庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

資本主義社会は終焉に向かって進み、安倍政権は空振り。

2015-03-31 | 経済問題

「グローバリゼ―ションが世界経済の危機を加速する」との警鐘は、最近になって急速に表舞台に登場している。

昨年の著書で、2014年3月に発行された[資本主義の終焉と歴史の危機](集英社新書)では、水野和夫氏の論稿が話題となっている。

アベノミクス路線の【根本的な誤り】を、歴史的な観点から、批判をしている。

この書物は、硬い内容にも拘らず、ベストセラーになって、広く読者を獲得しているが、その内容をマスメディアでは、何も伝えていない。

その一部を紹介して、アベノミクス路線の誤りを、再確認しておこう。

 

「第一の矢の超金融緩和」は、見当違いであることは、すでに明確である。

その補完として打ち出された【積極財政政策】は、国の借金を増やして次世代にツケを残す弊害があることは明確であるのに、繰り返して実施されてきた。

しかし、社会に負の遺産を抱えたままで、一部の公共事業におカネを注ぎ込んでも、効果はその業界の周辺だけに限定されてしまう。

一部だけ好況になっても、他の業界では、日本経済の成熟した社会での新規需要を引き起こす効果は微々たるものである。

 

資本主義社会では、新規の需要が次々に引き起こされることが前提で、資本が活発に投下されることで、好況を引き起こす仕組みである。

一次的に潤った業界の利益は、働く人に回ることも限られて、ほとんどは内部留保か、海外への投資に回ってしまうのが、グローバル化した経済である。

1992年の宮沢内閣以後に、[積極財政政策]で200兆円以上を投じて、総需要の下支えをしてきたが、内需中心の成長軌道には乗せられなかった。

日本での資本主義社会は、すでに成熟して飽和点に近いので、総需要の押上はお金を増やすコトでは、効果がないことも明らかなのだ。

 

かえって、そのお金の返済をするための増税によって、個人消費を完全に冷え込ませて、経済は【マイナス成長に陥る】路線に向かってしまう。

ゼロ成長以下の市場に向けて、「新規投資をする企業」は、稀にしか見られない。

金融緩和や積極財政によって、お金を潤沢にする路線は、【成熟した資本主義社会ではマイナスの効果しか生まない】、ことを理解すべき状況なのである。

お金を回すべき対象は、『将来に価値を生みだす分野』、高付加価値事業と公共政策のレベルアップに集中的に実施するしかない。

新規雇用、新規需要を生まない「積極財政政策」は、カラぶりの矢に終わる。(続)


デフレ経済からの離脱を超低金利と金融緩和に頼る過ち。

2015-03-30 | 経済問題

経済運営の従来の方法は、中央銀行が金利水準をコントロールすることで、インフレを抑制したり、景気の過熱を抑える調整をしてきた。

景気低迷時には、金利を可能な限り低く設定すれば、新規投資を検討している企業は、このチャンスを活かそうと借入を増やして投資に踏み切る。

その結果で、経済の活性度が調整できるので、経済成長の速度を政策的に選択することができた。

経済活動の過熱が起きそうならば、金利の引き上げによって、市中に出回るお金の量を縮小させる調整が出来たので、中央銀行の役割となっていた。

 

しかし、成熟した資本主義経済では、金利を低水準に設定しても企業の借り入れは増えずの景気は低迷したままになる。

日本もゼロ金利に落ち込んだママで、経済成長は低水準の状態が続く、デフレ経済に陥って、それから抜け出られなくなった。

今は、同じ状況がEU諸国にも蔓延して、デフレ経済状態に落ち込んでいる。

このデフレから離脱する方策としては、日本が進めている「超金融緩和」による、市中へのお金のバラマキしか、中央銀行のやれることはなくなっている。

 

超低金利にしても企業の借り入れが増えない状況で、さらに、資本の移動が完全に自由になれば、企業は余裕資金を海外での有利な投資に回すのだ。

その資金がもっと必要ならば、国内での借り入れをして海外に回すだけで、国内への投資は増えることがない。

「アベノミクス第一の矢」で、国内市場が活性化する理由は一切なく、円安になって行く事だけは確実である。

その影響は、輸入品価格の上昇であって、その分だけは物価上昇の要因になるから、日銀の狙いとしての【インフレターゲット】には、少しは貢献する。

 

デフレ経済からの離脱政策に【金融緩和に頼る】のは、すでに時代遅れの認識であって、マトハズレも甚だしい見当違いだ。

しかし、お金の総量が増えることで、相対的に円の価値が下がるから、円安になるのは理の当然で、その分だけは、何もしなくても株価が上がる。

国際的にみた価値を基準にすれば、円表示の株価が上がるのは、算術計算で出来る判り易さだ。

円の価値が3割下がれば、株価は3割分だけ数字は上昇する。

その勢いで、3割以上の上昇分は、バブルが一時的に起きているだけだ。(続)


資本主義における資本は旧時代の中心から逃避していく。

2015-03-29 | 経済問題

グローバル化された国際経済においては、旧時代産業での輸出促進による経済活性化は、不可能であることを、安倍政権は理解していない。

旧時代の産業では、すでに海外の新興勢力に技術移転が進んでいるので、今さら、国内の企業に支援策を講じても、海外市場での競争力は失われている。

円安に誘導したから、少しは価格競争力が回復することはあっても、雇用を増やしたり、新規の投資をするコトはない。

需要が増えた分は、多少の円安の不利な条件などお構いなしに、海外からの輸入を増やして賄うだけだ。

 

日銀がいくら「超金融緩和の政策」を実行しても、国内での新規投資には向かわずに、海外での市場開拓と投資に回っていく。

資本の移動が自由にできる世界になったからには、資本はもっともり収益率の高い産業と地域に流れていく。

日本の様に成熟して先進国では、需要が頭打ちのうえに、旧時代に開発されて振興国に技術移転された商品は、もはや国内での資本投下の対象にならない。

それ故に、超金融緩和によって市場に大量供給される資本を、国内に投下する対象は、新時代産業か、日本国内にだけ通用する事業分野に限られる。

 

この様に旧時代の産業にばかり重点を置いた国策に固執する限り、新興国の経済成長に貢献するだけで、国内の経済成長はゼロになるのだ。

経済成長率は鈍化したとはいえ、中国では7%以上の成長率を維持して、このママ進めば、2035年ころには一人当たりの[GDP]が日本と肩を並べる。

この時期になって初めて、日本と中国での投資対象としての価値がほぼ同等になるので、国内に供給された資金が国内投資に向かう様になる。

それまでは、「超金融緩和」を実施しても、資本はすべて海外に逃避する。

 

国内での新産業の芽を育てて、資本投下を大量に必要とする規模の育ってからでなければ、【超金融緩和の効果】は空振りに終わるのだ。

いや、円安への誘導がさらに進み、海外からの輸入品価格の上昇の影響を受けて、諸物価の上昇で、「インフレターゲット2%」は、実現するだろう。

しかし、【リフレ派】(インフレが進むと予測して購入や投資の先走り効果で景気上昇を図る)のモクロミは、完全に外れる。

結果は、諸物価高騰にはるかに遅れる賃金上昇によって、実質賃金ダウンを強いられる「働く人たちの生活苦」の、痛みだけは確実に浸透する。(続)。


再生可能エネルギーの進出環境を悪化させる政策ばかり。

2015-03-28 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の基本的な国策は、時代遅れの【国内産業保護の優先】路線である。

旧時代の産業を保護して、円安に誘導すれば国際競争力が向上して、輸出が増えることで国内経済は活性化する、と考えていた。

しかし、円安によって得られた輸出額の増加よりも、輸入増加額が大きくて、貿易収支は大幅な赤字に転落して、狙いは完全に外れている。

同時に、国内産業の保護ばかりに優先する政策をとることで、「スクラップアンドビルド」の経済活動が低迷して、国内への新規投資は停滞したままである。

 

石油火力発電の「発電コストの高さ」は、老朽基の廃棄を進める上で、早急に実施すべき課題である。

しかし、その代替設備として、「石炭火力発電の新設」を、長期計画に盛り込むのは、絶対に避けるべき政策である。

2015年中には、国連の気候変動枠組み条約の会議[COP21]の最重要事項は、2030年までに先進各国が、責任ある「CO2排出削減目標」が必須である。

今まで、消極的であったアメリカと中国は、今回は大幅な削減目標を自ら提出して、他の先進諸国の先頭を進む意気込みである。

 

中国は、世界における後進国扱いから経済大国に進むには、、石炭火力発電重点から将来は離脱することを、国策として採用した。

積極的に「再生可能エネルギー」の導入促進政策には、2003年から転じている。

その取組の経験を踏まえて、今や、世界一の風力発電導入国に躍進した。

同様に太陽光発電の設置量も、日照率に恵まれた地域には、積極的に導入を進めて、今や世界一の生産量と設置量を誇る。

日本が、従来の太陽光発電の地位を一番から一気に陥落して、その位置を中国が占めているのは、もはや毅然たる事実である。

 

中国はその効果も表れて、石炭火力発電所は老朽化して、今や「発電コストの高い設備」から、廃却に進んでいる。

国策で、石炭火力発電から、風力発電、太陽光発電に転換策を実行している。

それに比べて、日本はまだ、石炭火力発電の新設を、電力会社都合で進めることを支援し、その分の再生可能電力への新規投資の機運を大幅に削いでいる。

これでは、中国の勢いにはさらに遅れる上に、技術面での進化にもおいて行かれる懸念が増大する。

国策での旧時代感覚は、再生可能電力産業では遅れが顕著に目立っている。(続)。


再生可能エネルギーの技術革新のチャンスを逃さずに。

2015-03-27 | 快適エネルギー社会問題

資本主義経済の原則は、変革が起きるときにこそ、新規の投資が発生するので、経済は活性化して全体の経済水準が向上することで成立する。

設備投資をする企業は、銀行から多額の借り入れをしながらも、確固たる経営計画に沿って、前向きの企業活動に専念する。

設備の受注をした企業は、生産能力の最大限の活用で、社業は活況を呈して収益向上に貢献する。

収益を上げる機会に恵まれた企業は、社員の給与が賞与を増額して、社員の士気を上げることに意を注ぐ。

 

これが、資本主義の原理に沿った経済成長の仕組みで、常の変革を起こすことが、すべての参加者のとって良いことがもたらされる。

ところが、成熟した資本主義経済では、変革の機会がほとんどないので、収益確保の方策としては、経費節減、コストダウン業務の励むことになってしまう。

従業員の給料をできるだけ下げることや、外注からの買い入れ品の価格を下げる努力に励んでしまう、

納入する企業は値下げを強いられて、収益げ減少する分を社内の経費削減に向けて全力を上げ、すべてが縮小する方向に動いてしまう。

 

この様な変革を起こすチャンスは、技術革新に期待するしかない。

今や、原子力発電に代わる、「再生可能エネルギー電力の技術革新]の絶好の時期にあたっている。

その好機を逃がさずに「上げ潮に乗るには、旧設備を廃却する」ことが、一番に始めることである。

日本は、「原子力ムラ」に代表される様な【既得権勢力】を温存するコトで、「再生可能エネルギーの出番」を、先送りしてきてしまった。

何時、本格的に実践するのか、今を置いて他に絶好の機会がくる筈はない。

 

ところが、安倍政権は、「原子力発電の延命」に積極的に手を貸す姿勢の上に、代替電力の本命を「石炭火力発電」にしようとしている。

石炭火力発電の技術は、すでに熟成された段階にあるので、当面の発電コストが一番安いことが、その理由だ。

しかし、この技術はすでに世界の中では、時代遅れになっている上に、将来世代にとっては、負の遺産になるのは目に見えている。

安倍政権は、短期的なメリットしか視野に入れない【不安倍増政権】だ。(続)


原子力ムラ解体によって風力発電洋上ファームが誕生する。

2015-03-26 | 快適エネルギー社会問題

日本のエネルギー戦略を転換しなければならないのは既に明らかだが、安倍政権は未だに、原子力ムラの権益擁護の勢力に縛られている。

しかし、福島県の地域では、すでに『原発ゼロになることは確定』して、その後の地域の活性化策を、どの方針で進めるかの議論が活発になっている。

その具体策の一つには、「福島県の沿岸に洋上風力発電」の実験設備を誘致し、この地域での実証を進めて、将来はウインドファームを建設する構想である。

何故、福島沖が良いかの議論はあるが、原発がすべて廃炉になることは自明だから、膨大な送電線網の設備が遊休になってしまうのを利用出来るからだ。

 

同様に、新潟県沖にも『洋上ウインドファーム』の建設構想が動き出している。

日立造船、住友電気工業などが手を組み、国内での最大級の20万キロワットのウインドファームを建設する計画で、2020年度に着工する計画である。

現在の一般的な風力発電機の2倍の出力の5千kWクラスの大型を開発する。

この計画が順当に行けば、将来は、新潟県の原発が廃炉になっても、送電線の設備は有り余る容量が利用可能で、関東圏に送電する能力がある。

2030年頃までには、新潟県の風力発電の設備はさらに、飛躍的に増強されて、首都圏の需要を賄う、一大産業となるだろう。

 

東北、関東、首都圏は、福島県の断固たる脱原発の意思にそって、原発を廃炉に決定して行く事になる。

その代替には、洋上風力発電の大規模なウインドファーム建設計画によって、原発用に増強された『送電線網は、有効利用』される。

この様に脱原発の路線は、経済的にも有利である上に、新規の投資が莫大に発生するので、波及効果が期待される。

日本の各地にも、原発廃炉と代替電源の開発投資で、経済停滞のカンフル剤になることが期待される。

 

関西電力管内では、未だに多数の原発を維持する路線になっている。

特に、福井県の原発銀座では、廃炉に決定した2基を除いて、老朽化している原発も審査基準の合格させることを目指している。

この様な旧設備の延命に固執している様では、代替の電源を開発する必要性が遠のいて、新規の投資計画は先送りになる。

その結果は、電力費が安く維持出来るかも知れないが、需要不足の景気停滞に陥り、関西圏内経済の地盤沈下が進むであろう。(続)


安倍内閣と対立する野党勢力は責任ある脱原発論争を。

2015-03-25 | 核エネルギー・原子力問題

原子力発電所を稼働する世界各国の現状維持については、多くの問題点が指摘されているが、政府の関与が全面的に必要になっている。

アメリカでは、100基以上の原発が稼働しているが、肝心の[使用済み核燃料の処分地]は、いまだに決まっていない。

日本と違って処分方法は、直接処分であるから、「プルトニウムを獲りださないママの放射性廃棄物」として、地中深くに埋設して封印をする。

広大な国土を有するアメリカでも、最終処分地を決定するのための、地元の理解を得るのは、難題の様である。

 

アメリカのエネルギー庁長官が、原発を稼働するなら直接処分地の決定を急ぐのが、優先度の高い義務であると発言した。

日本では、経済産業大臣は、官僚まかせにしたまま、何も方針を打ち出さないで、ただ、自分の任期を事なかれ主義で過ごすのが、定例化している。

この問題は、経産省まかせでは無理で、政権のトップの責任で決めるべきだ。

まずは、再処理路線を撤回して、直接処分にする方針に転換することだ。

次には、すでに再処理で作りだされてしまった【プルトニウム】を、燃焼させる「トリウム炉の開発に着手する」方針を打ち出すのだ。

 

これによって、膠着化している【原発の縮小撤退路線】が具体化できる。

まず、用済みになっている「日本原子力発電(原電)」の、新規業務として、「トリウム炉の開発と実用炉の建設」を指令する。

そのトリウム炉の完成の時期までには、「プルトニウムとトリウムの混合燃料」を製造して、「プルトニウム焼却運転」を、新型の原子炉で稼働させる。

そして、蓄積された10.8トンのプルトニウムを、すべて国内で処理をする。

この様な長期の撤退作戦を構築して、この作業に何年間を要するか、技術陣の具体的なスケジュール作成と、必要な経費を見積もる作業を急がせる。

 

この概要を国民に丁寧に説明して、この前提が了解された地域でのみ、原発の再稼働を認めることにするのだ。

もちろん、その時期までには、「直接処分の具体策」を提示して、「処分地の了解」を取り付けることが前提になる。

これが、次世代に残す負の遺産を最小に抑える「脱原発路線の前提条件」で、この方策を、次期総選挙の争点にして、国民の審判を受けるのである。

具体的な責任ある方策を示さずに、ただ、原発を是か非か、問うのは無責任だ。


史上最悪の物質を始末する責任は、政府と電力会社にある。 

2015-03-24 | 核エネルギー・原子力問題

成り行きまかせの【原発依存継続路線】に対して、日本には原発はもういらない、として、「脱原発路線」を主張する政党や知識人達は、多数に上る。

しかし、原発の負の遺産となる【迷走、行き詰り、成り行きまかせ】の、困難な問題に対して、その対策となる方針を明確に示していない。

特に「使用済み核燃料」に含まれる大量の【プルトニウム】の最終処分を、どの様にして「次世代の負担にならない後始末」の答えをもっていない。

「脱原発依存路線」とは、ただ、原発の稼働を止めて、廃炉にすれば済むと言う単純な政策では、難題を先送りするだけの、無責任な主張である。

 

高レベル放射性廃棄物の処分地も決められない【現政権の無策】についでは、マスメディアも批判を繰り返している。

その一方で、増え続けてきた「プルトニウムの始末」には、電力会社の言い分である、【プルサーマル運転によって、プルトニウムは燃焼して減る】とした。

これが、実は《プルトニウムが減る》ことがない、と原子力事業の関係者から、国民に知らされたことは、知る限りでは見当たらない。

朝日新聞に寄稿された「元東京電力副社長の豊田正敏氏の解説」が初めてだ。

 

それに対する反論や、異論がない状況であるが、【電力会社の今までの説明は、ウソであった】と、言うことになる。

何故、今の段階で、豊田氏が明らかにしたのか、推測しか出来ないが、このママ言わずに次世代に【史上最悪の物質プルトニウム】の負の遺産を、残すコトには、耐えられない罪悪感をもったのであろう。

豊田氏は、具体的な対策案を提示しているのだから、電力会社も政府も真剣に、「プルトニウムの後始末」に、取組む責務がある。

 

提示されている「プルトニウムの処分方法」は、従来から技術的には知られている方法で、それには、トリウム燃料で稼働する原子炉が必要である。

トリウム型原子炉は、インドなどでも研究が進んで実用化の段階にあるが、日本ではまだ実績がない。

豊田氏の案は、「トリウム型原子炉を開発して、トリウム燃料にプルトニウムを混合した合成燃料で、原子炉を稼働する。

これによって、発電も出来るが、目的は「プルトニウムを燃焼」させることで、危険性の少ない物質の燃えガラにする。

この方法で、蓄積された10.8トンのプルトニウムを消滅させるのだ。(続)


原発の未解決問題から逃げ続ける政治家の無責任路線。

2015-03-23 | 核エネルギー・原子力問題

原発に依存する政策にしがみつく「安倍政権の逃げ腰」でも、老朽化した原発の廃炉は、時間の問題にすぎない。

政権は何もしなくても、電力会社の経営判断によって採算がとれないと判れば、経営者の責任で廃炉の決定が出される。

政権の責任は何も問われることなく、さわらぬ神に祟りなしの無作為に過ごす。

その一方では、審査基準に合格すれば、地元の同意という儀式を通過することで、再稼働が「政権の責任とは別の理屈」で、進められる。

 

マスメディアは、この「国民の意思に反した再稼働」を批判するだけで、「脱原発の叫び」を報道するだけに力を入れている。

そして、不良債権化する原発と【高レベル放射性廃棄物】の処分の迷走を繰り返して伝えることで、役目を果たしたポーズを作っている。

国民は、稼働できる状態の原発を止めるすべはなく、ただ地元の不安を宥める電力会社の【迷惑料の支払い】を見守るしかない。

政治の長期的判断がない状態では、なし崩し的な流れに任せるだけである。

この様な「なし崩し的な政策の漂流」は、日本の停滞の原因となり、【金融危機後の先送りによる10年の空白】を、またもや再現する。

 

原発の大事故で、それまでの「原子力ムラ」の神話によって築かれた【幻想の未来のエネルギー社会】は、原点に戻っての再構築が必要である。

すでに、4年も経過している状況なのに、「原子力委員会の新審査基準」が、進められているだけである。

日本の経済活動を邪魔するだけの、【再処理路線の破綻】、【放射性廃棄物の処分の漂流】、【廃炉も稼働も見えない原発】に、何もできないで逃げ回る安倍。

これらの、「不良債権の処理方針」は、小泉元首相の言葉を借りれば、「一国のリーダーならば三日あれば、決断できる」、実行可能な課題である。

 

ただひとつの超難題は、「日本に蓄積されたプルトニウム」の、最終処分である。

核兵器の保有国でもないのに、これほど大量のプルトニウムを保有し続けるのは、「安全国家を標榜する日本」のステータスを脅かし、次世代の重い荷物だ。

日本の世論を形成する上で、重要な役割を担うべき「マスメディアの首脳」も、この問題には、ホウカムリを決め込んで【取材も報道すらしない】。

東電の元副社長の豊田正敏氏が、「プルトニウムの後始末には、トリウム型の原子炉でトリウムとプルトニウムの混合燃料で燃やす」方策を提言している。(続)


安倍政権はいつまで電力会社のカゲに隠れるつもりか。

2015-03-22 | 核エネルギー・原子力問題

原発の廃炉決定の判断は、電力会社の経営の合理性の上で、当然の判断である。

しかし、後始末の多くの課題は、経済性の問題とは完全に違った次元での合理的な判断と、国民に対する説明が必要である。

この説明においての前提には、今までの様な【無理やりのコジツケ的論理】でホウカムリをする様では、国民の理解は全く得られない。

電力会社は、政府の保護のもとに置かれているから、経営陣も技術の責任者も、本当のことを言わない様にして、かえって電力企業不信を招いている。

 

原発の使用済み核燃料の後始末は、もはや、電力会社の経営判断では不可能な段階に達して、政府が完全に責任を持つしか、負の遺産を処理出来ない。

特に【原子力ムラ】の言うとうりに進めてきた【プルトニウムを取り出す再処理】の路線は、【断念を迫られている】状況にあるが、何も動きは見られない。

現在は原発の稼働はゼロの状態であって、なし崩しに、再稼働を許す様では、【現状維持の事なかれ主義】に隠れたままになる。

政府は最前面に出てきて、再稼働の条件の第一番の、「プルトニウムの処置方針」を決定しなければ、稼働はできないと覚悟すべきだ。

 

脱原発の路線を願望する国民は7割以上もいる上に、残りの2割も電力自由化の中で、原発は市場競争の原理の中で自然に淘汰されると見ている。

残りの1割の原発擁護の立場にたつ人たちも、「プルトニウム問題」に対しては、逃げの姿勢のままで、無責任にも原発の稼働を強行しようとする。

どちらの路線をとるにしても、この【国際的にも危険視される】史上最悪の廃棄物を、現世代の責任で処理する方向を決めなければならない。

いままでも、「使用済み核燃料の最終処分」を決めないまま、原発の稼働と増設を進めてきた歴代政権は、無責任のそしりを免れない。

 

小泉元首相は、1990年年代の不動産バブルで発生した大量の不良債権を、2000年代初期の段階で、次世代にツケを回さないと宣言して終結を目指した。

政権の初期に、【りそな銀行の倒産】を進めて、一気に不良債権の処理を実行し、その後の経済の回復基調の軌道に乗せることに成功した。

それまでの、自民党政権の不良債権処理は、小出しの政策ばかりで、何時までも中途半端なやり方で先送りに逃げ込み、結果的に経済再生が遅れていた。

今度の原発維持路線は、この【不良債権処理を先送りした歴代自民党政権】の、怠慢な姿勢を復活させている。

逃げ腰の政権では、何も出来ないで終わる。(続)


次世代の国民に史上最悪の有害物質プルトニウムを残す? 

2015-03-21 | 核エネルギー・原子力問題

安倍政権は、原発の再稼働を承認する前に、「使用済み核燃料」の後始末を、どの様にするのか、国民に説明する責任がある。

【先人が決めてやってきたことを踏襲するだけ】との態度は、全くの責任逃れで、政府のトップとしては、絶対に許されない。

今までの「核燃料再処理路線」は、再処理工場の完成の見込みがない上、たとえ稼働にこぎ着けたとしても、「プルトニウムを抽出する」だけである。

放射性廃棄物が減るわけでもなく、【原爆の原料となるプルトニウム】が、利用し易い状態で、日本国内にたまり続ける。

 

これは、次世代にとって厄介な毒物を相続させる、【負の遺産の最たるもの】だ。

少し専門的な話になるが、原発を再稼働させることを容認する意見ならば、最小限にでも知っておくべき責任がある。

プルトニウムは、「高速増殖炉の原子炉での燃料」として使う目的で、「使用済み核燃料」から、抽出して燃料とする。

つまり国民への説明では、これは廃棄物(使用済)の中の有用成分を取り出して利用可能な製品にする「リサイクル作業」である、と美辞麗句であった。

ところが、【日本の高速増殖炉の開発は完全に失敗】して、中止に追い込まれた。

 

利用先のなくなった危険性最大の【プルトニウム】の蓄積量は、現在は10.8トンもたまっている。

これは、【原爆が100発以上も作れる】原料となっているので、「核不拡散の国際的な流れ」に完全に逆行して、国際社会からの懸念が高まっている。

それで、やむなく、現状の原子炉で、【ウラン原料にプルトニウムを一割以下】の割合で混合した燃料に製造して、これで、原発を運転する方法だ。

これを【プルサーマル運転】と呼んでいたが、国民の大部分は知らない上に、知っている人にも、【これで、プルトニウムが減る】と説明している。

 

しかし、この【プルサーマル運転】では、プルトニウムの一割を燃やす為に、9割のウラニウムが燃料として消費される。

そのウラニウムは、燃焼して残る使用済みの部分に、新たに【プルトニウム239】を生成するので、プルトニウムは増えてしまう、ということになる。

これは、「元東京電力副社長の豊田正敏氏」が、朝日新聞に[私の視点]の表題で寄稿した説明に書かれている。

原発の再稼働では、この「プルトニウム」の後始末の責任がついて回るのだ。(続)


安倍政権は原子力発電の重要問題から逃げ回るだけ。 

2015-03-20 | 核エネルギー・原子力問題

世界で三位の原発設置国であった日本は、大きな負の遺産を抱えてしまった。

54基も設置した原発は、大半が20年以上も前の技術で、「安全確保のフェイルセーフ」(トラブル発生を予測して、二重、三重の安全保護対策)が不足だ。

今回の原発大事故の教訓で、甘い想定の機器類の基準を見直して、「世界で最高レベルの審査基準」としている。

人間の頭脳が及ぶ範囲は狭いから、絶対に事故を起こさないとは言い切れない。

原子力規制委員会の委員長も、規制基準を通過したから【安全であるとは、言えない】と明言している。

 

安倍政権は、原子力政策の推進責任政党であった「自由民主党」の、まぎれもない継承者であるが、大事故に対する責任感覚が不足の様である。

それなのに、先人が築いた功績ばかりに目を向けて、やり残したり、見込み違いで縊路に迷い込んだ重要な問題を、どうするかの役目を放棄している。

【原子力委員会の審査を合格した原発は、再稼働させる】の繰り返しばかりだ。

原発の電力に依存するからには、今、【目の前に死屍累々となっている問題】の始末をどうするのか、国民に対して明確な説明が必要である。

 

それに納得するか、国民的な合意、承認が得られるには、時間がかかるだろうが、まずは、政治の最高責任者として、安倍政権の方針を示すべきである。

原発を再稼働すれば、「使用済み核燃料」が、次々に生成されてくる。

つまり、元のウラニウムよりも、【危険性の高いプルトニウムを含む、始末の困難な物質】が生成し続けて行くのである。

再稼働の承認には、電力会社に、このあと始末の責任を厳重に課すべきである。

今の時代に、【あと始末を考えない大企業の事業】は、反社会的行為で、厳重に禁止される対象である。

 

ところが、このあと始末には、「使用済み核燃料」は、再処理をして「もう一度、核燃料として利用する」との説明で、【廃棄物ではない】と強弁した。

しかし、この再処理工場の稼働は、すでに20年以上も実現できない、幻想の再処理工場になっている。

再稼働原発の【使用済み核燃料】を、再処理する方策は、完全に破綻している。

実現の可能性にない「核燃料の再処理路線」は、今までに膨大な国の予算を浪費し、これからさらに税金をつぎ込むのは、無駄の上塗りである。

原発維持を表明している電力会社の反社会的行為は、これ以上許されない。(続)


不良債権化する恐れのある原発設備は潔く廃炉で決着を。

2015-03-19 | 経済問題

ドイツが国策で「脱原発」を法律化して、明確に原発を廃炉にして行く方針を掲げているので、民間企業は、投資リスク最小で新規投資ができる。

送電線への拡充投資も計画されるから、総需要の押上効果は絶大にあり、これが景気回復、経済成長の原動力になることは、経済学者でなくても判る。

ところが、日本政府は、原発依存と再生可能エネルギーの普及を、曖昧な目標にしたまま掲げているので、民間企業は政府をしんようしていない。

いつ頃までに、原発の発電比率がどれくらいまで下げられるのかは、すべて、電力会社の経営判断に任されている状況だ。

 

今の日本では、大手の電力会社の計画などは、どの民間企業も信用しない。

原発の安全神話の崩壊だけでなく、経営判断に放漫な実態が、次々に明らかになると、日本で最も遅れた信用できない企業のトップに躍り出ている。

その電力会社も、すべての原発を維持する路線は、さすがに、不合理とみて、4社(関西電力、中国電力、九州電力、それに原子力発電)が廃炉決定をした。

説明では、40年を超える老朽原発は、「審査基準に通るための設備改修をしても、発電による収入に見合わない。」としている。

こんなことは、原子力審査委員会での審査基準が公表された時点で、容易に判断がつくはずだが、決断をぐずぐずと引き延ばして、今日になってしまった。

 

この間の経営上の失策はないのか、問われるべきだが、経営陣は一切の責任を負わない選択をしている。

その上に、原発廃炉の決定の遅れは、代替電源の計画と設備投資着手への遅れの影響が、見えない範囲までブレーキとなっていた。

これは、ちょうど1990年代のバブル崩壊以後に、「大手銀行」の野放図な融資に焦げ付き、不良債権の放置と似ている。

この不良債権は、1990年代には、日本経済の活性化に大きな悪影響を及ぼした。

 

この悪影響から離脱できたのは、2002年の小泉政権になってからの非常措置によって、「りそな銀行の倒産と国有化」によって、やっと身軽になった。

それ以来、小泉政権下では、既得権業界の解体や規制緩和も進んで、目立たないとはいえ、経済成長が少しずつ軌道に乗って来たのである。

今回も、脱原発のアイマイ路線で、不良債権化した原発の負の遺産を、潔く整理する覚悟を電量業界に期待するのは、無理がある。

政治主導で、目安となる廃炉基準を決めて、順次、廃炉原発を増やすことだ。


ドイツと違って日本では声をあげない国民にしわ寄せ。

2015-03-18 | 経済問題

ドイツのエネルギー長期政策の基本に、「脱原発目標年」を掲げたことによって、

稼働できる原子力発電所が、時期を明確にして廃炉にすることが決まる。

当然、この代替の電力を得るために、新規の発電設備が必要になり、それを計画的に実施できる。

これは、資本主義経済においては、「スクラップ・アンド・ビルド」の経済活動が、全体への波及効果で、経済が好転する典型的なパターンである。

2022年までの、政府の方針が実行されるのは確実であるから、その流れを見据えて民間企業の経営判断が、確実性を持って行える。

 

ところが日本では、『脱原発依存の政府の方針』が、民主党から自民党に政権交代した途端に、原発維持の電力政策に転換してしまった。

自民党の政権公約では、「再生可能エネルギーの最大限の導入」を掲げていても、民間企業にとっては、「再生可能電力」の分野は、事業リスクの大きい。

新規投資の経営判断をする優先度は、大きく後退して先送りされる。

「原発依存度を可能な限り低減させます。」と公約に掲げても、目標年もなく、低減させる設備の目標量も、政府は何も決めていない。

これでは、3年間も経つのに目安がないから、民間企業は何もできない状態だ。

 

安倍政権は、経済の再生と経済成長を最優先の目標にして政権発足した。

しかし、このエネルギー政策のアイマイな姿勢が、政権の信頼性を損ねて、エネルギー産業だけでなく、次世代の新産業の分野にも悪影響を及ぼしている。

結局、見せかけだけの、「経済活性化(株価の上昇)」にすがり、円安誘導によって実質的に賃金引き下げが実現した。

この経営側にとっての好条件によって、業績が好調になった企業は、名目での賃金引上げに応じて「ベースアップ」の回答をしている。

だが、物価上昇目標2%よりも下回る金額では、実質賃金はダウンする。

 

決断しないで、曖昧な政策に終始する安倍政権は、国民から信用されない。

先送りばかりの政権目標では、民間企業は経営判断も出来ないで、日本国内での投資計画を先送りするしかない。

賃金が名目では上がるかも知れないが、実質賃金ダウンでは出費を控えることで、国民の大多数が生活防衛をせざるを得ない。

電力会社と既得権業界を保護する政策では、経済成長に転換することは無理だ。

しかし国民は、耐え忍ぶことが美徳と思い、静かに生活防衛に引きこもる。


国民の強い脱原発路線指向がドイツの論争を決着させた。

2015-03-17 | 快適エネルギー社会問題

ドイツのエネルギーの基本政策の論争が30年間も論争されてきたが、日本の原発大事故の発生によって、国民的合意が一致して脱原発に転換した。

それは、周到に代替の電源を計画した上ではない。

国民が、原発への依存をやめる意思決定を、政府与党に要求したのである。

政治主導と言うよりも、国民の意思重視の判断で、その先頭には原発維持を主張してきた【メルケル首相のCDU】が立っている。

代替電源として再生可能エネルギー電力」を、最大限に導入する方策になる。

 

脱原発に決めた結果、ドイツの再生可能電力の導入目標は、2025年までに40~45%、2030年には55~60%という高いレベルだ。

日本政府が検討中の2030年の目標が、わずか20%程度であることと、大きな違いが生まれてしまった。

これでは再生可能エネルギー産業の活性化に、「大きな追い風が吹く」ドイツと、原発維持と再生可能電力の抑制で、勢いを削がれる日本との差は開くばかりだ。

このおかげで、不況のEU諸国の中でも、ドイツは経済活性化が進みだし、ヨーロッパの経済を押し上げている。

 

ドイツでは、すでに2000年には政権担当の『ドイツ社会民主党(SPD)』が、脱原発の方針に沿って、再生可能エネルギー電力の導入に取り組んできた。

その成果もあって、2013年時点での普及率も電力全体の20%程度を占めているので、発電コストも下がっている。

風力発電は7~16円/kWh.で、天然ガス発電と同等、もしくはコストが安いレベルだ。

しかしドイツ南部の方に、電力を多消費する工業地帯があり、脱原発のためには、北部の風力発電の適地での電力を、南部に大量に送電する必要がある。

 

だから、風力発電は、ダメだと言うのが日本の識者の論法だが、ドイツは、脱原発を先に決めたので、送電線網を拡充してでも、「再生可能エネルギー」の普及量を増やすしかない。

これが、経済活性化の面から有利に働くことが、ドイツにとっての、思わぬメリットであった。

日本では、原発の審査基準をとうりさえすれば、地元の不安はお構いなしに、経済性だけで(つまり、現段階での発電コストが安いこと)再稼働する。

それが、新規の投資(送電網の拡充・強化)を先送りすることになるのだ。