庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

木質バイオマスは石油の輸入削減に効果的に貢献する。

2012-03-31 | バイオ燃料・バイオマス
「木質バイオマスの熱エネルギー利用」というと、何やら難しい話になりそうだと敬遠する人もいるでしょう。
もっと、身近な実例にして説明をしようと思い、「薪ボイラー」を事例にして数値的にわかる様にして行きます。
石油は精製された状態では、A重油、灯油、軽油、ガソリンなどに分けられて販売される。
燃料用としてはA重油、灯油で、熱発生量は1リットル8770~9340kcalである。
木質材の熱発生量は、1kg当たり3600 kcalであり、石油1リットルを置き換えるには、2.4~2.6kgの木質材が必要になる。

日本では毎年平均2600万m3の木材を伐採して利用しているが、それを除いても、年平均で8000万m3の樹木の生長により蓄積を増やしている。
森林蓄積量は、35億m3に達し、国土面積が世界60位であるのに、森林の蓄積量は世界で13位の森林大国に入るのだ。
しかし、毎年の利用は蓄積量の0.7%に留まり、日本の森林資源を有効に利用していない状況である。

これを利用しないでおいて、世界中で逼迫している石油争奪競争のエネルギー依存からは、転換しなければならない。

では具体的にどうやって転換して行くのか、解り易い話で説明してみよう。
日本で輸入している石油は、年間で3億㌔リットルであり、このうち10%を熱利用で木質材、薪に転換する目標を立てる。
3000万㌔リットルの置き換えには、7500万トンの燃料用木質材が必要になる。
現状での木材自給率は約20%であり、自給率の目標50%を達成するには、2.5倍の樹木伐採収穫が必要になる。
今でも林地には利用しない間伐材や残材が年間で2000万トンに達している。
これが、50%自給時には、5000万トンになってしまう。

この利用されない木質材をすべて収穫して燃料用の原料に回すのである。
50%は輸入丸太材であり、それを製材する時にでる製材端材が利用出来る。
さらに、建設廃材の(もちろん瓦礫材も含む)木材類も燃料用に利用すれば、年間7500万トンの木質原材料を国内で流通させることは充分に可能である。

残材の収穫事業(林業の活性化)と製材端材の利用事業を徹底育成することで、石油の輸入量を10%削減が可能になる。
それを目標10年で達成するのだ。

日本の各地には石油に相当する木質材が利用を待っている。

2012-03-30 | バイオ燃料・バイオマス
中央官僚は自分の省益になることしか、仕事をしない。
政治家は官僚から情報をもらい、お膳だてをしてもらったことを、自分の考えの様にふるまって、点数を稼ぐことに執着する。
このやり方が、自民党政権時代から延々と続けられて、国益も地方自治体の利益も、すべて中央官僚の裁量の中にとどまって来た。
民主党政権になっても、見識不足が災いして、やはり官慮依存の政治に戻ってしまった。

エネルギー問題にしても、政治家は経済産業省(旧通産省)の官僚が描く、原子力発電に過大に依存する路線を鵜呑みにしてきた。
ここに来て、中東に依存してきた石油輸入の不安定が影響して、またまた、国民生活にしわ寄せが起きて、政権を担う政治家には何の対処もできない。
行政側が不利になった時には、中央官僚は必ず影に隠れてしまい、すべては政治家、内閣の権限であるとして、責任を取ることは一切ない。
議員内閣制を採る以上は、すべての責任は政治家の判断であり、国会と内閣が責任を負うことになっているからである。

石油危機以後は、原子力発電依存をつよめて、大きな破綻が来てしまった。
その様な状況の中で、電力の10%と自動車用のエネルギーは石油に依存し、その9割は中東からの輸入石油に頼っている。
電力エネルギーは、今や再生可能エネルギーへの依存比率を大幅に増やすことで、政府も世論も一致している。
ところが、それ以外の熱エネルギーと輸送機器エネルギーを、どの様にして不安定な輸入依存から、安心出来るエネルギー源に転換して行くか、まったく描けていないのが、現在の野田内閣なのだ。

日本の各地には、戦後に植林した林業地において、大量の樹木が育っている。
しかし、林業は衰退産業とされて、政策的な育成支援が放棄されてしまった。
ただ、弱小官庁の林野庁が国有林を守ることだけしか仕事と考えず、民間や地方自治体の林業育成は、責任を持てる範疇にはなかった。

今やっと、木質エネルギーの利用拡大によって、林業を活性化する方向に目が向きだしている。
だが木質エネルギーの実情も、林業経営の中身も知らない中央官僚と政治家ばかりで、有効な政策手段を検討して実行策を提案する官僚は、どこにもいない。

大型の投資案件には関心を持っても小規模には無関心。

2012-03-29 | バイオ燃料・バイオマス
木質バイオマス発電のメリットは、充分に理解してもらえたと思います。
しかし、無策内閣で何事も決められない国に頼っていたら、いつまでたっても実現はしないだろう。
民間の力だけで実現出来る方策を考えないと、東北地方はいつまでたっても地域の活性化に結び付かない。
そこで、木質バイオマスの中でも、もっともシンプルで、扱いやすい「丸太の薪」を利用出来る「新型薪ボイラー」の普及を提案したい。

2月27日のブログで紹介した「新型薪ボイラー」を利用すれば、1年間で86万円~150万円の経費節約になると想定した。
これは、薪の値段が1kgで5円~10円程度で、地元の丸太土場には、利用されない小径の丸太が放置されているのを、利用するのである。
薪を作るには設備は何も要らないし、長さを1m程度に切って(小型のチェーンソーで切れる)、軽トラックの荷台に積み込んで運ぶだけの経費である。
節約できる燃料は、重油であれば1リットル69円の価格で、1日で最大120リットル分は8280円、1カ月で248400円、1年で300万円である。

替わりに利用する丸太は、地元に放置されているのでタダであるが、切断と運送に人手を必要とするから、その経費を1kgにつき5円を支払うことにする。
1日で最大360kgを消費するから1年では、約65万円である。
これは、フル稼働した状態での差引で、1年間で235万円の経費削減となる。
さて、「新型の薪ボイラー」の設置には、いくらの投資が必要であろうか。
今のところ量産していないので割高であるが、実績のある数値では、関連設備一式で800万円である。
単純に計算して、3.4年で初期の投資分は回収できる。

フル稼働の状態で使用する場合は、設置して4年以降は毎年235万円の経費分が浮いてくるので、確実に儲かる投資である。
しかし、ほとんどの中小企業では、初期投資の800万円も、資金繰りが厳しいので、導入しようとしない。
太陽光発電には、メガソーラーと持て囃して200億円を投じ、バイオマス発電所(川崎市3.3万KW)には、132億円を投じている。
これだけの初期投資をするなら、「新型薪ボイラー」を2500基~1650基を導入する事が可能だ。

薪を切って運んで人手で投入する。それすらやろうとしない。

政府もマスメディアも木質バイオマス優遇には無策。

2012-03-28 | バイオ燃料・バイオマス
昨日の大まかな計算による「バイオマス発電所」の投資効率は、かなり優れていると想像されるが、実は、問題も多い。
バイオマス発電の買い取り価格を、太陽光発電と同じレベルの「40円/kWh」と想定したが、今の政府の姿勢では、バイオマスは優遇する気配がない。
多分、半分くらいの「20円/kWh」程度の買い取り価格に抑えられてしまう。
4万KWの太陽光発電所の[CO2排出]削減効果は、12000トン/年であるが、
3.3万KWのバイオマス発電所では、120000トン/年。10倍もあるのに・・。

民主党政権の中でも野田内閣は、「温室効果ガスの削減」にはもっとも不熱心で、先の国際会議において日本の削減目標を提示するのを拒否してしまった。
[CO2排出]削減に対する政策目標を放棄してしまったので、野田政権以後は、行政側の取り組みも消極姿勢に終始している。
ただ、太陽光発電の優遇については、2000年代初頭の消極姿勢が災いして、日本は世界一の太陽光発電普及量と生産量の地位を、一気にドイツやスペイン、中国に抜かれてしまって惨敗している。
この大失敗を、なんとしてでも取り返そうとして、太陽光発電だけには、破格の優遇買取り政策をとっているのだ。

バイオマス発電に対しては、取組の遅れはひどいのだが、「マスメディア」も気がつかないので、政府が批判されることもなく、優遇政策はないも同然である。
それと、木質バイオマスの燃料製造の支援政策が、まったくないために、「木質チップの価格」は、10年前には1円/kg.であったのが、最近では7円/kg.となっていて、さらに倍の14円/kgにも上がってしまいそうである。
その数値で、計算し直すと、
年間収入(82.4÷2=)41.2億円。年間の木質チップ費(12.6×2=)25.4億円。
操業経費を10億円とすれば、(41.2-25.4-10=)5.8億円になる。
建設投資額132億円を回収するのに、(132÷5.8=)22.7年、つまり、10倍以上の期間が必要になってしまうのだ。

政府のやるべき政策は、この「木質バイオマス発電所」が必要としている、「木質チップ」を適正な価格で安定して供給できる体制、設備を支援する事である。
今までの林野庁まかせの、林地残材の利用促進を、地域の雇用を生み出す新産業として力を入れるべきなのだ。

雇用創出に貢献し[CO2排出]削減にも効果が大きいのに、無策のままである。

再生可能エネルギーの中で最も優れているバイオマス。

2012-03-27 | バイオ燃料・バイオマス
太陽光発電に民間企業の進出が話題をにぎわしている。
最近の報道では、兵庫県淡路市佐野生穂地区において、大規模なメガソーラー発電所の建設計画が、発表された。
事業予定地は、関西空港埋立用土砂採取事業の跡地。
発電規模は30,000~40,000kW。発電量は淡路市総世帯の50~67%にあたる約10,000~13,000世帯の使用電力量に相当。
二酸化炭素削減量は年間10,000~13,000t。
2013年度中に操業を開始する予定。

この設備の投資額は発表されていないが、1KW当たり50万円として、約200億円である。
1KWの設備での年間発電量は、日射量の良好な地域だと1300kWh程度である。
太陽光発電の電力買取り価格は40円/kWhとすれば、年間での全発電量の買い取り価格は、(1300×40×40000=)20.8億円。
単純に計算して(200÷20.8¬=)9.6年で、投資を回収できる。
諸経費を勘案しても、12年以上の発電を継続すれば、利益が出る。

これに対して、バイオマス発電所の事例を見てみよう。
2011年2月に運転を開始した、川崎市の「木質バイオマス発電所」は、
発電量33000KWである。
原料使用量は、年間で18万トンの計画で、6250時間260日稼働とすれば、2.06億kWhの発電量となる。
電力の買取り価格を仮に40円/kWhとすれば、82.4億円になる。
原料の木質バイオマスチップは、7円/kgで購入した場合、年間で18万トンは12.6億円の原料購入費となり、差引70億円の収入である。

建設投資は、1万KW当たり40億円として、132億円と想定される。
操業に要する経費を1年間で10億円とすると、70-10=60億円の利益で設備投資の回収は(132÷60=)2.2年であり、3年目以降はまるまる利益がでる。
実際には、バイオマス発電の発電電力の買い取り価格は、40円/kWhよりも、低く抑えられるだろう。

だが、この事例でも分かる様に、バイオマスへの投資効率は、他のエネルギーよりもはるかに優れているのに、野田内閣はこんなことも知らないでいるのだ。

無策内閣は有効な対策を知らずに広域処理重視の感情論。

2012-03-26 | バイオ燃料・バイオマス
大津波被害で発生した大量の瓦礫は推定で2200万トンに達している。
このうち、7割程度は木質系の瓦礫であり、分別して木質バイオマス燃料としての利用が可能である。
分別が不完全の瓦礫を除いても、1100万トンは、燃料として使うべき原材料となるのだから、これを木質チップ、木質ペレットに加工して、東北地方のエネルギー源として利用するのが、もっとも適切である。
政府は1年たっても未だに、まともな計画や支援制度を作っていない。

福島県では発生した200万トンの瓦礫を、民間企業が所有する「バイオマス発電所」に持ち込んで、木質瓦礫を発電の燃料に利用する事にした。
1日で380トンの処理能力があるから、年間で12万トンは処理できる。
これにならって林野庁は遅まきながら、宮城県、岩手県に【バイオマス発電所】の建設計画を打ち出して、95億円を投じることになった。
しかし、この程度の規模では、瓦礫の処理量としては、圧倒的に不足している。
木質瓦礫は、熱エネルギー利用が、効率の面でも有利で、設備費も大幅に安い。

この機会に、東北地方の6県にある、重油ボイラー、灯油ボイラーを、「木質バイオマスボイラー」に切り替えることを、最優先の政策とするべきだ。
これは、投資したおカネの短期間で回収できるメリットがある。
原材料となる木質材は、各地に処理待ちとなっている、木質瓦礫である。
燃料用の材料代は無料なので、ボイラーに投入できる形に加工するだけで済むから、灯油や重油よりも圧倒的に安く供給できる。
燃料経費の節減によって、設置した設備費用は、数年で回収できるから事業者にとっての負担はない。
政府や県は、確実に木質燃料が供給できる設備と流通ルートの構築する事に重点を置けばよい。

2月27日から29日のブログで紹介した「新型の薪ボイラー」を、導入した場合には、1年間で130トンの木質材を燃料として利用出来る。
10000基を特急で導入すれば、130万トンの瓦礫を燃料として処理できる。
この様に、木質瓦礫の利用方法は、「バイオマス発電」「木質バイオマスボイラー」「新型薪ボイラー」と、すぐにでもできる手段があるのだ。

だが政府関係者は今頃になって、関西地域まで瓦礫処理を依頼する「広域処理」に奔走する。
無策内閣の感情論的政策に国民は振り回されるばかりである。

歴史的な大津波災害でも中央官庁の縦割行政の弊害が健在。

2012-03-25 | バイオ燃料・バイオマス
東北3県の瓦礫の処理に対し、環境省の音頭取りで野田内閣は「日本中の自治体の協力」という美名に飛びついて、大々的に宣伝に走りだしている。
しかし、東北地方の瓦礫をいくらなんでも、西日本にまで運んで処理するのが、適切な処理とは、誰も思わないだろう。
近隣の青森県や秋田県、山形県が協力する事は必要かもしれないが、静岡県までも運んで、処理するメリットは何もない。
本日のテレビ(テレビ朝日10時より)でも、そのやり方に対して、疑問が多いことを報道していた。

現在の段階で、岩手県、宮城県で、他県に処理の協力を求めている量は、400万トンの可燃性瓦礫である。
だが、昨日のブログにも書いた様に、この量ならば、「木質バイオマスボイラー」を1000基も必要なく、350基を導入するだけで5年間で処理できてしまう。
これを東北の6県に分散して設置して、将来の間伐材を燃料として利用出来ることで、地元におカネが回る様になるのだ。
瓦礫の広域処理は謳い文句は良くても、処理費用は地域に回らずに、運送業者と他県の自治体の作業を請け負っている処理業者におカネが回るだけである。

もっと不合理な話が、福島県の南相馬市長が、昨年の5月から瓦礫の処理を地元で出来る様に、政府に支援を要請していたが、未だにナシのツブテである。
瓦礫の中で、不燃性のものは、沿岸部の堤防工事と合わせて、その内側に防災林と造る埋め立て材料として利用したい、と申し出ている。
その量は、福島県内だけの瓦礫では不足して、できれば宮城県や岩手県の瓦礫も受け入れて行きたいくらいだと言う。
すぐ近くの福島県で欲しいと言うのに、遠方の中部日本や西日本に、瓦礫をワザワザ運んで処理してもらうとは、いったい、何を考えているのだ。

これは、中央官庁の縦割り行政の弊害がもろに出ている、硬直的な施策である。
堤防に関連する防災林の造成は、国土交通省と林野庁(農水省)の管轄で、廃棄物の処理(瓦礫処理)は、環境省(もとは厚生労働省)の仕事である。
つまり、瓦礫処理を他の省の仕事に回すことは、ややこしいことになるので、自分の省の管轄で進められる、各県の廃棄物処理のルートだけを使うことしか、頭には浮かばないのだ。

野田内閣の中央官僚依存、縦割り行政の権限に牛耳られた、愚策の典型なのだ。

東北3県に大特急で木質バイオマスボイラーを設置せよ。

2012-03-24 | バイオ燃料・バイオマス
森林と全く縁がない永田町の住人には、木材の廃材(今回の瓦礫の半分は木材)は、処分に困るシロモノとしか、認識がない。
だが、近隣に林業地を抱えている地域においては、この人工林の間伐材を有効利用する事が、切実な課題となっているので、エネルギー利用が出来れば、願ったり、かなったりとなる。
木質チップのボイラーといっても、中央の政治家は何にも知識がないので、どの様な役割が出来るのか、イメージが湧かないのだ。

そこで、最新の2012年3月22日の情報を提供しよう。
鹿児島大学では、大学病院内で使う熱源として「木質バイオマスボイラー」を導入した。
大学の演習林から出る間伐材を木質チップに加工して、年間で2300トンを利用する計画である。
従来の燃料には、重油やガスを使っていたが、大半の熱源を置き換えることで、[CO2排出]の削減になるばかりでなく、木質チップの燃料費が安いので、燃料費用の節約にもなる。
木質チップは、演習林からだけでなく、近隣の林業地からの間伐材も使用するので、林業の活性化にも貢献できる。

1石3鳥の効果が出る設備であるが、日本中ではまだ110基しか設置されず、今までに普及が進んでいなかった。
それは、間伐材は今までは林地に置き去りにされて、ボイラーの場所まで運ばれてこなかったからにすぎない。
今ここで、間伐材の供給を待つまでもなく、大量の瓦礫の中に、木質チップに加工できる木材の破片があるのだから、これを利用しない手はない。
これを焼却処分ではなく、有益な熱エネルギー利用する絶好のチャンスである。

鹿児島大学に設置したのと同規模の「木質バイオマスボイラー」を1000基導入して、東北3県の瓦礫の破損木材を木質チップ燃料とすれば、1年間で(2300×1000=)230万トンが燃料として利用できる。
5年間は瓦礫優先で燃料とすれば、(230×5=)1150万トンが、地元で再利用されることになる。

瓦礫の木材がなくなった後は、地元の人工林の間伐材を調達して、それ以後は持続的に地元から燃料が供給され続ける。
これこそが地域活性化のもとなのだ。

瓦礫処理のドロナワ支援策より15年遅れの機器普及策を。

2012-03-23 | バイオ燃料・バイオマス
バイオマス燃料の知識を持ち合わせている方ならば、石油の代わりに、「廃材となっている木質」を、エネルギー利用する事の意義は解っている、と思います。
その中身は、このブログの【バイオマス】の関連を、さかのぼって見てもらえば、かなり詳しく説明してありますので、理解してもらえるでしょう。
そこで、問題となって普及を妨げているのは、バイオマス燃料の製造設備不足だけではない。
つまり「木質チップ」、「木質ペレット」の燃焼器具、【ボイラー・ストーブ】の普及が進んでいないことが、大きな原因となっている。

ヨーロッパの林業の先進国、ドイツ、オーストリア、スエーデンなどでは、1990年代から、石油の代替エネルギーとして、木質エネルギーの普及を国策で積極的に支援をしてきた。
その成果も表れて、扱いやすくて燃焼効率の高い、ボイラーやストーブの技術開発が進み、一般社会に広く普及が進んでいる。
特に、森林資源が近隣にある地域では、木質チップ、木質ペレットの利用は一般的に普及して、わざわざ中東から輸入する石油に頼る様な、愚かなことはなくなっている。

ところが、日本では世界でも恵まれた森林資源国家であるのに、森林が近くにある地域でも木質バイオマス燃料は、ほとんど利用されずに、相変わらず石油系の重油ボイラー、軽油ボイラー、灯油ストーブばかりが使われている。
極端な例では、製材所の隣接地に、【木材乾燥機】(水蒸気の熱により90度位で1週間かけて乾燥する設備)を設置しても、燃料は灯油ボイラーである。
今ごろになって、灯油の価格高騰によって、経費がかさんで困ると嘆いているが、5年前に設置する時には、木質バイオマス燃料を使える『木材乾燥機』の設備は、日本では販売すらされていなかった。

日本の林業、製材業を支援する役割の林野庁は、木質燃料の利用に関しては、まったく門外漢の官僚ばかりで、やるべきことを全く考えない役人堅気である。
農水省、林野庁がエネルギー利用には全く関心がないと同じく、エネルギー政策を統括している経済産業省も、「バイオマス燃料」には無関心のままである。

今すぐに始めるべき政策は、この大幅に立ち遅れた「木質バイオマス燃料」の機器を、早急に普及を支援するコトに尽きる。
特に東北3県は、今年の冬場に向けて、大特急での拡大政策が必要なのだ。

10年先のことも考えられない中央の政治家と官僚。

2012-03-22 | バイオ燃料・バイオマス
東北3県の瓦礫を遠方の自治体に輸送して処理してもらうことが、どれほど理屈に合わない政策であるかは、すぐに分かる話である。
瓦礫の中身を、燃料にできる部分と、燃えない部分に分別する装置が必要だが、その経費をかけても、燃料利用できる材料を、遠方に運んで焼却処理するのは、エネルギーのムダである。
一部の自治体が、東北の支援は当然やるべきだとの立場で、瓦礫の処理を申し出ているが、これは、支援するなら、他のやるべきコトがはるかに多い。

東北3県の地域に、バイオマス燃料(チップ化、ペレット化)の製造設備を作れば、地元のエネルギー費用の節約になる上、燃料製造工場の雇用も生まれる。
燃えない部分を分別したガレキは、津波対策でかさ上げしたい土地の埋め立て材料になる。
この緊急支援措置によって、瓦礫の処理は、5~8年で処理が終わるであろう。
そこからが、このバイオマス燃料の製造設備が本領を発揮するのである。

近隣地の森林には、間伐を必要とする人工林が大量に発生している。
この人工林から「間伐材」を集めて、木質バイオマス燃料の原材料とするのだ。
今までは、製材用に利用出来る太さの樹木でないと、採算が合わない為に、林地に放置されてきた。
樹木の密度が込み合い過ぎた人工林は、適切に間伐をしないと、成長が出来なくなって、倒木などの被害が多発する様になる。
その為に、間伐を進める補助金を出して、人工林の育成を何とか図っている。

バイオマス燃料の製造設備が、大量に新設されれば、瓦礫処理の終了した後の原材料を、この捨てられていた「間伐材」を収穫して、燃料製造工場に送り込めば良いのである。
これで、瓦礫を分別して燃料化をするための設備が、処理終了以後は、地元に持続的にバイオマス燃料の供給が出来る設備となるのだ。
目先の瓦礫処理を早める為の目的で、各地に輸送して処分を手伝ってもらうことと、10年先を見て、バイオマス燃料製造設備を、地元に造る方に支援のおカネを投じるのでは、どちらが、本当に東北3県の為になるのか。

普通の頭の持ち主ならば、10年以後も地元の役に立って、雇用を生み出す政策の方が歓迎される。と思うだろう。
だが永田町の住人は、バイオマス燃料のことなど、ちっとも知識がないのだ。

大震災後に1年たっても瓦礫の処理策もない無策内閣。

2012-03-21 | バイオ燃料・バイオマス
東北3県の津波被害による大量の瓦礫が、処理できずに困っていると報じられている。
この瓦礫を焼却して埋め立て処分出来る様にする設備が、現状の自治体の設備をフル稼働しても、10年~20年もかかってしまう。
そこで、3県以外の地域に輸送して、各地の処理設備を利用して、焼却処分を早めて欲しいとの動きである。
しかし、長距離を輸送するのは、ちょっと待って良く考えてみるべきだろう。

瓦礫の中身は、壊れた住宅の柱などの、燃料になる材料が多分に含まれている。
これを分離処分すれば、地域での有益なエネルギー資源になる。
バイオマス燃料としての利用を、本格的に検討して単純な焼却処分ではなく、、少しでも石油の代替になるエネルギー利用を図るべきであろう。
木質材の場合、エネルギー利用する方法は、チップ化するか、木質ペレットに加工する方法がある。

下記にその利用法の価格を、石油と比較してみると、

 燃料の種類    単位価格     1000kcal当たり価格
木質チップ    10 円/kg    5.2 円 
木質ペレット   35 円/kg    8.7 円 
A重油      69 円/L     7.4 円 
灯 油      97 円/L    11   円 
軽 油     108 円/L    12   円 

以上の様な価格であり、石油の値上がりが今後も懸念される状況では、確実に
木質燃料に切り替えた方が、経済的に有利になる。

ワザワザ遠方に輸送して、輸送費用をかけるくらいならば、地元に木質チップ、木質ペレットの製造工場を特急で建設する方が、10年間のことを考えれば、圧倒的に有利である。
どちらの製造設備も、大きな投資もいらず、短期間に準備する事は可能である。
政府がやるべきことは、この製造設備の初期投資の資金を、支援すれば良い。
全額でなく、長期の無利子貸付でも、充分に資金の回収は可能な投資である。
製造設備が稼働すれば、その工場の運転に必要な雇用も生まれる。

この様に「一石三鳥の効果がある政策」も打ち出せない、野田無策内閣なのだ。

地域主権へ向けての自立心の旺盛さを問われる電力問題。

2012-03-20 | 国創り政治問題
関西地区での主要都市、大阪市と神戸市、京都市は、関西電力の株主であり、この夏場に向けての電力供給問題を主眼として、電力改革の先頭に立つことを宣言した。
まずは徹底的な情報の開示を求め、原発再稼働の容認に対して、従来の様な「10km圏の地元と立地県の福井県」だけを対象とする政府見解に異論を唱えた。
原発の大事故の被害は、100km圏に広がる事実を無視して、3・11以前のままの地元同意に限定するなどの、ボケ発言も甚だしい官房長官に反論した。

このブログで書いてきた様に、関西電力管内の問題は、2府(大阪、京都)6県(兵庫、滋賀、奈良、三重、和歌山、福井)の地域連合の自立的な判断に任せるのが、地域の国民の意見を反映出来る、もっともよい方法である。
関西電力の経営者は、この地域の電力供給に責任を任されて独占事業者として、奉仕してきたのだから、要求に応じて全ての情報を正確に提供すべきである。
本当に電力供給がひっ迫する事態に追い込まれるならば、その時には最も安全性の高い原発を1基だけ再稼働とすれば良いのだ。
それに対して、東京の永田町の住民が指図をするなどは、もってのほかだ!

関西地区は、地域主権に向けて第一歩を踏み出していると言えるが、他の地域はどうなのか。
独立心の旺盛な九州地区は、どう対処しようとしているのか。
先に経済産業大臣の海江田氏は、九州電力の言い分をそのまま鵜呑みにして、原発立地自治体の玄海町長の再稼働要請を受けて、再稼働容認の発言をした。
これに危機感を感じた、当時の菅首相は、梯子を外して経済産業大臣の容認姿勢を完全に否定した。
その後、九州電力のヤラセ問題が大きくなって、再稼働の容認がいかにイカサマに近いやり方であるかの疑惑が大きく問題視される。

九州電力管内では原発への依存度も少なく、原発再稼働ゼロでも、この夏場は供給電力の不足の懸念はないと言える。
それにしても、九州地区の7県は、相変わらずの【東京永田町、霞が関の指示待ち】の状態なのであろうか。
自立的な動きと意思を示せないレベルの、寄り合い状態のままでは、電力改革の動きも、九州電力との交渉も出来ない、と懸念される。

「薩長土肥」と言われた、自立心旺盛な心意気は、発揮出来ない状態なのか。

不退転の決意ならば中央政府の経費削減を最優先で実行。

2012-03-19 | 国創り政治問題
電力会社が「火力発電の燃料費の急増」による経費の圧迫で、赤字に落ち込んでいる。
これを電力料金の値上げで対応しようとした「東京電力」に対して、国民や産業界から猛反対を受けて、政府は値上げ幅の圧縮に向けて、電力コスト算出の根拠に踏み込んで精査するとしている。
同時に、赤字をすべて値上げで賄うぬるま湯体質に対し、不要な資産の売却や不当に高い人件費の削減を優先する様に、監督権限を振りかざしている。
それすらやらずに値上げを認可したら、政府不信は増加するのが見えている。

ところが電力会社の値上げには、厳しい姿勢で臨むとしているのに、自分のところのムダ削減には、まったくナマヌルイ。
国家公務員人件費の2割削減の目標は、わずか2年間だけ7.8%の給与カットで、当面を取り繕うレベルに留まる。
世界一高い、国会議員の歳費と各種の支給金は、お茶を濁す程度の削減しかしない上、議員定数の80削減は、各党の合意も出来ずに、先送りとなっている。

その他の、公務員の隠れた優遇策は温存したままで、財政赤字の額が膨れ上がっているから、値上げ(消費税のアップ)シカ、手の打ちようがない、と言う。
そのうち、ギリシャやイタリアの様に、国際の暴落が始まるから、値上げの必要請は逼迫して、この増税は先送りできない、との一点張りである。
決まり文句は、ギリシャの様になっても、政府は責任を持てませんよ、と国民を脅しにかかる様な言い分を主張している。
これは、電力料金の値上げを認めないならば、停電が起きても責任は負えませんよ、と言う脅しに匹敵する。
さすがの傲慢な電力会社経営陣も、そこまで言った人物はいない。

野田内閣が、消費税を2倍に上げることの必要性を国民に説明して納得を得たい、と言うならば、次のことを期限内に実行することに尽きる。
まず、国会議員の歳費と支給金を現状の半分に削減する。
国家公務員の定員の2割を、地方の州政府に権限と財源を移管して、2重行政のムダ削減、さらに独立行政法人などの官僚の天下り先を半分以下に削減する。

これらの目標に対して、2割しか実現できなかったら、消費税のアップは2割、すなわち、5%を6%にするだけに留めます。と法案に明記する。
それを約束するならば、国民は消費税の増税に納得する事は間違いないのだ。

地域住民との信頼を根本に据える認識がない電力経営者。

2012-03-18 | 快適エネルギー社会問題
関西電力が地元自治体と結ぶ「原子力安全協定」の対象とする自治体を、京都府や滋賀県を協定の相手に入れない、として締結を否定している。
安全性に関する対策が充分に行われるならば、対象地域を広げることには、なんら問題はない筈である。
それにも拘わらず、「再稼働に必要な地元同意」を得る範囲を広げたくない、という姿勢は、事業者としての基本的な心構えが出来ていない証拠である。
どんな事業も、地元に対する安全の確保を図り、それを理解してもらうために説明を尽くして信頼感を得なければ、事業の継続は出来る筈がない。

電力会社は独占的な地位に安住して、利用者を上から目線で見る感覚が長年の間に染み込んで、住民の意思を無視するのが当然の様に思いこんでいる。
相手として配慮する必要があるのは、統制権限のある中央政府の一部の官庁と、それにつながる政治家たちだけである。
名目上は、原発の立地自治体の協力を得る必要があるとして、限られた自治体と立地県の首長や取り巻きを、協力者として仲間に引き込んできた。
疑念が生じても、交付金や協力名目の寄付金で、おカネの力で懐柔をして来た。

その「最終的にはおカネの力だ」という感覚が、3.11の大事故の後も変わっていないのが、電力会社の経営者たちである。
東京電力の経営者たちは、完全に国民からの信用を失っている。
他の電力会社の経営陣も、同じ穴のムジナとして、不信感に晒されている事態を、もっとも優先すべき課題であると、自覚すべき時なのである。
その信頼を回復するための機会が、「原発の再稼働問題の取組姿勢」なのである。
自社の都合や原発維持勢力に配慮する様な、時代遅れの姿勢で臨んでいては、地元住民はもとより、責任を負うべき電力管内の消費者の支持は得られない。

地域社会の産業維持と住民の生活の基盤である電力を、供給する大事な役割を担っているのに、今ほど、電力会社が批判に晒されるのは、一重に3.11以前の意識を引きずっている「電力会社の経営陣」の罪である。
被害者は、地道な仕事を日夜、支えている電力関係の現場の人たちである。
電力事業の混迷が起きる前に、旧経営陣は潔く責任をとって交代するのが、今後の信頼を回復する上で、もっとも良いきっかけになるであろう。

国民の信頼を失ったままで、いくら改革をしようとしても、混迷を深めるだけである。
政権を担った野田内閣も、今や、完全に国民から見放されているのだ。

地域主権の国創りを泥まみれにする「反民主政権」なのだ。

2012-03-17 | 国創り政治問題
「福井県内の4原発で、福島第一原発級の大事故が発生」したと想定した【放射性ヨウ素拡散予測】(滋賀県琵琶湖環境科学研究センターが作成)を公表した。
いままで大阪府では、原発による大事故でも影響が出ることは想定していなかったが、「悪い情報でも全て公開する」のが、府知事の方針だと説明した。
この放射性物質の拡散の恐れは、福井県内に留まらず、滋賀県、京都府はもとより、兵庫県、奈良県、三重県にも拡散が広がる可能性を示している。
福島原発の大事故では、国が想定した30km圏内どころか、100km以上離れた地域にも、放射性物質が拡散したのは歴然とした事実である。

原発事故の直接の被害を被る地域は、これほど広範囲に及ぶことは明確である。
ところが、野田内閣の官房長官は、この歴然とした事実を無視するかの様に、福井県の大飯(おおい)原発の再稼働にあたって必要な「地元の同意」の対象には、滋賀県は含まれないとの認識を示した。と報じられた。
これは、驚くべき「国民意識からのかい離」であり、原発大事故の事実から目をそむけ、反省の意識が全くない、政治感覚である。
民主党政権は自民党よりも国民の意向を無視する【反民主党】の本性を現した。

滋賀県知事は、官房長官の発言に憤慨して「原発の再稼働」には、「地元の同意には当然滋賀県は含まれる」と京都府と連携して厳重に抗議を申し入れる。
琵琶湖という、「関西地区の水源を守る立場」からも、「安全に対する説明を徹底的に求め、地域住民の意向を反映したい」としている。
東京にいる人間には、原発は200km以上も離れた『迷惑施設』にすぎない感覚が強すぎる。
3.11の大事故以降は、100km圏内の住民の意思を徹底的に尊重することであり、原発の再稼働の是非を、200kmも離れた地域に住んでいる人は、口出しをすべきではない。

千葉県に住んで選挙で選ばれ、永田町で過ごすばかりの住民からの、聞こえの良い情報や意見だけに晒されている人間には、この認識は全く期待できない。
もはや民主党政権は、「地域主権の理念」を泥の中に捨てたも同然である。
マニフェストの『かんばん政策目標』であるのに、これほど無視する政権も、歴史上はマレであろう。

形ばかりの国民の生活が第一は、まったくの嘘であり、地域の意向など歯牙にもかけない【反地域主権、絶対的中央集権】の横暴政党が居座っているのだ。