庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

八方美人の政策路線ではなく強い意思を入れた挑戦的決断。

2016-01-31 | 国創り政治問題

安倍政権は「経済再生を最優先課題」として、一貫して言い続けている。

しかし、アベノミクスの第一段は、成果もうわべだけの株高しかなく、それも【実質的には、ドル換算での株価は以前と同じ】である。

公共工事の大判振る舞いは、経済へのカンフル剤の一時しのぎで、使い古された【財政赤字を増やす次世代へのツケ】を残すだけである。

イノベーションを引き起こしてに、経済成長路線には、挑戦の言葉にはそぐわない、総花的な様子見の研究投資の支援にすぎない。

 

それは、旧時代産業になって「お荷物となる産業からの撤退」を、おろそかにして、いつまでも【ゾンビ化する事業を生き残らせている】弊害があるからだ。

資本主義社会は、「創造的破壊を伴うイノベーション」を引き起こさなければ停滞する、と高名な経済学者のシュンペーターが理論化している。

例えば、エネルギー産業でいえば、原子力発電に対して、国民の大多数が将来性を見限って、依存度を順次下げて将来はゼロにする路線を支持している。

それにも拘わらず、既得権勢力の電力会社の利益のためだけに、再稼働の容認路線を支援して、その分の新規の電力事業者の参入を阻止している。

 

今や、エネルギー産業は、大転換をする時期になっているのに、安倍政権は、いまだに及び腰の取組しかしていない。

施政方針演説でも、「温暖化対策は新しいイノベーション生み出すチャンスです」と言っておきながら、「省エネルギーと再生可能エネルギーの大胆な技術革新」には、ほんのわずかの予算しか振り向けていない。

今や明らかにコスト高になっている「原子力発電関連産業」の生き残りのための予算の方が多い有様である。

つまり、成り行きにまかせながら、様子を見る状況が3年間も続いたままで、将来像も目標も低次元のママに放置している。

 

経済産業省と石炭火力族の言いなりに、2030年の目標を決めてしまったために、日本は最も【CO2削減目標が低い国】に位置ずけられてしまった。

これでは、挑戦的とは全く言えない状況で、関係する企業も「大胆な研究投資」には、躊躇せざるを得ない。

原子力産業と石炭火力産業からの徹底方針を打ち出せば、優良な企業は競って、「再生可能エネルギー産業」に大胆な投資と開発人材を振り向けられる。

挑戦と言うならば、大胆な転換をトップ自らが宣言しなければならない。(続)


従来路線の踏襲と既得権擁護の路線では「挑戦ではない」。

2016-01-30 | 国創り政治問題

安倍政権の経済再生の政策は、三本の矢と称して、「アベノミクス改革」のスローガンで華々しく展開してきた。

第一の矢は、大胆な金融政策で「次元の違う金融緩和」で、日銀が市場から大量の国債を買い上げて、流通するお金の量と増やすことであった。

しかし、3年経っても企業投資が伸びるわけでもなく、円安で増加した企業の内部留保と海外への投資ばかりで、国内消費は冷え込むばかりである。

日銀の「インフレターゲット目標」も、一向に効果を生みだすことなく、「2段階の黒田バズーカ砲」の効果も限定的であった。

 

ついに、超金融緩和の手段も先が見えてきたので、「マイナス金利政策」に踏み出すしか、おカネの流通促進策が残っていない状況に追い込まれた。

黒田日銀総裁にいわせれば、企業が大量に儲けても、働く人への給料配分を増やさないから、消費が増えないし、企業も設備投資をしない。

とにかく日銀が頑張って、お金の量を増やし続けるから、その間に「政府と企業」のできることは何でもやって給料を増やすコトにつき進むべきだ。

ところが、政府や大企業の力で、従来のやり方では、中小企業の従業員や非正規雇用社員の給料を増やすことは微々たることしかできない。

 

結局、第一の矢は、もはや効果の範囲が限られて、経済は失速する状態寸前だ。

第二の矢は、「機動的な財政政策」を称していたが、中身は国債を大量に発行して、赤字財政での公共工事のバラマキに終始している。

単なるカンフル剤程度の効果で、経済政策でもお定まりの成果に終わっている。

最も重要なのは、第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」であるが、安倍政権での実績はゼロとシカ言えない。

地方創生と言いながら、中央のお役所主導での予算配分に終止している。

イノベーションのためには規制改革を断行、と抽象的な政策の看板だけである。

 

ついに3年経ってから、さらに抽象的な「一億総活躍への挑戦」と言いだした。

誰もが活躍できる社会で、その多様性に中から「イノベーションが湧きおこる筈です」と、願望を持っているだけである。

施政方針演説が間違っているのではなく、実質的な中身の力が全くないのだ。

何故その様に空文化してしまうのか、それは、挑戦と言う言葉を多用していながら、ちっとも挑戦する気概がないからである。

成熟した資本主義では、「創造的破壊を経て、イノベーションが湧きおこる。」(続)


アベノミクスに邁進した3年で大誤算に直面した辞職。

2016-01-29 | 国創り政治問題

マスメディアの論調は、日本の長期のデフレ経済に対して「政府が春闘の賃金引上げに介入」しているのは、異常な状態だという認識の様だ。

しかし、安倍政権の幹部たちは、「企業が利益を貯め込まず、もっと賃上げに使えば消費が増えて、景気が上向く」とみている。

官民対話を昨年11月に開催し、「収益が拡大した企業には、前年を上回る賃金引上げを期待する」と。経団連会長も表明している。

ことしの1月25日には、大企業の労務担当者らを集めた会合では、【日本経済は20年近く続いたデフレからの脱却という、平時でなく戦時である」とした。

 

戦時であるとの表現は、異論があるかもしれないが、従来の発想と認識では、デフレ経済からの離脱は、不可能であることは、経団連も言いだしている。

「今は政府も経済界もデフレ脱却へ一丸となって取り組む必要がある」。

これが、3年間の自民党政権の認識で、「超金融緩和」では、デフレ離脱はできないという、「21世紀のグローバル経済下の論理」に、やっと到達したのだ。

経済界の大企業を潤しても、【消費が不確実な市場には、新規投資もしないし、従業員への利益配分は最小に】、との経営判断が資本主義の論理である。

 

日本は製造業を主軸とした経済構造で、国際競争を勝ち抜いてきたが、グローバル経済に転換した後には、資本は、「資本収益率が最大の市場」に向かう。

それに気がつくのが遅すぎて、価格競争力を維持するために、働く人の収入を削減する路線だけで、【賃金デフレに陥る道】を、経済界が選択してしまった。

これは、自民党政権と経団連を主流とする「20世紀型の新自由主義路線」を採用した「日本の経済政策戦争」の敗戦に他ならない。

今は、その敗戦後の再興を図る時期であり、平時ではないのは当然である。

 

政府と産業界、労働界の三者が一致して、可能な限りの賃金の引き上げと格差の縮小に取り組む時期なのである。

自民党の安倍政権の経済運営の要を担ってきた、【甘利経済再生担当大臣】は、この敗戦処理の経済運営の誤りに直面して、今や、逃げるしかないと判断した。

安倍首相は、「アベノミクスの誤り」に気がついても、今さら転進の表明も出来ないので、民主党政権が掲げた『人を大事にする経済運営』に乗り換える。

中身はこれからだろうが、とにかく【富裕層を富ませる経済成長】では、【大多数の働く人たちの実質賃金は減り続ける】ことを修正しなければならない。

GDPの6割を占める個人消費は、政府介入でも賃金引上げで上向かせよ。(続)


旧態依然たる不祥事のほじくりよりも前進する挑戦をせよ。

2016-01-28 | 国創り政治問題

今回の安倍政権の経済政策、特に「一億総活躍社会の実現に向けての挑戦」と看板を掲げた政策目標の中身は、成熟した資本主義を転換する方向である。

6年半前に民主党政権が「雇用・経済」の改革で掲げて【政権交代選挙】の争点として国民に訴えて、圧勝した政策であった。

しかし民主党の政権では、実力不足のママに、外交問題に力を取られて、国民が期待する「雇用・経済」の改革路線は、停滞したままであった。

野党になった自民党は、お手並み拝見の傍観者となって、経済政策に真剣に取り組む体制はおざなりであった。

 

3年半後の総選挙で、民主党は完全に国民から見放されて、大半の議席を失い、敵失によって自民党安倍政権が誕生した。

経済政策面では、従来からの富裕層を富ませてトリクルダウンを狙う路線をとったが、3年間も経って総活躍路線に転換して、民主党と同じ路線になった。

今の時点で、「雇用政策・経済政策」の面からは、自民党も民主党も同じ路線で『働く人の価値を上げる』経済政策を最前面に掲げることになった。

自民党は、やっと6年半前の「民主党」の政権公約に達したのである。

ならば、自民、公明、民主の連立を組んででも、早急に挑戦して欲しい。

 

民主党の幹部からは、安倍政権の「アベノミクス路線」の批判をしていたが、今回の施政方針演説に対して、民主党の路線の正しさを認識した筈だ。

その割には、相変わらずの安倍政権の批判ばかりをして、『コンクリートよりも人への投資』を強調していた、「政権交代時のスローガン」を言い出さない。

確かにスローガンを立派だったが、実際の政策実現の段階では、「お粗末すぎる政治力」では、ほとんどが実現できない政策目標となってしまった。

それを恥じているのか、野党になって3年経っても、対立する『国創りの基本方針』を打ち出せないママに、【安倍政権への批判だけ】に明け暮れている。

 

今回の「経済再生の推進司令塔」の甘利大臣の辞任劇は、自身の政治資金の不正にまつわる不祥事であるが、本来は、アベノミクス路線の責任を負うべきだ。

富裕層や大企業を先に潤わせることで、「トリクルダウン効果」によって、周囲に恩恵が及び、「消費購買力の増加」を図ったが、現実は失敗している。

昨年の後半には、経済界や各方面に「賃金引上げが進まない責任」を押し付けて、産業界が内部留保を投資に回さないからだ、と文句を言い出していた。

企業の投資は、経営そのモノで、最後は経営オンチぶりをさらけだした。(続)


難しい課題を避けてきた安倍政権だが挑戦する姿勢に・・。

2016-01-27 | 国創り政治問題

安倍政権が日本の再生に向けて、やるべきコトを先送りしてきたが、今回の施政方針演説では、挑戦と言う言葉を最前面にだして、待ったなしとした。

民主党の政権交代時には、今回の安倍政権が掲げている政策目標を、実施期限も含めて多岐にわたって「政権公約マニフェスト」に掲げていた。

同一労働同一賃金、最低賃金を時給1000円に引上げ、など、働く人への収入への配分を増やして、消費購買力を上げて経済の活性化を目指していた。

ところが初めから、日本の施政権力を持っただけでは、解決できない難題が押し寄せて、外交問題での政策の遂行に失敗し、自信喪失してしまった。

 

安倍政権の発足時には、民主党の失敗を見ていたので、できる限り、政策目標を曖昧にして、挑戦的な課題や目標はすべて避けてきた。

だから、国民の目には安倍政権が「実行力がある様に見せる」ことに成功した。

円安にしたり、株価の意図的な上昇を図って、【デフレマインドを払しょくできた】と、声高に宣伝することができた。

しかし、円安に誘導した影響で、働く人たちの実質賃金は減少に転じた。

輸入に頼る食品関連に原材料の上昇によって、ジワジワと食料品価格が上昇し、その反面では、中小企業は収益悪化により賃金引上げは困難になった。

 

安倍政権の円安誘導により、輸入燃料の価格が2割も上昇して「貿易赤字が大幅に増加」してしまった。

今では、「海外への投資や技術移転に見返りの所得収支」が増加したおかげで、経常収支は黒字を保つことができて、それも原油安に助けられた影響である。

これは成果でもなく、超金融緩和政策の影響で、変化が起きているだけである。

それも、富裕層への所得が増える変化で、あとの8割以上の一般国民には、生活が苦しくなり【消費購買力が低下】する変化でしかない。

 

この3年間で実施してきた政策は、円安誘導による変化が起きただけで、成果ではあると言えない結果ばかりである。

今回の施政方針演説で、『総活躍と挑戦』という言葉を重ねて強調したが、今までの政策では、挑戦でも何でもない【従来路線の踏襲をした】だけである。

唯一の挑戦は、マスメディアがなんと言おうと、産業界にたいして「春闘の時期に給与アップ」を、重ねて強要したことが、挑戦的と言える。

賃上げ交渉に政府が口をはさむのを、タブー視してきた「石頭経済学者が目をむく」様な、保守党の社会主義政策路線への転換が、挑戦的だと断言できる。(続)


総活躍社会に適合する企業の条件を早急に具体化せよ。

2016-01-26 | 経済問題

労働基準を守らない企業や、求人条件にウソの内容を記載して募集する企業は、ブラック企業候補として、ハローワークから締め出すことになった。

今まで行政では、これを放置してきたというのだから、安倍政権の【総活躍社会への挑戦】も、入り口からお粗末としか言いようがない。

それでも、施政方針演説で国民に約束をしたのだから、ブラック企業の排除をするのは当然の措置である。

これを実施した後は、有給休暇の取得を邪魔したり、残業時間を人権無視の様に長時間の勤務を押し付ける企業は、グレー企業として改善の勧告をすべきだ。

 

安倍首相は「施政方針演説」で「非正規雇用の皆さんの均衡待遇の確保に取り組みます」と宣言した。

また、「原則1年以上働いていれば、育児休業や介護休業を取得出来る様にします。」と明確に約束をした。

これらは、この20年以上に渡って【正社員を減らし、経費の安く済む非正規雇用】を増やし続けてきた、産業界への大きな挑戦である。

大企業を筆頭にして、下請け企業までもが追従した、【社員の給料、手当、福祉待遇を削減する人件費削減】に、ストップをかけることになる。

 

自民党政権が実行し、経済界に奉仕してきた「人の待遇を下げて人件費削減」を継続的に進めてきた政策に終止符を打つのである。

【人の価値を下げる】方向で、国際競争を勝ち抜く方針は、自分の国の消費者の懐をさみしくさせることで、自分の首を絞めてきた様なものである。

20年以上も続けてきた政策は、完全に誤りであったことに、安倍政権は3年かかって身に染みて感じたのであろう。

産業界や経営者がなんと言おうと、働く人の価値を低めることは、経済界全体にとって確実に誤った方向である。

 

経済の再生は「この道しかない!」と宣言してつき進んでいた「先ず富める者から利益を増やせ」の方針は、中国ですら「もはや時代遅れの思想」である。

「この道しかない」と宣言した方向は、『働く人たちの収入を増やし、健康に働ける勤務環境を整える』ことを最優先に掲げる道だ。

安倍首相は、「本年取りまとめる1億総活躍プラン」では、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えである。」と言い切った。

何もしなかった民主党に対して、安倍内閣は、確実に実行に移すであろう。(続)


総活躍とは働く人の権利を尊重して生産性を上げること。

2016-01-25 | 経済問題

安倍首相は今国会での「施政方針演説」で、「1億総活躍への挑戦」を高々と掲げて、『一度失敗を経験した人も誰もが活躍出来る社会』、に向けて挑戦する。

時間外労働の割増賃金の引き上げにより、長時間労働を抑制して、年次有給休暇を確実に取得できる仕組みを作り、働きスギを防ぐ、という。

欧米の先進経済国からすると、前近代的な労働環境を野放しにしてきた弊害に、やっと自民党政府として、取組の決意をして挑戦する様だ。

時間外労働の割増賃金が低すぎることで、企業の都合だけで長時間労働を強いる企業が増加して、働く時間の長さでは、日本は後進国になっている。

 

働く人の健康と精神リフレッシュに必要な、年次有給休暇の取得も、企業側の都合を優先する風潮で、有給休暇のカットも日常化している。

経団連に加盟している様な企業で、この様な労働環境を平然と見過ごしているところは、一流企業とは全く言えないのだ。

有給休暇の消化と、時間外の割増賃金の大幅引き上げで、実質的には働く人の給与は増額になる。

さらに、一人当たりの年間での拘束時間が減少することで、大手企業の時間当たりの生産性向上が、画期的に改善されるであろう。

 

今までのルーズな有給休暇管理や、時間外勤務体制を、大幅に見直していけば、一人一人の働く時間の価値を向上させる必要性が高まる。

人手が足りないと増員するにも、非正規雇用でまかなう企業が続出するだろう。

本来は正規社員を増やす必要がある職場で、長時間残業を強いたり有給休暇の取得を拒否する様な、ブラック企業マガイの職場は、拒否される様になる。

人件費を削減するために、前近代的な手法でごまかしてきた企業経営は、この安倍首相の総活躍への挑戦のなかで、大きく改革されるであろう。

 

それにしても、「働く人の権利」を守ることから、総活躍社会への挑戦を始めるのが筋であろう。

2014年度には、全国のハローワークに寄せられた、求人情報の内容が実情と大幅に違っていたとの苦情が、1万2千件以上も寄せられている。

しかも、年々増えているというのに、「ハローワークは原則、企業からの求人情報をすべて受けつける」との有様である。

この様な嘘の情報で求人募集をしたら、当然、罰則を与えるべきだが、今までは放置しているので、ブラック企業がマカリ通っているのが現実だ。(続)


政府ができることで賃金引上げ効果のあることを実施せよ。

2016-01-24 | 経済問題

安倍政権の経済政策では、公共工事に対する大判振る舞いが復活したおかげで、建設業界では人手不足になっている。

賃金を上げないと、必要な人員を集められなくなり、5年連続で労務単価を引き上げることにした。

公共工事での賃金引上げが、民間工事でも賃金の改善を進めている。

これは政府が主導して、働く人の賃金引上げができる事例だが、国交省が決めることができる「設計労務単価」で、調整が可能になっている。

 

引上げ幅は、全国平均で4%台、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)で7%台となる。

ただ賃金が上がればその分、工事費全体も膨らむことになるが、それは建設事業者の役割として、業務の改善や設備投資で、「生産性を向上」させるのだ。

政府や自治体は、この「設計労務単価」の引き上げと並行して、工事の生産性を向上する投資に対して、積極的に支援する制度を実施するのが適切である。

労務単価の上昇分をすべて、生産性向上で補えるわけではないが、関連事業者に対して、業務の改善によって「工事費全体の費用」を抑える流れになる。

 

公共工事の分野では、この様に政府が関与して、賃金引上げに影響を及ぼすことができるが、その他の事業分野でも政府が影響力を、発揮するべきである。

政府や自治体が発注する製品では、その納入企業、製造企業などの、従業員の給与水準を一定以上に指定することも可能である。

つまり、臨時雇用や非正規従業員に安い【時間当たり1000円以下】で、仕事させている事業者を排除することも可能な筈である。

公共的な事業やサービスの分野で、【高すぎる事業者への発注】は、入札制度で制限をしているが、【安すぎる製品やサービス発注】を制限するべきなのだ。

 

政府が推奨する「環境基準」を守らない事業者には、当然、発注しない。

社会的に問題となる【過酷労働を強いる】事業者にも発注しない。

それにならって、政府、自治体が推奨する「妥当な人件費」以下で、仕事をさせている事業者からの製品やサービスは、排除するのである。

契約事業者の下請け、孫請け、ひ孫請け、までに、給与の実態を報告させれば、推奨賃金レベルを守っているかは、チェックできる。

もし報告に疑義があって、調査結果で違反があれば、その後の取引は停止ぺナルティを課すのである。

これで最低賃金レベルは、政府が影響力を持てる。(続)


口約束だけで実行できないより、パクリでも実行に移せ。

2016-01-23 | 経済問題

安倍政権の経済政策では、「アベノミクス」と称して大企業を儲けさせることが第一で、その利益増加のおこぼれを、順番に働く人へ波及させる狙いだった。

しかし、大企業に任せていたのでは、増加した利益は「海外投資」に回るか、それもしないで、「内部留保」に貯め込むだけであった。

甘利にも身勝手に、イヤあまりにも自己都合ばかりを優先する大企業経営者に、あきれた「自民党政権」は、社会主義者と言われようとも、賃金に介入した。

ついに、【正社員と非正規雇用の従業員の給与格差】が元凶だと悟って、安倍首相は、『同一労働、同一賃金』を目指すと、施政方針演説で宣言したのだ。

 

この謳い文句は、野党の民主党の政権公約であったのを、そっくりまねして、いわゆる【パクリ公約】を宣言したのだ。

政権交代した時の「鳩山民主党のマニフェスト」には、「同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等にして、仕事と生活の調和を進めます。」と宣言した。

これと同じ趣旨を6年も遅れて、看板に掲げることで、経済政策の根幹の『働く人の収入を増やす』ことを最重点に据えて出直しする様である。

また、「最低賃金を時給1000円に引上げ」を目指して、毎年3%以上の上昇を図ると言いだして、これも、民主党の政権公約のモノマネである。

 

経済政策において、デフレ脱却を目指すのは、どの政権党でも同じ目標だが、自民党政権は、この様な賃金レベルの基本方針を、軽視していたのだ。

この基本的な政策の『人の価値を上げる』=「働く人の給与を上昇」させるのが重要だと、6年経ってやっと気がついたと言うのである。

『当然の理屈、信念』にたどり着いたのだから、モノマネ、パクリと批判するつもりはない。

民主党政権では、政権公約に掲げておきながら、ちっとも実行しなかったのだから、国民に愛想を尽かされるのは、当然であったのだ。

 

だが、経済の再生、経済の好循環をさせるには、「この道しかない」と、宣言して総選挙を勝ち抜いて、政権についたのだから、国民に説明が必要だ。

「この道しかない」と言って実施してきた「アベノミクス」=富裕層からのトリクルダウン効果では、経済の再生は出来ない、と悟りました。

『これからは、(野党の言う様に)働く人の給与増額を最重点にします。』

この様に国会で説明をして、今までの6年間のロスを、国民にお詫びをしなければならないのだ。

何もできない民主党よりも、自民党は実行力がある。(続)


安倍政権が大企業に賃上げ要請するのは初歩の段階だ。事のタイトルを入力してください(必須)

2016-01-22 | 経済問題

賃金の引上げの交渉を「働き手の組合と経営者側との個別交渉」によって、決定するのが、20世紀後半の社会的慣習であった。

そのために、働き手が団結して交渉に臨む体制は必須で、労働3法などが、働き手の権利を守ってきたのだ。

ところが、中小企業の働き手は、経営者側と交渉しても、経営側は、「大手企業の下請け」が殆どで、価格決定権も大企業にとられて支配されている。

従って、中小企業の労働組合は、大手企業の経営者側との交渉する権利を、社会的に支援しなければ、適正な賃金水準は決められないのである。

 

それ以上に、非正規雇用の従業員は、団体で交渉出来る組織もなく、給与水準を上げる交渉を、大手企業の経営側と折衝する機会すらない。

この様な実態になっているのに、【賃金水準は使用者側と働き手の交渉で決める】

と、19世紀的な原側論で済ませてきた専門家は、全くの怠慢である。

現状が良く判っている筈の「マスメディアの幹部」たちは、原則論に逃げ込んでいれば、どこからも批判が来ないと、安全地帯に安住してきたのだ。

この様な時代の進展に不適合な制度を、早急に改革して、働き手の権利を回復しなければ、社会の不満は増大する一方である。

 

大手の企業経営者対大手労働組合の賃金交渉に、政府が口を出す段階は、ホンの入り口にすぎない。

本格的な交渉の内容には、大手企業は中小企業の下請けの発注する価格を、人件費の増額分を、認めなければならない。

物価上昇分の生活費増加に対する部分は、給与の増額で応えていないならば、発注者の優位性をカサにきての押し付け商取引として、処罰をするのだ。

この様な制度を新規に法制化すれば、是が非でも給与増額が実現する。

しかし、大企業側の要求は、給与の増額分は「生産性の向上」の努力をして、

納入価格は、従来の水準に抑制して欲しい、と要請する。

 

この両者の一致する方向は、賃金レベルの増加に見合う「生産性向上」の活動に向けて、最大限の力を注ぐことになる。

政府や自治体の仕事は、この両者の生産性向上活動の「制度改革」と、適切な「誘導政策」の実行である。

場合によっては、減税や助成金の仕組みで、最大限の支援をすべきなのである。

【下請けいじめ】や【従業員の労働負荷増】のブラック企業を排除するのだ。(続)


各界の頭の転換がどうにか進み始めて賃上げに向かうか。

2016-01-21 | 経済問題

つい最近までは、政府が「働く人の収入を増やさないと消費に回らない」と、企業の賃上げに対して強い要請をしたのを、批判的に見られていた。

マスメディアの識者や評論家は、「賃金は企業と労働者の交渉で決まる」と20世紀の経済論に凝り固まった原理を持ち出していた。

結果的には、この旧来の原則を守っていたのでは、賃金デフレが引き起こされるのを助長することになった。

日本の労働界の代表は、大企業組合の連合組織で、大企業社員の労働条件さえ良ければ、経営側への要求を控えてしまった。

 

結局は、大企業は人権費の安い「下請け企業」に出来るだけ仕事を発注して、大企業の正社員を減らして、給与の高い層だけに絞り込んできた。

下請け企業の社員は、企業組合も連携組織も弱く、賃金アップの交渉力は弱いままで、価格競争力強化の大義名分の下に、給与を抑えられてきた。

その上に、組織化されない「非正規社員の枠」を、歯止めもなく広げて、全体の賃金水準を引き下げる効果が広まっていった。

したり顔の「マスメィディアと専門家」の言うままにした政治では、賃金交渉の口出しはタブー視されるので、それを口実にして、政治家は逃げるだけだ。

 

このジレンマを破ったのは「安倍政権の数少ない功績」である。

安倍内閣では、アベノミクスのトリクルダウンが起きないことに、やっと気がついた段階からは、盛んに大企業に対して給与アップを強く要請を言い出した。

最近では、日銀の黒田総裁までもが、大企業に給与増額の必要性を言い出し、労働界代表の連合の大会に出向いて、賃上げの交渉を強く応援している。

この様に安倍政権の豹変ぶりや、日銀の姿勢を理解できない、野党の民主党は、ただ、傍観しているだけの様である。

マスメディアも、やっと賃金交渉に政府が口出しするのを批判しなくなった。

 

1月20日の新聞報道によれば、安倍政権の要請に応え、加盟企業に賃上げを呼びかけるが、「名目GDP3%成長への道筋を視野」に置くとして、収益が拡大した企業は前年より人件費の総額を増やし、年収ベースで賃金を上げるよう、「前向きで踏み込んだ検討が望まれる」とした。

「収益が拡大した企業」との条件付きだが、企業の責任が賃金引上げにあるとの認識に立ったことは、前進である。

だが大企業の社員だけが年収増加の配分にあずかっても、それであとは?(続)


頭の使い方がズサンだから再分配の方法すら初心者レベル。

2016-01-20 | 経済問題

「所得格差拡大社会」を作りだしたのは、歴代自民党政権の負の遺産である。

この様な所得格差を生みだす、収入の減少を促進したのは、経団連をはじめとする近視眼的経営者が集まった組織で、みんなで給与ダウンを進めたのだ。

一つの企業で、従業員の給料ダウンや、賃金レベルの低い非正社員を大量にふやしたら、社会的な批判を受けるが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」

この様な経営側のわがままを放置してきたのが、大企業の労働組合、「連合の労組幹部たち」である。

民主党政権も含めて「政界、財界、労働界」の三組織が、収入格差を拡大した。

 

昨年から【先進諸国での格差拡大】が社会不安を増大させ、需要不足で景気の停滞を失業者の増加を生みだしていると、問題が大きく取り上げられた。

しかし、各国の政府と財界がとっている政策は、まずは経済成長をさせて富を生みだし、それを再分配する政策に回す、と言う、トリクルダウン狙いである。

トリクルダウンは、経済の自然発生的な減少では起こらなくなって、得られた富は、富裕層の財産を一層膨張させるだけになる。

日本以上に、欧州諸国では格差拡大が進み、経済不安から社会問題を起こす。

 

欧州ではEUにおける共通通貨制度の欠陥によって、諸国間の経済格差が拡大し、財政基盤の弱い国では、失業者の増加に対する適切な政策も打てない。

若年層の失業率は、絶望的に高まっているのに、政府は放置しているから、低所得層、移民層には不満が爆発寸前に達している。

そこへ、中東の内乱勃発と過激集団のISの台頭によって、国内の戦乱から逃げる難民が大量に押し寄せて行く。

経済成長をしてから得られた富を「再分配政策」で、所得格差の是正をする余裕はなくなっている。

 

日本では、まだ失業率も低い段階だが、まずは経済成長をしてから再分配をするとした「アベノミクス第一段階」は、実質の経済成長はマイナスになった。

一部の大企業と富裕層の利益は、内部留保と海外への投資で、再分配は未だに実現出来ない。

安倍政権は、消費増税による不公平税制の弊害を和らげるポーズを示して、実質的に負債を次世代に先送りする「軽減税率」の導入に逃げている。

これでは再分配の機能はなく、仕方なく低所得高齢者への一律3万円支給という、もっとも頭を使わない再分配の政策しか出来ない。

なんと無能力な!(続)


政府も政治家と労働界も賃金引上げに最大の力を注ぐ時だ。

2016-01-19 | 経済問題

大企業の利益と内部留保が、最高を記録しているというのに、中小企業の従業員や非正規雇用の人たちの給与は、物価上昇にも追いつかない。

安倍政権の政策は生ぬるい状態で、最低賃金の引き上げも低レベルで、先進国の中では最も低いままになっている。

これでは、デフレ経済から離脱することは、はかない期待だけに終わる。

働く人たち全体の給与水準を引き上げることに、最大の力を注がなければ、所得格差が広がるばかりで、アベノミクスの失敗は確実であろう。

 

1990年代以降の世界経済のグローバル化が進む段階で、円高が急速に進んで国内企業の輸出競争力が不利になってしまった。

その時期には、価格競争力を維持するためには、製品のコストダウンを進めることが必須で、当時の経営者たちは、競って人件費の削減に力をいれた。

人件費の削減には、一人当たりに生産高を上げる『生産性の向上』が必要であるが、何を勘違いしたのか、働く人の給料を引き下げる方に集中してしまった。

いわゆる、ブラック企業のはしりを、世間でもてはやして【価格破壊の先進企業】などの、褒め言葉をはやらせて後押しをしたのが、マスメディアであった。

 

従業員を第一に考える企業は、保守的な遅れた企業のイメージをつくりだし、仕事を標準化して、非熟練の従業員の仕事を増やし続けた。

これで、臨時雇用的な非正社員を増やして、全体の人件費を引き下げたのだ。

それで、どうにか生き残った企業が勝ち組と称して、経営者の評価が高い時代が続いたので、会社経営にとって給与アップは、一番優先度が低くなった。

この様な目先、当面のことしか考えない企業ばかりでは、日本全体で「働く人たちの収入」は、減少するだけである。

円高で、海外に投資をしたり、買い物ができる層だけが潤う様になって、格差社会の拡大が進んでしまった。

 

結局、日本国内での需要は先細りに転じて、消費が少ないから【新たな国内投資】も減少の一途である。

働く人たちの『人の価値を上げる』ことを怠って来た20年以上のツケが、安倍政権の【単純な頭で考えるアベノミクス】では、転換できないのだ。

第二段階の「GDP目標600兆円」の掛け声だけでは、老朽化した経営者の頭を切り替えることは、不可能であろう。

まずは今年の春の賃上げと、最低賃金の大幅引き上げに、最重点を置け。(続)


経営能力も責任感も乏しい大企業経営者の頭を転換させよ。

2016-01-18 | 経済問題

前回のブログで、かっての名経営者の元経団連会長の土光敏夫氏の言葉を引用して、この20年以上の政治と経営者のつたなさが、浮き彫りになっている。

人の価値を上げることが、経済にも国力を上げるにも、最重要な目標であって、この正反対のことを自民党政権と経団連は実行してしまったのだ。

土光さんの足元にも及ばない経団連の幹部は、即刻、退陣して次世代の若手経営者に経営を任せなければならない。

アベノミクスの成果を声高に言う、自民党の幹部たちは、猛反省すべきである。

 

では、給料を上げたがらない経営者たちに対して、政治の世界ではなすすべがないのであろうか。

少なくとも、給与を押し下げる様な制度を作ってしまった反省をして、法律の改正を実施して行くべきである。

非正社員の制度は、高級職の専門家の職種に限定すべきであって、臨時雇用的な非熟練の職種への適用は、今後は一切出来ない様にするべきだ。

その様に改正すれば、企業にとって人材の確保が急務となり、給与水準を高めて離職率を減らして、事業の正常な稼働に努めるはずである。

 

そして『生産性を向上させる技術開発を徹底的に進めて』、高収入の社員を雇用出来る仕事が増える流れを作りださなければ、経営とは言えない時代になる。

そんなことをしたら、会社経営が成り立たない、と言い出す経営者は、経営能力がないと自ら認めることで、次世代の有能な若手経営者に代わるしかない。

政府が関与出来る給与水準は、最低保証賃金であるが、これを早急に時給1000円以上に引き上げていく。

少なくとも、年率で4.5%以上の引き上げをすることで、下からの給与の押上効果が期待できる。

 

『最低賃金の引上げ』をしたら、成り立たない企業が続出するから、問題だと騒ぎだす専門家や、マスメディアの識者たちが大声を上げるだろう。

その様に言い出す人間こそ、日本を長期のデフレ経済に落とし込んで、自分たちは、したり顔をして偉ぶっているだけなのだ。

『人の価値を上げること』こそが、経済の最大目標であり、能力不足の経営者や、企業を守ることが経済の要諦ではない。

ただし、急速にきりかえると経営者の頭の転換ができないから、移行期間中は小企業への支援策は不可欠である。

このことに頭を最大に使うべきである。(続)


かっての名経営者の言葉を思い出して政治と経営をせよ。

2016-01-17 | 経済問題

経済の要諦は、「働く人たちの給料を上げていく」ことである。

「そんなことは、分かりきっている」と、経済学者も経営者も言うだろうが、この20年以上に渡って、この当たり前のことを実行してこなかった。

生産性を上げることが経営の基本であるのに、人手の削減を目指して、労働強化の仕事を増やして、儲けた企業が勝ち組としてもて囃されたのだ。

 

「生産性向上」とは、ブラック企業の様に、働き手の仕事量が増えて、過労で健康を損ねる様な仕事をつくりだすことではない。

ここで、名経営者であり、日本経済に多大の貢献をした、土光敏夫元経団連会長の言葉を引用して、経済の要諦と経営者の指針を書いておこう。

「賃金と人件費」土光敏夫 信念の言葉。 PHP研究所編。 P.84

 

『賃金が上がるということは、見方によれば、人の値うちが上がるということに他ならない。

人価という言葉があるとすれば、これからは物価以上に人価のあがる時代なのだ。』

『ここで、賃金と人件費の違いについて留意したい。

両者は、賃金(一人平均)×人員=人件費(総額)と言う関係にある。

経営として問題になるのは、人件費のほうである。

人件費の高低は、賃金ばかりでなく人員によっても左右される。

したがって、賃金が高くなって、人員を減らすことによって、人件費を押さえることができる。

そうしてこれからの経営が目指すべきものは、人員の少数化にあると断言できる。

押さえるべきは、人員であって賃金ではない。』

 

経済の要諦と経営者の責務を、端的に容易な言葉で言い表している。

経済オンチで、経営者でもない安倍首相でも理解できる言葉であろう。

政治家は、人の価値を上げることが活発になる環境、制度を作る役割である。

非正規雇用やパートの仕事を増やすのでは、人の価値が上がることにならない。

20年以上に渡って、人の価値を減らして、賃金の安い仕事を増やしてきた経営者は、引退すべき人間であって、その意見を聞くのは、政治的な誤りである。

アベノミクスによって、利益が増えていても、給料の増額ができない企業は失格であるから、大幅増税によって、政府に上納させるのがご政道であろう。(続)