消費増税を本気で検討したのは【民主党政権の末期、野田内閣】の時であった。
2012年の後半からは、民主党政権の政権公約が実行できない最大の原因が、財源の捻出の検討不足であり、財政再建の逼迫から赤字国債も限界に来ていた。
当時の野田政権は、後先のことも考えずに、とにかく「社会保障の確実な改善」には財源が必須であり、その財源としてならば「国民は消費増税に賛同するだろう」と、安易に考えていた節がある。
野党の自民党は、この時とばかり「責任を野田政権に押し付けて」、「社会保障の充実との一体改革」の大義名分を掲げて、与野党一致で消費税10%に合意した。
国民は、この民主党政権の公約違反に激怒して、「鉄ついを下す意味で民主党政権を大敗させた」のは、ついこの間である。
政権交代した安倍政権は、「前政権の責任だからと安易に8%に増税」して、デフレ下経済からの離脱に強力なブレーキをかけてしまった。
消費増税だけが原因ではないにしても、安倍政権の経済政策は。ことごとく空振りであったから、3年間の経済成長はゼロ相当である。
働く人の実質収入は、ゼロ成長かマイナスに転落して、消費購買力の減退は続くばかりだから、今回の「消費増税10%」の実施は、先送りが当然である。
野党4党は、増税延期は当然として、安倍政権の経済政策の失敗が延期せざるを得ない状況にしていると、責任を問う形で「内閣不信任案」を提出した。
儀式はすませるしかないが、民進党は先の増税提案の責任を回避できるわけではないと、肝に銘じておかなければならない。
増税延期の責任を「安倍政権に押し付けて」選挙戦の訴えの柱とする狙いでは、6年前の民主党となんら進歩がない状況になる。
日本が抱えた難題の政策課題には、大きな財源の創出が不可欠である。
それを、財務省の官僚の入れ知恵に染まって、消費増税をいう安易な道を選んだのが「民主党の政権交代の大失敗」であった。
安倍政権は敵失のおかげで「政権が転がり込んできたタナボタ内閣」である。
民主党政権と大差の無い、財源捻出には不得手の「世襲政治家集団」の自民党では、3年半も経ているのに、新たな財源創出の取組みには全く不熱心であった。
このまま2年半を経ても、赤字国債の増発から解き離れることは無いだろう。
民進党の「机上論政治家集団」は、6年前からは少しは進歩したと思いたい。
消費増税が国民からは忌み嫌われる上に、消費購買力にブレーキをかけるので、日本の歴史から見て、避けるべき増税策である事は明確である。
それよりも、「不動産所有者への増税」、「高額な資産家の相続税」、そして、「環境税への新規増税」のなど、検討すべき増税の対策法はいくらでもある。
いま、最も国民が支持する増税策は、「タックスヘイブン」に隠れた資産への、課税強化策である。最高の難題だが、それに挑戦する意欲は示すべきである。(続)