日本が将来は水素エネルギーを身近に利用する社会になって行く事は、脱化石燃料化社会への転換策として必要な方向である。
再生可能エネルギーを大量に生産して、一時的に蓄積する技術としては、水素への転換と貯蔵、輸送技術には、大きな革新が期待される分野である。
ところが、世間では、トヨタ自動車の燃料電池乗用車の市販開始の発表で、水素自動車社会が将来のあり方であるかのような錯覚に陥っている。
マスメヂィアの論調も、この水素燃料の乗用車が未来社会を背負う、「期待のホープ」であるかのような報道ぶりである。
このブログで、説明している様に、水素エネルギーを活用する社会の到来は、必然性があるから、この方面の技術開発には、官民挙げての取組が必要だ。
しかし、できた水素を、乗用車に率先して里余する必要性は全くない。
たまたま、世界第一位の自動車企業のトヨタが発表した技術だから、これが正しい方向だと思い込んだら、それこそ、科学オンチも甚だしい。
水素エネルギーの安全な利用策は、まだ未解決の問題が多く内胞されている。
特に、超高圧で輸送、補充する現在の燃料電池自動車の技術では、水素漏れを確実にゼロにするのは至難の業であり、万が一の事故のよる被害が懸念される。
それよりも、このブログで説明した様に、安全な化学物質に転換したり、天然ガスの状態にして、利用する方がはるかに安全であり、経済性も有利である。
さらに優れた方法が各民間企業で、研究されて新たな展開が予想されている。
その様な状態で、自動車用に水素燃料を大量に輸送、補給するために設備投資を政府の税金で支援するのは、まったく意味が見えない偏愛的保護である。
水素補充スタンドの設置には、ガソリンスタンドの5倍以上費用が必要になる。
民間ベースでは、絶対に採算性は合わない事業である。
安倍内閣はこともあろうに、この一部の民間企業のために、水素スタンドの設置に大金の補助をすることを決定した。
それで、日本中に1500基の水素スタンドを設置するとしているが、これでいったい、どこの国民は利便性を受けるというのか。
広い日本中に1500基のスタンドでは、広域で利用する乗用車など、利用には不便極まりない代物である。
その乗用車には、大金の補助金をつけて普及を後押しする理由が、全く不明だ。
なんと、金持ちの特権階級のためだけの政策を重視するのか、呆れかえる。(続)