庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

世界一安全・安心な国を目指すと言いながらの絵空事。

2013-02-28 | 核エネルギー・原子力問題
安倍首相の施政方針演説が行われたが、言葉の羅列に留まる「中身の伴わない政策ばかりが目立ってしまう。
特にひどいのは、福島原発の大事故に対して、反省に立って「安全性を高める安全文化をつくりあげる」との言明は、この人は安全と言う言葉の意味を全く知らないと言わざるを得ない。
「安全性が確認された原発は再稼働をする。」と言う表明は、この施政方針演説が、全く絵空事の羅列であることの証明だ。

世界に類を見ない規模の大事故に対して、「福島原発事故の反省に立ち・・・」と、単なる【事故】程度のことであったかの様に言葉でゴマカソウとしている。
更に、「原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める・・・」とのくだりでは、規制委員会の安全基準だけをクリア―することでコトが済み、自分たちの責任は一切回避して、国民の安全性を軽んじる姿勢である。

自民党政権下で「原子力委員会と原子力安全保安院」が、安全性は万全と言っていた「原発安全神話の虚構」について、国民に一言のお詫びもない。

その上で、「安全が確認された原発は再稼働します。」との言明は、福島原発大事故の前となんら変わらない「無責任言動」の最たるものである。
福島原発の4基は、本当の事故原因が究明されたとは、程遠い状況である。
さらに、浜岡原発が「2011年5月に原子炉内に400トンの海水が流れ込んだ事故」を起こしているが、この原因究明については、いまだに【中部電力任せの調査】に、責任を転嫁したままでいる。
原子力規制委員会も「世界的にもまれな事象(事故と言わないのが不可思議)で重大な影響を与えている・・・」と、評論家みたいな姿勢に終始している。

福島原発の事故原因の本当の究明はいつになるか判らず、浜岡原発の事故調査結論は2014年以降にずれこんで再開すると報じられている。
この詳しい内容は、2012年9月18日~22日のかけてのブログで、書いているので「本当に安全性」を確認したい人は、内容を理解して欲しい。
安倍首相が、経産省の作文を鵜呑みにした「世界一の安全・安心」など、絵空事を呪文の様に唱えても、真実を知らないでの安全宣言は、空疎なモノである。

原発に対する重大な不安として、北朝鮮による核兵器攻撃の懸念や、将来世代に重大なツケを残す【使用済み核燃料の処理】の問題も、全く不透明である。

何が世界一の安心を生みだすのか、安倍首相は全く解っていない○〇〇モノだ。

日本政府の政策は戦略なきその場対応で国民不在の無策。 

2013-02-27 | 快適エネルギー社会問題
太陽光パネルの需要が「電力固定価格買取り制度」の影響で、大活況である。
朝日新聞(2月27日朝刊10面)によれば、国内需要は2012年度中に設置申請が駆け込みラッシュとなって、海外の生産工場の製品も日本向けの輸出に回されるほど、供給不足の状態になっている。
しかし、この駆け込み需要は、買取り価格が[42円/kWh]から、新年度の申請分からは、[38円/kWh]程度に引き下げられる情勢を見ての、一時的な需要になっている。

問題は、この「固定価格買取り制度」は、国内での産業育成と雇用に創出に向けて、起爆剤とするための優遇措置で、買取り価格を高額に維持するおカネは、日本の電力消費者の負担で賄っているのだ。
そのおカネを出すことを認めているのは、将来世代の為には、揺籃期産業を育成して雇用を大幅に増やす政策を支持し、現在の世代が電気料金に負担をして、『揺籃期の事業を支援をして行く』のが筋だ、と考えるからである。
ところが、太陽光パネルの生産企業は、製造原価の安い途上国に工場を新設して、生産力の増強を図ってしまった。

パナソニックの太陽光パネル海外生産の新工場は、マレーシアに造られて、生産コストを従来よりも2割安く作ることができる。
本来の狙いは、日本以外の国に輸出するためで、価格競争力を向上させるには、製造拠点を海外に展開することは、企業戦略上は当然の企業判断である。

しかし、国内の電力消費者の負担によるおカネで、海外展開する企業に支援をするのは、日本政府としては筋が通らない話である。
中国製の太陽光パネルと同じ様に、海外生産のモノにも、同率の輸入関税をかけるべきで、そうしないと国内工場生産はマスマス衰退の運命にある。

安倍内閣は「国内生産工場」の製品の輸出競争力を向上させるために、意図的に円安に誘導して、輸入製品の価格が上がることを容認している。
つまり輸出産業維持のために、国民に負担を強いることを優先しているのだ。
その理由は、国内での雇用を維持することが、経済再生の基本になるとの考え方によっている。
それなのに、新産業の製造拠点が海外に展開するのを放置して、しかもその輸入に有利になる様な優遇措置を、何もしないコトによって、雇用創出の機会を失っているのだ。

安倍内閣の経済再生は、国民の犠牲を全く軽視している様だ。

自民党の経済再生戦略ではグリーン産業は視野の外か。

2013-02-26 | 快適エネルギー社会問題
太陽光発電の普及促進策では、まだ優遇すべき段階の『揺籃期産業を保護する』ことが必要である。
「再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度」は、欧州諸国で普及促進の成果を上げている「実績のある法制度」で、それを見習った『日本版FIT(全量買取り制度)』の施行は画期的なことであった。
だが、ドイツの例を示した様に、狙いとは別の弊害が出ていることも、率直に認めて対策を講じる必要がある。
太陽光発電設備の分野では、中国製の設備の法外な安値攻勢が問題である。

この対策には、「伝統的な手法での関税による保護」が最も適切である。
揺籃期の段階の産業を守るために、輸入品に一定期間の間、「関税をかけて国内産業を守る」ことは、国際法上も経済政策面でも認められている措置である。
しかしながら、日本では長年の「日本のモノ作りは世界一」との盲信によって、新たに関税をかける措置などは、メンツに懸けても言いださない。
しかしながら、長い間に渡って日本が関税で守って、産業を育ててきた実例が多くある歴史を思い出すべきだ。
太陽光発電産業を育成するつもりならば、揺籃期の産業が成長するまでは、効果の確実な「輸入関税による保護」を実施すべきなのだ。

ところが、モノゴトを理論と理想主義的妄想により、自由貿易は世界経済の発展に寄与するなど、教条主義に囚われて、関税はゼロにして輸出・輸入を自由にする方が優れていると、思い込んでいる。
アメリカが国益に沿って進めようとしている「TPP」などは、その最たる愚策であるが、対米追従路線をとる必要性から、無碍に拒否することはできない。
そこで、安倍政権は【例外なき関税撤廃が原則】との看板を、書き換えてもらい『例外品目は交渉の中で議論する』との、感触を掴んで成果としている。

アメリカ側も「国内産業の保護」で、関税を残しておきたい分野が数多くある。
その中で、自動車産業は保護の対象になり、SUV(スポーツタイプ小型トラック)は、25%の関税を維持したい意向と伝えられた。
「TPP」交渉の様な多国間での関税引き下げでは、ムズカシイ段階もある。
だが、対中国との貿易問題に留まる範囲で、「太陽光発電分野」の輸入品に25%の関税をかけることは、日本の自主権、国益に沿った妥当な措置である。

だが自民党政権は、新産業の保護に関税をかけることは一切検討もしていない。

将来産業育成には中国企業の太陽光パネルに関税をかける。

2013-02-25 | 快適エネルギー社会問題
再生可能エネルギー電力の中で、太陽光発電に限っては「日本企業」の将来は大変に懸念がある。
ドイツの失敗例を見れば、日本が同じ徹を踏む恐れが大きい状況である。
2000年の初頭に、ドイツは将来の新産業育成の手段として「グリーン産業」を支援して国の中核企業を育てる政策を実施した。
その手段の一つが「固定価格買取り制度」で、当時としては太陽光発電はコスト高で、普及が進まなかった。

ドイツ政府は太陽光発電による電力を、50円/kWh.以上の高価格で買取る義務付けを、電力会社に課した。
その差額の一部は電気料金に上乗せされて、電力消費者が支払う制度である。
この優遇政策が効果をあげて、太陽光発電のドイツ企業が業績を大幅に向上させて、普及拡大が進みだした。
ところが、この活況を見て中国企業が政府の後押しを受けて、ドイツの太陽光発電の市場に進出し、急拡大をしてしまった。

もちろん、中国企業の技術は欧米や日本の技術を後追いしてのモノマネ段階であるが、製造原価に占める電力費用は、石炭火力発電の安い電力を使うので、製造コストを引き下げることができる。
関連の部品類も、人件費の安さを武器に、圧倒的に製造コストを下げることができるので、ドイツ製の太陽光発電設備よりも設置経費は圧倒的に安い。
その結果は、ドイツ国内における太陽光発電の設置価格は大幅に安くなって、普及促進の進展は狙いどうりに進んだ。
しかし、ドイツ国内企業は市場シェアを落とし、価格低落による赤字に苦しんであえなく倒産してしまった。

日本での、太陽光発電の本格的な普及拡大は、2012年に始まったばかりと言えるが、この段階でも中国製のシェアは、20%程度に伸びている。
このママ、固定価格買取り制度による優遇政策をとるならば、間違いなく「中国製の太陽光発電」のシェアが50%以上になるであろう。
対抗する国内メーカーは、販売価格を下げるしかないが、これでは収益が見込めずに、次の技術開発も製造設備の革新にも資金を投じることは出来ない。
最後は「太陽光パネル」の製造事業からは撤退せざるを得ないことになる。

それを防ぐ方策は、「中国製太陽光パネル」に高率の関税をかけるしかない。

太陽光発電の支援は国民負担で中国企業を育成するのか?

2013-02-24 | 快適エネルギー社会問題
再生可能エネルギー産業を育成して、日本の将来を担う「基幹新産業」にして行く目的で、日本版「再生可能エネルギー電力固定価格買取り制度」が、2011年8月に、法案が成立した。
この具体的な実施が2012年7月からで、それ以後に、太陽光発電の設置計画がラッシュの様相である。
優遇される買取り価格は42円/kWh.で、20年間保証されるので、事業者にとっては、大変にリスクの少ない優良な投資の案件となっている。

設置事業者に支払われる電力の買い取り費用は、電力会社がすべてを負担するわけではない。
例えば、関西電力の場合は、会社側の負担は約5円/kWh.であり、買取り費用42円/kWh.との差額は、37円/kWh.となる。
この費用は「再生可能エネルギー発電促進付加金」として、電気料金請求書に載せられて、利用者が負担する制度になっている。
電力会社は、太陽光発電が急速に普及しても、負担する費用は一切負う必要が無い仕組みになっている。

この「促進付加金」は、電力利用者が公平に利用量に応じて負担するので、特定の誰かが負担の重荷を背負うわけでない。
しかし、消費税と同じ様に、一律に電力料金に上乗せされるので、低所得層に対する負担感が、大きくなるのは避けられない。
また企業用の電力料金にも上乗せされるから、最終的には商品・サービスのコストに上乗せされて、物価上昇にも影響する。
つまり国民の負担で、太陽光発電の関連企業と、設置事業者に対する支援をしていることになっている。

その成果が「将来を担う基幹産業」として、経済成長に貢献して雇用促進になるのならば、誰しも賛成するであろう。
しかし、太陽光発電の分野では、すでに中国製の太陽光パネルに対して、価格競争力は圧倒的に差をつけられてしまっている。
このままでは数年後には中国製にシェアを奪われて、国内メーカーが脱落する可能性は大きい。

政府は何の手も打つ姿勢が無いので、電力消費者の負担で中国の太陽光発電の企業を支援している構図になる。
このママの無策を放置しているのか・・・?

グリーン革命としての太陽光発電産業は育成が可能か。

2013-02-23 | 快適エネルギー社会問題
再生可能エネルギー電力の技術発展を促して、将来に日本を背負う「グリーンイノベーション産業」の、中核にして行こうとして、昨年の7月に『固定価格買取り制度』が実施された。
この制度によって、現時点では技術開発が途上であったり、量的な規模が未熟の為に設備コスト・建設コストが割高で「採算性が成り立たない」として、普及が進まなかった状態を、大きく転換するコトになった。
風力発電は20KW以上の設備で、発電量1kWh.当たりで23.1円の固定価格で20年間に渡って買取りが保証される。
設備が故障でもしない限り、確実に設備・建設費用の元が取れる制度である。

この状況によって、もっとも設置が加速されたのが、太陽光発電設備であった。
10KW以上の設備では、買取り価格42円/kWh.で20年間保証される。
全国で日照のよい空地に建設すれば、利益が出るので、建設ラッシュになった。
この制度の目的は、早急に太陽光発電などの電力を増やしていくと同時に、国内の関連産業の量産数量を高めて、生産技術などの進化を促していく事である。
2012年時点では、発電コストは買取り価格42円/kWh.でないと採算が合わないとされてきた。
1年近く経ってすでに、買取り価格38円/kWh.でも採算が合うと見込まれるレベルにコストダウンが進んだ。

この様な技術進化を促して、太陽光発電コストを2030年時点で14~30円/kWh.とする「IEA」の予測試算がある。
14円/kWh.ならば、化石燃料発電コスト(石炭、天然ガス)に近づくので、支援する効果もあると思われる。
ところが、中国では、2011年8月時点から「太陽光発電の電力を1元/kWh.で買取る」制度を開始した。
当時のレートは1元=12円で、すでに2030年目標の発電コストを実現しているのである。

これは、中国では人件費、設備費、製造の消費電力費が安いために、日本や欧州で生産した太陽光パネルよりも圧倒的に安価に出来る、という事実である。
既に、ドイツでは圧倒的に安い【中国製太陽光発電】の設備に進出によって、ドイツのメーカーが太陽光パネル事業から撤退を余儀なくされている。

日本国内のメーカーでは、中国製に対抗できる方策を立てているのか・・・・?

日本は海洋国家だと肝に銘じて取組めばエネルギー大国に。

2013-02-22 | 快適エネルギー社会問題
日本のエネルギーの将来は、日本沿岸で洋上風力発電の開発の成否にかかっている。
日本企業の総力を結集して、世界最高水準の風力発電システムを開発すれば、2020年代には飛躍的に普及が進みだし、2030年には総電力需要の20%を賄えるレベルに達する。
2050年には電力供給の半分、50%を担うことも実現可能な目標である。

さらに、沿岸部を流れる海流のエネルギー利用する潮流発電も将来性がある。
潮流発電の利点は、発電量が潮流の変化として予測できることである。
風力発電は、どうしても天候に変化の影響を受ける為に、50%以上の依存度にすると、不足した場合のバックアップ発電が必要になってしまう。
「潮流発電は天候の影響を受けない」で、予測できる計画発電量を維持できる。
また、水面下で稼働するので、景観への影響はなく騒音の影響も小さい。
潮流が生じる場所は、岬のような突端や海峡のような制約のある海域であり、過疎地域の振興にも効果が期待される。

潮流発電の基本技術は風力発電と同じで、発電量は流体密度と回転面積(ハネの長さの2乗)、そして流速の3乗に比例する。
空気に比べて水は830倍の密度があるので、同じ出力ならばかなりコンパクトに設計できるから、設置密度を上げることも可能である。
潮流が2m/s以上であれば、経済性が成り立つと言われているが、将来は技術進歩により、さらに低い潮流でも発電効率を上げて、成り立つ様にすべきだ。
問題は、海中の潮流が速い場所に設置工事をするのが難しい。

洋上風力発電の設置普及でも、工事用の専用船を開発して、スケールメリットを利用して建設コストを下げることを提案されている。
同様に、潮流発電適地における集中的な設置も計画して、その海域での建設には「潮流発電設置専用船」を開発する「国の長期的な視野の支援」が必要だ。
この技術が完成すれば、世界の潮流発電の潜在量「9000万KW」(原発90基分)の建設の支援に乗り出して、日本の輸出産業に育成することもできる。
この様に、海洋の自然エネルギーを活用できる技術開発こそが、「日本が世界に貢献できる新産業分野」になりうるのだ。

いつまでも、軍事産業の派性技術である「原子力発電」にこだわって、【輸出産業に育てる妄想】は、即刻、捨て去るべきであろう。

安倍政権は国民の犠牲を最大にして旧勢力の保護に。

2013-02-21 | 経済問題
円安に誘導することで、輸入品の価格が上がることは当たり前の現象だが、アベノミクスなどの【カタカナ言葉】のイメージで、経済効果があると『空気を作りだして』景気を刺激する。
確かに、経済は景気の問題でもあり、気分を高揚させる効果は重要である。
でも、円安への誘導によって、意図的に物価上昇を図るのは、国民全体にとっては「痛みを一番最初に受ける」ことになり、とても歓迎される政策ではない。
一部の輸出依存産業が、一息つくことはできるだろうが、その円安メリットは、働く人の給与に反映されることは、一番最後になる。

経済再生の足を引っ張る原因には、長年の独占企業体質に染まった電力会社の経営努力不足で、無駄な経費が至るところに放置されている病根がある。
原発を一切運転しないでも、発電用の設備に維持費用を払う仕組みの契約をしているために、「日本原子力発電」への支払いが毎年1500億円にもなる。
更に、今度は日本原電の資金繰りが苦しいので、借金の肩代わりの責任を負わされる債務保証を1200~1300億円もすることになった。
日本原電の保有する原発3基は、今後の再稼働は一切見込めず、廃炉決定にする時期を待っているだけの会社である。

安倍政権は、電気料金の値上げを「政府の責任ではない」ような、逃げの姿勢に終始し、所轄の官僚機構に丸投げの様相である。
電力会社の地域独占体制を、戦後の70年近くに渡って維持し続けて、独占の弊害が表れても、何も改革の努力をしないできたツケが、一気に回って来た。
電力料金の値上げが、デフレ脱却に効果があると言い逃れをするつもりはないだろうが、あまりにズサンな取り組みには、呆れかえるしかない。
国民への負担を最小に抑えることを真剣に考えれば、「日本原電」は破綻企業として清算処理をするのが、もっとも適切である。

それは、日本の電力業界という【旧体質のムラ社会】の内部利益を、最優先する姿勢が根本の原因である。
日本原電を清算処理して、『発電・送電の分離制度』へ移行することで、やっと21世紀に対応出来る電力供給体制の構築に、スタートを切ることができる。

だが、ここで、政府が逃げ姿勢のままでは、改革の遅れはすべて「電気料金の値上げ」に添加され、それも無理な段階で「国の支援」という税金投入になる。

すべて、旧勢力(電力業界)を守ることで、国民の犠牲を最大にしている。

原子力発電の廃炉決断はだれもしないでババ抜きゲームに。

2013-02-20 | 核エネルギー・原子力問題
安倍政権の経済対策は、物価上昇を意図的に実現することが始まりである。
原発は再稼働をしないで、さらに円安に誘導すれば、輸入化石燃料の価格が上がるので、電力会社は悲鳴をあげて、一斉に電力料金の値上げ申請に動き出す。
政府は、再稼働を認めるには時間がかかるから、しばらくの間は、批判の矛先を避けることができる。
火力発電の燃料費の値上がり分は、自動的に電気料金に反映される制度になっているので、誰も責任を負うことなく、電気代の値上げが実現することになる。

物価上昇率2%の目標に向かって邁進する安倍政権には、国民の支持率が60%以上にも増加している。
しかし、給料が上がる前に物価だけが上がってしまう人達が、圧倒的な多数を占めている段階で、電力料金の値上げがもうすぐに迫っているのだ。
輸出商品を持っている企業には、アベノミクスの円安誘導政策は、当面の利益増加につながるであろう。
しかし、日本の輸出依存度は、GDP総額の16%程度に低下している。
輸出依存企業はわずかであり、利益が増えても内部留保か海外投資に回るのだ。

現状は原発50基も宙ぶらりんの状態で、維持費だけを国民負担に回している。
将来に「運転可能にするメリットのない原発を廃炉」にすれば、廃炉事業が促進されると同時に、代替電力の建設投資が活性化されることは間違いない。
それなのに、電力会社は絶対に自らの責任で、廃炉決定をしないのは、現在の電力料金の決め方では、発電を一切しない原発でも、維持費用や設備の償却費用を経費として認めて、その無駄な経費にも利益を上乗せできるからである。
電力会社の株主や貸し付けている金融機関も、「廃炉決定による電力会社の赤字」には拒否反応が働くから、電力企業経営者からは「廃炉決定」の判断はない。

民主党政権時代では、40年を超えた原発からでも「廃炉決定」に持ち込もうとして、『2030年代に原発ゼロ』の方針を打ち出した。
しかし、政権交代した自民党政権では、その目標を反故にして原発50基の先行きをどうするのか、10年後にまで先送りをしてしまった。
これでは、安全性の劣る老朽化原発や、安全対策におカネがかかり過ぎて、採算性の目途も経たない原発を【運転しないままに維持する】状態になる。

自民党政権は、世論に批判されるのを避けるために、「無駄なお金を使い続ける発電しない原発」を「ババ抜きゲーム」に持ち込んで逃げているだけにした。

電力料金の値上げは物価上昇率2%目標に近づける方策か。

2013-02-19 | 核エネルギー・原子力問題
電力会社の値上げ申請が今後も続いて、消費者は負担増を強いられる事態になる。
現時点での原発の再稼働は、原子力規制委員会の新基準が導入されて、審査が始まるまでは出来ない。
この審査が始まる時期は、早くても今年の秋以降になる。
ところが、安全基準には、「基準津波の耐える防波堤に新設」や、『第2制御室などを備えて特定安全施設の設置』などが盛り込まれる。
これらの建設期間には、3~5年はかかる見込みである。

この安全基準を満たさない原発を再稼働することは、特例を認める「猶予期間制度」が設けられる必要がある。
つまり、基準を満たす設備にするまでの間は、暫定的に再稼働を認める仕組みになる。
この暫定的な再稼働問題は、昨年の大飯原発の見切り発車時の時に、地元自治体や100km圏内の関連自治体が、大きな懸念を持って反対していた。
しかし、夏場の電力需要のひっ迫時が迫ったために、安全基準に対応できていないままの状態で、2基の再稼働を民主党政権が認めてしまった。

さて、今度の安全基準の暫定的な再稼働容認は、誰の責任で決断するのか。
節電対策はさらに進んで原発の再稼働ゼロでも、供給力不足はクリアーできる状況になっているから、無理に再稼働させる必要はない。
電力会社は、原発再稼働が出来ない状態では、化石燃料費の増加で赤字になるので、電気料金の値上げは必須である、と訴えている。
再稼働出来ない分だけの値上げを認めるか、それとも、暫定的に安全設備の猶予期間でも再稼働を容認するのか、政府が判断責任を持たされるのである。

安倍内閣は、経済再生の最重要目標にデフレ脱却を掲げて、大幅な金融緩和を日銀にゴリ押しをして、インフレ目標2%を掲げさせた。
この結果、円安に転じて「輸入化石燃料の価格が上がる」効果が生み出されて、物価上昇率は急速に上がる傾向になっている。
つまり、経済再生の第一弾は、「物価上昇率2%」にいかに早く近づけるかで、原発の再稼働はゼロにして、電気料金はあげる方が経済効果がもたらされる。

安倍内閣の基本方針は、電力料金の値上げは容認、むしろ歓迎の姿勢なのだ。

もし、原発の再稼働を暫定的に容認したら、アベノミクスの否定につながる。


化石燃料発電・原発発電コストが安いとの常識は時代遅れ。

2013-02-18 | 快適エネルギー社会問題
「再生可能エネルギーは割高である」、との旧来の常識は、海外諸国では大きく変化している。
最新のオーストラリアの調査によると、『風力発電のコストが今や一番有利』な状況で、新規に石炭火力発電を建設した場合は、16%コストアップする。
現在、シェールガス革命と言われる「天然ガス火力発電」を、新規に建設した場合でも、22%コストアップとなる。
風力発電の発電コストは、2011年以降でも10%低下していて、陸上設置の大型化技術が進化すれば、さらにコストダウンが可能になる。

「化石燃料発電は安い」「風力発電は割高」という認識は、今や過去のものとなっている。
日本では陸上設置の風力発電は限界にきているが、オーストラリアでは風力発電設置の適地は、それこそ膨大にあるので、条件は有利ともいえる。
しかし、石炭の供給が圧倒的に有利な地域でさえ「風力発電に軍配」が上がる事実は、[CO2排出]削減にはコストがかかり、経済の足を引っ張る、などの旧来の思い込みを、転換すべき時代に入ったのだ。

従来から経団連などが主張して来た抵抗論法は、土台から崩れている。

新規に建設する場合では、化石燃料発電が風力発電よりも高いが、なお旧来型の発電コストが安いというのは、既に30~40年前に運転を開始し、建設費の支払いが済んでしまっているから、見かけの発電コストが安いのである。

原発の発電コストは、30~40年前に建設した設備も含めて、平均した発電コストを公表するから、見かけは低く抑えられているにすぎない。
その上、使用済み核燃料の処分費用や廃炉費用の積み立ては、過小になっていて、「次世代にツケを回す」無責任な姿勢によって、低く見せているのだ。

発電コストを重視して議論するならば、「風力発電」(陸上)が一番安価である。
日本では、陸上が限界になるので、沿岸部に建設する「着床型洋上風力発電」が主力になって行く。
更に、技術進化によって『浮体式洋上風力発電』の技術システムが実用化すれば、日本はエネルギーの供給力不足の問題はなくなる。

欠点をいえば、天候の影響を受ける【間欠性】が普及量に限界をもたらす。
この課題も2020~2030年にむけて、革新的な技術手段が実用化されることを期待して、勇断を持って、「再生可能エネルギー自立国家」を目指すべきである。

送電線網の拡充により風力発電産業の雇用拡大効果を。

2013-02-17 | 快適エネルギー社会問題
原子力発電は『発・送電分離制度』が始まって、発電事業が自由化された状態では、【真の発電コストは石油火力並み】のレベルになる。
これでは、電力市場での競争力はないから、電気事業連合会の会長が、「原発を維持することはできない」と言い出すのは当然である。
それでも、既存の原発を稼働させて「化石燃料の輸入をへらしたい」ならば、政府の責任で原発を維持・稼働をさせることになる。
発電コストは割高でも、燃料費を海外に支払うよりも、日本の国益には沿う。

つまり、原発の維持と再稼働は、電力会社に任せるのではなく、確固たるエネルギー戦略にもとずく【国益上の判断】によって、決めるべき問題なのである。
その必要な費用は、もちろん国民負担になるが、政府はキチンと必要性を説明して、国民の納得を得たうえで原発の運転を継続するのだ。

それでは、【発電コストが割高の原発の運転】を続ける理由はなんなのか。
同じ費用がかかるならば、「再生可能エネルギー発電」の優遇に回す方がよいのではないか。

風力発電を大幅に増やして、基幹電力にして行く戦略ならば、国策としてのインフラ投資を拡大すべきである。
特に送電線網の拡充が不可欠であり、将来の洋上風力発電の設置で重要なのは、海底ケーブル送電線の充実が必要になる。

経済産業省は、2013年度予算案にて、「北海道地区」の風力発電拡充の為に、初めて送電線網整備費用として250億円を計上した。
北海道電力に任せているだけでは、せっかくの風力適地なのに【送電線がぜい弱】を理由に、風力発電の増設が出来なくなっているからである。

政府が風力発電の増設を促進するために、税金を投入するメリットは、電力の供給力の為だけではない。
風力発電産業はすそ野の広い事業で、1万KWあたり雇用が160人創出されるという実績にもとずく試算が出されている。
原発50基を順次廃炉にして、風力発電に置き換えるには、2億KWの設備を増設することになる。
10年間で実施するとして毎年2000万KWの増設によって、32万人の雇用創出が期待される。

原発を維持するだけに税金を使うよりも、『賢い国税の使い方』である。

電力事業の健全な発展に発送電分離が貢献すると証明。

2013-02-16 | 快適エネルギー社会問題
電事連会長が「発・送電分離制度が進むなら原子力発電は持てない。」と記者会見で発言した。
朝日新聞(2月16日朝刊11面)によれば、「送電部門を子会社に法的分離」を進めると【送配電部門の売上が減るので原発の維持費用が出せなくなる】との懸念を表明した。
【発・送電分離では低廉な電力供給はできない】、【利用者の利益につながるシステム改革にならない】と『地域独占を止める方針』に反対した、と伝える。
この発言内容は、まさに、電力会社の本音を公式に表明した場面である。

電力会社は従来から「原子力発電は最も廉価な発電」だと主張して、政府や政治家、立地地元を説得して、産業界にも安価な電力をうたい文句にしてきた。
3・11事故後に原発が停止して、「安定電源」の地位は完全に転落している。
安全性は「原子力規制庁」の出直しによる安全基準を厳格にまもれば、社会からの容認を得られる、とするが、心理的な面もあるので不確実のままである。
「安全性」は社会から不信感のまま。「安定供給」は完全に崩壊。「安価な電源」は【発電・送電の分離】の前に、風前のともしびの状況だ。

現段階での原発の発電コストは「石炭火力発電」と同等レベルとされている。
しかし、安全基準を完全に順守し、使用済み核燃料の最終処理費用を確実に負担すれば、「天然ガス火力発電」よりも高くなる可能性は大きい。
さらに、『発・送電分離制度』によって、発電事業として透明性をもった【発電コストの算出】を厳格に行えば、石油火力発電(15円/kWh.以上)になる可能性は大である。
現段階では風力発電の発電コストは、石油火力発電(15円/kWh)よりも高いが、技術進化した欧州諸国の設備では、コストが確実に下がっている。

発電事業企業としてみれば、現在保有している原発を維持し続けるよりも、新規に『風力発電事業』を手掛ける方が、確実に採算性のよい事業になる。
技術進化の見えるまでは、様子見をするにしても、「天然ガス火力発電」を新規に計画する方が、確実に事業性がすぐれている。
将来を見越して「石炭火力発電」([CO2排出]削減装置付き)の採用をしても、原発のコストよりも確実に下げることは可能であろう。

電力事業経営者であれば、原子力発電はどの面からみても完全に落第の発電設備なのである。

「発・送電分離」が、「まともな事業の姿を見える化」するのだ。

風力発電産業こそが日本のお家芸技術の集積だ。

2013-02-15 | 快適エネルギー社会問題
途上国段階にあった日本は、将来の国の存立の基本を「加工貿易立国」と目標を定めた。
原材料を輸入して「日本人の体質に合った商品」を丁寧に作りあげて、「モノ作り・加工技術」を、付加価値とした製品を輸出する。
戦後の技術が未熟な段階では、日用品の加工から始まり、家電製品のモノマネ作りに発展した。
更に日本流のきめ細かさを製品に反映し、優れた家電製品を次々に生み出して製品化して、輸出を伸ばし経済発展に貢献した。

自動車産業は、当初は欧米諸国からは完全に遅れた製品しか作れなかった。
当時の通産省は、何とか自動車の生産を国の基幹産業にしたいと考え、「国産車作りの優遇政策」を次々に打ち出していた。
日本の道路条件に合った「国民の手が届く国民車構想」などを打ち出して、自動車産業の育成に注力した。
当時は、円レートが360円/ドルの時代であったが、価格競争力が全く劣るので、外国車には高額の関税をかけて「国産車の保護」を徹底したのである。

これらの「保護・育成政策」が功を奏して、1970年代末には、自動車産業は日本を牽引する一大産業に成長した。
当初の段階では、日本では自動車交通が発展する可能性はないから、「日本での乗用車の市場は弱小に留まる」から、国産車はトラックに限定して、乗用車は輸入車で補うのが適切だと、堂々と主張する専門家がほとんどだった。
守旧派の専門家は、先の変化を読み取れないブレーキ役しか出来ない無能者だ。
そして2000年代になって、自動車も家電製品も、生産は海外が主力となり、生産技術も製品需要が拡大している国に移ることが、本流となっている。

日本はモノ作りの得意技を、次の時代の主力製品に転換して行く必要がある。
そのひとつが、『洋上風力発電産業』の高度なモノ作りがあげられる。
発電機部分は電気製品の最高峰であり、巨大な羽の部分ではカーボンファイバーなどの高度な材料の出番になる。
羽のゆっくりした回転力を発電機の適正な回転数に増速する技術は、機械・油圧機器などの、高度技術の出番となっている。
それを支える支柱や浮力を生みだす巨大な構造物は、造船技術の発展した「世界最高度の技術」を要するのだ。

なんでこの分野に日本が挑戦しないのだ。

洋上風力発電産業を将来エネルギーの基本に据える。

2013-02-14 | 快適エネルギー社会問題
2010年代の挑戦課題は「風力発電技術」の大革新であり、日本の様な海洋国は『浮体式洋上風力発電』の大発展に向けて、国の将来を託すくらいの覚悟をして『総力を挙げて取組む』べきである。
日本は1970年代の石油ショック後の将来エネルギーを【原子力発電】として、将来を託す「自立できる基幹エネルギー」と位置付けてきた。
これが、技術的にも経営的にも欺瞞だらけの行き詰まりであることは、2000年代には見えていたのに、自民党政権は惰性におちいり、民主党は不勉強の思い込みだけで拡大路線に突っ走る愚を犯した。

風力発電に対しては、いままでに欠点をあげつらい、「将来の基幹エネルギーになるなどは笑止千万」とのレッテル貼りに追従して来た専門家は数知れない。
電力会社は軽視に終始し、鉄鋼業界にいたっては自分の業界に福をもたらす新産業を、締め付けることばかりして来た。
この様な政治家や専門家、経営者は総退場して、「将来を真摯に見据える次世代」の選択意思に、余計な口出しをしないことだ。
エネルギー自給率が10%以下の脆弱な国を、このままの惰性的な成り行きに任せては、将来に希望の持てる国にはならない。

まず、エネルギー分野では、「再生可能エネルギー産業立国」に路線を決める
その主力の電源エネルギーは「洋上風力発電産業」であると、目標を絞り込む。
電力以外のエネルギー(熱利用、輸送用燃料)は、バイオマスエネルギーとすべきである。
このバイオマス分野はまだ、主力となる技術は試行錯誤段階で、重点を絞るのはまだ先の段階になるので、説明は別の機会に書こうと思う。
だが、電力エネルギーは、1990年代からの「模索時代を経た現段階」で、主力を絞り込むことができる。

陸上に設置する風力発電は、日本では人口密度が高く、適地は限られる。
しかし、洋上であれば適地は日本の周囲の海域に膨大に広がっている。
技術的な問題の克服は「日本の総力を結集すれば確実に出来る」と言える。
先の大震災、大津波における被害は、皆無であって、毎年の様に襲来する台風に対する技術面の見通しは、充分に立証出来ている。

後は、投資面での最優遇を実行するコトに、国民の理解が得られる様に、エネルギー戦略の将来ビジョンを打ち出すのだ。
安倍政権には出来そうもない・・?