新型コロナウイルスの感染拡大の時期に、都市ロックダウン規制を発令したり、国民の行動を8割削減するとの宣言を発令するのは、異常な事態だ。
これは、感染抑制の対策ではなくて、有効な感染防止策の提唱ができない段階では、やむを得ない緊急避難処置であって、対策とは言えない。
安倍政権は、この行動制限が勘違いの抑制策であることにやっと気づき、とにかく非常事態宣言の発出を取り下げて、経済活動の再開を言い出した。
しかし、感染の恐れの少ない事業や地域までも巻き込んでの、全国一斉の闇くもの宣言によって、不必要に行動が縮小してしまった。
5月の連休明けには、発出を解除する約束であったのに、PCR検査数の増強が実現できずに、実態の把握ができていない状況に置かれて不安になる。
仕方がなく、非常事態宣言を延長してしまったので、国民は一層不安に落ち込んで、行動自粛を徹底した。
これで、経済活動の冷え込みは、回復させるのにかなりの後押しをする必要が生まれて、全国民への臨時給付金の10万円配布が行われた。
お金を配ればすぐに需要が回復して、購買行動に走るかと言えば、その様な理屈では経済活動は動き出さない。
お金は、いざという時のために、備蓄する人が多いのが日本人の特徴であり、政府は国民の不安感を取り除くことが最優先の課題である。
今の段階では、生活必需品の需要だけの経済であって、生活の豊かさを魅力としての購買活動や、旅行や観光をしたい願望を満たそうとしない。
経済の活性を取り戻すには、感染抑制策の実施以前に戻すだけでは不可能で、新たな生活の希望を作り出しての、盛り上げが必須の政策である。
今までの惰性での需要は落ち込んでなくなるから、それを遥かに上回る生活の豊かさと価値を、国民に提示できる魅力ある目標を提案することだ。
観光業を盛んにしようとしてきた政府は、この新型コロナウイルスの感染拡大によって、人の移動を最小にしようと非常事態宣言を打ち出した。
当初は、感染症の特性がわからずに、どの様な状況で感染が引き起こされて、感染者の拡大が加速度的に広がる恐れを懸念したからである。
しかし、6月末までには、感染の拡大が収まる傾向になってきたので、人の移動の制限は極力緩和して、移動しても感染の機会を減らす方向になった。
その考え方によって、国民全体が【移動に懸念を持つことを払拭】する狙いで、7月22日からは旅行や観光を奨励するGOTOキャンペーンを開始した。
しかし、このキャンペーンには、お金の魅力で無理やり旅行を始めさせる意図があり、観光業界を救済する緊急事態との認識である。
しかし、意図的に期限を限っての旅行補助、宿泊補助であって、観光業を将来の目標に向けて活性化する狙いは少ない。
本来の観光の楽しみは、各地の地域の魅力に接したい、という好奇心、向上心が元であるから、感染の懸念を減少させていくのが本筋であろう。
しかし、感染の原因となる接触行動の抑制が、十分にできない懸念から、ととにかく、3月の当初は行動制限してしまった。
今になって、恐怖心を煽りすぎた様な政策であったので、掌を返した様に今度は移動を奨励しているので、国民の戸惑いは当然であろう。
本来の抑止策は、行動の自由を前提とした上での、観光や宿泊での三蜜防止が主眼とならねばいけない。
この抑止策を、観光客を受け入れる地域社会、事業者、施設環境を、最優先で感染防止の転換することが目標である。
行動を抑制したりするのではなく、地域の人と、観光で来訪する人との接触感染機会を無くすことに、地域の知恵と活力を喚起するのが本筋である。
日本での新型コロナウイルス感染の状況は、1日あたりの発見感染者数が、保健所の把握した数値で公表されて、報道されるのが常態である。
この数値は、保健所が認定した検査対象者を、公費で検査した上で地域の保健所ごとの報告書で集計されて、公表される。
当然の様に、実施された検査の日時は、その当日ではなく、2~5日も前に検体が採取された状態での感染陽性者の判定結果である。
この検査対象者を選ぶ基準が、当初は、症状が激しくなり発熱状態が37.5°以上を4日経過した人を検査対象としていた。
これでは、初期の感染段階からは、1週間から10日も前の感染状態を検査している様な有様であった。
専門家たちは、公表される発見陽性者の数は、2週間程度も前の状態の感染者の数を見ていることになり、現時点での規制をどうするか、判断に迷う。
それも、検査の実施数が偏ったり、クラスター追跡による方法から漏れた濃厚接触者には、検査の範囲が及ばないから、ますます不確定になる。
検査数を増やさない理由は、未だに専門家たちの一方的な理屈で、無症状者に検査をする意味がないとの主張に縛られて、増やすことに限界がある。
それでも東京都では、クラスター発生の可能性が高い地域や、業種を選び出して、感染の有無を検査する費用と負担して、実行してきた。
一番多い日には、6000件に達する検査数の実績であり、この場合には、当然の様に発見される感染陽性者の数は増加する。
この頃は、実施した検査数に対する感染要請者の数を比率で公表して、これを感染率と称している。
しかし、この感染率は目安に過ぎないから、この数値だけでは感染拡大に対する有効な規制策を論じて判断するのは、推測ばかりが先行して迷走する。