日本の長期的なエネルギー政策を決めて行く『エネルギー基本計画』は、国民生活と経済活動を左右する重要な基盤となるものである。
その中身は国民の意思を問う上で、正確でかつ判断し易い情報を提示するのが、政権であり、真実を伝えるのがマスメディアの責任であろう。
ところが、原子力発電を「重要なベースロード電源」と規定した【エネルギー基本計画】(案)を発表するに先駆けて、原発が稼働しないと、「国民はおお損をする」との空気を作りだすかの様なデータが政権側から出されていた。
これは原発が停止していると、年間で3.3兆円の国費が流出している、との「国民を不安に陥れる様に作られたデータ」を、流し続けていたことである。
多くのマスメディアは、この「大本営発表まがい」の、世論操作を意図した情報を何の検証もしないで、ただ鵜呑みにして世の中に流して広めている。
この3.3兆円の国益の損失とのデマもどき情報を染み込ませて、「原発の再稼働に反対する陣営」は、国益を損なう「国族扱い」をしようとする。
1940年代から70年以上も経っているのに、「大本営発表」を広めるマスメディアの怠慢ぶりは、目に余るものがある。
この原発が停止している影響を算出した経済産業省の説明によれば、事故前の54基の原発稼働が一定の稼働率で発電していた電力を、火力発電で代替した場合の化石燃料費を計算して出している。
しかし、東京電力の福島第一発電所の4基は原発事故で廃炉となり、5号機6号機は、廃炉処理の検討に施設におきかえる目的で、すでに廃炉に決定した。
つまり、東電の責任で起きた原発事故による代替分まで、3.3兆円の中に組み込んで、海外への流出費用を算出してしまった。
民主党議員の国会質問で明らかになって、経済産業省もそれを認めている。
福島第一原発6基の廃炉による電力喪失を火力で置き換えた事実の分までを、原発が再稼働出来ない為の国費の損失として、一括して公表するのは、全く意図的な作為であるとしか思えない。
54基分の代替ではなく、48基分の代替とするのが通常の感覚である。
さらに、まともな議論の中では、既に18基分は、再稼働の対象にするのは、不適切であることを、昨日(2月7日)のブログで指摘した。
正当な算出対象の原発は30基であり、この30基の原発停止による化石燃料費の増加分をキチンと算出して国民に提示するのが、まともな姿勢である。