庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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原発存続の方が安全性確保よりも重要とする安倍内閣。

2013-05-17 | 核エネルギー・原子力問題
原子力政策の転換に消極的な安倍政権は、高速増殖炉の実験炉「もんじゅ」が、安全性をナイガシロにしてきた不祥事に対して、なんらの見解も示さずに、無責任な傍観を決め込んでいる。
これでは、「サマにならないから、トカゲのしっぽ切りの、「日本原子力研究開発機構」のトップが自発的に引責辞任をする形式的な幕引きを図るつもりだ。
責任者の辞任は当然だが、更迭ではなくて自己申告辞任では、自民党政権の「安全に取り組む姿勢が疑われる事態」であり、「もんじゅ自体の先行き」には、何の意志の表明も出来ないでいる。

同じ福井県にある「敦賀原発2号機」には、「活断層の存在が確定」されるので、
原発は廃炉にしなければならない。
さらに、同じ敷地内の「敦賀原発1号機」は40年以上も経過した老朽機である。
3・11以前の「安全神話が健在」の時期に40年以上の運転延長が認められた特例の設備で、本来は廃炉にするのが妥当な設備である。
この原発の所有は、電力業界が資本金の9割を出資した「日本原子力発電」で、
この2基を廃炉にすると、今後の収入源は途絶するので、会社整理をしなければならなくなる。

日本原電の原発(敦賀2基、東海村1基)の3基を廃炉に決定した場合は、資産価値がゼロとなり、廃炉費用としての積立金の不足を上乗せした金額2500億円が損失額となる。
資本金や純資産を合わせて1600億円でも不足で、完全に債務超過、破産である。
資本金1200億円の9割を出資した電力会社は、この分をすべて負担するが、今でも契約上で日本原電に維持費用を払い続けている。
何の価値も電力も生み出さない設備を持っているだけで損失が膨らむのに、この分は電力料金に転嫁して、電力会社は何の痛みもないからである。

損失の増加しかあり得ない状態になっても、安倍内閣は「安全対策に万全を期す」ことで、再稼働が出来るとの幻想をふりまいて、廃炉の決定を曖昧にしたまま、電気料金や税金の上乗せで、先送りをする姿勢をとったママでいる。
先送りをしても2500億円の損失が減ることはまったくない。

先送りする度に、毎年、無駄な維持費が浪費されるのが明確であるのに、自民党も安倍内閣も、夏の参議院選挙に不利な情報を、アイマイにしておきたい一心である。
この事実を明確に指摘できない野党各党も、同罪に等しい愚かさだ。