庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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首相を始めとして決断しないで逃げばかりの原子力行政。

2013-05-16 | 核エネルギー・原子力問題
高速増殖炉の実験炉「もんじゅ」のズサンな安全管理が原子力規制委員会から指摘された。
停止中とはいえ、年間で200億円以上の貴重な税金を使って、実験再開に向けての準備と、2050年頃の商業炉の実用化に向けた機器の開発に、日本の総智をつぎ込む国策である。
しかし事故や難題に遭遇するうちに、「安全に対する根本的な考え方をはき違えている。」と指摘されるレベルに劣化し、再開の準備作業の中止命令に至った。

この段階に至っても、政府の責任官庁の文部科学省は、「安全モラルの劣化」に対して、何の施策を打つ出す気力も責任感もなく、それを首相は放置して拘わらない様に逃げているだけである。
近隣にある敦賀原発などの敷地内を走る「活断層の再調査」の必要性も指摘されて、以前の地質調査の不備も次々に疑惑に上がっている。
原子力事業関係者は、いったん、動きだした事業を「修正する力も勇気もない人たち」ばかりになって、ズルズルと「安全に対する考え方の時代遅れ」を引きずっている。

この様な状態に陥っている原子力行政と電力会社の経営陣に対して、進路の転換、撤退の決断が出来る「勇断の精神力」を持った人物がリーダークラスにいないことが、日本の悲劇である。
いまは、日本のエネルギー政策は、「原子力偏重の戦略」の誤りによって、大きな閉塞状態に陥っている。
この段階で最重要な決断は、先行きに見通しがない分野はキッパリと撤収の決断をして、被害の拡大を防ぎ、損失を最小に抑える、撤収作戦の実行である。
その最初の決断が「高速増殖炉もんじゅ」の廃炉である。

民主党の政権は、この「もんじゅの撤収決断」に躊躇をして、「年限を区切った研究計画を策定し成果を確認の上、研究を終了する」との曖昧な目標の方針を掲げて、大事な決断の機会を逃してしまった。
決断力と実行力のない「民主党政権のあいまいさ」が、政権脱落の悲劇に進んでことを、今もジクジクと反省している。

誰の目にも「高速増殖炉のイキズマリ」がハッキリしている段階になり、この事態では、いかにだらしのない民主党政権でも廃炉を決定できるだろう。
しかし、自民党安倍政権は、それ以下の器で、逃げ回るばかりの政権である。