、2000年代の6年間を政権運営をした小泉元首相からであった。

日本の原子力政策にさしたる疑問も持たずに、歴代自民党政権の原発依存政策を継続してきたことを、真摯に反省しての発言であった。

 

ところが、愛弟子に相当する安倍首相は、軽薄にも「原発を即ゼロにするとの意見は無責任だ」と、斬って捨てる様な態度を表明した。

すかさず、『高レベル放射性廃棄物の処分も決められないママに再稼働することこそ無責任だ!』と強く反論されて、安倍政権の幹部は全く黙り込むだけだ。

本当の理由は、原発の電力が必要なのではなく、今、「原発ゼロ」を言い出すと、再稼働の出来ない原発48基分の膨大な資産は、一気に不良資産化してしまう。

電力会社はもとより、貸付をしている金融機関、原発関連企業は、赤字転落や資産減少で、財務破綻をする懸念が膨大になってしまうのだ。

 

この負の遺産になる可能性が必然の事実を国民に知られたら、それこそ「政権の支持率、信用は失墜」する政治的窮地に追い込まれる。

それだから、「原発は維持すると表明する」ことを言い張って、とにかく再稼働に向けての動きを、止めない様にしている。

「再稼働の申請」は17基であるが、実際に審査が進んでいるのは10基である。

各電力会社の「再稼働に向けた安全対策」の中身は、震災前とあまり変化しない甘い想定が身に浸みこんでいるのが、遅れの原因だ。

 

安倍首相が「原子力規制委員会が世界で一番厳しい基準で安全と判断すれば、国としては再稼働して行きたい」と、ポーズだけは前向きを維持している。

しかし、不備を指摘される電力会社は、規制委員会から地震の最大級の揺れに対応しない状態で申請して、見直しを指示される有様で、審査は大幅に遅れる。

そして、再稼働が遅れる原因は、電力会社の取組の不備があり、地元の説得に時間がかかることで、さらに遅れる可能性は大である。

その再稼働の遅れによって、電力会社が赤字経営で悲鳴を上げても、厳格な経営審査で、料金値上げを最小に抑制する。

これで、安倍政権は持続出来るのだ。


原発施設の後始末には膨大な費用と期間が残される。

2014-02-23 | 核エネルギー・原子力問題

原子力発電所を現状維持のママ、保守費用を積み上げて行くだけの「原発維持路線」は、電力消費者の負担に回され続けて行く。

再稼働出来れば「発電コストに組み込み」、電気料金で回収することができる。

だから、電力会社は損失を最小にしたくて、安全対策もほどほどにして、「原発の再稼働」を急ぐのである。

その一方で、経済産業省と財務省は、国費で廃炉費用を負担することにならないことを優先し、再稼働が首尾よくできることを支持しているのだ。

 

では、不明点の多い原発の廃炉は、どれほどの費用がかかるのであろうか。

原発の廃炉費用の引当金は、40年の稼働期間を通じて、稼働率76%の発電のより、積み立てられることになっている。

東京電力の様に、事故のトラブルや、データ改ざんの不祥事によって、原発が停止させられて、稼働率が低い原発は引当金の不足は多くなっている。

しかも、当初の廃炉費用に見積もりは甘い想定で、電力会社の処理費用は見つもり不足が常態化しているのだ。

廃炉決定後は、負の遺産として、将来世代の国民が電気料金化、税金で返済し続けなければならない。

 

ところで、原子力施設の廃炉費用は、どれくらいになるのか、イギリスの事例を参考にして、概算をしてみよう。

イギリス中部のセラフィールドでは、原発5基と核兵器に使うプルトニウムを製造した2基の炉、再処理工場の解体作業を合わせ約4兆円かかるとしている。

期間は2120年までの100年以上を想定している。

日本の政府と東電は、廃炉作業は30~40年で終えるとしているが、原子力産業の想定は甘すぎるのが、常態化しているので、その2倍はかかるであろう。

総費用は30兆円を超える、と見ておく必要がある。

 

これだけ膨大な費用を、原発10基程度の再稼働で賄えるとは考えられない。

しかも、数年のうちに、使用済み核燃料の保管場所も満杯になって、新たな保管場所を地元の了解を得て新設、増設しなければ【再稼働は続ける】ことが出来なくなる。

その様な障害だらけで、原発の負の遺産を、どうにも始末の方策が見つけられないので、とにかく現状維持を決め込むしか、安倍政権はやり様がないのだ。

とにかく再稼働準備の姿勢をとり、廃炉の費用不足はホウカムリをしたいのだ。


原発の廃炉費用の積立不足額は結局は国民の負担になる。

2014-02-22 | 核エネルギー・原子力問題

原子力発電関係の諸設備は、現状維持のままならば「保守費用」がかかり続けるが、電力会社の経費として、電気料金算出コストの中に組み込まれて行く。

原発は発電しないのに、保守費用は他の発電設備と同じ扱いで、電力利用者の負担で、賄われ続けることになる。

つまり、政府の税金は使われないことになるので、納税者負担にはならない。

しかし発電をしないままでは、廃炉費用の積み立て不足はそのままで、最終的には電力会社の損失となり、電基料金の値上げで利用者の負担にツケが回る。

 

東京電力の福島第一発電所の5号機、6号機は、1~4号機の事故処理の為に必要な設備に転用するために、廃炉処理とすることに決定した。

この廃炉経費の不足分は、東電の事故処理費用とされるが、実際は国の税金投入で賄われるので、国民全体での負担である。

東電福島第二原発の1~4号機は、再稼働の計画は一切、タブーとなっている。

福島県議会と地元の議会はすべて、廃炉決定を強く要求しているからだ。

しかし、東京電力の経営方針に責任を負うべき国と、株主である東京都は、全く関知しない様に逃げる方針で、その間も保守に毎年900億円がかかり続ける。

 

この様に、各地の原発で再稼働に向けた計画すら立てられない原発は、すべて現状維持の状態で3年近くに渡り、保守費用を無駄に使い続ける状況だ。

経済産業省が「原発は重要なベースロード電源」だと、お題目を唱えても、安全対策が不十分では、地元自治体の了解は得られる状況には全くならない。

残された原発48基のなかで、再稼働の計画は17基であり、残り31基は、宙ぶらりんのまま、約1兆円の保守費用の経費として、電力会社は積み上げて行く。

何も価値を生みださない、現状維持のためだけの経費となって消えてゆく。

 

この状況は、1990年代の不動産バブル崩壊による【金融機関の不良債権処理】の停滞によって、日本の経済のブレーキがかかった状況に酷似している。

金融機関は、バブルが崩壊した不動産への貸付金が、もはや回収不能に近いのを知りながら、損失として計上することを先送りし続けた。

不良不動産債権を持った銀行と企業群は、それを明るみに出すことを極力避ける様にして、財務状況を誤魔化して経営を続けた。

いまは、原発関連の貸付金が不良債権化しない様に、原発はそのうち再稼働出来る筈だから、として融資の焦げ付きを防ぐのに、必死なのである。

その間に浪費している経費は、すべて、国民の負担としてツケが回るのだ。(続)


政治・電力・金融のトライアングルが原発不良債権を生む。

2014-02-21 | 核エネルギー・原子力問題

日本政府と電力会社、貸付銀行集団の責任回避のためには、現在の原発を維持する方針と、再稼働に向けた安全対策の新規投資は不可欠の選択だった。

その投資額は、再稼働が出来ても、出来なくても、損失は国民、電力消費者に回る仕組みになっている。

原発を廃炉にする選択は出来ない中央政府にとっては、経済産業省がまとめている「エネルギー基本計画」で、【原発は重要なベースロード電源】との表現で、原発を抱える地方自治体への説得の基盤として「閣議決定に持ち込む」意向だ。

この基本計画の「原発維持方針」を掲げ、錦の御旗として地方での同意を得る。

 

「ベースロード電源」と表現するのは、季節や時間帯にかかわらず「一定の電力を発電し続ける機能」だが、原発がそれに合致するかは疑問だらけだ。

原案は「基盤となる重要なベース電源」と表現していたが、どの原発も再稼働に反対論が多い状況では表現を弱めて、「ベースロード電源」と言う、極めてあいまいな位置付けにして、表向きだけは原発維持の姿勢に固執したのである。

原発維持に前提となる『安全性』は疑問を残したママで、しかも、使用済み核燃料の後始末問題には、相変わらずの先送りで、逃げ姿勢に終始する様だ。

 

中央政権と経済産業省は、とにかく、原発の再稼働に向けて路線を敷くことで、不良債権化する電力会社の貸付金と、今までの研究・開発投資(もんじゅ2兆円、核燃料再処理施設関連3.3兆円)が、無駄となって明るみに出されるのを、先送りして行く方針だ。

この先送りによって、国民の被る損失負担は、毎年、約1兆円が積み上がって行くが、電力会社の負担金額の増加は、安倍政権には痛くもかゆくもない。

廃炉決定によって、倒産の危機に晒される電力会社が出ると、その救済として大幅な電力料金の値上げを容認することを避けたいだけなのだ。

 

安全性に疑問を持ち、原発の地元貢献の恩恵も捨てがたい、原発立地の判断の行方を、再稼働承認に向ける為には、あらゆる犠牲を各方面に強いる。

アベノミクスで「円安誘導」すれば、輸入化石燃料費が増大すると判っていても、原発を再稼働しないから、日本の国益を損なっている、と声高に宣伝する口実に使っている。

原発停止による燃料費増加は、一部であるにもかかわらず、燃料費の増加が貿易収支を大幅に悪化させた主因である、とマスコミを巻き込んで洗脳している。

この様に、安倍政権は国民を愚民扱いして、方便で固めた「うそのミクス」だ。


世論に関係なく再稼働に向かう政治家、電力企業、銀行。

2014-02-20 | 核エネルギー・原子力問題

責任を負いたくない政治家達は、「原発維持路線」を主張している。

しかし、本心は世論の反発を恐れて、安全審査は原子力規制委員会に判断を転嫁し、再稼働の地元説明は電力会社に丸投げで、自らは前線には出てこない。

再稼働が出来ても出来なくても、自分の責任の範ちゅうにはしない様にした。

電力会社は、原発再稼働が遅れる影響で、燃料費の増大によって利益を失い、赤字に転落している。

この対策として、電力料金の値上げに逃げ込むつもりだが、政府は世論の反発と恐れて、容易には「電力料金値上げ」は認可しない姿勢でいる。

 

電力料金値上げの前提には、電力会社の経営経費の合理化が要求される。

従来の様な地域独占に胡坐をかいた【殿様商売】は出来ない空気になって、経営陣の報酬は最小にまで削る様に、電力会社に要求が突き付けられる。

電力会社社員の給与レベルは、一般企業レベルまで圧縮する様の条件をつけられるので、それを避けるためには、再稼働が難しい状況でも、【再稼働に向けて最善の努力をしている実績】を、政府と地域に示すことが必須なのである。

だから、無駄に終わる可能性が大きい「安全対策、1.6兆円」を、銀行からの借り入れで、実行して行くことしか選択できない。

 

の貸出に応じる銀行側は、電力会社に多額の貸付金があり、その総額は30兆円を超える規模である。

既に貸付金があるから、電力会社が要求する1.6兆円の資金を絞ることはない。

そうしないと原発の再稼働の可能性はゼロになるので、新規の貸し付けを拒絶した場合には、すでに貸し付けた資金が、回収できなくなる。

電力会社が赤字になっても、あとで何とか救済されると、政府頼みでいられる。

ところが原発の再稼働をあきらめ、廃炉決定に追い込まれると、たちまち廃炉損失、廃炉積立金不足が、経営状態を一気に悪化させて、倒産の危機になる。

 

この様な因果関係で、世論が原発再稼働に疑問を持っていても、再稼働に向けて進むしか選択の道はない。

中央政府と電力会社、及び、貸付金のある銀行側は、「原発再稼働に進む」方策しか頭にないのが現状である。

そして、再稼働の計画も出来ない原発は、30基もあるのに、再稼働予備群として、現状維持のためだけに保守要員を勤務させて、保守費用が年間で1兆円にも達する経費を投入し続けている。

この経費は誰にツケが回るのか。(続)


サイコロの目がどう出ても自分の責任は負わない政治家達。

2014-02-20 | 核エネルギー・原子力問題

日本の電力会社が、戦後から始まった「地域独占経営」の権益の上に胡坐をかいて、消費者不在の経営判断をするのが、身に染みついてしまった。

その弊害が、現在の日本の電力エネルギー事業を停滞させてしまったのである。

非合理的な経営判断をしても、自分の身に損害が及ばない様な独占体質は、すべての分野で革新とまともな判断の障害となるのだ。

今回の大きな無駄使いに終わる懸念の、【原子力発電の安全対策投資】は、結局は電力利用者の負担で、あと始末をつけることになる。

 

これを、容認している政権の責任は、どうなるのであろうか。

安倍政権は「原発の安全審査は公正に」と、原子力規制庁に丸投げしている。

審査に合格したら、電力会社の責任で地元自治体を説得して、了解を得て稼働するのが、電力会社の責任になる。

たとえ、それが不調に終わって稼働出来なくても、電力会社の経営には口をはさむつもりはなく、責任は負わない。

最後は、電力料金の値上げ申請に至るが、それは、経済産業省の仕事で、適正な審査をして、妥当と認められる値上げ額を決定すれば済む。

 

この様に政治家や政権の責任には、一切、及ばない様に仕組みを作っている。

電力料金の値上げになってしまう責任は、原発の再稼働を認めない地域自治体の責任で、中央の政権が指図出来る範囲ではない、としている。

値上げに至る最大の理由である【輸入化石燃料の価格上昇】は、政権の意図した【円安誘導による経済の活性化】の副次的弊害であって、責任はないとする。

こうして、【原発維持容認】路線と、「超金融緩和による円安誘導」は、安倍政権としては、どちらに転んでも、弊害は最小になると見込んでいる。

 

【原発維持容認】路線をとり続けることで、使用済み核燃料の後始末問題は、5~10年は先送り出来る。

稼働出来ない原発が20~40基になっても、廃炉の決定は先送り出来て、電力会社があきらめて「自主的に廃炉決定を判断する」のを待っている。

電力会社が廃炉決定に踏み切れない障害は、廃炉に伴う「損失処理が巨額になる」ことで、財務体質は急激に悪化する事態になる。

これを救済するために、廃炉損失費用を複数年に平準化できる制度を作成する。

損失分は将来の電気料金値上げで回収するから、電力消費者にツケが回る。

政治家は、どちらにサイコロの目が出ても、責任と損失は負わないで済むのだ。


サイコロを振ってどちらに出ても自分に損はない電力業界。

2014-02-18 | 核エネルギー・原子力問題

自民党と電力業界の体質で、日本経済にとって悪影響ばかりをもたらしている。

それは一言でいえば、目先の10年いや、もっと短期の5年さえしのげば、自分の地位は守れる、という傲慢なエゴ体質である。

電力業界は、日本の戦後体制で【地域独占、発・送・配電事業の一貫制度】にそって、貧弱であった電力のインフラ整備と供給力の増大要請に応えてきた。

其れが1990年代以降は、グローバル化された世界経済のなかで、発電・送電の分離制度など近代化の流れに抵抗して、独占事業の殿様体質で「経営の合理性に反する異端の経営感覚」に染まってしまったのである。

 

今回の3・11原発大事故の反省を中途半端にやり過ごして、あれほど批判の大きい「原発安全性の疑問」を、お役所の意向さえクリアーすれば、あとは、利用者、消費者のことなどは、三の次で良いとする経営路線に戻っている。

典型的なのは、電力10社の横並び体質で、地域の状況などお構いなく、【原発再稼働】に向けての路線をひた走る経営だ。

中部電力は、他の電力会社が「再稼働申請」に走るなか、護送船団方式に沿って、「もっともリスクの高い浜岡原発」の再稼働に向けて、膨大な経費の投入を計画して実施中である。

 

電力10社の原発再稼働に向けた対策費用は、2014年1月時点で、すでに1.6兆円をこえた。

さらに必要な対策が出てくれば、対策費用は上乗せされ、しかも、再稼働の可能性は半分以下である。

浜岡原発に至っては、再稼働が出来る可能性は1%以下であるのに、中部電力は3000億円を対策費用に投じている。

地域の静岡県や、東海地域の自治体が再稼働に反対で、実施出来なければ3000億円を全く無駄に投じることになる。

 

普通の経営者の頭では、この様な成功確率の低い投資は計画段階でボツになるから、計画は保留しておカネを一切投じない。

だが、電力会社の頭では、もしも原発の再稼働が不可能になっても、その経費は損失として計上して、電気料金を値上げする時の口実として使える。

うまくいけば、自社(経営陣)の儲けであり、うまくいかなければ、電力消費者に料金値上げでツケを回せる。

この様な経営判断をする体質に染まって、合理的判断は不可能なのだ。(続)


優柔不断の自民党安倍政権に頼らずに都道府県が先導する。

2014-02-17 | 快適エネルギー社会問題

日本は大震災後のエネルギー供給を、原発依存から大きく転換することを、いやと言うほど思い知らされた。

一時的には、化石燃料に依存することになっても、長期的には、国産エネルギーである「再生可能エネルギー」の技術革新を普及拡大を図ることにした。

輸入依存を減らして災害時にもリスクの少ない、分散型のエネルギーに転換することで、安心感の高い『快適エネルギー社会』を目指して行く。

その第一歩として、2011年8月には、菅内閣の最後の仕事として、『再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度』が、全政党の賛成で成立した。

 

この動きを受けて、震災前からも「再生可能エネルギーの促進」を都道府県が進めていたが、そのうちの27の府県が、震災後の普及目標を引き上げて進めている。

東京都は前々都知事の時代から、エネルギー政策の見直しに消極的で、震災前の姿勢から何も進化せずに、国の方針に任せていた。

今度の新都知事の選挙公約では、「再生可能エネルギー20%計画の構築」として、現在の6%から大幅に普及目標値を引き上げて、2020年には、東京をモデル地区にして行く、とアピールしている。

 

この様に、エネルギー政策は国が決めて、地方はその計画の下で動けば良いと言う時代は終わったのである。

ただ、原発立地の県のうち、青森、茨城、石川、福井、島根、愛媛、の6県では、国の「エネルギー基本計画の見直し」を待っている状況で、安倍政権の曖昧で決められないエネルギー戦略の、怠慢な政治の影響を受けている。

これが地方の政治の動きを遅滞させて、地域経済への悪影響を引き起こして、日本全体の経済活性化にブレーキをかけているのだ。

 

経済産業省が昨年末にまとめた、エネルギー戦略の基本計画案では、『再生可能エネルギーの導入を最大限、加速して行く』としていたが、原発の維持にこだわっているために、閣議決定まで行けないで、安倍政権の実行能力が疑われる。

欧州の先進諸国では、再生可能エネルギーの普及促進は着々と進んで、その都度、普及目標値の引き上げと実施している。

日本は、自民政権のもとで、2000年初頭から停滞した状態が続き、技術開発や産業育成が大幅に遅れてしまった。

その理由の大きな要因に、原子力にいつまでもしがみついている姿勢がある。


まともな頭脳の持主ならば浜岡原発の再稼働はゼロ%だ。

2014-02-16 | 核エネルギー・原子力問題

自民党安倍政権の政治家達は、算術計算が出来ない上に、中学生レベルの日本語も理解できないレベルの様である。

東京都知事選挙で、『原発依存即時ゼロ』を訴えて立候補した、宇都宮氏と細川氏が二位、三位で、票を捕りあって敗戦し、「即時ゼロを無理」と表明した舛添氏が、全投票数の31%に相当する211万票を獲得して当選した。

二位以下を110万票引き離す得票数であったので、マスメディアでは、舛添氏の圧勝との表題で伝えるところもある。

 

ところが投票率をみると、46.14%の低投票率で、これでは有権者の15%以下の得票を得ているにすぎないから、圧勝と言う表現自体がおかしい。

それでも、舛添氏を支持した自民党安倍政権は、東京都民は自民党の政策を承認したと勘違いして、理屈が通らないことを傲慢にも進め様としている。

確かに「原発即ゼロ」を訴えた候補の得票数は、348万票で52%に留まっているので、都民は、原発ゼロを圧倒的に支持したとは言えない。

しかし、舛添氏の選挙公約をみると、「原発に依存しない社会の構築」を掲げて、「再生可能エネルギー20%計画の構築」と、明確に脱原発依存の方針である。

 

舛添氏は、自民党の支援を取り付ける為に、原発依存から離脱する時期を明確にしないで、とにかく、「原発の再稼働は必要なだけに限定」して行くとの姿勢である。

つまり、脱原発であるが時間をかけて減らして行って、ゼロにする方針なのだ。

明確に減圧を維持する路線を主張した田母神候補は、9%の得票を得たにすぎないのだ。

都知事選挙の公約をまとも読んで理解した上で、最終得票の結果を算術で計算すれば、原発の再稼働を進めて依存する方針が、支持されたとは全く言えない。

 

東京都民の52%プラス31%の半分は原発再稼働を否定している、と見るのが正常な頭の持ち主である。

つまり、浜岡原発の様な危険性を持っている原発は、67%の東京都民が、再稼働を止めてくれ、と言っているのだ。

浜岡原発のある静岡県と、地元の御前崎市以外の周辺自治体は、現状の様な審査基準を通過したとして、再稼働を認めないと言っている。

算術計算と、日本語を理解する能力があれば、どの様な事態になっても浜岡原発の再稼働はあり得ない、のが、民主主義の結論である。


安倍首相は中部電力の原発再稼働を認める理由を説明せよ。

2014-02-15 | 核エネルギー・原子力問題

静岡県の浜岡原発は、最新鋭の5号機は原因不明の海水流入事故を引き起こして、2011年5月6日から停止したままである。

浜岡3号機と4号機は、原子力規制委員会の新安全基準を満たさない状況で、中部電力は、浜岡原発の全号機が停止したまま、中部電力管内の電力供給を2011年5月以来、2年9か月が経過しているが、電力不足の懸念は起きていない。

また中部電力は、もともとの原発依存度が低かったために、全原発停止のママでも、電力料金の値上げの必要はなく、中部電力は黒字経営に近い状態だ。

 

問題の根本には、日本の中枢を担う【東京、中京圏の交通の要所を抱える静岡県】に、【災害リスクのもっと高い原子力発電所】を、御前崎市の了解があるだけで、浜岡原発を設置したことにある。

中部電力は、東海沖地震の被害を軽視しているわけではなく、以前から危険性が指摘されてきたので、2008年には、【耐震性の補強を必要とされた段階】で、1号機、2号機の【廃炉を決定】している。

3号機、4号機は、運転開始からすでに26年と20年を経過しているので、設備の償却も半分以上は済んでいるから、廃炉を検討すべきである。

 

後は廃炉費用の積み立て不足の問題もあるが、現在、安全審査を受ける為の追加工事をするよりも、中部電力管内の電力利用者への負担増加は少ない。

それなのに、安倍政権が「浜岡原発」を特別視しないで、僻地の原発と同じ基準で杓子定規に「安全基準を満たした原発は再稼働を認める」と、まるで、福島原発の大事故など、眼中にない様に扱う【無責任姿勢】が原因だ。

もし、浜岡原発の稼働に、「保険をかける運転条件」をつけたとしたら、保険業界は、絶対に引き受けないであろう。

それほど、投資と危険性の釣り合いがとれない原発を、規則どうりに再稼働準部を進める意義が、全く見えない状況なのだ。

 

もう一度、安倍政権の責任感覚を、国民は問うべきである。

それほど必要性が低い「浜岡原発の再稼働」を何故、進める必要があるのか。

都合の悪い政策判断に合うと、口をつむぐか、しゃくし定規の答えしか口にしないで、【逃げ姿勢一辺倒になる安倍首相】は、全く国民を愚弄している。

中部電力は、世論の意向を無碍にしない様で、再稼働への基準審査の申し入れだけにして、再稼働の時期は2016年1月の、1年11カ月先を予定している。

その間に、安倍政権が浜岡原発だけでも、廃炉の命令を出す様に期待している。


電力業界の身うち優先の経営姿勢が露骨に表れた再稼働。

2014-02-14 | 核エネルギー・原子力問題

中部電力は、2011年3月11日の福島原発の大事故のあとに、時の民主党政権、菅直人首相の直接の要請を受けて、静岡県の浜岡原発4号機、5号機の稼働を停止した。

その後は、原子力保安院の不備な安全基準が問題となって、新規に原子力規制委員会が定める「新安全基準」の審査に合格することが、再稼働の必要条件となっていて、その後の期間では、稼働を停止したままでいる。

ところが、中部電力は「安倍政権の再稼働容認」の中央政府の方針に沿って、4号機の再稼働の基準適合の審査を請求した。

 

浜岡原発の問題点は数多くあるが、このブログで、2012年9月23日の書いた様に「原因不明のトラブル」が、新聞の片隅の報じられた様に、中部電力の対欧がズサンであることだ。

浜岡原発5号機には、2005年運短開始の最新型であるが、菅首相の停止要請によって稼働停止した後の検査で、大量の冷却用細官が43本も損傷していることが分かった。

これにより、大量の海水が400トンも流れ込んで、原子炉の本体に海水の影響が及んでいる。

 

中部電力は2011年の12月までに影響を調べて報告するとしていたが、半年以上も遅れた7月30日に、やっと経済産業省に説明をした。

原因究明を徹底的に行うとしているが、アイマイなままの状態である。

それを、なかったかのように、今回の浜岡原発4号機の再稼働の申請を、強引にも実施する理由は何であろうか。

それは、原子炉の廃炉を避けるためには、何が何でも、再稼働に向けて工事を進めて「まだ原発は現役で利用する計画である」と、株主や取引金融関係者の意向を優先したいだけなのである。

 

再稼働を計画して置かないと、原発は廃炉の道を進むことになり、まだ建設費の償却費も大量の残存した上、廃炉費用の積み立ても大幅に不足してしまう。

電力需要がひっ迫する懸念もなく、事故リスクが最大の東海地区であえて「原発の電力に依存」する理由は、電力会社関係者の利益の為だけなのである。

中部電力の再稼働に対する姿勢に、静岡県をはじめ、地元の隣接市では、再稼働に対する対策はできていない上の、住民の意思は反対が大半である。

再稼働の審査をする状況は全く整っていないのに、身内だけの理由だけで動く。